村上舜 単独インタビュー「Stay Positive 夢をカタチにする熱いハート。自分の道を貫く勇気 」

取材、写真 :山本貞彦

 

昨年の宮崎で開催された「ISA ワールドサーフィンゲームス」に日本代表として出場し、2年連続の4位入賞。決勝ではWSL CT選手のガブリエル・メディーナ、イタロ・フェレイラ、コロへ・アンディーノを相手に互角の戦いを見せ、世界でも十分戦える実力を示した。

 

この結果、アジア地域のトップとなり、2020東京オリンピックの日本代表選手に条件付き内定を獲得。今年に入り、WSL初戦となる中国で開催されたQS5000にて海外初優勝。さらにチャレンジシリーズ(10000)で9位となり、ワールドランキングも4位につけている。

 

しかし、その後、新型コロナウィルス感染拡大で、WSLは今シーズンのキャンセルを発表。日本でも緊急事態宣言が発令され、移動も制限されることとなった。この期間、サーフィンが密になっているとメディアで槍玉に挙げらる事態が発生。プロサーファーたちはこれに危惧を感じ、村上自身もメディアで自粛を訴えた。

 

その後、怪我の一報が届く。
現在は回復に向かい、サーフィンも復活している中、このインタビューは行われた。今回は世界を戦うコンペと自分が求めるサーフィンについて。そして、自ら関わるチーム“ MOBB ”のこと。さらに怪我のこと、自身の考えるこれからのことなどを改めて聞いた。

 

 

メンタルが変わってきて「戦えるんだ」なって、確信に変わりました。

 

 

 

 

ーまずは自身のサーフィンについて。世界を戦うコンペについて話を聞きたいと思います。WSLのワールドランキングが、2018年は227位で1945ポイント、2019年は169位、3000ポイントでした。しかし、今年の2020年は5戦終了して、9310ポイントで4位という成績です。さらに、ISA世界大会では4位入賞して、東京オリピック日本代表の条件付き内定も獲得しました。昨年の後半から今年にかけての快進撃の理由は何でしょうか?

 

2018年、2019年の結果というのは、振り返ってもISAのリザルトしか無くて。正直、2019年はQSも本気で回って、この年は絶対に結果を残すって意気込んでいたんですけど、なかなか結果が出なかったですね。

 

フリーサーフィンでは絶対に勝てるのに、試合では何で勝てないんだろうって考える時期もあって、サーフィン自体の自信はすごくあったんですけど。でも、一番自信になったのは、2019年の宮崎のISAでした。

 

そこからメンタルが変わってきて「戦えるんだ」なって、確信に変わりました。何だろうな。本当に変わったのはメンタル面ぐらいだと思うんですよ。もちろん、そこからサーフィン自体も良くなっているんですけど。

 

2020年のWSL初戦のQS中国は、いつもと変わらず最初は緊張しましたけど、すごい勝てるという気持ちが強くて。絶対できるっていう、それがもう試合運びとかがサーフィンに出たかなって思います。大きく変わったと思うのは、そこだけですね。ただISAの試合のおかげで自信がついたというのはあります。

 

村上舜@ISA宮崎

 

新しい自分が見つかったみたいな。自分もこれだけ集中できるんだって。

 

ーでは、そのISAの宮崎。この世界大会はCTのメンバーがフル出場していて、前回大会よりもハードでした。そんな中、R-3でリパチャージ(敗者復活戦)に回るも、そこから9回も勝ち上がって、グランドファイナルに進出。この時はどんな気持ちで戦っていたのですか?

