WSL Men‘s & Women’s QS 3000「Bonsoy Chiba Ichinomiya Open」はDAY-5で最終日。男女ともセミファイナル、ファイナルを残すのみ。本日、チャンピオンが決定する。
会場は今日も快晴。風は朝はオフ。その後、サイドオンに変化。波はコシハラで、セットでムネぐらい。ただ、昨日よりは波数も少なく、小ぶりな感じか。満潮時間帯が良いという判断で、6:30AMからスタート。試合時間は1ヒート30分。まずは女子のセミファイナルからとコールされた。
セミファイナルの第1ヒートは脇田紗良 vs 中塩佳那。
このヒートは脇田が少ないセットをつかむと、早い波に合わせて2発で4.25ポイントで先制。バックアップも3.25ポイントでトータル8.00ポイントでリード。
中塩は右奥にこだわるのか、動かず地蔵状態。試合残り5分を切っても、ノーライド。脇田のワンサイドゲームかと誰もが思い始めた時、中塩が動く。選んだ波は待っていたライトではなく、高さのあるレフト。これを迷わずボトムから板を素早く返して、波の際に当ててそのまま着地。これが4.75ポイント。これでニードは3.25ポイントとする。
脇田も負けじとアプローチするも、これはフィニッシュが決められず、優先権は中塩に移動。時間は残りわずか。終了5秒前、中塩が再びレフトの波で、ワンターンながらスピードある切り返しを見せてメイク。ヒート終了後のコールは4.45ポイントで脇田を破り、大逆転で決勝進出。
ヒート2は池田美来 vs 野中美波。
2人とも右奥で待つ。先手は池田。セットの波で1発当てて4.50ポイントと上々の滑り出し。野中も3.25ポイントで、すかさず追いかける。ここから野中がアウト、ミドルと動き回って続けて演技。池田は右奥で動かず。
15分を過ぎたところで、池田がプライオリティを持って波を待つ。ここで動いたのはアンダープライオリティの野中。テイクオフからすぐさまトップへ。ワンマニューバーながら5.00ポイントで、トータル8.40ポイントにする。
池田はニードは3.91。ただ、池田なら十分逆転できる点だ。最後まで油断できない緊張状態が続く。しかし、優先権を持ちながら、池田が望む波は入らず。ここは野中がラウンドアップ。
続いて男子のセミファイナルヒート1。児玉椋 vs 鈴木仁の戦い。
このヒートも鈴木は昨日同様、調子の良いエアーで攻める。ベスト2に4.00、4.85でトータル8.95ポイント。これは全てエアーでの得点。片や児玉はマニューバー勝負で、1発で3.00ポイント。続けて波に乗るも、ショートライドで点は伸びず。ニードは5.95ポイントのまま試合は進む。
その児玉、終了5分前にレフトのセットでワンマニューバーながら3.75ポイント。ニードを5.20ポイントに下げるも、試合は逆転はできず。ここは鈴木がファイナルへ。
ヒート2は安室丈 vs 大原洋人。
大原は右奥に陣取って動かず。それを見て安室は大原より左よりで波をつかんで、試合をリード。しかし、大原が試合10分経過して、着地はインコンプリートながら、ファーストマニューバーが評価されて4.00ポイント。ニードを2.50ポイントとする。
時間は13分を切って、大原が堤防横を割れる小ぶり波にテイクオフ。細かく3発入れて、3.35ポイントで逆転。志田の波をよく知っている大原だからできる演技か。これで安室がニード3.86ポイントに。ところが、安室も負けていない。残り7分のところで、攻めた力技の2発に5.50ポイントがついて再逆転。
大原の必要なポイントを5.01ポイントにして追い込む。3分を切って大原がミドルサイズながらバリエーションを見せて6.25ポイント。安室を逆転して、そのままタイムアップで大原がファイナルへ。
決勝は女子が中塩佳那 vs 野中美波。
この決勝は中塩もヒートスタートから積極的に攻める。野中も乗ってリズムを作る。一進一退の攻防が続くも、じわじわとリードするのが中塩佳那。7本目の演技は高さのあるレフトをパワームーブで6.00ポイント。
野中も逆転を狙って、何度も波をつかむが、ポイントは伸びず試合は終了。中塩がQS3000で初優勝を飾った。おめでとう!
男子の決勝は鈴木仁 vs 大原洋人。
鈴木は決勝でも、今大会で評価の高いエアー中心に攻めを組み立てる。大原は逆に臨機応変に志田の波に合わせた演技を見せる。結果、志田を知り尽くした大原が35分のヒートの中、3本のライドでベスト2を揃えて完勝。実力だけでなく、ローカルナレッジを駆使した貫禄の勝ち上がりとなった。おめでとう!
