【オーストラリアNOW】ゴールドコーストやブリスベン、サンシャインコーストを含む11の地域でロックダウン

NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第13回となる今回は、デルタ株が猛威を振るう新型コロナ事情、クイーンズランド・ジュニアタイトル、シャークアタックなどです。

 

取材、文、写真:菅野大典

 

 

7月のゴールドコースト。

今年の冬は寒い南半球。日本で真冬に当たるこの時期は、朝晩にかなり冷え込みますが、それ でも日が出れば過ごしやすい陽気で、この時期のゴールドコーストは夏のような忙しさもなくとて も穏やかな良い季節となります。

 

空気が澄んでいて綺麗な空が毎日のように広がっています。

晴れの日はビーチでたくさんの人が楽しんでる様子もあります。

 

 

オリンピックも始まり、オーストラリアでも連日民放のTVで熱い大会の模様が流れています。

 

 

大型スーパーマーケットの入り口にはオリンピックを応援するプレートが。

ブロードビーチにはオリンピック観戦用にパブリックビューイングが設置。ただやはりコロナ ウイルスの影響で盛り上がるという感じではないですが、人もちらほら集まっていました。

 

 

ゴールドコーストやブリスベン、サンシャインコーストを含む11の地域のロックダウン

 

 

先月末からコロナウイルスの感染状況が悪くなっていたオーストラリア。

 

感染者の推移グラフ リソース:COVID19DATA

 

 

7月に入って、その状況はさらに悪化し、各地でロックダウンが施されたり、規制が強化されています。

 

オーストラリアの中でも新規感染者の増加を防いでいるクイーンズランド州も州境を数ヶ月ぶりに閉じコントロール。

 

 

QLD州とNSW州の境目の町にあたるクーランガッタとツイードヘッズ。検問所が設置されNSW州から入州する車の取り締まりを行 なっている。

 

 

しかし、7月31日にクイーンズランド南東部の地域で新たに6人の市中感染者が見つかり、 ゴールドコーストやブリスベン、サンシャインコーストを含む11の地域のロックダウンが発表されました。

 

シドニーを含むNSW州では、6月26日から続いているロックダウンにも関わらず新規感染者は減少せず、感染者数は過去最悪の記録を更新。今回の大都市シドニー地域のアウトブレイクのデルタ株感染による死亡者も多数出ていて、ロックダウンの規制も強化され延長を繰り返しています。

 

 

 

反ロックダウンのデモ行進を行い警官隊と衝突する という事件も発生。

 

 

その度重なるロックダウンに不満をもつ市民も多く、7月24日にはブロードウェイのビクトリアパークに数千人集まり、都心部に向かい反ロックダウンのデモ行進を行い警官隊と衝突する という事件が起こりました。

 

 

この時の反ロックダウン派の人々はマスク不着用、密集状態で、その日のうちに57人もの人が逮捕されるなど大変な騒動に発展しています。

 

またメルボルンやブリスベンでも小規模なデモ活動が行われており、今までコロナの感染を防いでいたオーストラリアですが、ここに来て大変な状況に陥っています。

 

唯一海外の行き来を可能にしていた国であるニュージランドも、このオーストラリアの感染状況に伴いその制度であるトラベルバブル制度を一時停止していて、国の行き来ができない状況に戻っ ています。

 

オーストラリアはワクチンの接種状況が約15%と先進国の間では低い状態にあり、今回の感染状況の悪化もあり、7月19日より供給量を引き上げる発表がされました。

 

マスクをつける習慣のない国でしたが、今ではマスク姿が当たり前のように見受けられる状況。度重なる規制の強化に不満の色を隠せない人々も多く、混乱状況が続いています。今まで我慢をして感染増加を防いでいただけに残念な状態ですが、この状況が良くなる事を願うばかりです。

 

キラではサイズのあるチューブ質の波が

 

 

7月のゴールドコーストの波の状況は、初旬に大きなスウェルが入ってきて、形の良い綺麗な波をもたらしてくれました。

 

今回のうねりの向きは東寄りでセット感も長く、川のような流れが発生せずにいて、キラの ピークは大混雑。毎回ながらドロップイン問題やサーファー同士で口論していたりといった光景が広がっていましたが、冬の時期に珍しいこの大きなスウェルはローカルを中心に堪能されていました。

 

スナッパーロックスからグリーンマウント。

キラではサイズのあるチューブ質の波が入ってきていました。

ジェットスキーも何台も出動

 

ラインナップにはジョッシュ・カーの娘であるシエラ・カーがいて、一本乗るごとに奥さんと一 緒にジェットスキーの上からコーチングしているジョッシュ・カーの姿がありました。

