五十嵐カノア、ハワイ州観光局親善大使就任!ハワイ州観光局「サーフィン」記者発表会リポート

ハワイ州観光局の新親善大使に五十嵐カノアが就任。

 

 サーフィンのルーツであり、世界中のサーファーがサーフィンの聖地として憧れ、訪れるハワイ。日本のプロサーファーたちにとっても冬のハワイは自身のスキルを磨く場所であり、挑戦の場所、登竜門でもある。

 

そのハワイ州観光局の親善大使に今年の東京オリンピックのサーフィン種目で日本代表に決定しているCT選手の五十嵐カノアが就任。ハワイ州観光局が2020年、サーフィンを通してハワイの文化啓蒙、環境保護を促進するという記者発表会が2月18日に東京で行われた。

 

左からHTAプレジデント兼CEOクリス・テイタム氏、プロサーファー脇田貴之氏、すみれ氏、ハワイ州知事デービッド・イゲ氏、今井翼氏、HTA副理事(元クイックシルバー・アロハ・アンバサダー)ジョージ・カム氏

 

 これにはハワイ州知事も挨拶にたち、主催者代表であるハワイ・ツーリズム・オーソリティプレジデント兼CEOのクリス・テイタム氏がサーフィンがオリンピックの種目となったことで「ハワイ発祥のスポーツとしてエキサイトしています」と喜びを述べた。

 

「ハワイ州観光局のHawaii Expoとして、ハワイの『ビショップミュージアム』で開催中の展示を一部を日本で巡回展示することによってサーフィンの歴史を知ってもらうと同時に、次世代にサーフィンの魅力を伝えるためにカノア選手を親善大使に任命しました。この役割を引き受けてくれて感謝しています。カノア選手を通じて海洋保護のための活動、例えばビーチクリーン、海を守るためのエデュケーションを日本でもハワイでも行っていきたいと考えています」と今後の活動について期待を込めて語った。

 

 

 

 親善大使に任命されたカノアは、これから始まる試合の調整のためインドネシアに滞在中のため、メッセージ動画で就任の挨拶を行ったが、サプライズとしてインドネシアよりスカイプで会場に登場し、クリス氏やMCを通してインタビューに応答。

 

スカイプでイベントに登場したカノア

 

カノアは「本日は伺えずに残念です。シーズンに向けてWCTの準備でトレーニングに励んでいる最中です。今年は非常に重要な年になっていきます」と現在の状況を話し、「ハワイは自分にとっても特別な場所です。サーフィンはハワイが起源であるし、自分は3歳からサウスショアのアラモアナでサーフィンを始めたので。アンバサダーになれたことは有り難いことです。海はみんなの遊び場であるし、みんな海が大好きだから、大切にしてきれいなままにしていきたい。サーフィンを通して、海を守ること、きれいなままにすることの発信をしていきたい。今年の目標は金メダルを獲ること、WCTの世界チャンピオンになることなので、難しいことではあるけれどそのための準備をしています」と親善大使就任を喜び、またそのことを含めて今後の抱負を力強く述べた。

 

 

 また、今年のCTは休場するが、アメリカのオリンピック代表選手ともなっているハワイのカリッサ・ムーアのインタビュー動画が流れ、「ホノルルで生まれ、5歳でワイキキでサーフィンを始めました。ハワイの海は強くてきれいです。好きなサーフポイントはダイヤモンドヘッド、ワイキキ、ハレイワです。好きな東京オリンピックを楽しみにしています」などと日本語で話した。

 

ジョージ・カム氏とハワイに対する熱い気持ちを語った脇田

 

 その後、日本が誇るパイプライナーの脇田貴之プロ、50年に渡ってハワイのサーフィン業界に携わり、クイックシルバーのショップをハワイで初めてオープンさせたジョージ・カム氏が登壇し、ハワイの魅力、ハワイのサーフィンについてのトークショーを行った。まず脇田プロは「毎回ハワイに降りて空気を吸うたびに僕にとって最高の場所と実感しています。僕の愛しているパイプラインでずっと生きていきたいといつも思っています」と、長年のハワイ、パイプラインへの思いを熱く語った。

 

ジョージ氏からはハワイのサーフィンの歴史、日本人サーファーとハワイの友好の歴史などの貴重な話がなされた。サーフィンがオリンピックの種目になったことについて脇田プロは「スポーツとして認められたということで、ハワイの水泳金メダリストであり、サーフィンを広めたデューク・カハナモクがきっと喜んでいると思います。また世界中のサーファーが遂にこういう日が来たと喜んでいると思います」と、ジョージ氏も「私たちの夢が叶いました。夢が東京オリンピックで実現し、サーフィンを共有できることを喜んでいます」とそれぞれ喜びを語った。

