大原洋人と村上舜がワンツーフィニッシュ。カノアとともにR6進出。都筑もRP7へ。五輪最終予選6日

大原洋人、五十嵐カノア、村上舜

 

エルサルバドル、2021年6月4日 – サーフィン・オリンピックの最終予選である「2021サーフシティ・エルサルバドルISAワールドサーフィンゲームス」大会6日目が終了。

 

大会もあと残り2日。本大会では、男子5名、女子7名の計12名が、ランキング上位の選手に与えられる出場枠として残っている。

 

 

 

 

メインラウンドとリパチャージ・ラウンドに残っている16人の女子選手のうち、13人がこの7つの枠を狙っている。16人のサーファーのうち除外される3人は、ステフとサリーとアリッサ。

 

オーストラリアのステファニー・ギルモアとサリー・フィッツギボンズは、資格階層のトップにある2019 WSLチャンピオンシップ・ツアー(CT)を経由してすでに資格を得ており、また、アメリカのアリッサ・スペンサーは、カリッサ・ムーアとキャロライン・マークスの2人によって女子選手の出場枠がすでに埋まっているいるため、資格を得ることができない。

 

男子では、残り17名のうち12名が5つの出場枠獲得を目指している。勝ち残っているオーウェン・ライト(AUS)、ジェレミー・フローレス(FRA)、ミシェル・ボレーズ(FRA)、五十嵐カノア(JPN)の4名は、すでに2019年のWSL CT経由で代表権を獲得している。

 

まだ残っているサーファーの中には、国を背負ったホームタウン・ヒーローのブライアン・ペレスから、チームメイトとの成績によって予選通過が決まるかもしれない日本人サーファーまで、様々なストーリーがある。

 

 

 

日本チームの金メダルとオリンピック出場権

 

 

村上舜 PHOTO: ISA Pablo_Jimenez

 

日本チームは、6人のサーファーのうち5人が大会に残り、チームとしての金メダル獲得に向けて有利な立場にある。チームタイトルを獲得するには有利な状況だが、ほぼ全員のサーファーが残っていることで、オリンピックへの夢はチームメイト同士の戦いとなってきている。

 

今日の第1ヒートでは、日本の大原洋人と村上舜が対戦し、オリンピック出場権とチームランキングをかけた戦いが繰り広げられた。村上は2019年ISA宮崎大会からの暫定出場枠を持っているが、大原が今回のエルサルバドルで出場権を獲得した場合、村上は出場権を失う可能性もある。

 

 

大原洋人 PHOTO: ISA Pablo_Franco

 

僕はただサーフィンをして、自分たちのやるべきことをやるだけです。

 

「チームメイトとオリンピックの枠を争うのは少し変な感じがしますが、チームのために金メダルを目指しています。僕とシュンとカノアの3人がファイナルに進出すれば、日本チームが金メダルを獲得することになり、それは素晴らしいことです。僕はただサーフィンをして、自分たちのやるべきことをやるだけです。まだ2つのヒートが残っているので、それを乗り越えることだけを考えています。」と大原洋人がインタビューに答えた。

 

「オリンピックに出場することは、僕にとって大きな意味があります。開催地の千葉は自分が育った場所でもあります。毎日サーフィンをしている場所でもあります。オリンピックに出場して、家族や友人の前でサーフィンしたいです」。

 

同様に、チームジャパンで残っている2人の女子選手、前田マヒナと都筑有夢路は、今回の試合でトップ7に入ることができれば、チームメイトの松田詩野が獲得した2019年ISAワールドサーフィンゲームズのアジア枠を上書きし、代表選手になる可能性が残されている。

 

 

残り2日でフランスと日本がランキングをリード。

 

大会も終盤に差し掛かり、フランスチームと日本チームは、5人のサーファーを残して、ポテンシャルポイントでリードしている。日本は、残っている5人のサーファーのうち4人がメインイベントで無敗であるのに対し、フランスは3人であるため、フランスよりも日本がわずかに優位に立っている。

 

フランスチームは2017年にビアリッツで開催された大会で金メダルを獲得し、日本は2018年に愛知県の田原で開催された大会でも開催国として優勝している。

 

オーストラリアとポルトガルは現在、3人のサーファーがイベントに残っており、そのあとに続く。

 

 

 

