JPSA「ムラサキプロ 鴨川 」大野修聖のシーズン完全制覇に待ったをかけてた田中英義。

JPSA「ムラサキプロ 鴨川 」感動のファイナル。大野修聖の完全制覇を止めたのは田中英義。 


歓喜の田中英義
無敵の大野を破り、今季初優勝を決めた田中英義

 

 

 

2013年9月29日(日)/JPSAジャパンプロサーフィンツアー2013 ショートボード第6戦(最終戦)「ムラサキプロ 鴨川 supported by 海童」は大会最終日。会場のマルキポイントには、その歴史的瞬間を一目見ようというギャラリーが、朝からビーチを埋め尽くした。会場の天候は晴れ、胸セット肩と前日よりも少しサイズダウンしたものの、今シーズンの大トリに相応しい最高のコンディションで女子のラウンド4からスタート。誰もが予想だにしないエンディングへと走り出した。

 

男子のラウンド5のなかでも決勝のようなメンツが顔を揃えた第1ヒート。僅差のハイスコアリング・ヒートに高梨直人と中村昭太が消えた。またヒート4では優勝候補の一人とされていた、稲村クラシックの覇者、大橋海人が破れるという番狂わせが発生した。クオーターファイナルでは、前戦の茨城で大野修聖を最後まで追い込んだ仲村拓久未が加藤嵐に敗れ、また今回プロトライアルから勝ち上がり見事クオーターまで全て1位でラウンドアップして来たダークホース、喜納 海人が林健太に惜しくも破れていった。

 

最終日のフォトレポート&ギャラリー。

 

 

セミファイナルのヒート1に加藤嵐と大野修聖。 


大野修聖

 

 

男子セミファイナルのヒート1には加藤嵐と大野修聖。オープニングライドは加藤が掴み、深いボトムターンからトップでテールを大きく蹴り出すブローテールスライドを決める。それに対し大野修聖は、バックハンドで3つのクリティカルマニューバーで5.75をスコア。更にミドルセクションからハイスピードのバックハンドで7.50をスコアして、ヒートをコントロールする。ビッグセットを掴んだ加藤はクローズアウト・セクションへ激しいリエントリーを見せて7.00をスコアして追い上げ、ギャラリーから大声援が沸き上がる。加藤嵐がプライオリティを持ったまま後半戦に。そして、じっくり波を待つ2人の元へセットが入る。そこで加藤は波をミスプライオリティは大野へ移り、その直後の波で大野が7.25をスコア。そのままタイムアップとなり、大野修聖がファイナルへ勝ち上がった。

 

セミファイナルのH2は田中英義と林健太。 


田中英義

 

男子セミファイナルのヒート2には田中英義と林健太。オープニングライドは田中英義、ノートリムの得意のカービング・コンビネーションで綺麗にインサイドまで繋いで行く。それに対する林健太は、得意のレイバックスナップで5.50をスコア。激しいデットヒートを予感させるスタートとなる。しかし今回ラウンドを重ねるごとに調子を上げてきた田中英義は、左奥のライトブレイクに的を絞り、クリティカル・セクションにリエントリーを連打すると7.00をスコア。完全にヒートをコントロールする。追い込まれた林健太。スコアリング・ウェイブを探し続ける林健太は、左奥のライトでカービングのコンビネーションとエアマニューバーで追い上げるも、田中英義は再びレフトでビッグなリエントリーで6.25をスコア。バックアップを塗り替えて、ファイナルへと勝ち上がった。

 

 

3Xグラチャン庵原美穂を破った田代凪沙。 


プロトライアルから公認プロ資格を得て、そのまま勝ち進みなんと優勝!ダブルでおめでとう!

 

女子セミファイナルでは、今回プロ合格したばかりの田代凪沙がベテランの谷口絵里菜を僅差で破り、ファイナルへ。また鴨川マルキをホームとする庵原美穂は、地元応援団の期待に応え、ラウンド5を勝ち上がったことで3年連続グラチャンを決定その勢いのまま大村奈央をワンサイドゲームで下してファイナルへ勝ち上がった。

 

田代凪沙

 

そして、ファイナルは3Xグラチャン庵原美穂と、プロとして初のファイナルとなった田代凪沙。スタートと同時に1本の波をライト方向とレフト方向に乗るふたり。続けて庵原がバックハンドで緩慢なセクションをカーヴィングターンでつないで5.25をスコア。田代はそれに対しライトの波でフォアハンドのカービングとリエントリーのコンビネーションで6.00をスコア。幸先の良いスタートを切る。

 

庵原はスコアを重ねるもハイスコアに繋がらないショートライドが目立つ。それに対した田代はじっくりと良いセットの波を待っていた。田代が優勢のまま後半戦へ。互いにポジションを分かれ、試合の駆け引きではなくサーフィンとサーフィンのぶつかり合い。カービングのコンビネーションでインサイドまで繋ぐ庵原に対し、ワンマニューバーの大技を仕掛けて来る田代は、後半に入り5.5をスコア。更に差を広げて庵原美穂を抑え、プロ初のファイナルで見事初優勝を決めた。

 

