【オーストラリアNOW】『シングルフィン・フェスティバル』、ボードライダーズ代表選手による『USHER CUP』

今回、第7回となる【SURFMEDIAオーストラリアNEWS】。今回もNOJILAND FILMこと菅野大典氏がオーストラリアの最新情報を伝えてくれています。

 

今回は、毎年バーレーヘッズで開催される『バーレー・ボードライダーズ・シングル・フィン・フェスティバル』、各ボードライダーズの代表選手による『USHER CUP』がスナッパーロックスで開催されました。ぜひ最後までご覧ください。

 

取材、文、写真:菅野大典

 

真夏のオーストラリア、ハイビスカスもたくさん咲いて海と空が綺麗です。

 

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

2021年元旦から波のサイズもあり、砂のついているポイントではいいコンディションでサーフィンができているゴールドコースト周辺。

 

今年の夏は雨の降る日が多いゴールドコーストですが、天気のいい日も悪い日もたくさんのサーファーで賑わっています。

1月26日はAUSTRALIAN DAYの祝日となり、夏のビーチで楽しんでいる光景を目にしました。

 

ハワイからオーストラリアに帰国してきたCT戦手も全員が2週間の隔離措置。

 

コロナの状況は、先月にシドニーのノーザンビーチで発見されたクラスター以来、政府による厳しい管理下の元、再び新規感染者は数名程度に抑えられており、その全ては海外からの渡航者によるホテルでの隔離されている者と、感染経路のわかる者となっています。

 

来月2月8日に行われる予定のテニスの全豪オープンは、コロナ後にオーストラリアで行われる世界戦規模の大きな大会として注目を浴びていますが、現地入りした選手と役員らが乗っているチャーターフライト機に感染者が乗っていたため、その同乗者が隔離ホテルに収容されるという事が起きました。

 

その中には72人の選手が濃厚接触者として含まれており、2週間の隔離対象となってホテルの自室から出ることが禁じられています。(その1人には日本の錦織も含まれていて、錦織とその一行は陰性だが、同乗者として2週間の隔離しなくてはならない。感染者の乗っていなかったフライトで移動してきた選手に対しては、各選手1日5時間テニスコートに出ての練習が許可されている。)

 

またWSL2021年シーズンのCTの第1戦をハワイで行いオーストラリアに帰国してきた戦手である、サリー・フィッツギボンズやメイシー・キャラハンは2週間の隔離生活の様子を自身のインスタグラムで公開しているなどしており(この2人は1月25日に隔離を終えている)、オーストラリア政府が海外渡航をした全ての人に対して特別扱いする事なく、2週間の隔離措置を厳格にしていることがよくわかる。

 

サーフィンのイベントも毎週末のように行われている。

 

海外渡航者に対して厳しい規制をしている中で、国内でのイベント等に対しての規制は緩和されており、COVID SAFE PLANの元であれば大規模なイベントも可能とされ、チケット制の場所(シアター、ライブミュージック、インドアスポーツ)等の場所は100%入場可能となっています。

 

サーフィンのイベントも毎週末のように行われ、1月9、10日にはバーレーヘッズでシングルフィン・フェスティバル、16、17日にはクイーンズランドのライフセイバーのサーフィン王者を決める大会である、Lifesaving QLD Open State Championship、そして29~31日は各ボードライダーズの代表選手(女子1名、男子3名)によってスナッパーロックスで戦われるUSHER CUPが開催されました。

 

 

Burleigh Boardriders Single Fin Festival presented by Billabong

 

 

今年で23回目の大会となるこのイベントは、BURLEIGHボードライダーズが主催となり開催される、毎年豪華な顔ぶれが揃う歴史ある大会で、今大会には元世界チャンピオンであるオッキー(マーク・オクルーポ)やパーコ(ジョエル・パーキンソン) を始め、元CT選手であるミッチ・クルーズ、ソリ・ベイリー、ジェイ・トンプソンなどのメンバーが出場。

 

大会の規定として1985年以前に作られたシングルフィンの板を使用しなければならないのですが、そのライディングは選手それぞれの個性が滲み出ており、今年も白熱した大会となりました。

 

2、3ftの緩やかなオフショアのとても良いコンディションで始まった1日目

至る所に年季の入ったシングルフィンが置いてありました。

年初めということもあり、レジェンド同士の久しぶりの再開という光景を何度も目にしました。

バーレーヘッズローカルの若手サーファーTOBY MOSSOP

数年前にクラマスでのQSで10ptを出したのが記憶に新しい若手オージーサーファーのトビー。最近は試合で見ることはないが、スタイル全開に多くの映像を出しているオーストラリアを代表する若手サーファーの1人。

JAI GRINDEMANのシグネーチャーであるボトムターン

昨年に引き続きSTABマガジンによるSURFER OF THE YEARのBEST JUNIORに多く選出されているジャイ。間違いなく今後のサーフシーンを引っ張っていく存在の若手フリーサーファー。

