5/30日(火)~6/7日(水)の日程でエルサルバドルで行われた「2023 ISA ワールドサーフィンゲームス」。「波乗りジャパン」チームは団体総合で4位でカッパーメダルを獲得。個人では男子の五十嵐カノアが4位、女子の松田詩野が13位で、アジア地域の最高位となり 2024年パリオリンピックの出場権を奪取した。
その「波乗りジャパン」チームの松田詩野、都筑有夢路、稲葉玲王、脇田泰地が、多くのファンや家族、協会関係者、メディアが迎える中、6/9(金)に羽田空港に凱旋帰国した(五十嵐カノアは9日からエルサルバドルで開催されるWSL CTツアーの為にそのまま滞在。前田マヒナはハワイに戻る)。
帰国したチーム「波乗りジャパン」に対し、NSA強化部長の佐藤正麗穂氏から労いの言葉に加え、報奨金としてチーム(4位)に100万円。個人には五十嵐カノア(4位)に10万円、稲葉玲王(8位)に3万円が贈られた。
現地の試合終了後には五十嵐カノアと松田詩野が、大会の感想や、代表に決まった喜びなどをネット会見を行なったが、今回は松田詩野が帰国の羽田空港において、対面の囲み取材を受け、この2年間の想いやオリンピック向けて考えていることなどを報道陣の前で改めて語った。
この2年を振り返り「悔しい思いをした時に、声を掛けてくださった方々やまわりの人たちのおかげで、その時の自分の気持ちを一緒にわかってくれたことが、心の支えとなりました。
その時は落ち込んだんですけど、サーフィンから離れたいとか思わなくて。悔しかったことは一旦、忘れてサーフィンに没頭して。大会とか関係なく練習は楽しめますから、そこに集中したことで、切り替えることができました。
やはり、前回は悔しい場所で終わったポイント(エルサルバドル)でしたから、今回は絶対にそれを塗り替えて、良い場所にして終わりたいって思っていたので、代表枠を獲得という形で終われて良かったです。」
自分のサーフィンをすること、ヒートに集中することで勝ち上がることができました。
本戦からリパに回った時の気持ちの切り替えについては
「その日は朝にメインラウンドがあって、ここで勝ったら一歩近づくと考えたら、焦ってしまったこと、勝ちにこだわり過ぎたことがダメなんだなと反省して。
リパまでの3時間ぐらいある中で、気持ちを落ち着かせて、アジア枠ではなくて、まずは自分のサーフィンをすること。ヒートに集中することで勝ち上がることができました。だから、アジア枠を獲得できた時は、すごく嬉しかったです。」
このエルサルバドルで代表として決まったことについては
「一年前ということで、ここから集中して練習できる期間があるので良かったです。現地(会場はタヒチのチョープー)のうねりの入り方とか、波にもまれた時の安全な上がり方とか、そういう基礎を学んで、確実に乗れるまでタヒチには通いたいです。まずは7月にトレーニングキャンプがあるので、そこでたくさん練習をしたいと思います。」
2021年の東京オリンピック最終予選が行われたのもエルサルバドル。その同じ会場で当時、日本代表に内定となりながら、惜しくも代表入りを逃した。 今回も条件付き内定となっているが、パリオリンピックの最終予選となるプエルトリコのワールドサーフィンゲームスに出場さえすれば、代表が確定する。
稲葉玲王はこの大会について「今まであんなに多くのラウンドをすることがなかったので、その中で集中力とか持久力とか保つのが大変でした。でも、メンズも女の子も良いチームで、みんなで高め合っていたので、自分も良い刺激をもらえました。」と語った。その稲葉はQS参戦のために、5時間後にこの羽田からインドネシアのクルイへ飛び立つ。
また、脇田泰地は「みんなで戦って、楽しかったです。今までのWSLとかとは違って、チームで戦うことなど、学んだことがたくさんあったので、とても良い経験になりました。」と真摯に語ってくれた。
都筑有夢路は「自分の納得いく結果ではなかったんですけど。いつも負けて、悔しい思いから成長することができるから。この気持ちを無駄にせず、これからの試合(CSやISAプエルトリコ)に活かして頑張っていこうと思います。」と次のステージに照準を合わせる。
影の立役者である大野修聖ヘッドコーチは「それぞれが自由に自分のサーフィンに集中していたんですけど、その状況でも一つのチームとしてまとまっていて。そのチームのまとまりが、また、それぞれの力に変わっていくというような感じでした。」とチーム一丸で戦ったメリットをこう語った。
田中樹コーチは「自分はISAは初めてで、WSLとは大きく違うというのを感じました。いつも出るメンバーやCT選手と違って、中南米の無名の選手のレベルが男子も女子も高いことに驚いたんですけど、カノアを筆頭にチームが日を追うごとに集中、まとまっていったことが力になって、この結果につながったんだと思います。」とやはり、日本の団結力を高く評価した。
プエルトリコで男子上位5名、女子7名に入ることで代表権を獲得。
宗像富次郎監督は「IFからタヒチでの公開練習の誘いは来ているのですが、現在、該当選手は試合が続く状況のために確認をとっているところです。それとは別に WSL CTのタヒチが終わる8月下旬以降に、現地と調整して強化合宿をしたいと考えています。」とパリオリンピックに向けて、内定の出た選手中心に今後の練習計画をこう語った。
今大会の結果で日本の 2024年パリオリンピックの出場権は、男子が2枠(五十嵐カノア、2022 ISA男子優勝国枠)、女子が1枠(松田詩野)を確保。次のオリンピック最終予選となる大会の2024年2月に開催される ISAプエルトリコ大会で、更なる出場枠の獲得を狙う。
日本は代表を合計6名にすることを目標として選手強化を行なっていく。
この2024 パリオリンピックでは、各国最高で男女とも3枠ずつ取れることになった。次回のプエルトリコで男子は上位5名、女子は7名(東京大会では男子4名女子6名だったが1名ずつ追加)に入ることで、代表権を獲得することができる。
日本は五十嵐カノアが、2023 WSL CT枠の獲得を狙っており、これが実現すれば男子3枠が確定。女子はこのプエルトリコで上位7名までに入ることに加え、女子の総合優勝を獲得できれば、国枠の1枚が加算される。
日本は男女とも3枠獲得し、代表を合計6名にすることを目標として、これからも選手強化を行なっていく方針。選手の戦いはまだまだ続く。「波乗りジャパン」に引き続きエールを送ろう!
Go!Naminori Japan!
・日本代表NAMINORI JAPAN 派遣選手
[ 男子 ]
五十嵐カノア4位
稲葉 玲王 8位
脇田 泰地 22位
[ 女子 ]
松田 詩野 13位
前田 マヒナ 31位
都筑 有夢路 37位
[ 国別団体 ]
国別総合 : 4位
男子総合 : 3位
女子総合 : 7位
・2023 SURF CITY EL SALVADOR ISA WORLD SURFING GAME
名 称:2023 SURF CITY EL SALVADOR ISA WORLD SURFING GAMES
主 催:国際サーフィン連盟(ISA)
期 間:2023年5月30日(火)~6月7日(水)
開催地:El Sunzal / La Bocana, El Salvador