NOJILAND FILMこと菅野大典氏がオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアNEWS】第9回となる今回はコロナ事情から、秋を感じさせるゴールドコーストの様子、世界最大のチームイベントの1つとして知られる「キラチームチャレンジ」など。ぜひ最後までご覧ください。
取材、文、写真:菅野大典
朝晩は冷え込むようになり、晴れた日は空気の澄んだ感じのする3月のゴールドコースト。 日の入り時間も早まり、秋の到来を感じさせてくれます。コロナの状況は、先月に引き続き感染状況の変化はなく押さえ込んでいる日々が続いていましたが、3月26日にクイーンズランド州のブリスベンでクラスターが発生。
このクラスターで英国 型変異ウイルスの感染に関連しており、29日午後5時から大型連休となるイースターホリデーの 前日の4月1日までの3日間ブリスベンはロックダウンに入ること、クイーンズランド州全域で自 宅を離れる場合はマスクを携帯しなければならない事など、新たな規制措置が発表されました。
あいかわらずの即座に行われるロックダウンや、徹底した接触者追跡により感染拡大を阻止し ているオーストラリア。先月から開始されたコロナウイルスのワクチン接種も、3月22日からは 70歳以上の高齢者などを含むグループ1b(※1)の人へも開始されており、パンデミックから抜け出す為 に政府が対応しています。
(※1)オーストラリアではワクチン接種希望する場合、無料で接種を受けることが可能で、グループ1 a、1b、2a、2b、3の順に行われます。主にグループ1a や1bは医療従事者や高齢者、重要業務に関わる人、グループ2a は50歳以上の人や高リスク業務従事者、グループ2bはそれ以外の成人と1a 、1b、2bの対象者で未接種の人、グループ3は未成年者。時期的にはグループ2a が5 月~6月終わり、グループ2bが6月終わり~7月初め、グループ3が9月~11月に接種時期を予定。
今回も感染者が増加しないように抑え込まれることを願っています。
この時期のゴールドコーストといえば、毎日のようにサイズがある波が続くのですが、今年は小 波続き。いつもの忙しい夏とは違いゆったりとした波でゆっくりした時間が続いています。
水温はいまだに25度くらいあり晴れた日はボードショーツでサーフィンを楽しんでいる光景を目にします。
例年ならCTサーファーが集まるスナッパーロックスも湖のようなありさま。
レインボーベイにはたくさんのロングボーダーが小波のパーフェクトウェーブを堪能しています。
このような小波サイズの1ft予報が、3月中旬に1週間続きました。
ゴールドコーストまで届かないスウェルが入って来ていたニューサウスウェールズ州の北部のポイント。シドニーなどには冬に来るようなビッグスウェルが入ったりと、ニューサウスウェールズ州ではサイズのある日が続いていました。
そして3月中旬を過ぎた頃には、なんと1週間以上も大雨が続き、オーストラリア東海岸は避難勧告が出る地域も多く、洪水等の被害をたくさんこうむりました。
D-BAH。毎日大嵐の天候で川から大量の泥水が発生。
スナッパーロックスもサイズが上がったと思ったら、一気にクローズコンディションになってしまいました。
嵐が去った数日後にはビーチもかなり浸食し、川に溜まった砂を吐き出すサンドパンピングも稼動していました。
ニューサウスウェールズ州では汚染水の被害など危険なため、数日間ビーチクローズが続きました。
昨年の山火事の被害とは真逆のような今年は洪水等の水の被害を受けているオーストラリア。ラニーニャ現象のせいとも言われおりますが、とにかく例年と違った感じの時間が3月も続いております。
アボカビーチでWSL QS3000が開催。
3月の初旬にアボカビーチで行われたWSL QS3000 Vissla Central Coast Pro(MEN’s)/ Sisstrevolution Central Coast Pro (WOMEN’s)では、昨年に引き続きマット・バンティング がMEN’Sディビジョンで優勝。
WOMEN’Sではオーストラリアレッグ初戦となるGreat Lakes Proでも優勝したモリー・ピッ クラムがセミファイナルでサリー・フィッツギボンズ、ファイナルでメイシー・カラハンという2 人のCT選手を、サイズの上がったソリッドなコンディションの中見事に破り優勝。
ライジングスターと評され期待されているモリー・ピックラム。オーストラリア・オセアニアQS ランキングもトップに立ち、CT入りも期待せざるを得ない存在まで成長しています。
MEN’Sオーストラリア・オセアニアQSランキングは同じく今回優勝したマット・バンティング がトップを独走。
キラチームチャレンジが3月12日~14日 に開催された。
ゴールドコーストでは毎年この時期になると行われるキラチームチャレンジが3月12日~14日 に開催されました。
1985年に”KIRRA PRO/AM” のイベントのフォーマットからチームイベントに変えられたこの大会は、今では世界で最も大きなチームイベントの1つとして知られており、今回はオーストラ リア中から総勢36ボードライダーズが集結。それぞれのクラブが代表メンバー(オープン6名、 ジュニア2名)を選出しヒートが行われました。
会場となったD-BAH。小波ながら形のいい波がブレイク。
オーストラリア中からボードライダーズが集結。
ヒート表を見ればレベルの高さがわかる。どのヒートも見逃せないヒートばかり。
元世界チャンピオンであるミック・ファニングをはじめ、元CT選手であるダニー・ウィルス、 ブレーク・ソートン、ネーサン・ヘッジなど現役を引退した選手達も参加。現役バリバリの選手や若手ホープと戦う各ボードライダーズのプライドを賭けた大会となっています。
デイビー・キャッスルもかつてはCTサーファーとし活躍していた選手のひとり。
普段あまり見ることのないミッチ・コルボーンもイベントに参加
若手のザック・マクマホン。キレキレのサーフィンで自分のヒートを1位でポイント獲得。
日本でお馴染みのダレン・ターナーもMNMボードライダーズ代表で参加。
ビッグウェーバーのマーク・マシューズ
小波ながらパワフルなターンを見せてくれました。
リアム・オブライアンと話すディーン・ボーデン。オーストラリア中からサーファーが集まるので、普段会えない人と再会できるのも この大会のいい所。
ヒートに向かう選手と共にチームメイトが応援しに行き、ヒートから戻ればチームメイトが迎え 入れる。普段の個人戦の大会とは違いチームで戦っているということが味わえるのが、こういっ たチーム戦のいい所。
イベント開催のホストクラブのキラサーフライダーズクラブ。
以前にもボードライダーズの事について書いたのですが(https://surfmedia.jp/2020/09/01/ d-ske-news-2/) 改めてこのオーストラリアのサーフィンの根底にあるボードライダーズの仕組み の素晴らしさを感じることのできる素晴らしい大会でした。
例年に比べ波や天候はいまいちな感じの日が続いていますが、それ以上に選手が戦える場所が あるということは今の世界ではありがたいこと。WSLチャンピオンシップツアーのオーストラリ アレッグにも、選手が2週間の隔離生活を終え海でのアクションがSNS等で頻繁にアップされて います。
そして、いよいよ4戦あるオーストラリアレッグ初戦の”Rip Curl Newcastle Cup presented by Corona”は4 月1日より開幕となります。
菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
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