パリ2024オリンピック・サーフィン競技大会4日目。男女ともベスト4が決定。稲葉玲王5位タイ、松田詩野9位タイ。

稲葉玲王と松田詩野

フランス領ポリネシア、チョープー – 2024年8月1日

今日、チョープーは2024年パリオリンピックの緊張した一日となった。2日間続いたストームから回復した海は、4~5フィートのスウェルに不安定なコンディションとなったが、世界のベストサーファーたちはドラマに満ちたヒートで印象的なパフォーマンスを披露した。

 

大会4日目は女子のラウンド3が行われた後、男女のクオーターファイナルが終了し、男女のベスト4が決定した。

 

 

男子準決勝

女子準決勝

キャロライン・マークス(USA)Credit: ISA / Pablo Jimenez
ブリサ・ヘネシー(CRC)Credit: ISA / Tim Mckenna

 

ラウンド3の注目選手であるタティアナ・ウェストン-ウェブ(BRA)とブリサ・ヘネシー(CRC)は、2016年ISA U/16ワールド・ジュニア・チャンピオン、2023年WSLワールド・チャンピオンのキャロライン・マークス(USA)とともに、タイトなクオーターファイナルを勝ち進み、この日を締めくくった。

 

タティアナ・ウェストン-ウェブ(BRA)Credit: ISA / Beatriz Ryder
タティアナ・ウェストン-ウェブ(BRA)Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

2度のISAワールド・ジュニア・ゴールド・メダリストであるヘネシーは、トリッキーなバレルをプッシュして、女子の今日のシングルウェイブのハイスコアである7.67をスコア。ヘネシーは、同じく2度のISA世界ジュニア金メダリストであるウェストン-ウェブの12.34というハイエスト・ヒート・トータルに並んだ。

 

ワールド・サーフ・リーグ(WSL)・チャンピオンシップ・ツアー(CT)サーファーのトリオに、同じくツアーのベテランで、東京2020金メダリストのカリッサ・ムーア(USA)に圧勝したジョアン・ディフェイ(FRA)が加わった。

 

男子では、カウリ・ヴァースト(FRA)とジャック・ロビンソン(AUS)が15.33という同じヒート・トータルでトップとなった。両者の数字は、8.00と7.33のシングルウェイブ・スコアで構成されていた。


セミファイナルを戦い4名が決定し、
全員が新たなメダリストとなった。勝ち残った8人のうち6人が異なる国の代表であり、ディフェイとヴァーストは開催国フランスの両ディビジョンでメダルの望みを繋いでいる。

 

 

フランスのディフェイ、厳しい戦いを勝ち抜く

 

ジョアン・ディフェイ(FRA)Credit: ISA / Tim Mckenna

 

ジョアン・ディフェイ(FRA)は、今大会で最も困難な道のりを歩んできた。今大会最初の波でリーフに頭をぶつけて以来、ディフェイは新星モリー・ピックラム(AUS)、「チョープーの女王」ヴァヒネ・フィエロ(FRA)、そして東京2020金メダリストのカリッサ・ムーア(USA)という3人の強敵を倒してきた。

 

彼女はWSL CTイベントにおいてチョープーでの成功を収めていないが、30歳の彼女はキャリアを通してレフトハンドのリーフブレイクを得意としてきた。ディフェイはラウンド3とクオーターファイナルでコンディションに順応し、セミファイナル進出を決めた。

 

ジョアン・ディフェイ(FRA)Credit: ISA / Tim Mckenna

 

「今日は大きな自信を得ることができたと思う」とディフェイは語った。「よりリラックスできるようになったと思う。コンテストの始まりはいつもトリッキーですね。行けば行くほど自分のリズムがつかめてくるから、流れに身を任せて、自分のゲームプランに忠実であることが大切ですね」。

 

3度のISAワールド・サーフィンゲームス(WSG)メダリストであるディフェイは、金メダルの最有力候補と目されていたチームメイトのヴァヒネ・フィエロを賞賛した。

 