「CHIBA ICHINOMIYA OPEN」。明日からはディビジョンが変わって、7/26-28の日程でプロジュニア男女のイベント「Ginza 78 Clinic Chiba Ichinomiya Open Pro Junior」がスタート。明日は6:00AMにファーストコール。6:30AMに試合開始予定。男子、女子ともスタンバイ。
WSL Men‘s & Women’s QS 3000「Bonsoy Chiba Ichinomiya Open」
Men’s
優勝:大原洋人 ( $8000 / 3000pts)
2位:鈴木仁 ( $4000 / 2340pts)
3位:児玉椋、安室丈 ( $2000 / 1825pts)
5位:西優司、伊東李安琉、大音凛太、稲葉玲王 ( $1000 / 1423pts)
Women’s
優勝:中塩佳那 ( $8000 / 3000pts)
2位:野中美波 ( $4000 / 2340pts)
3位:脇田紗良、池田美来 ( $2000 / 1825pts)
5位:松岡亜音、芳田花瑚、川合美乃里、Sky Brown ( $1000 / 1423pts)
WQSアジアランキング(7/25付)
Men’s
1位:大音凛太 4465点
2位:伊東李安琉 3705点
3位:安室丈 3400点
4位:大原洋人 3000点
5位:鈴木仁 2790点
https://www.worldsurfleague.com/athletes/tour/mqs?regionId=6&year=2023
Women’s
1位:松岡亜音 6423点
2位:中塩佳那 3800点
3位:野中美波 3780点
4位:都築虹帆 3227点
5位:川合美乃里 2998点
https://www.worldsurfleague.com/athletes/tour/wqs?regionId=6&year=2023
KING OF SHIDASHITA
大原洋人が愛する家族の前で初めて掴んだ勝利。
大原洋人
地元での大会。足の怪我もありながらの試合。ライバルとの直接対決。ツアーの厳しいスケジュールなど、いろんなプレッシャーがある中、改めて優勝することの難しさを実感。だからこそ、この経験が自身を強くする。大原の優勝は2020年「ジャパンオープン」以来となる。おめでとう!
「I’m KING OF SHIDASHITAって感じですね(笑)。昨日から徐々にウネリの向きが南東っぽくなってきて、右端も波が当たるようになってきて。逆に真ん中ら辺がダンパー気味になってきてスコア・ポテンシャルが少なくなってい状況でした。
南アフリカから帰ってきてからは、ずっと毎日2週間ぐらい、この堤防の脇でしかサーフィンしていなかったので、ずっとここで試合やりたいのになって思っていて。ようやく最後になって今日と昨日で端で出来て最高でした。試合やっているというよりもフリーサーフィンやっているぐらい落ち着いてできました。」
右端に来た2本のセットの手応えに関して大原が言った。
「試合だから決めなきゃいけないという気持ちがあって、練習だったら、もっとこんな風に出来たんじゃないかとか、色々思う部分はあったんですけど。それでも勝てる点数が出せたってことは、とりあえず良かったかなと思います。」
エアを決めまくった鈴木仁とのファイナルについて。
「あれだけアンダープライオリティでエア決めたり、毎回良い点数が出たのかと思っていました。安心して試合を運べる形ではなかったですけど。ドキドキするぐらいの方が気も引き締まるし、自分ももっとやってやろうという気にもなれるし。何よりファイナルで、何されても、ここでは負けられねぇという一心。勝ちにこだわりました。」
愛する志田下での優勝、優勝自体が久しぶりの大原は、賞金で家族を何処かに連れて行ってあげたいと言った。ドライバーズ・ライセンスはもう持っているからね。笑
「また、ここで優勝できたなって感じですね。」と表彰台に上がった大原洋人が続けた。「どこの海で試合やっても、ここの海は自分にとって特別です。でもオリンピックの時はここでメダル取れなくて、すごく悔しかったんです。」と感極まり目に涙をためて大原が言った。
「今回はオリンピックではないですけど、こうやって大きな大会が地元で開催されて、それに出場して、どの大会でもどんな人が出ていても優勝することは難しいんで、優勝できてホッとしています。」
日本人は出来るんだってことを見せつけたい。
「一から準備しなおして、USオープンで何年ぶりかわかんないんですけど、2回目の優勝ができるようにしたい。そのあともポルトガル、ブラジルでCSが続くので、今回よりももっともっと良いサーフィンをして、良い結果出してCTクオリファイして、日本人は出来るんだってことを見せつけたいんで、みなさん応援よろしくお願いします。」と言葉を詰まりながら大原は言った。
中塩佳那、念願のキャリア初のQS優勝。
中塩佳那
先月行われたクルイ(インドネシア)のプロジュニアでも最後の5分で大逆転を演じていた中塩。この大会でもその実力を示した形となった。今大会でもリスクを背負って、どこまで攻められるか。それを自ら実践しての優勝は、自信にもつながる。優勝おめでとう!
「一番の作戦は右で待つこと、そこでスコアしてからと思っていました。あの場所はテトラまでの距離は近いんですけど、1発なら入れられるグーフィーの波が来るって知っていて。プライオリティーのない時にその波に行こうと思っていました。その作戦がはまって良かったです。
「風が入って来ていたので波は来ていて、待たずにプライオリティ持っていても形いい波来ればどんどん行くし、プライオリティなければ、どんどん行けっていう指示だったので、その指示でスコアすることができて良かったです。
ここ志田でいつも練習していて、JPSAでは優勝していたんですけど、WSLではラウンドブ16とかクオーターで負けていたので、ここで優勝できたことは嬉しいです。次の試合に向けて良い流れができたので、次のインドも3000で優勝できるように頑張ります。」
大会オフィシャルサイト
https://www.chibaichinomiyaopen.com/
「一宮町サーフィンフェスティバル」
https://ichinomiya-surfing-festival.com/