 

本当に今までの試合に比べると緊張感とか、プレッシャーというのが比べ物にならないぐらいすごくて。試合前はそれこそ寝れない時とかありましたし、普通にフリーサーフィンしていても、食事していても、何をしててもプレッシャーに押しつぶされそうでした。

 

試合のことばかり考えていて、自分の今の実力で戦えるのかなって。日本開催というのもありましたし、それがすごい不安で。日本のメンバーは海外でも結果を出している洋人とカノアで、二人ともすごく上手いので、足を引っ張らないかなとか。最初の方はネガティブになっていましたね。

 

それが試合が近づくにつれて、やるしかないとメンタルがポジティブに切り替わってきて。これ勝ったらすごいんじゃないか、みたいな感じでした。でも、R-3で負けてメインラウンドから落ちたじゃないですか。その時は本当にやっちまったなって思って。

 

R3では1ライドで敗退した村上舜。激励するキャプテン・マー大野

 

やる気が100から0になったような感じでした。うわーっ、どうやって戻そうかなって。あと決勝まで何ラウンドあるんだろうって、考えていたんですけど。マーさん(大野修聖)とか、他のコーチ陣もめちゃくちゃポジティブなことを言ってくれるんですよ。

 

「あとはもう自分のサーフィンを楽しむだけだ」みたいな。リパで負けたら、ISAはもう後がない、そこで終わりじゃないですか。でも、その慰めというか応援があって、マイナスの気持ちにはならなくなって。あとはもう一試合一試合やるだけだなって思って、戦っていました。

 

 

そこからは黙々とやっていたという感じですね。もう先のあと何試合、何ヒートということは、一切考えていなかったです。最後の方は全く気にしなくなっていましたね。集中できていたのは確かだったんです。すごい入り込んでて、だからこなしたヒートとか、最後の方とかも覚えていなくて。

 

相手とかも関係なく、全然気にしてなくて。本当にやるしかないって、余計なことも考えずに、そういう気持ちになったんです。コンディションもハードだったんですけど、波だけ見て、本当に頑張ろう、頑張ろうっていう感じでした。

 

 

コーチやチームのみんな、さらに大勢の観客の応援がここまで力になった事はなかったですし、自分ならできると言い聞かせて、強い気持ちで臨めたことが良かったと思います。ここで自分を信じることの大切さに気づけました。何だろう、新しい自分が見つかったみたいな。自分もこれだけ集中できるんだって、試合を終えて感じましたね。

 

中国海南島のQS5000で優勝した村上舜
WSL / Tim Hain

 

ーこの大会の経験が自信になって、中国のQS5000の優勝につながったんですか?

 

そうですね。中国は波が無かったんですよね。そういう部分では不安もあったんですけど、得意な波だったんですよ。もう最初の1ヒート目をやったぐらいから、これ合ってるなって。ボードもすごい調子が良くて。

 

中国はボードのおかげっていうのも半分あります。シャープアイのEPSで 5’8” だったんですけど、今でも大事にとってあります。マジックボードですね。小波だったら、あれかなって思っています。あと半分は、やはりマーさんのおかげっていう感じです、中国は。

 

 

delitaforcesurf

 

ーそのあとはハワイ、オーストラリアのアボカ、ニューキャッスル、マンリーと続きます。チャレンジシリーズ(10000)のマンリー が9番ですね。これはどうでしたか?


 

実はマンリー のチャレンジシリーズは、去年のランキングだと出れなかったんですけど、ワイルドカードをもらったんです。せっかく中国で結果を残したのに、今年前半はもうダメかなって諦めていたんですけど。

 

アボカぐらいから、もしかしたらワイルドカードもらえるかもっていう話が出て。でも「ニューキャッスルを頑張んないとだね」って、言われていたんですけど。だから、ニューキャッスルは気合が入ったんですが、ここの波はすごい苦手で。やはり、そう簡単にはいかないと思い知らされました。

 

でも、マーさんもトラビス・ロギーにも連絡入れてくれたり、ウェイド・シャープ(現、波乗りジャパンヘッドコーチ)がメールしてくれたりとか。ワールドランキングもその時点で1位とか2位でしたから、結果、ワイルドカードをもらえることが、ニューキャッスルでわかって。急遽、マンリーに行くことになったんです。

 

