パリ五輪代表内定の五十嵐カノアは個人4位、日本団体4位入賞。アジア2位の稲葉も五輪出場のチャンス

団体4位でメダル獲得した波乗りジャパン Photo ISA / Jersson Barboza

サーフシティ・エルサルバドル – 2023年6月7日

2023年サーフシティ・エルサルバドルISAワールド・サーフィンゲームス(WSG)のファイナルデーは、素晴らしい波、オリンピック出場枠、ISAゴールドメダルが重なり、最終日に残った男子8名、女子8名が限界まで自分をプッシュし、並外れたスポーツマンシップと素晴らしいサーフィンを披露してくれた。

 

 

男子ゴールドメダリストとなったアラン・クレランドJr.(メキシコ)は、この1週間を通じて際立っていたが、20歳の彼は、そのベストを最後に持ってきた。

 

グランドファイナルの後半でクレランドは、ルッカ・メシナス(ペルー)、ミゲル・トゥデラ(ペルー)、五十嵐カノア(日本)という経験豊富なライバルをコンビネーションに追い込んで勝利を手にした。

 

アラン・クレランド(MEX)Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

クレランドは、ラ・ボカナのヘビーなレフトを完全に切り裂き、最初の数分間で8.50を記録すると、すぐにイベント最高のシングルウェーブスコアである9.73をマークし、イベント最高の18.23ヒートトータルをたたき出した。

 

メシナスは終盤になんとかコンビネーションを崩すも、その時にはもう勝負はついていた。

 

クレランドは、メキシコのISA史上2個目のWSG金メダルを獲得し、これ以上ない喜びを感じていた。

 

アラン・クレランド(MEX)Credit: ISA / Pablo Franco

 

「僕は、最高のサーファーたち、僕が生涯尊敬してきた人たちの何人かと対戦することになったので、正念場の踏ん張りどころだと思っていました。」とクレランドは言った。

「金メダルはすべてを意味します。あの、ジョニー(2017年のコルゾ)が最初に勝ったのを見て、そのために努力し、毎晩のように夢を見ていたんです。」

 

補足すると、ジョーディ・スミス(RSA)がWSL CT.を通してオリンピック出場権を獲得した場合、彼のスポットは今回のWSGの最高位サーファーに再配分され、 彼のスポットは、このWSGの最高ランクのサーファーに再割り当てされる。

ということでクレランドは、2023年のサンティアゴ・パン・アメリカン・ゲームスで優勝する必要がある現在のオリンピックへのルートを回避し、2024年のパリ大会への出場権をすぐに得ることができることになる。

 

 

タティアナ・ウェストン-ウェブが金メダルを獲得。

 

タティアナ・ウェストン-ウェブ Credit: ISA / Pablo Franco

 

ISA U/18世界ジュニア選手権で2度優勝し、東京2020オリンピアンのタティアナ・ウェストン-ウェブ(BRA)は、非常にタイトな女子グランドファイナルでWSG初の金メダルを獲得した。 

 

エリン・ブルックス(カナダ) Credit: ISA / Pablo Franco

 

15歳の神童で2022年ISA U/16ワールド・ジュニア・チャンピオンのエリン・ブルックス(カナダ)は、リパチャージの11ヒートを戦い抜き、ファイナルでも終始リードを保ち、年齢をはるかに超えたサーフィンを披露した。

 

ウェストン-ウェブは、終了間際にバックハンドの2ターンコンボで7.50を出し、4位から1位に躍り出て大逆転勝利。ブルックスは2位で銀メダル、フランスのチームメイトであるジョアン・ディファイとヴァヒネ・フィエロはそれぞれ銅メダル、カッパーメダルを獲得した。

 

タティアナ・ウェストン-ウェブ Credit: ISA / Sean Evans

 

「ブラジルを代表し、勝利を手にすることが出来たことは本当に心の底から大きな名誉です」とウェストン-ウェブは語った。

 

「このイベントはとても楽しかったです。世界中から集まった人たちが、ISAワールド・サーフゲームスでサーフィンをしているのを見るのは、信じられないことです。アフガニスタンやラトビアの人たちがサーフィンをしているのを見ると、本当に不思議な気持ちになりますね。

 

そんな国々にサーファーがいるとは思ってもみませんでしたが、今ではオリンピックに採用され、世界的に発展しています。サーフィンをしたい人みんなにエールを送りたいですね!やってみて!本当に楽しいから!」