そして、コンテストで 6 日が経過した後、クオリファイの状況がより明確になり始めた。

2019年ワールドサーフィンゲームスと2019年パンアメリカンゲームズを経由して大陸予選を獲得したサーファーは、5大陸すべてに男女各1名ずつの計10名。

そのうち、日本の松田と村上を除くすべてが、2021年のワールド・サーフィン・ゲームスで出場枠を確保している。東京2020大会への切符を手にしたのは、ラムジ・ブキアム(MAR)、ビアンカ・ビュイテンダグ(RSA)、ルッカ・メシナス(PER)、ダニエラ・ロサス(PER)、ビリー・ステアメンド(NZL)、エラ・ウィリアムズ(NZL)、アナト・レリオル(ISR)、フレデリコ・モライス(POR)の8名。

 

 

波乗りジャパンが魅せてくれた感動のパフォーマンス。

 

 

早朝の第1ヒートで日本波乗りジャパン、村上舜と大原洋人が、スペインのトップサーファー、アリツ・アランブルと同じヒートで対戦。そのヒートは、まさに日本のサーフィン史に刻まれるであろうスーパーヒートとなった。5-7フィートのグラッシーな極上のコンディションに、日本が誇るトップコンペティターふたりが信じられないような素晴らしい演技を披露してくれた。

 

 

村上舜 PHOTO: ISA Pablo_Jimenez

 

まず魅せてくれたのは村上舜。スタート直後に入ったセットを掴んだ村上は、クリティカルターンで大きなスプレーをあげ、カットバックでパワーセクションに戻り、再びクリティカルな波の際を見つけては、サーフボードを垂直に当て込んで激しく波を切り刻む。

 

スタートから6.83と高得点マークした村上は、セカンドウェイブでも波との波長を合わせてリズムよく、強弱をつけながら得意のバックハンドが炸裂。6.00をスコアして、開始早々にヒートを大きくリードしていく。

 

大原洋人 PHOTO: ISA Pablo_Jimenez

 

「良いコンディションだったが、潮が上げていて、張っている波を見つけるのが難しかった」という大原洋人は、波を確かめるように、自分のサーフィンとブレイクをシンクロさせていく。

 

ここは選ぶ波によっては、開きすぎて緩慢なセクションが多く、ダラダラとカットバックだけのライディングになりかねない。そこを寄せてくる波を選んで、波の際を目がけて大技を仕掛けるのだ。大原は得意のカーヴィングのバリエーションを披露し4.33をスコアする。

 

優先権を持った大原は3本目の波にテイクオフ、インサイドでビルドアップする波を見極め、タイミングを計るように、トップターンから次のボトムターンにスピードを加速させてつなげる。サーフボードを寝かせた深いボトムターンから垂直にサーフボードを波のトップへ蹴り上げて、クリティカルなセクションへ板を当て込み、パワーを爆発させる。

 

 

大原洋人 PHOTO: ISA Pablo_Jimenez

 

大きなスプレーが上がり、そしてラッピングカットバックでコンプリート。コンビネーション・メジャーマニューバーの演技でエクセレントに近い7.50をたたき出した。3位だった大原は2位に浮上する。

 

 

村上1位、大原2位のまま、残り時間は1分を切った。優先権を持っていた大原洋人が再びダブルアップする波を見つけてテイクオフ。軽くフローター気味にセクションを抜けると、そこには切り立った大きな壁が反り立っていた。

 

そこ目掛けて焼きつくようなフルレールのカーヴィングを見せた大原は6.63をスコア。バックアップを塗り替えてトップでラウンドアップ。村上もラストライドでバックアップをあげて、波乗りジャパンがワンツーフィニッシュでラウンドアップを決めた。

 

 

村上舜©︎日本サーフィン連盟NAMINORI JAPAN

 

昨日とは会場が変わって、全く違う波でした。潮も上げてきていて、波数も少なくなってきていて。大原洋人選手と二人で勝ち上がるのが目標だったので、自分が良いスタートを切って、きっちり2本まとめて、自分がアリツの近くに付いてにプレッシャー与えるという感じでやっていたんです。

洋人もきっちりと決めてくれて、二人でラウンドアップ出来て良かったです。次の3人ヒートは日本人選手が自分だけなんで、1位か2位かどちらでも良いのでメインのファイナル行きたいです。

 

大原洋人©︎日本サーフィン連盟NAMINORI JAPAN

 