 

今となってはジェットスキーでのトレーニングが当たり前となっているオーストラリアのサーフ トレーニングですが、改めて目の前でその光景を見るとスケールの大きさを感じさせられます。

 

 

このうねりは徐々にサイズダウンしていくものの、しばらく東うねりを届けてくれ、いいコンディ ションの日が続きました。

 

その後、中旬以降は典型的な冬のゴールドコーストといった感じのスモールコンディションの日 が続いておりますが、この時期は風がゆるく吹きオフショアになりやすい日が多く、砂のついて いる場所では小さなうねりでも形のいい波がブレイクしています。

 

D-BAHとスナッパーロックスの間にあるサンドパンピングシステムからは砂が流されていまし た。

そのサンドパンピングのおかげでスナッパーロックスでは砂がついていて小さいうねりでも ファンウェーブが割れています。

ロングボードやボリュームのある板を使っている人が良い雰囲気でサーフィンしていました。

 

若いフリーサーファーがオーストラリアで急増中?

 

現在PBCの高校に留学中のプロサーファーの西村いちご。

オーストラリアへ来て3年、コロナウイルスの影響により活動が制限される学生生活ですが、異国の地で多くの経験を積み人間性も大きく成長している様子。

最近は試合から少し離れツインフィンの板などに乗るなど、型にはまらずに純粋にサーフィンを 楽しんでいる姿が見られます。

 

オリンピックという競技スポーツとしてのサーフィンが注目されている今ですが、最近のオース トラリアでは若い年齢の時から自分のスタイルを自由に表現し活躍するフリーサーファーが増えてきている気がします。

 

そんな本場のサーフシーンを直に感じとっているイチゴとセッションしていると、一つの形にとらわれずたくさんの可能性を持ったサーフィンというものを吸収しているように感じました。

 

 

海の中でとても生き生きした顔をしているイチゴ。周りにいる人にも楽しさが伝わってくる。

 

今年の11月に卒業予定のイチゴは、今後の進路はまだ確定していないが、こちらの大学に進学も視野に入れているようで、今後どのようなサーファーに育っていくのか非常に楽しみな存在です。

 

 

Woolworthsクイーンズランド・ジュニア・タイトル

 

 

先月行われたWSL QS5000以降大きなイベントが行われていないオーストラリアですが、7月31日にグロムイベントである “Woolworths Queensland Junior Titles”の第2戦目がゴールドコーストのスピットで行われました。

 

 

北風予報となったのでスピットが会場に。

波は1-2ftのスモールサイズながら形の良いコンディション。

オーストラリア育ちの純日本人URARA SAITO

綺麗なスタイルのサーフィンで危なげなくセミファイナルに進出。五十嵐カノアだけでなく、海外育ちの純日本人サーファーはたくさんいます。

 

 

翌日にファイナルデイを予定していたこの試合ですが、急遽コロナウイルスの感染拡大により 16:00からロックダウンに入る事が発表され、8月29日に日程が変更。またしてもコロナウイル スの影響を受ける大会となり、クイーンズランドのジュニアチャンピオンの行方は来月に持ち越されました。

 

 

オーストラリアで頻発するシャークアタック。

 

 

最後にコロナウイルスの状況と共に残念なニュースですが、7月5日にシャークアタックが NSW州のメジャーサーフポイントであるクレセントヘッズで発生しました。被害にあった25歳 の男性サーファーは命は落とさなかったものの右腕に大きなダメージを負い、現在は回復に向かっている様子です。

 

 

昨年の冬の時期にもオーストラリアの東海岸では、キングスクリフで6月、グリーンマウント9 月にシャークアタックが発生し2人のサーファーが命を落とすという事が起こりました。今年に 入っても5月18日にNSW州Tuncurry Beach(WSLのQSが行われるブーメランビーチの北20 kmの位置)でシャークアタックによりサーファーが命を落としており、先月行われたキャバリタ ビーチでもサメの出現により試合中断など、サメによる被害が相次いで起こっております。

 

 

ウエスタンオーストラリアのシャークワーニングシステム。

 

ウエスタンオーストラリアにはサメが発生した際に海の中にいる人に知らせるシステムがありま した。それだけ被害が深刻で身近に危険があることを感じさせられました。

 

冬のこの時期は鯨が北上する季節で、ちょうどそれに合わせてサメも現れやすいと言われていま す。相次ぐメジャーサーフポイントでの事件だけに緊張感を抱いてしまいますが、正しい海の知識と危険を知った上でサーフィンを楽しめたらと思います。

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。