マンリーは一度、QS6000の時にR-5ぐらいまで行った経験もありましたから、自分的には得意だなっていうのがあって。マーさんに「マンリーなら勝てる」って言っていたんです。ワイルドカードをもらえたということは、注目もされているわけだし、頑張らなければっていう気持ちでしたね。そのポジティブな気持ちで臨めたことが、実力を出せたのかなって思います。

 

 

その行動を正しいと思わせてくれる存在、自分にはそれが大切なんです。

 

 

村上舜 WSL / Ethan Smith

 

ーこの快進撃にはマーさんの力もあるわけですけど、コーチを選ぶ基準とかありますか?

 

自分のコーチの選び方っていうのは、気が合うか、合わないかで決めています。自分が思うコーチの役割というのは、結局は考えていることが選手と似たようなものなんです。

 

でも、自分で決めた考えが「合っているのかな、合っていないのかな」って考えながらヒートに臨むのと、コーチが言ってくれて「それでいいんだ」って、同じ意見をもらえて試合に臨めたら、より集中できるじゃないですか。何て言えばわからないですけど、その行動を正しいと思わせてくれる存在、自分にはそれが大切なんです。

 

やはり、相性もありますよね。自分が思ってもいないことを言われたら、自分の場合は迷いが出ちゃいますから。そのコーチの戦術に従える人、言われた通りにできる選手は良いと思うんですけど、自分はそういうタイプじゃないですから。

 

 

ー自分のこの部分が足りないから、このコーチから学びたいというよりは、自分の考え方とか、自分の波乗りのスタイルを理解してくれているということが、まず前提ですか?

 

 

それが大切ですね。自分はサーフィンの技術面では、誰からも教わろうと思っていないです。自分がマーさん選んだ理由は、結果を出してきている人だし、その経験とかを聞きたいと思ったのと、辛い時にどういうメンタルでやっていたのか。そういうのを聞き出せるかなって思って、マーさんにお願いしたんです。だから、一緒に世界を周れるっていうのは、とてもメンタルが安定するし、やはり心強いですね。

 

 

自分がコンペをやっているのは、自分がやりたいサーフィンのために環境を整えるためです。

 

新島

 

 

ー子供の時の目標がCTに出て、チャンピオンになることだと聞きました。それはコンペティターで成功しなければならないからとも言っていました。それは何でですか?

 

今のサーフィン業界がそうだなって思うからです。実際、活躍できる場が狭くなると思うんですよ。いきなりフリーサーフィンで活躍するって言っても、今でも数人しかいないじゃないですか。スノーボードとか見てても、そうですよね。

 

國母和宏はフリーがすごかったし、実力もあったけどオリンピック出ましたよね。オリンピックに出たことで一般からも注目されたし。だから、それが良いのかなって。知名度も上がるし、それに自分のことを多くの人に見てもらえる良いチャンスにもなるし。自分のやりたいことをやるためには必要なことかなって。

 

ーCTやオリンピックは、あくまでも自分の目指すサーフィンのための手段であって、そのためにコンペティションをやっているということですか?

 

そうですね。オリンピックで金メダルを獲ることや、それが最終のゴールだとは一度も考えたことはないです。自分がコンペをやっているのは、自分がやりたいサーフィンのために環境を整えるためです。実績ができれば、やれることが増えますよね。

 

ーでは、自分の求めるサーフィンとは何ですか?

 

自分の求めるサーフィンは、普通の人ができないスラブ(浅い棚にウネリがヒットして、ボトムがえぐれるほどの水量で、それが分厚い大きなリップとなってブレイクする底掘れした巨大なチューブ)とかを攻めること。ケイト君(松岡慧斗)とかとやりたいことは全く一緒です。

 

 

スリルを味わうサーフィンが自分にとっての求めるサーフィンなんです。

 

 

ーそれは“ MAD DAWG ”の活動ですよね。自身が参加している“ MOBB ”の一部なんでしょうか?