田代凪沙は自身のブログで「今の心境書かせてもらいます。 今までで一番嬉しいです!!何より、いろんな人に感動を与えられることができて嬉しいです! もう家族にはもちろん、多くの人に感謝しきれないほど感謝してます!! 最高な家族や友達、スポンサーの方々や、応援してくれる方々がいて、幸せです!あー嬉しい」とコメントした。

 

大野修聖のシーズン完全制覇に待ったをかけてた田中英義。 


田中英義

 

 

ここまで今シーズンのJPSAで第1戦のバリ島から全てのコンテストでラウンド1から勝ち上がり、優勝して来た大野修聖。この最終戦のファイナルを制することで全戦優勝のシーズン完全制覇となる。それに対する田中英義も、今シーズンは開幕戦からフル出場。第4戦の新島では激しいファイナルを大野と演じ、今季2度目のファイナル進出で新島でのリベンジを誓った

 

そんなファイナルは、同じ波に2人が同時にテイクオフ。ライト方向とレフト方向に互いにフォアハンドでハイパフォーマンスを見せて好スタートを切る。ロングウォールのライトで流れるようにリエントリーを連打した田中英義が7.5、カーヴィングターンのコンビネーションで大野修聖は5.50をマークする。

 

大野修聖

 

 

攻める田中英義は、ハイリスクなエア系のマニューバーをチャージ。それはインコンプリートとなるも続けて深いボトムターンからのビッグリエントリーで大きなスプレーを上げて大きなスプレーを上げて6.05をスコア。ファイナルをリードする。それに刺激された大野修聖は、田中と同じライトブレイクを使い、バックハンドの3ターンを際どいセクションへ当て込み、8.4のエクセレントをスコアする。

 

リズムを掴んだ大野は、プライオリティを持っていない状況で、ミドルセクションから再びライトブレイクにテイクオフ。2マニューバーのビッグターンでバックアップを塗り替える7.35をスコア。ついに田中英義を捕らえる。しかし、今回の田中英義は違った。完全に乗るべき波が見えていた田中は、ロングウォールのライトを再び掴むと、リエントリーとカービングスラッシュの素晴しいコンビネーションを見せて8.75をスコアして、トップの座を大野から奪い返す。

 

そして、大野が逆転に必要なスコアは7.86となった。そのスコアは大野修聖ならば簡単にスコア出来る数。プライオリティは大野。しかし、その後セットが入らない。残り時間5分。追い込まれる大野。そして残り時間3分。波は来ない。そして無情にもファイナル終了のカウントダウン。それは無敵の大野が破れる瞬間だった。

 

大歓声とともに異様な空気が会場に流れた。歓喜の田中英義のもとに駆け寄る仲間のプロサーファー達。シーズン完全制覇目前だった大野修聖に待ったをかけてた田中英義が見事今シーズン初優勝を決め、今年の素晴しいシーズンを締めくくるドラマティックなエンディングとなった。

 

 

「ファイナルがいちばん調子良かったですね。大野マーさん(大野修聖)にたまたま勝てたって感じですけど、マーさんはサーフィン的にも人間的にも自分よりも遥かに上だと思っているので、本当に尊敬しています。10回に1回とかのことが、たまたまここに来ただけであって、勝ったとは思っていません。正直嬉しいですけどね。マーさんが今年日本に戻って来てくれて、これだけ日本のサーフィン業界を盛り上げてくれて本当に嬉しかったし、自分も凄くやる気が出ました。マーさんと一緒にいて、自分らしくなれたと思えるようになって来て。来年マーさんが日本の試合に出てくれるかは分からないですけど、マーさんが日本のサーフィン業界を盛り上げようとしてくれる気持ちはハンパじゃないので、大野マーさんを日本の「大将」として、一緒に日本のサーフィンを盛り上げたいと思っています。応援よろしくお願いします。」と優勝した田中英義がヒーローインタビューで答えた。

 

 

 

素晴しい感動をありがとう。大野修聖。

 

惜しくも完全制覇を達成出来なかった大野修聖だが、彼が今シーズンに日本のサーフシーンに戻って来てくれたことで、業界全体が活気に満ち溢れた。選手達にとっても多くの刺激を受けた一年となったことだろう。

 

2013年のグランドチャンピオンの表彰式で大野修聖は、「今年は全てラウンド1からの出場で、ファイナルまで行くには6回7回8回と勝たなくてはならなくて、それが意外と体にきていました。今回の鴨川には色々な力が働いていて、勝って欲しいと思ってくれている人もいれば、そうでない人など色々な力が働いていましたけど、それでまた成長出来たかなと思います。まだ今年はハワイがありますけど、来年に向けて行きたいと思います。サーフィンがもっと盛り上がるように、稲村ケ崎の大会があったりとか、サーフィンがもっと盛り上がるために自分が出来ることをやって行きたいと思います。」とインタビューで答えた。

 

サーフメディアが行った大野修聖の独占インタビューはこちら。

 

お互いの健闘を称え抱き合う田中英義と大野修聖。
優勝は逃したもの3年連続のグラチャン獲得、準優勝は立派!おめでとう!
この歴史に残る一瞬を見るために多くの人が会場に足を運んだ。

 

 

最終日のフォトレポート&ギャラリー