WSL-WJC日本代表、JPSA最年少グランドチャンピオン川合美乃里インタビュー

ワールドクラスのサーフエリア「四国」から新星のように登場した川合美乃里は、若干13才でプロテストに合格し、15歳でJPSAのグランドチャンピオンという最年少記録を塗り替えた。しかし彼女が見つめる星はもっと高いところにあるようだ。小学生ではじめてサーフィンと出会い。そして現在のプロサーファーとしてのライフスタイルなどをテーマにインタビューした。

 

Interview & Portrait by Ri Ryo

 

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WSLジュニア最終戦で優勝し、リージョナルのチャンピオンとなった。photo:s.yamamoto

 

いま15歳ですか?

16歳になりました。

ということは2000年生まれですか。

はい。

昨年プロデビューしたの?

いえ13歳でプロテストに合格しました。

え?13歳で?

そうです。

国内初開催となった女子QS3000にも出場したミノリphoto:s.yamamoto
国内初開催となった女子QS3000にも出場したミノリphoto:s.yamamoto

 

ISAの世界戦で5位の成績を残してますね。

ISAは昨年5位でした。今年は17位です。

でも15歳でJPSAのグランドチャンピオンですね。

はい

JPSA新島photo:s.yamamoto
JPSA新島photo:s.yamamoto

 

今年は第5戦で勝ったんですね。

そうです茨城で勝ちました。

第7戦は休んだの?

ええ海外の試合にかぶったんです。

 

JPSA第5戦の茨城では見事優勝。
JPSA第5戦の茨城では見事優勝。

 

それでもグランドチャンピオン達成はすばらしいですね。

ありがとうございます。

昨シーズンもすでにJPSAの総合2位だったんですね。

そうです。

すごい成績ですね。さて、出身は四国ですか?

はい徳島です。

 

 

昨年は13位で、今年2度目のWJCに挑むミノリ。
昨年は13位で、今年2度目のWJCに挑むミノリ。

 

今は千葉に住んでいるんですね?

そうです千葉の一宮に家族で引っ越しました。

家族で引っ越したんですか?

はいそうです。父親は東京近郊で仕事をしています。

 

 

祝勝会の日に16回目の誕生日を祝った。
スポンサー主催の祝勝会の日に16回目の誕生日を祝った。

 

高校はWEBコースを受けていると聞きましたが?

はい

ということはコンピューターで授業を受けているんですか?

そうなんです。教科ごとに勉強する課題がメール配信されて、それを期限までにやってメールで提出するんです。

それはすごい、21世紀ですね。

ええ、でもWi-Fi環境が無いとできないし、スマホでやろうとすると通信速度が追いつかないこともあって勉強できないときもあるんです。

学校に行くのはいつ?

年に4回だけでいいんです。

それだけでいいんですか?

はい。

 

祝勝会が東京青山で行われ両親と3人で参加した美乃里
祝勝会が東京青山で行われ両親と3人で参加した美乃里

 

御両親はサーファーだって聞いたけれど?

そうなんです。父親は大阪出身で、若い頃にプロサーファーを目指して徳島市に引っ越したんです。そこで私が生まれて家族で海に行くようになったんです。

 

なるほどサーフィンをするきっかけは?

私がまだ小さい頃は父親しかサーフィンしていなかったんですが、母もサーフィンをしようかなって言い出したんです。私1人で岸で待つのは嫌だったから反対したら、「じゃあ一緒にサーフィンしようか」ってことになってそれがスタートだったんです。

 

それがサーフィンを始めるきっかけだったんだね。

そうです。それからときどき海に入るようになって、小学校2年生くらいから本格的にサーフィンをするようになりました。

 

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すぐにサーフィンは上達したの?

すぐに上達したみたいですね。記憶にはありませんがテイクオフもドルフィンもできて、すぐに横に滑るようになったみたいです。

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photo:s.yamamoto

 

それからサーフィン大好きって感じで続いているんだ。

いえ、じつは子供のころは海水が目に入ると沁みて嫌だったんです。だからゴーグルしてサーフィンしてました。それに最初の頃は波が怖くって泣きましたし。サーフィンが楽しいっていう感覚はそんなになかったような気がします。

 

波が来て怖くて泣いたんだ。

はい。笑。

 

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photo:s.yamamoto

 

試合にはいつ出るようになったの?

試合はサーフィンを初めてすぐに出ましたね。サーフショップの試合に出るようになりました。

小学2年で?