 

違います。全くの別物です。MAD DAWGは自分とケイト君と蓮(弟、村上)とカメラマンのハジメさん(青木肇)とか、ヨゲさん(吉田憲右)のクルーみたいな感じです。スラブやるときとかはそっちで動いています。まあ、でも、ゆくゆくは“ MOBB ”でも、そういうことしたいですね。

 

何だろうな、今、そういう動きをしているのって、本当に限られてるメンバーしかいないし。それを作品に残したいんです。形に残したい。今までもやっている人はいるけど、あまり形に残っていないから。写真なり、映像なり、きっちり自分がやってきたことを残したいんです。

 

それが自分が求めるサーフィンです。自分がギリギリの、いつもリミット上げていくみたいな。そういう感じのサーフィンです。アドレナリンを感じさせてくれるような。自分にとってそのスリルを味わう、そういうサーフィンが自分にとっての求めるサーフィンなんです。

 

追求しているスタイルはそれぞれ違いますけど、その集合体が“ MOBB ”なんです。

 

 

 

ーでは、その“ MOBB ” について。玲王(稲葉)、蓮(弟、村上)、泰地(脇田)、百斗(都筑)の5人のチームですよね。“ MOBB ” とは自分にとって、どんな存在ですか?

 

仲間って感じです。でも、何て言えばいいんだろうな。これで自分だけお金を稼ぐとか、そういう考えじゃなくて。もし自分の知名度が上がったとしたら、それを仲間とシェアしたりとか。本当に金持ちになるんだったら、仲間と一緒になりたいし。そいういう考えが自分は強いです。だから、この“ MOBB ”の仲間で、何でもシェアできたらいいなと思っています。

 

ー最初に声をかけてスタートしたのは誰ですか?

 

自分と泰地が何かチーム作ろうよみたいな感じで。でも、“ MOBB ”ができる前から、このメンバーで動いていたし、やっていることが一緒だったので。だから、泰地が「チーム作ろう!“ MOBB ”っていう名前にしよう!」って。それをみんなに話したら、「それ、いいね!」みたいな感じでスタートしました。

 

“ MOBB ”は仲間であり、ライバルであり。自分たちの追求しているスタイルはそれぞれ違いますけど、その集合体が“ MOBB ”なんです。みんなが同じとこ目指すのではなく、それぞれやりたいことをやるという感じです。そういう方が面白いですからね。

 

 

試合出てないけど、サーフィンだけはめちゃくちゃ上手いっていう子が出てきてほしい。

 

 

ーそして、その“ MOBB ”が始めたのが、仲間を増やすという活動。インスタグラムで15歳以下の子供たちに「クリップ送ってくれ、サポートするよ」って書いてありました。なぜ下の世代をフォローしようと思ったんですか?

 

何か面白いことができたらなって。それこそ試合が無い時に、アクション起こせたら面白いなって思っていて。その“ MOBB ”の色を作りたいんですよね。“ MOBB ”がやるスタイルとして、例えばスタイル系サーファー、ビッグウェーブとか、試合コンペシーンとかありますけど、それをスタイルとしてやりたい。それぞれが“ MOBB ”が作る作品みたいな。そういう感じにしたいんですね。全てと違う感じで。

 

ーそれは今の子供たちにスタイルが大切だという部分を教えたい。つまり、子供たちに新しい選択肢を作ってあげようということでもあるのでしょうか?