 

ペルーは4度目のチーム金メダル。

 

チームペルーPhoto ISA / Jersson Barboza

 

チームランキング
金メダル:ペルー
銀メダル:フランス
銅メダル – ブラジル
カッパー – 日本


ルッカ・メシナスとミゲル・トゥデラの個人メダル、そしてチーム全員の力強いパフォーマンスにより、ペルーは銀メダルのフランスに23ポイント差をつけて、4度目のナショナルチーム金メダルに輝いた。ブラジルは銅メダル、日本はカッパーメダルを獲得した。

 

 

カウリ・ヴァーストとの五十嵐カノアに2024年パリオリンピック出場枠

 

カウリ・ヴァーストと五十嵐カノア Credit: ISA / Pablo Franco

 


またタヒチ出身のカウリ・ヴァースト(フランス)と東京2020銀メダリストの五十嵐カノア(日本)が、2024年パリオリンピック出場枠の残り1枠を獲得した。

 

 

2024年パリオリンピックの大陸別出場枠の最後の2枠は、ファイナルデーに2名による戦いで決着がついた。カウリ・ヴァースト(フランス)とゴンサロ・グティエレス(スペイン)は、ヨーロッパの出場権を獲得するために、また、日本のチームメイトである五十嵐カノアと稲葉玲王はアジアの出場権を獲得するために、ともにこの大会で上位に入る必要があった。

 

このイベントのアンダードッグ・ストーリーは、グティエレスのものでなければならない。スポンサーなしの25歳は、初のWSGを突破するために4人の東京2020オリンピアンを相手にし、一歩一歩ヴァーストを追い込んでいった。

 

カウリ・ヴァーストPhoto ISA / Jersson Barboza

 

しかし最終的にスロットを獲得したのはヴァースト。彼からは信じられないほど喜びが溢れ出した。21歳のタヒチアンは、すべてのヒートを集中してサーフした。この枠を獲得することにどれほど執念を燃やしたか、そしてその目標を達成したことがどれほど大きな意味を持つかを、彼は隠し切れなかった。

 

カウリ・ヴァーストCredit: ISA / Pablo Franco

 

「これは私にとって特別なことです」とヴァーストは涙ながらに言った。「私は、いつの日か予選を通過するために頑張ってきました。母国でオリンピックに出場するチャンスを得ることは、私にとって大きな夢でした。そして、今、私は超ストークしています。私は成功したのです」

 

地元タヒチアンであり、オリンピックサーフィン会場であるチョープーのスペシャリストでもあるヴァーストは、チームメイトで同じタヒチアンのヴァヒネ・フィエロとともに、注目の選手としてオリンピックに参戦することになった。この二人のアドバンテージは大きい。

 

稲葉玲王  Credit: ISA / Sean Evans
アジア2位のポジションを得た稲葉 Credit: ISA / Sean Evans

 

稲葉玲王(日本)は、イベントを通して力強いパフォーマンスを見せたが、今日の最初のヒートで敗れ、2024年パリ大会の出場枠をチームメイトの東京2020銀メダリスト、五十嵐カノアに譲った。

 

 

オリンピックは僕の人生を変えました。

 

五十嵐カノア Credit: ISA / Pablo Franco
五十嵐カノア Credit: ISA / Pablo Franco
五十嵐カノアCredit: ISA / Pablo Jimenez
クオリファイが決まった五十嵐カノア Credit: ISA / Pablo Franco

 

「このようなポジションにいることをとても光栄に思います。」と2大会連続でオリンピック出場が決まった五十嵐は言った。

 

「東京オリンピックがついこの間だったような気がします。あの大会から、あの瞬間から、たくさんの良い思い出が生まれました。 オリンピックは僕の人生を変えました。またここに来て、国を代表して、またメダルを取れるような立場になれたことは、僕にとって大きな意味があります」。

 

 

五十嵐カノアCredit: ISA / Pablo Jimenez
五十嵐カノアCredit: ISA / Sean Evans
五十嵐カノア Credit: ISA / Pablo Franco

 

2024年パリ大会の出場権を獲得したというニュースを聞いた数分後、五十嵐は9.00のライディングでメインイベントファイナルをスタートさせた。

 