スタイリッシュなターンを披露するJALEESA VINCENT

ジャレッサ・ヴィンセントもまだ20代前半にして自分のスタイルを確立させている。コンテストシーンから離れ、若い年齢の時から自分のスタイルを自由に表現し活躍するフリーサーファーが増えてきているオーストラリア。今後どのようにサーフシーンが展開して行くのか楽しみに感じてしまいます。

LUCAS DEFFENTI

サイズが合ってないながらもスタイリッシュに板を乗りこなしていたルーカス。

LILIANA BOWREY

ショートもロングもツインもどんな種類の板も器用に乗りこなすリリアナ。将来楽しみのヤングサーファーもたくさん見られました。

 

DEANMORRISON

 

JOEL PARKINSON

ディーンモリソン&パーコといった大御所サーファーが普通に出場。陸に上がればみんなに話しかけられ笑顔を振りまいています。

 

今大会間違いなく一番人気だったDJのPAUL FISHER。

自身のプロデュースしたHARD FIZZというお酒をスポンサーとして提供し本人も大会に出場。WSLの試合をまわっていなくてもサーフィンが上手い人が多く、普段コンテストで見る事のないサーファーが見られるのもこの大会のいいところ。

フィッシャー&ジャイ

SOLI BAILEY
こちらは現役バリバリの昨年までCTにいたソリー。チューブもリップも決めこみ8.83ptをマーク。

JOSH MACDNALD
ファーストライドから9.67ptを叩き出し、1日目のハイエストトータルスコアをマークしたジョッシュ。昔に作られたシングルフィンとは思えない激しいライディングが飛び出していました。

 

午前中は土砂降りだったが、お昼前から晴れ間が広がった2日目

観客もたくさん集まり白熱したバトルが展開されました。

 

JOEL PARKINSON & PAUL FISHER
セミファイナルでパーコの敗退という波乱を引き起こしたDJフィッシャー。残り1分で逆転するなど勢いに乗ったライディングを披露していた。

セミファイナルヒート2を戦い終えた選手達
JAY PHILIPPS、JAY THOMPSON、PAUL FISHER、JOSH DOUTHWAITE、DAVID MCGRATH、、、メンバーが濃い。

 

  身体が小さいながら完璧なライディングを披露したTY RICHARDSON。9.0ptを含む17.0ptのトータルヒートスコアでU-18ディビジョン優勝。

女子のファイナルで優勝したDIMTY STOYLE。昨年に続き2連覇を果たした。

特大スプレーをあげるMATT HOYがレジェンドインビテーションヒートで優勝を飾った。

 

LIAM OʼBRIEN

COOPER CHAPMAN

 

OPEN MENのファイナルでは7.0pt以上のライディングが12本も飛び出す大混戦の展開に。1位から3位までのスコアーが0.5pt差しかなく、最後まで誰が優勝するか分からない状態だったが、序盤に8点代を2本揃えたクイン・ブルースが見事に優勝。

 

QUINN BRUCE

表彰式には、CTイベントを思わせるような人だかり

 

毎年の夏の風物詩と捉えられるようなイベントとなっている「バーレー・ボードライダーズ・シングル・フィン・フェスティバル」。QSやグロメッツの大会に対しては日本から参加する選手は多くいるが、日本ではあまり認知されていないこのイベント。

 

夏の時期のゴールドコーストでこれだけ多くの有名なサーファーが集まるイベントに、コロナが落ち着いてオーストラリアに入国できるようになったら、是非とも日本人のスタイルあるサーファーに出場して欲しいと感じました。

 

 

2021 Burleigh Boardriders Single Fin Festival presented by Billabong RESULT

MENS OPEN 1st Quinn Bruce
WOMENS 1st DIMITY STOYLE
UNDER18 BOYS 1st TY RICHARDSON
LEGEND INVITATIONAL 1st MATT HOY

 

 

USHER CUPがスーパーバンクと呼ばれるスナッパーロックス~グリーンマウントで開催。日本選手も出場。

 

 

会場となるスーパーバンク

 

USHERCUPは、スナッパーボードライダーズクラブがホストクラブとなり、総勢21ボードライダーズの各代表選手(男3名、女1名)とワイルドカードによって、スナッパーロックスからグリーンマウントを会場として開催されました。

 

最高級のライトハンドで試合

TEAM SNAPPER ROCKS ボードライダーズのプロフィール。

 

各ボードライダーズからも本気のメンバー選考で、QSハイランクの選手が勢ぞろい。日本人サーファーも各ボードライダーズの代表メンバーに選ばれており、村松爽香がNORTH ENDボードライダーズから、西村昇麻、西村イチゴがPALM BEACHボードライダーズから、馬庭彩がSNAPPER ROCKS ボードライダーズのワイルドカードとして、そして私自身もCURRUMBIN ALLEYボードライダーズの代表メンバーとして大会に出場しました。

 

スーパーバンクでの3ft、オフショアコンディション

スナッパーロックスは地形が悪くメインはレインボーベイからグリーンマウントが会場に。それでもこのライトハンドブレイクで試合をできるのは最高な経験です。

スーパーロングライド続出

一般サーファーも混雑しており、避けながらの演技は一苦労

 

