ローワーズでのファイナルの時にロングを入れよう!  ジョエル・チューダーがWSLに訴えることとは。

ジョエル・チューダーとデヴォン・ハワード

by Emiko Cohen

 

「またなんかジョー(日本ではジョエル・チューダーと言われている)が文句言ってるよ」 私は個人的にジョエル・チューダーが好きではないから正直最初はそう思った(笑)。

 

嫌いな理由は、相当前の話だがロングボードの世界大会がハレイワで行われた時のこと。取材していた私がジョーに「写真撮らせて」と頼んだ時にきっぱり「ノー」と言われたというくだらない理由。子供みたいなことなんだが、その後ジョーの話が話題に登るたびに自然と耳が閉じてしまう。

 

言ってみればジョエル・チューダー・アレルギーだった(笑)だから、何かロングボーダーたちがSNSの世界でワサワサしていたのは知っていたが、詳細を覗くこともしないままでいた。

 

ジョエル・チューダー

 

そんな矢先に、WSLロングボードのCT選手でもある次女サリーから、WSLオフィシャルから彼女に届いた手紙がジョエルのインスタに掲載されてるということ。それに対してのジョエルの文章が強烈だと教えられた。娘が絡むことだ。無視するわけにはいかない。調べてみることにした。

 

 

 

 

WSオフィシャルから届いた手紙にはこんなことが書かれていた。

 

「ジョー(チューダー)が皆さんを混乱させていますが、ここではっきりさせたいと思います。私たちはアメリカが拠点のグローバル組織であることを踏まえ、2019年から始まったツアーを運営するにあたり、男女が必ず平等である様にイベントを行っています。

 

詳しくは、同じ会場で大会を行い同じ賞金。要するに男女が必ず同じ条件であることを条件とし、ロングボードのイベントを開催しています。そのことに皆が、誇りを持つべきです。

 

懸念や質問には、メールやテキストや電話で直接私に連絡くれれば、すぐに対応します。今後もWSL本部と密接に絡みあい、選手たちの貴方たちとは、(2月22日からオンラインで)タウンホールミーティングを行います。皆でツアーの向上に努めていきましょう。」

 

 

そして、それに対するジョーの言葉は。。。

 

 

「昨日の朝はこんな感じだった。朝起きるとジェシー・マイリー経由でメッセージが届いていた。非生産的な(混乱も招く)投稿を削除する様にと。俺は敬意を払って断った。全く笑ってしまうよ。

 

2月22以降、突然、全員が(WSLツア~の)話し合いに参加できる様になったんだぜ、それまで奴らは俺たちのこと全く無視していたのに。と言っても、言ってることは、小門違い。(男女平等の話ばかりではなく)俺が言っていた「WCTショートボード女子とロングボード女子への支払いの差」には触れていないじゃないか。

 

ここ最近、世間に出回っているサーフィンのコマーシャルの約70パーセントはロングボード女子が使われている、にも拘らず、サーフィンを司るツアーWSLからロングボード女子に報酬は豆粒程度だ。

 

意味わからねえよ。ログやる女の子の価値は比類のない物だと言うのに!!WSLさんよ、しっかりしてくれよ!!!

 

金がねえからロングコンテストをサポートできないって言うんだったら、(ショートの)14日間のホールディングピリオドを減らすとかすればいいじゃないか。

 

 

以前、あったじゃないか、マーガレットリバーや、ナラビーン、キラ、ブラジルにロングボード部門が。けど1991年以降はばったり招待してくれない。いや、一回だけ、バンズのダクトテープだけ。

 

この露骨な差別はなんなんだ。進化したロングボーダーたちを含めることで、いかに大衆が喜ぶかを試してみてほしい。この意見に同意する者、挙手してくれ、戦いはこれからだ!」

 

 

投稿の取り下げをWSLお願いされ、丁重に断ったとジョー。数日後、オフシャル側が言う「平等」の意味の違いを、ショートとロングのイイねの数の違いが映る写真とショートボード女子とロングボード女子トップ3の賞金の違いがわかる写真を、エビデンスとして掲載した。

 

 

 

 

それに添えたジョーの文章は。。。

 

「WSL、ジェシー(WSLディレクター)、エリック(WSLオーナー)よ、(男女への賞金金額の平等ではなく)この分野での平等はどう説明してくれるのかい? ログに乗るロングボードガールズがいかに、低い扱いを受けてるってことに気がついてないのか。

 

自分たちが載せてるインスタの写真を覗けば一目両論じゃないか、どちら(ショート女子かログガールか)が好まれているかってのが。ログガールたちよ、そしてその友達や親たち、みんなでWSLに抗議文をぶつけようじゃないか。

 

さらに警告するが、彼らは今予定とされている今年の大会の全てをキャンセルして、たった一つの大会だけでに絞ろうとしてるんだ。多くの人にその事実を知らせて、皆で良い方向に向けようじゃないか!」

 

 

さらに数日後、ジョーは動画の中で演説をした。

 

 

 

最終戦ローワーズでのファイナルの時にロングを入れよう!