「面もキレイで良かったんですけど、潮が上げていて、波が柔らかいというか、張っている波を見つけるのが難しかったです。でも一番良い波乗れたんじゃないかなと思って、それは良かったです。

村上選手と同じヒートだったんですが、乗れば余裕で勝てると思ったんで、あまり意識していなかったですね。あと二つ勝てばグランドファイナルですが、ひとつひとつ確実に勝つことを考えて頑張ります。

実は今朝、階段で滑って転んでしまって、海でも前足に力が入らないくてヤバイって思ったんですが、理学療法士の純さんがアイシングとかテーピングとかしてくれて、なんとか試合ができるまでになったんで本当に良かったです。

 

 

五十嵐カノア PHOTO: ISA Sean_Evans
ジェレミーとミシェル  PHOTO: ISA Sean_Evans

 

次のヒートには五十嵐カノアが登場。対戦相手はフランスチームのジェレミー・フローレスとミシェル・ボレーズというCTヒートとなった。ヒートはジェレミー・フローレスの一人舞台のように彼が素晴らしい演技で8.67と7.33という高得点を叩き出し、ヒートを完全にリード。エンジンのかからない様子のカノアは、後半まで全くスコアリングウェイブが見つけられない。

 

五十嵐カノア PHOTO: ISA Sean_Evans

 

しかし残り5分を切ってから6.43と4.13をスコアして、あっという間にフローレスに次いで2位でラウンドアップを決めた。ギリギリのプレッシャーを楽しんでいるカノアの勝ち方は、見ている方はハラハラさせられるが、一度波を見つけて乗ってしまえば、そこは世界のトップサーファー、圧倒的なサーフィンで勝ち上がっていく。

 

 

都筑有夢路 PHOTO: ISA Pablo_Jimenez

 

女子リパチャージ・ラウンド6のヒート1に登場した都筑有夢路は、スタートからフォアハンドのリエントリーを決めて、5.00をスコアしてトップとなる。しかし、その後に逆転されて3位となるが、後半にバックアップとなる3.83をスコアして再びトップに。

 

優先権を持って掴んだラストウェイブでは6.00をスコア。しかしアナト・レリオル(イスラエル)が7.33をスコアしてトップに。都筑は2位でラウンドアップを決めた。

 

都筑有夢路©︎日本サーフィン連盟NAMINORI JAPAN

「今日は最初に一番右の奥のポジションを取るということをコーチから指示されました。なんか奥の取り合いになっていて、結構焦っていて、最後のライディングも自分の中でフアフアしていたんですけど勝てて良かったです。

 

 

明日もがんばれ!波乗りジャパン!

 

明日の女子リパチャージ・ラウンド7で都筑はH2で、世界チャンピオンのステファニー・ギルモアとアメリカの新鋭、アリッサ・スペンサーと対戦する。

本日試合のなかった、女子のメインラウンド5に勝ち上がっている前田マヒナは、H1にクレジット。

 

男子メインラウンド6では、H1に五十嵐カノアと大原洋人が、ジョアン・ドゥルーと対戦。H2の村上舜は、CTサーファーのジェレミー・フローレスとインドネシアのケトゥ・アグスと対戦する。

 

大会もいよいよ大詰め。疲労感と緊張感がマックスになってくる選手たち。ここからが勝負だ。がんばれ!日本!

 

 

明日は会場はラボカナのみで行われる。
午前7時30分~午前8時45分
男子リパチャージ・ラウンド8 、3ヒート
午前8時45分~午前9時35分
女子リパチャージ・ラウンド7:2ヒート(H2都筑有夢路)
午前9時35分~午前10時25分
男子メインイベント・ラウンド6: 2ヒート(H1五十嵐カノアと大原洋人、H2村上舜)
午前10時25分~午前11時15分
女子メインイベント・ラウンド5: 2ヒート(H1前田マヒナ)
午前11時15分~午後12時05分
男子リパチャージ・ラウンド9、2ヒート
午後12時05分~午後12時55分
女子リパチャージ・ラウンド8、2ヒート
午後12:55 – 午後1:45
男子リパチャージ・ラウンド10、2ヒート

現地時間の 2021年6月5日7時30分 は、
日本時間の 2021年6月5日10時30分です。

ライブ中継、詳細スケジュールなどは、大会オフィシャルサイトにてご確認ください。

https://isasurf.org/