西村昇麻
西村昇麻はラウンド1を勝ち上がりラウンド2ではDEAN MORRISON、NICK VASCIEK、DEXTER MUSKENSといったメンバーと対戦。スーパーバンクでのなかなかできない経験を楽しんでいた。

ヒートのハイエストスコアーを持ちながら惜しくもクォーターファイナルで負けてしまい悔しそうに海を上がって来た馬庭彩。

今大会でも質の高いコーチ達からたくさんアドバイスをもらい、レベルの高いサーファーに囲まれいろいろ吸収出来た様子。サーフィンの上達への意識がもの凄い彩ちゃん、今後が楽しみです

 

SHELDON SIMKUS
CTサーファーであるメイシー・キャラハンの帯同でハワイから帰国して2週間の隔離生活を終えて、2日後にスナッパーロックスの代表選手として試合に参加のシェルドン。隔離生活していたとは思えないサーフィンでラウンド2を断トツの1位通過。

足の怪我で出場できなかった相沢日向はジャッジとして参加。

 

今大会は過去にジャック・フリーストーンのコーチとしてツアーを回ってい多経験を持ち、現在はマリア・マニュエルのコーチを務めながら、多数のサーファーにコーチングを行なっている、注目の若手コーチの一人STACE GALBRAITHによってジャッジチーム構成。オーストラリアのQS6000の試合のジャッジを務めるようなエリートジャッジが揃っていた。

 

メインブースの横にはビデオ・アナライズをしてくれるブースもあり、ここでは試合後の全選手のライディング映像を1つずつ分析してくれて、コーチングを行なっていました。

 

試合後のCALLAM ROBSONにビデオアナライズするサーフィンオーストラリアのハイパフォーマンスセンターでのコーチを務めていたティム・マクドナルド。彼もまだ20代の若手コーチながら多くのQSサーファーのコーチングを行なっているスーパーコーチ。

 

ADAM DUFNER & JAGGAR BARTHOLOMEW
ジャガー・バーソロミューのヒートコーチングをしながらアダムも他の選手のビデオアナライズ。

DEAN MORRISONも2分割アプリを使って詳しくライディングを解説していました。

毎ヒート準備をきっちりしてキレキレのサーフィンを見せていたREEF HEAZLEWOOD。全てのヒート危なげなく勝ち進みファイナルまで進んだリーフ。このまま優勝するかと思われたがファイナルでは決めきれずに3位でフィニッシュ。

今大会、最も勢いに乗って勝ち上がって来たローカルサーファーで世界チャンピオンのラビットことウエイン・バーソロミューの息子のジャガー・バーソロミュー

ファイナルでも攻める姿勢を崩さずに優勝かと思われたがあと一歩届かずに2位となったジャガー。

男子は、スピードとバリエーションあるサーフィンを披露したダコダ・ウォールターズが優勝。

このコンディションと錚々たるメンバーの中での優勝は紛れもなく自信につながる1勝。来月からのQSシリーズに期待したいです。

 

女子の優勝は日本では聞き慣れないと思われる彼女だが、7x世界チャンピオンのステファニーギルモアとも親交も深く、クーランガッタでは知らないサーファーはいないくらい有名なオードリー。ジャッジ全員がCTでもエクセレントが出ると言うくらいのサーフィンを披露してくれた。

AUDREY STYMAN
女子ではなかなか出来ないレールを使ったバックハンド。大会を通してエクセレントスコアーを何本も出していた。

 

男女ファイナリスト

ボードライーダーズの総合優勝は優勝したダコダも所属するANGOURIEボードライーダーズ

 

 

賞金総額$30,000に加え優勝のボードライーダーズには$3000(2位$2000、3位$1000)。さらにこのメインスポンサーであるUSHER GROUPから、チャリティー募金として4団体(STARLIGHT CHILDRENʼS FOUNDATION、PERRY CROSS SPINAL RESEARCH FOUNDATION、YOUTH INSEARCH、CAMP QUALITY)に$15,000ずつ寄付されていました。

 

天候にも波にも恵まれ素晴らしい3日間となった2021年度のUSHER CUP。たくさんの人が協力し合い、選手のことを思って開催されたとても大きなイベントと感じました。来月から始まるQSシリーズに出場する選手には最高の練習舞台となったと思います。

 

RESULT
WOMENʼS
1st AUDREY STYMAN
2nd DIMITY STOYLE
3rd KOBIE ENRIGHT
4th JADE WHEATLEY

MENʼS
1st DAKODA WALTERS
2nd JAGGER BARTHOLOMEW
3rd REEF HAZELWOOD
4th LIAM OʼBRIEN

BOARDRIDERS
1st ANGOURIE BOARDRIDERS
2nd DBAH BOARDRIDERS
3rd WINDANSEA BOARDRIDERS

 

2021年スタートからさすがオーストラリアと感じるイベント続きの1月となりました。

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。