 

動画の中のジョーの言葉は以下の通りだ。

 

「平等と社会的な包括性を主張するWSLさんよ、あんた達を助けるためのスッゲー良い案が浮かんだぜ:)今年の(ショートボードの)最終戦ローワーズでのファイナルの時にロングを入れればいいんだよ。ウエイティング期間の中のたった1日あれば出来ちゃうんだぜ。

 

CTと同じように、ロングボーダーレディースとメンズのベスト5が競えるように、ショートが出来ない日でいいんだ、ロングの日を作ればいい。どっちにも都合の良いことになるだろ?

 

これこそそ平等と社会的な包括性の象徴になる。その最終戦の予選として、俺たち自身がロングにあった波のところで3~4の大会を開く。。。どういたしまして!WSLさん!!、、

 

詳しくはログラップのYouTubeを観てくれればいい。同意する人はWSLに知らせてあげてくれ。また、今までの意見に同意し、声をあげてくれた人たちに感謝するよ。じゃ、突き進もうぜ!」

 

 

 

 

ジョーのインスタの投稿を、ベン・スキナー、クローイ・カルモン、ビクトリア・バーガラ、ケリス・カレオパアアの選手がリポストしただけでなく、ロングボーダーの娘を持つロブ・マチャドやガールフレンドがロングボーダーのジェイミー・オブライエンもバックアップした。

 

最後に、わかりやすく箇条書きにしてみる··。

 

1:WSL女子ショートボードツアーとロングボードツアーの多大な賞金の違いがある。パイプラインで優勝したモアナ・ジョーンズ・ウォンが獲得した賞金は、8万ドル。マリブ最終戦で優勝したアリスが獲得した賞金は1万ドル。

 

2:しかし実際、一般の人から人気なのは、圧倒的にロングボード(特にログ)女子である。インスタに載せられているインスタの投稿でも明らかになっている。

 

例えば、ショートのプロのスナップバックに13万のイイねに対し、ログガールのハングテンには、63万のイイね。レディースには珍しいチューブライディングに11万のイイね。膝波のノーズライドは約38万のイイね。ボードのブランクビジネスの70%はロングボード。

 

サーフィン関係の広告も約70%がログをするロングボード女子が使われている。

 

2: デボン・ハワードがディレクターとしているWSLのロングボードツアーは、成功を納めたものの、今年3つの大会を計画しているのにもかかわらず、それを一戦に減らすとの噂が出ている。減らす理由はスポンサーが付かないからと言うことだが、ロングボーダーのカイ・サラスが集めてきたお金をWSLは断ったという噂もある。

 

2019年11月に湘南鵠沼で日本初のダクトテープを大成功させたジョエル・チューダー

 

3:元々、ロングボードを蔑ろにしているWSLを不満に思っていたジョーは、VANS と組んで男女平等の賞金と条件を元に行ったダクトテープ・インビテーショナルを成功させ、さらにジョーは愛するマリブで優勝を果たすことで世界タイトルを獲得。

 

ディレクターとしても選手としても頂点に立ったことをきっかけに、メッセージを公表。波紋を呼んだ。

 

メッセージの最後に必ず”Awoooooooooo!”とあるが、まさに雄叫びをあげているジョー。その意図を彼はこう説明している。

 

「俺自身のためじゃないんだぜ。俺の息子とかケリスとか、新しい時代の連中が、頑張っているのに報われないのは悲しすぎる。ロングの世界チャンピオンという目指す物が価値ある物になるために、声をあげたんだ」

 

なるほど。。。調べれば調べるほど、ジョエル・チューダーの言ってることは、まともであることに気づく。と共に、嫌っていたはずのジョエル・チューダーを応援したくなってしまい、記事を仕上げることにした(笑)もちろん最後の締めは、WSLに向けて、 Awoooooooooo!