はい、それで試合に初めて出て2番だったんです。それが悔しくてサーフィンを真剣にやるようになったんです。

優勝した子が、いつも一緒にやっている友達で。だけど私が2番なんだって納得いかなくて、表彰式のときは悔しくて泣きそうになりました。

その悔しさを今でも覚えているの。

はい今でも覚えています。

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負けてしまうと、なんでだろうって納得がいかないんです。

 

試合は好きなの?

ええ勝てばまた出たいと思うようになりますが、負けるとまた負けたらどうしようと思いますね。今年はセミとかクォーターで負けてましたから、なかなか勝てなくてキツかったです。

そうかプレッシャーになったんだね。

プレッシャーはあんまり感じないんですが、なんで負けたんだろうって思うんです。試合前はすごく練習して誰よりも自信をつけて戦うんですが、負けてしまうと、なんでだろうって納得がいかないんです。練習をたくさんすれば必ず勝てるとは限らないのは分かっているんですがでも、、、そう思ってしまいます。

 

JPSA最終戦ではグラチャン決定するも悔し泣きphoto:s.yamamoto
JPSA最終戦ではグラチャン決定するも悔し泣きphoto:s.yamamoto

 

 

JPSAの最終戦でグランドチャンピオンが決まったときも涙を見せたけどあれは嬉しくて泣いたの?

いえ違います。負けた悔し涙です。私はいつも一つでも多く勝つことを目標にしているし、グランドチャンピオンはその結果でついてくると思っているんです。だから最終戦を勝ってグランドチャンピオンになりたかったんです。それで3番になってダサいなって私自身に思ってつい涙がこぼれちゃいました。

 

じゃあ試合で勝つことが自分の仕事だと考えているのかな。

そうだと思います。フリーサーフィンも大好きですけれど、プロの試合はやはり厳しい世界だと思います。

ビデオでサーフィンを見させてもらったんだけどバックサイドのリップが上手いね。

そうですか、自分では意識していないんですがよく言われます。JPSAで戦っているときに言われるようになって意識するようになりました。

 

仲の良い、西元エミリーと
仲の良い、西元エミリーと

 

さて、普段の1日の生活を教えてくれる?朝起きてどんなふうに過ごしているの?

今、一宮に住んでいるんですけど、朝起きてサーフィンに出かけて2時間くらいサーフィンして帰ってきてから朝ごはんを食べます。それから勉強を始めてジムにトレーニングに出かけます。

それはウェイトトレーニング?

いえ身体が固いので、それを柔らかくするトレーニングです。

ストレッチみたいな感じかな?

そうですねスパイナルトレーニングというやつです。トレーナーに身体をほぐしてもらって、それで帰ってきて食事をしてまたサーフィンに行って戻り、またジムに行くという毎日を繰り返しています。あとはたまにランニングします。

プロアスリートの生活だね。

そうですね。やることはやらないと、という感じです。四国に住んでいたころは生見や海部から二時間くらい離れていたところに住んでいたので今の方が環境は良くなりました。

 

タフなコンディションで行われた新島でも果敢にチャージ。
タフなコンディションで行われた新島でも果敢にチャージ。

 

ふだんのサーフィンはどんな感じでしてるの?

うーんと大体はフリーでサーフィンしてますが、自分で試合をシミュレーションしてサーフィンすることもあります。時間を20分とかに決めて試合と思ってサーフィンするんです。

コーチはいるの?

プロサーファーの田中樹さんから、ときどきアドバイスを受けています。

CTウイメンズとかで好きなサーファーは?

ココ・ホーとマリア・マニュエルが好きです。

来年の目標は

オーストラリアでのWJCが最初の試合で、そこにいまは集中しています。あとJPSAはスケジュール次第になりますが出場できれば優勝を狙いたいです。

将来の目標は

目標というか夢はワールドチャンピオンですが、まだまだぜんぜん努力が足りないと思っています。でも少しでも近づけるようにがんばります。

 

 

16才にしてすでにプロアスリートとしての自意識を持つ川合。試合の勝敗にとことんこだわる姿勢はプロサーファーとして大きな資質だ。彼女の今後の努力しだいでは東京オリンピックでの活躍も十分にありうるだろうし、日本人選手初のCT入りも現実味を帯びてきている。これからの彼女の成長を静かに見守りたいと思うのは私だけではないだろう。がんばれミノリ!