 

まさにその通りですね。今のメンバーなら、いろいろ教えることはできるるし。何だろうな「試合するな」とかじゃないですけど。今の若い子たちって、本当に試合だけって感じじゃないですか。

 

今の日本のサーフィン界でもコンペ以外で名前が出てくる子とかも少ないですし。実際に自分たちも15歳以下の若い子たちの名前も全然知らないですから。だから、こういうのやってみようかなって思ったんですよね。

 

試合出てないけど、サーフィンだけはめちゃくちゃ上手いっていう子とか。そういう子が出てきたら、絶対に面白いと思うし、出てきて欲しいと思うし。そこからコンペに出ていくのもありだし、ビックウエイブに行くのもありだし。何でもできるんだっていうことを教えたいんですよね。ここで自分の好きなサーフィンスタイルを追求して欲しいって思うんです。

 

 

ー予め引かれたレール、大人が作ったものではなくて。もっと自由に、サーフィンはクリエイティブなんだっていう部分を教えたいっていうことなんですね。

 

そうです。若い子に言いたいのは、何かやりたいこと、目指したいことがわからなかったら、まずは誰かを、誰か一人でも良いので「追いかけたい」という、その人に近づきたいという存在を作って欲しいですね。

 

自分はもう本当にケイトくんの背中ばかり見ている感じなので。憧れる人っていうのは絶対に必要だと思います。そこから自分の求めるスタイルが出来上がってくると思いますから。

 

 

 

 

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行動しないと何が問題なのかも分からないから、まずは行動することです。

 

ーここで今のコロナ禍に戻ります。これはサーファーだけの話ではないんですけど、日本でも緊急事態宣言が出て、移動もできずでした。今年はQSに5戦出て、その後に試合が無くなって。この時はどうしようと思いましたか?

 

ゆっくりしようと思いました。サーフィンから離れるのも悪くないかなって。試合が立て続けにありましたし。でも、トレーニングはしてましたね。体だけ作っておこうと思って。でも、この緊急事態宣言の時に、不満に思ったことはメディアですね。サーフィンが叩かれていたじゃないですか。「サーファーふざけんな、死ね!オリンピックなんてやめちまえ!」みたいにSNSでも書かれていて。

 

海人くん(大橋)やいろんなプロと話したんです。自分たちプロサーファーに何ができるのか。お手本にならなくてはいけないんじゃないかって。だから自分も自粛を宣言しました。

 

ー今も続くコロナ禍ですけど。目的を見失っちゃったりしている人が多いと思うんですが、そこはどう考えていますか?

 

自分は普段から時間が解決してくれるって思っているんですけど。やはり、それができない時もあるじゃないですか。だから、行動することが大事、大切なんじゃないかなって思っています。

 

まわりの意見に流されない。商売だってそうじゃないですか。同じことばかりしてても、そんなに稼げないし。だから、ここで新しいことやってみるとか。行動しないと何が問題なのかも分からないから、まずは行動することです。

 

左足首の外の腓骨です。真っ二つでしたね。斜めに骨折したって感じです。

 

ーそして、怪我の話ですけど、いつやったんですか?

 

ちょうど2ヶ月前です。7月の21日かな。梅雨の時期だったんですよ、釣りに行く時に走っていて、階段から3段ぐらい滑り落ちたんです。その時、思いっきりコケて、足首が変な方向に曲がっちゃって。

 

すぐ湯河原の病院に行ったんですけど「手術は腫れが治るまで」とか、「来週とかじゃないと予約できない」と言われて。それは遅いなと思ったので、NSAに連絡しました。

 

そうしたらオリンピック関係の医療班みたいなところに、すぐ繋いでくれて。大磯の東海大の病院で手配してもらうことになって、怪我をした次の日に手術をやってくれました。

 

左足首の外の腓骨です。真っ二つでしたね。斜めに骨折したって感じです。それで10日間ぐらい入院して、その後は10日間ぐらい松葉杖でした。2週間ぐらいギブスつけていたかな。

 

全治3ヶ月って言われていたんですけど、もう、今はだいぶ良くなって。骨は完璧にくっついています。最初のリハビリは歩くことから始めて、徐々に可動域を広げていく感じでした。リハビリの初日とその次の日で、6割ぐらい戻したかな。あとはこれからの1ヶ月で100%に戻せるようにしようと思っています。

 

 

コンデイションが悪くても、波乗り楽しいって感じたのは何年ぶりだろうなって。

 

 

