スペイン北西部のガリシアで開催された、WSL女子QS10000「ABANCAガリシア・クラシック・サーフPRO」で、日本女子初となるQS10000イベント優勝を決めて、一躍、時の人となった都筑有夢路が6日深夜、羽田空港に凱旋帰国。待ち構えていた報道陣のインタビューに答えた。
Congratulations Amuro Tsuzuki, winner of the #ABANCAGaliciaClassicSurfPro QS 10,000 🏆 | @classicsurfpro pic.twitter.com/iRZ8PABqrV
— World Surf League (@wsl) September 4, 2019
何も考えずに体がお母さんのところへ一直線に行って、抱き合って勝手に涙が出て泣いちゃったんです。
優勝おめでとうございます。率直な大勝利の感想を聞かせてください。
「試合が終わった瞬間は、優勝した実感がなくって、次のヒートがあるかもみたいな感じでした。全てが終わって、みんなで夜ご飯食べたんですけど。みんなから、おめでとうのメッセージとか、たくさん来ていて。 その時だんだん実感が湧いてきて、優勝したんだなぁって思いました。インスタのフォロワーも倍ぐらいに増えちゃってビックリです。」
「ファイナルが終わった時は、何も考えずに体がお母さんのところへ一直線に行って、抱き合って勝手に涙が出て泣いちゃったんです。頑張って良かったなって思える瞬間でした。」
「もし東京オリンピックに出ることができたら、優勝目指して頑張りたいと思います。今はまずCTにクオリファイすることを目標に、今すごく良いランキングにいるので、このチャンスをものにしたいです。」
今回の優勝で自分の夢にに近づいたなっという実感はめちゃくちゃあります。
試合を振り返って。どんな部分が優勝に結びついたと思いますか?
「今回はどのヒートも戦略がはまっていたと思うんです。試合前に波がブレイクする場所をチェックして、試合中に思い浮かべて、陸から見た状態と海の中でヒート中の自分のいる場所を頭の中でシンクロさせて、さらに相手のポジションも把握して、自分が良い波に乗れる場所っていうのを見つけて、その波に乗ってできる限りのことをやった感じです。」
「私はチャンピオンシップツアーでワールドタイトルを取るっていうのが夢なので、その過程でオリンピックに出て優勝出来たら最高だなって思います。今回の優勝で自分の夢にに近づいたなっという実感はめちゃくちゃあります。」
最初に9点を出したヒートで自分のサーフィンにすごく自信が持てて、優勝できるなって確信できました。
CT選手とのヒートではどんな気持ちで戦っていましたか?
「自分は無名選手で、失うものはないじゃないですけど、プレッシャーはありませんでした。自分のやれることを全力で出し切ったって感じですね。自分は、ずっと勝てない時間が長かったので、その悔しさが、ここまで自分を引っ張ってくれたモチベーションになったと思います。
今回の勝因は、ズバリ何だと思いますか?
それは多分、最初に9点を出したヒート。あれがターニングポイントっていうか、あのヒートで自分のサーフィンにすごく自信が持てて、自分のサーフィンで優勝できるなって確信した瞬間でした。
落ち着いた試合運びだったと思ったんだけど、メンタルでの変化があった?
試合中の気持ちはいつも変わらなくて、絶対勝つっていう気持ちでいるんですど、今回のスペインでも気持ちは、いつもと変わらなかったです。
まだまだ成長できるなっていうことを感じさせてくれるサーフボードなんです。
サーフボードを変えたそうなんだけど、それって自分のサーフィンに変化を与えたのかな?
めちゃくちゃ思います。サーフボードって、サーフィンで勝つことに関しては、一番大事なことで、自分の成長に一番必要なことなので、今のザナドゥっていうサーフボードと出会ってさらに成長できたし、まだまだ成長できるなっていうことを感じさせてくれるサーフボードなんです。これからもっと成長して勝っていけるかなって思っています。
今回の優勝でCT入りも見えているって言われていることに関してはどうですか?
自分的には、まだ順位が入れ替わると思っています。まだ3000と6000が残っているので、その試合試合でクオリファイは変わってくるかなって思っています。この後は明日(7日) の朝からニアスのQSイベントに出発して、そのあとは日本で行われるプロジュニアに出ようかなと思っていますが、考え中です。」
アムちゃんが羽田の到着ゲートから姿を現したのは夜の23時30分を回っていた。彼女とお母さんの二人の帰国を首を長くして待っていたのは、お父さんと小学生の弟のテンちゃん。
テンちゃんは二人の姿が見えるなり飛び出して行って、アムちゃんに抱きついた。お父さんともしっかりハグ。兄の百斗は千葉でお留守番、それにしても都筑ファミリーは家族の絆が本当に深い。羨ましい家族像だ。アムちゃんの強さはこの家族の絆によるパワーも大きいはずだ。
本人はまだまだ油断できませんと言ってはいたものの、彼女の日本女子初のCT入りというのが、かなり現実味を帯びてきた。現在QS8位のポジションにいる都筑有夢路。
今シーズンの残りは9戦が予定されており、上位のランキングに影響を及ぼすハイグレードの試合は、10月16 – 20日に宮崎で開催されるQS3000と最終戦となる11月のオーストラリアのQS6000。この二つで上位に入れば、クオリファイが実現することになる。
実際、今のQSトップ10にはCTでリクオリファイする可能性のある3名のCT選手がランクインしている。彼女たちがCTからクオリファイすれば、QSでクオリファイ出来る選手が繰り上がることになる。
また女子のQSはベスト5のリザルトの合計点で争われるため、現在、都筑有夢路がポイントを上げるためには、今回獲得した10000ポイントと千葉で優勝した1000ポイント以外の低いリザルト3つを上げる努力が必要となる。
今回、過酷なスケジュールとなったニアスプロは、ある意味インドネシアの秘境で行われる、トップ選手のいない試合でポイントを稼ぐため。
テンタティブだった最終戦も6000で決定した。だが最終戦であり、アウェイの試合まで持ち越すよりは、日向ホワイトバッファローQS3000で決めて、最終戦を前に、ある程度決めてしまいたいというのが本音だろう。
新たな“シンデレラストーリー”が刻まれるのか。このチャンスを掴むために今後の戦略は念密に立てる必要がありそうだ。都筑有夢路。文字通り、彼女の前には夢に向かう路が広がっている。