オリンピック銀メダリストの五十嵐は、美しいダブルオーバーヘッドのセットで、ダウンカーブから、複数のクリティカルセクションをスマッシュして、最高のパフォーマンスを披露した。

 

稲葉玲王にもパリ五輪出場権獲得のチャンス

 

稲葉玲王 Credit: ISA / Pablo Franco
稲葉玲王 Credit: ISA / Sean Evans

 

今回パリ五輪の出場権を条件付き※で獲得した五十嵐は、WSL CT枠からのオリンピック・クオリファイにも挑んでいる。

 

※来年2024年の2月にプエルトリコで開催される(予定)「2024 ISA World Surfing Games」に出場することを条件に、パリ2024オリンピックサーフィン競技出場権が与えられる。

 

もし五十嵐のダブルで出場権を獲得した場合、稲葉は今大会の成績により、アジア大陸の次点で2024年パリ大会の出場権を獲得することになる。

 

世界に通用するスキルを持ち合わせながら、大きな結果を出せずにいた稲葉玲王。今回のISAの予選となった仙台のジャパンオープンでも圧巻の演技を見せ、今回の大会でも圧倒的なパワフルなサーフィンを世界の桧舞台で披露した。2人3脚で世界を目指してきた田中コーチが今回波乗りジャパンに帯同したことが彼にさらなるパワーを与えたのかもしれない。

 

さらにこのシナリオでは、2022年のハンティントンのWSGでチームジャパンが出場枠1を獲得したことにより、日本は3人目の男子サーファーを選んで2024年のパリ大会に出場させることができることになる。

 

今大会では、男女とも1名づつオリンピック出場枠を獲得するという最高の結果を手に入れた波乗りジャパン。感動をありがとう。波乗りジャパンのオリンピックへの旅路はこれからも続いていく。がんばれ!日本!

 

多くのスタッフが選手のパフォーマンスを上げるために力を尽くした波乗りジャパン。全員で勝ち取ったメダルである。 Photo ISA / Jersson Barboza

 

 

2024年パリオリンピック出場権を獲得した選手たち

男子
ジョーディ・スミス(RSA) – アフリカ
五十嵐カノア(JPN) – アジア
カウリ・ヴァースト(FRA) – ヨーロッパ
ビリー・ステアマンド(NZL) – オセアニア

女子
サラ・バウム(RSA) – アフリカ
松田詩野(JPN) – アジア
ヴァヒネ・フィエロ(FRA) – ヨーロッパ
サフィ・ヴェット(NZL) – オセアニア

 

WSL CTを経由して現在までに予選を通過した選手
タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
ブリサ・ヘネシー(CRC)
ジョアン・ディフェイ(FRA)
テレサ・ボンバロ(POR)

 

 

大会結果

女子
金メダル:タティアナ・ウェストン-ウェブ(BRA)
銀メダル:エリン・ブルックス(CAN)
銅メダル:ジョアン・ディフェイ(FRA)
カッパー:ヴァヒネ・フィエロ(FRA)

男子
金メダル:アラン・クレランドJr.(MEX)
銀メダル:ルッカ・メシナス(PER)
銅メダル:ミゲル・トゥデラ(PER)
カッパー – 五十嵐カノア(JPN)

 

■2023 SURF CITY EL SALVADOR ISA WORLD SURFING GAMES
名 称:2023 SURF CITY EL SALVADOR ISA WORLD SURFING GAMES
主 催:国際サーフィン連盟(ISA)
期 間:2023年5月30日(火)~6月7日(水)※現地時間
開催地:El Sunzal / La Bocana, El Salvador

 

 

 

■日本代表NAMINORI JAPAN 派遣選手

男子
五十嵐カノア4位
稲葉 玲王 8位
脇田 泰地 22位

女子
松田 詩野  13位
前田 マヒナ 31位
都筑 有夢路 37位

■大会結果(チーム)
国別総合 : 4位
男子国別 : 3位
女子総合 : 7位

 

■大会中の情報
大会期間中は下記にて随時経過や結果を更新していきます。
ISA HP https://isasurf.org/event/2023-world-surfing-games/
NSA HP NEWS https://www.nsa-surf.org/news/
NSA Facebook https://www.facebook.com/nsasurf/
NAMINORI JAPAN Instagram https://www.instagram.com/naminori_japan