ー2ヶ月ぶりにサーフィンをやった!とインスタグラム(9月20日)に上がっていましたね。

 

茨城で入ったんですけど、最高でしたね。その日、波はショボかったんですけど、それでも楽しかったですね。実は怪我をする前は、モチベーションがあまり無かったんですよ。ほぼゼロで。自粛明けでしたけど、その時はサーフィンしたいとも思わなくて、試合もないからいいやって。

 

釣りとか、ゲームとかばかりしていました。それは良くないなと思っていたんですけど、本当にやりたくなかったんです。その時はサーフィンが楽しいと思わなかったですね。たまに誘われて友達とやっている時は楽しかったですけど、どうしても一人で行動に出るまでいかなくて。

 

それで今回、怪我して。だけど怪我した時も、実はそんなに落ち込まなかったんです。でも、それが1ヶ月ぐらい経つと、ソワソワしてきちゃって。SNSを見るとみんな台風で、良い波やってんなーって。今度は気持ちがサーフィンした過ぎて。クレイ・マルゾとかいろんな人の動画とかばかり見てました。もうその時は、モチベーションがヤバくて。

 

それで、この茨城で久しぶりにサーフィンしたんですけど、そのモチベーションが勝ってたのか、調子悪さとかもあまり感じなかったですね。コンデイションが悪くても、波乗り楽しいって感じたのは何年ぶりだろうなって。自粛2ヶ月+怪我で2ヶ月で、4ヶ月。サーフィン始めてからこんなにサーフィンをしなかったのは一度もなかったから、なおさらでした。

 

もう、本当にヤバかったですね。でも、この感覚を味わえたというのは、自分にとってすごい大きいことだと思っています。そのサーフィンの楽しさとか、原点を思い出させてくれたということですから。

 

 

これからは日々、すべてのことに感謝したいなと思っています。

 

 

ーでは、改めてこのサーフィンが出来なかった4ヶ月を振り返って、感じたことは何ですか?

 

感じたことは、みんな言うことかもしれませんけど。「当たり前のことが幸せなんだ」と思いました。今までの日常のすべてのことが、普通にできるということに本当に感謝しています。

 

普通に生活していて、普段からそういうことを気付ける人っているんですかね。実際にそうなってみないとわからないですから。だから、思ったんですけど、普段から普通にできていることを幸せに感じる人って、きっと天才なんだなって思うんですよね。

 

これほど難しいことないですよ。失ってから気づくことばかりだから。だから、これからは日々、すべてのことに感謝したいなと思っています。

 

人と違うことは普通のことだし、個人、それぞれの個性が認められる時代にしたいです。

 

ー話題は変わって、ジェンダー。WSLも男女の賞金額を一緒にしたりとか、多様性を受け入れようという活動に力を入れています。これはどう思っていますか?

 

自分は男も女も同じサーファーだと思っています。昔は技術的な部分で、日本の女の子のレベルが低いなと思っていた時期もありましたけど。今はもう男の子と同じように、真剣に一緒のことやっていますから。だから男女の区別は全くありません。

 

多様性の話だと、今、黒人の差別とか話題になっているじゃないですか。日本は教育を受けてきているはずなんですけど、私生活でもみんな差別していることが、割とたくさんあると思うんですよね、無意識にしていることが多いんじゃないかなって。

 

日本人がアメリカの多民族国家のことを理解することは難しいかもしれないですけど。今、日本で起きていることで、自殺とか最近も多く目にしていて、すごく良くないことだなって。だから、そういう差別とか、もっと普段から気にしないといけないことだなと思っています。

 

人が人を傷つける。今の時代、SNSでもそういう感じじゃないですか。人からの意見で死んだりとか、そういうのは良くないです。そういう差別とか本当にゼロにしたいし。人と違うことは普通のことだし、個人、それぞれの個性が認められる時代にしたいです。

 

村上舜 Credit: WSL/ Nichols

 

世界に挑戦することは、来年をピークに持って行ければと考えています。来年は今以上に力入れます。

 