 

また、ハワイの魅力について聞かれた脇田プロは「ハワイは太平洋のど真ん中にあり、すごい水の量で、海のパワーを感じられます。魂を海から学んでいます。こんな海を見たことがないというものが見られます。ハワイはタウン&カントリーのコントラストがあって、カントリーサイドでは自然を楽しむアクティビティーもいろいろあるし、ハワイはどんな時でもどんな人でも楽しむことができる島です」と長年パイプラインに挑み、ハワイを愛するサーファーならではの答えが返って来た。

 

最後に、今後ハワイに来る人へのメッセージとして脇田プロは「ハワイに来る人にはサーフィンの歴史、ハワイの歴史を知ってほしいです。ハワイ、海、ハワイのローカルの人への尊敬に繋がるし、その気持ちを持って来てほしいと思います」と自身も心がけていることを教えてくれた。

 

続けてジョージ氏も「常にアロハの精神を持ってサーフィンをしましょう。サーフサイトを守り、私たちの責任で次の世代にこの自然を残す必要があると考えます。海洋公園を私たちが来た時よりもより良い状態で残したいと思います。私たちはいかに自然と調和して暮らせるかを示す見本になります。私たちが学んだことは地球保護にそのまま当てはまると思います。すべての海は繋がっています。ハワイと日本とはこういった役割を果たしながら私たちの地球を守ることができます。愛を与えることは愛をもらうこと。他人を思いやることは思いやりを受けること。地球を守りましょう。土地を愛すれば土地も私たちを愛してくれます」とハワイ語で大切なスピリットを添えてメッセージを送り、二人のトークショーが終了した。

 

 

 トークショー第2部としてハワイ育ちの女優・歌手のすみれさん、毎年ハワイに行くという俳優・タレントの今井翼さんが登壇し、すみれさんは「ハワイの人は歩くパワースポット。朝早く日が昇る前にサーフィンして、朝日を見ると天国にいるようで最高です。また日本でお仕事頑張れます。私にとって故郷です。人も風も地もアロハスピリット。すごく優しく、リラックスさせてくれます」

 

 

 

今井さんは「中学生の時に初めて行って、10年前から毎年ハワイに行っています。ハワイに行くと活性化、浄化されます。リラックスができてそれぞれが思い出を作れる場所ですね。ハワイに帰りたいです。僕にとってハワイは楽園であり、ご褒美です。東京で頑張った分、ハワイに行って泳いだり、何もしないで砂浜でゴロゴロして。今も行きたくてうずうずしています」など、それぞれのハワイ愛を披露した。

 

また、サーフィンがオリンピック種目になったことについて、すみれさんは「すごくうれしいです。応援したいです。サーフィン映画やネットでサーフィンビデオを見ながらハワイを感じてリラックスしているんです」と語り、今井さんは「サーフィンの自然と向き合う臨場感がすごいと思います。日本、世界が注目していますし、やったことのない人もサーフィンの躍動感を見られるきっかけになると思います。プロサーファーの波と向き合う思いを目に焼き付けたいですね。やはりカノア選手に頑張ってほしいと思います。日本の選手がメダルを獲る姿を期待しています。サーフィンにしかない、サーファーのアスリートの姿を通して世界に勇気を届けてほしいです。金メダルを目指して日本人みんなでしっかり応援したいですね」とハワイの海で泳ぎながらサーファーを見て感じていることを交えてサーフィンに熱いエールを送った。

 

 

また、湘南育ちの今井さんが今年はハワイでサーフィンに挑戦してみたいと言って、すみれさんにサーフィンのライディングポーズを教えてもらうという微笑ましい場面もあった。

 

 芸能人も登場ということもあり、多くの報道陣が集まった発表会。ハワイの話を聞いて誰もがハワイに行きたい気持ちになったと思うし、記者もまだサーフィンについてはあまり知識のない人もいる中で、このようなサーフィンに関するアピールができたことはとても有意義に思った。

 

ハワイ州は、今年日本各地でサーフィンの文化の啓蒙展示を行うとのこと。今年オリンピックで初めてサーフィンが競技種目として行われるが、その初の舞台が日本となる。そしてサーフィンの発祥の地であり、日本のサーフィンの発展、日本人のサーファーたちと深く関わるハワイが今再び、サーフィンを盛り上げようとする心が感じられた。

 

有り難く思うと同時に開催国である日本もしっかりと盛り上げていかなくてはいけないと教えられた気がする。カノアをはじめ、日本人選手の活躍を応援し、サーフィンという素晴らしいスポーツをさまざまな形で発信していければと思った次第である。

 

取材、撮影:米地有理子(http://digital.sirena-magazine.com/