コナー・カラサワ・オレアリー、パリ五輪で日本代表入りを目指す。僕が国を変える手続きをした本当の理由。

取材、文:山本貞彦 先月末のNSA(日本サーフィン連盟)の記者会見において、コナー・カラサワ・オレアリー選手の日本へ移籍承認が発表された。これを受け、この度、1ヶ月の滞在予定で来日。JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE(4F)にて、囲み記者会見が行われた。

 

母:柄沢明美。JPSA(日本プロサーフィン連盟) 1985年グランドチャンピオンの実績を持つ。

 

オーストラリアの父、フィンバーさんと日本人の母、柄沢明美さんの間に生まれたコナー・カラサワ・オレアリー。現在はオーストラリアのレノックスをホームとして生活している。WSLのトップツアーであるCT(チャンピオンツアー)で活躍中。今シーズンは世界ランキング11位という成績でシーズンを終えたばかりだ。

 

コナー・オレアリー© WSL / Ryder

 

 

2024 ISA WORLD SURFING GAMES、2024パリ・オリンピックのサーフィン競技にて日本代表を目指すことを掲げ、この記者会見の臨んだコナーは、冒頭で流暢な日本語で自己紹介。まずは「日本代表の一員になれたことに感謝します。日本を代表できることをとても嬉しく、誇りに思います」と挨拶。

 

私の母親は日本人だから、自分の中に日本のカルチャーを持っています。

 

そして、日本代表を目指すきっかけにはこう答えた。「私の母親は日本人なんです。だから、自分の中に元々、日本のカルチャーを持っています。今でも、それについてもっとたくさん学びたいと思っているし、自分の日本の部分も大切にしています。将来、自分の子供ができた時は、自分の子供にもそれ(日本のルーツ)を伝えていきたいとも思っています。」

 

日本の文化が自分にとって、とても重要なものであることに気づいた。

 

 

年齢を重ねるにつれて、改めて日本の文化が自分にとって、とても重要なものであることに気づいた言う。多文化であること。オーストラリアと日本が自分にはあることが、大好きになっていた。2020東京オリンピックの後、この気持ちが強くなり、日本代表になりたいと思うようになったと語る。

 

普通の人でも望めば、素晴らしい結果を出すができるんだということを見せたいです。

 

 

「これから日本代表として出場することになったら、日本の皆さんにどんな姿を見せたいか?」の質問には「私自身は正直言って、普通の人間です。あまり才能が無いまま大人になったと思っています。最初はプロサーファーになるつもりで育ってきたわけではないし、特別に才能に恵まれたわけではないんです。でも、普通の人間でも強い決意と向上心があれば、ここまで来れるんことができるということを、皆さんにも感じてもらいたい。普通の人でも望めば、素晴らしい結果を出すができるんだということを見せたいです。」

 

 

コナーは自分は才能が飛び抜けてあるわけでなく、普通のサーファーだと公言して憚らない。それでも、努力してCTツアーに入ることができたこと。そして、日本代表として頑張る姿を見せることができれば、みんなに希望が与えられるはずだと言う。

 

 

「特別な才能が無くても、練習すれば世界で戦えるようになれます。なので、日本の子供達にとって、自分が良いロールモデルとなれたらと思っています。だから、今はそれに向かって頑張っていきたいです。」多くの若い日本人サーファーだけでなく、日本人アスリートに対しては、自分が情熱を注いでいることに懸命に挑戦し、成功したいと願い続けることも大事だとも語った。

 

 

「オリンピックとWSLのCT(チャンピオンツアー)とは、何が違うのか?」の質問には「私の子供の頃は、サーフィンはオリンピック種目でなかったので、それよりもCTを目指してワールドツアーへの出場権を獲得することが重要でした。でも、サーフィンがオリンピックになったことで、オリンピックやその予選を通過することの重みが増したと思うようになったんです。

 

 

日本国民を代表する最高の選手になるために頑張りたいと思っています。

 

サーフィンがオリンピックの種目になったことは、本当に素晴らしいことです。オリンピックは国で戦います。今回、国を変える手続きをしたことで、その重みをしっかり受け止めています。その予選を通過し、日本代表としてオリンピックに出場することは、私にとって本当に大きなモチベーションであり、日本国民を代表する最高の選手になるために頑張りたいと思っています。」

 

 

ヒート後に握手を交わすコナーとカノア  © WSL / Brent B.

 

「現在、パリ2024オリンピック条件付き出場権獲得者の五十嵐カノア選手と稲葉玲王選手についての関係性」を問われると「カノアと玲王は本当に長い付き合いで、とても良い友達なんです。彼らがプロサーファーとして成功していることを嬉しく思いますし、オリンピックのチケットを手に入れたことを嬉しく思っています。それは日本のサーフィン界だけでなく、サーフィン界全体にとって素晴らしいニュースになったと思います。

 

特に自分は玲王の大ファンで、彼とは長い間本当に親しい友人なんです。だから、彼が日本を代表する選手として精一杯頑張って成功したことが、本当に嬉しかった。そして、その2人の素晴らしいサーファーと肩を並べることができるのは、素晴らしいことだと思っています。」と笑顔で答えた。

 

 

「WSLではゼッケンにオーストラリアと日本の国旗を入れていますが、今後はどうするつもりでしょうか?」の質問には「私はWSLで3年間、片方にオーストラリア、もう片方に日本の国旗入れています。WSLで両方の国旗を持つことができたのは、自分が初めてだと思います。WSLのおかげで、両国の代表としてベストを尽くすことができたと思っています。

 

オーストラリアと日本、両方の国旗を肩に入れていければと思っています。

コナー・オレアリー Credit: © WSL / Dunbar

 

オリンピックに出場する国を日本に変えたのは事実なんですけど、私という人間が変わるわけではありません。オーストラリアと日本にルーツがあることは事実ですから、今後もできるだけ可能な限り、両方の国を代表していきたいと思っています。なので、来年のシーズンについては、引き続き、両方の国旗を肩に入れていければと思っています。」

オーストラリアと日本のルーツがある自分だからこそできること。

コナー・オレアリー© WSL / Nolan

 

コナー・カラサワ・オレアリー、29歳。

日本を選んだ理由。単純に自分のルーツだけで選んだわけではない。それよりも自分にしかできないこと。オーストラリアと日本のルーツがある自分だからこそできること。それがこの日本での代表となることだった。

 

オリンピックの出場権を獲得することができれば、目標は日本のためにメダルを獲得することだと言う。それは自分自身だけでなく、日本や、すべての未来のアスリートにとって夢と希望、そして成功への道を示すことができるから。

 

「だから、国を代表してオリンピックに出場できるのなら、自分にとって最高の場所だと思っています。そして、日本のためにメダルを持って帰れるように、全力を尽くして、一生懸命練習して頑張りたいと思います。」

 

 

オリンピックへの道。

 

まずはNSAが決める「2024 ISA WSGプエルトリコ」日本代表選手に選ばれること。男子3枠のうち、2人(五十嵐カノア、稲葉玲王)は確定。最後の枠は選考待ちとなるが「2023CT選手は選考会には出場せず、日本代表入りとなる」ならば、出場が確定する。プエルトリコの世界大会で、5位以内に入ることでオリンピックに確定。

 

もし、5位までに入れなかった場合でも、日本は国別で獲得している1枠がある。これは推薦枠(2023実績、選考会成績等)としてNSAが決めることになるが、オリンピックへの条件の一つに「2024 ISA WSGプエルトリコ」に出場がある。これを鑑みれば、コナーがISAの日本代表に選ばれれば、オリンピックに出場する可能性は大きい。

 

 

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