 

ー最後に今シーズンは怪我もあって、試合に出ないと聞きましたけど、今シーズンと来年に向けてどんな計画でいるか教えてください。

 

本当は今年が自分の良い年になる予定でした。CT狙って、オリンピック出て、結果を出してからコンペを辞めることを考えていましたから。今年の初戦のQSの始まりから、あんな結果残すことができて、こんな良いスタートは一生無いなって思っていたんですけど。

 

コロナでこんなことになって、全部パーになりましたから。正直、悔しい思いもありますけど。これはしょうがないですよね。他でもそういう状況の人って、たくさんいるだろうし。

 

今は世界に挑戦することは、来年をピークに持って行ければと考えています。来年は今以上に力入れます。それで、その結果で、どういう方向に行くか。それは、またそこで決めようと思っています。

 

だからと言って、やることは特に変わらないです。オリンピックの選手宿舎が千葉にもできたので、そこに泊まり込んで。本当にガッツリ集中してサーフィンをやろうかと思っています。

 

怪我をしたことで、初心に戻った感じです。ワクワクしていて、楽しくてしょうがないですね。動画とかも何本かやって。“ MAD DAWG ”の活動は、その動画の集まり次第ですけど、そちらでも何かしたいなって考えています。

 

コンペについては、特別なことはしないです。でも、技術面で足りないなと思う部分があっても、そこを補うというより、良いところを伸ばしていきたいかなって、個人的には思います。まだ伸びしろはあると思っているので。オリンピックに関してはなるようにしかならないので、自分のやることをやるだけです。

 

今、サーフィンに対してすごくモチベーションがあるので、ひたすらサーフィンするって感じですね。今年いろいろなことがあったことで、改めて気づけたことも多いし。来年はもっとレベルアップしていると考えて。今、すべてのことに関してポジティブですね。

 

 

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村上舜、23歳。

 

コンペは好きかと聞いたら「好きか嫌いかで聞かれれば、嫌いだ」と言う。 類まれなる才能がある中で、敢えてそう答えるのは、サーフィンは順位をつけるものではないという自論からの発言だ。

 

ではなぜ、コンペに力を入れているのか。
それは実績を作り、自分の求めるサーフィンの環境を作るため。
サーフィンを生業とするなら、自分の好きなスタイルを追求したい。
だから、そのためのコンペだと語る。

 

今はその輪を広げ、仲間を集い“ MOBB ”を結成。
自分だけではできないことを、みんなの力で成し遂げる。
その成果は全てシェアしたいと考えている。

 

さらに新たなサーフィンの選択肢を作ること。
子供たちにコンペだけでなく、いろんなスタイルがあることを教えたい。本当のサーフィンの素晴らしさを伝えたいとも考えている。

 

華やかな実績に、現在のコロナ禍、そして、怪我。
改めて知る「当たり前のこと」に感謝。
だからこその行動。「自分からアクションを起こさないと、何も変わらないから」と言う。

 

最後に「もし、CT入れたとしたら、コンペは続ける?」と聞いた。「続けます。落ちるまでやろうかな、CTだったら」と笑って答えた。今を生きて、現実を紡ぐ 。

 

舜ならできる!Keep going!

 

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村上 舜 (ムラカミ シュン) 

生年月日     :1997年 3月 3日
出身地      :神奈川 湯河原 
身長       :168 cm
体重       : 65 kg
スタンス     :グーフィー
ホームポイント  :吉浜海岸
スポンサー    :VOLCOM. BEWET. Sharpeye surfboard. Rakuten. Syndicate. Newera.
          Nixon. 楽採. 山利
好きな波     :チューブ
好きなマニューバー:チューブ
影響を受けた人  :松岡慧斗

リンク先

Youtube / Mobb channel

https://www.youtube.com/channel/UCQeMDhOLV1qXMt9a-_mTOGA

Instagram / mobb005

https://www.instagram.com/mobb005/