優勝候補であったヴァヒネ・フィエロ Credit: ISA / Tim Mckenna

 

「この場所でヴァヒネ・フィエロが、最強なのは言うまでもありません」と語ったディフェイ。「自分にとっては大会での多くの経験が、このステージで役に立ったのかもしれません。彼女を思い切りハグしてあげたいです」

 

東京2020金メダリストのカリッサが競技生活を締めくくる。

 

カリッサ・ムーアとディフェイ Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

5度のWSLワールドチャンピオンに輝いたカリッサ・ムーア(USA)は、オリンピック金メダリストとして、自分自身に大きな期待を寄せていた。今年の初めに、2024年パリ大会が彼女の競技者としてのキャリアの最後となることを明言していた31歳は、クオーターファイナルでディフェイに敗れた後、感情が溢れ出た。

 

カリッサ・ムーア(USA)Credit: ISA / Pablo Jimenez
カリッサ・ムーア(USA)Credit: ISA / Pablo Franco

 

勝とうが負けようが、恐れずに臨み、失敗することを恐れないでほしい。

 

 

「何かに全力を注ぐ。チャンスをつかみ、ツアーを離れ、ここに来て、1年のうち数カ月はただ自分のベストを尽くすために費やした。夢に届かなかったとき、それは最悪なことだけれど、同時にどれだけ楽しめたのか。他のやり方はなかったでしょうと振り返ってみて、『ああ、中途半端なことしかできなかった』なんてことになったら、とても残念です。私は全力を尽くしました。」

 

「一日の終わりに、見ている人を勇気づけられたらと思う。誰が見ていても、勝とうが負けようが、恐れずに臨み、失敗することを恐れないでほしい」とムーアは続けた。

 

「このプロセスはとても楽しかったです。もちろん、ファイナル・デーに参加できないこと、自分のホームや 家族の代表としてもう一度出場できないことは本当に悲しいけど、本当に感謝しています。自分のキャリアを締めくくるのに、これ以上の場所はないでしょう。

 

この大会だけでなく、私の人生を支えてくれたすべての人に感謝します。応援してくれるコミュニティがあるというのは本当に素晴らしいことです。」

 

 

 

男子のクオーターファイナルでは、カウリ・ヴァースト(FRA)とジャック・ロビンソン(AUS)が、それぞれのヒートで同じヒート・トータルを記録する互角の戦いが繰り広げられた。

 

さらに、男子のクオーターファイナルのうち3試合には、チームメイト同士の対戦があった。フランスのヴァーストとジョアン・ドゥル、ブラジルのガブリエル・メディーナと ジョアオ・チアンカ、オーストラリアのロビンソンとイーサン・ユーイングが対戦した。

 

各チームは団結して緊密なトレーニングを続けており、3ヒートを通じて魅力的なダイナミクスを見せていた。

 

2024年ISA WSGのメダリストである2人が何度もエクスチェンジを繰り返しながらプッシュし合い、フランスのチームメイト同士の戦いは非常に盛り上がりを見せた。

 

地元タヒチ出身の22歳、ヴァーストが最も多くの波に乗っていた。母国タヒチとフランス両国の金メダルの期待を背負うヴァーストにとって、この勝利は感動的なものだった。

 

カウリ・ヴァースト(FRA) Credit: ISA / Beatriz Ryder
カウリ・ヴァーストとジョアン・ドゥル(FRA) Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

「彼は最高のチューブライダーの一人だから、少しストレスを感じていたんです」と語ったヴァースト。「彼は僕の兄貴みたいな存在。ここで何度もトレーニング・セッションをしました

僕は彼のサーフィンを知っているし、彼も僕のサーフィンを知っています。自分にとって大きな刺激になりました。ヒートの中で二人とも100パーセント、200パーセントの力を出し切り、この試合の後、たくさんの感情が湧き上がりました。」

 

ジョアン・ドゥル(FRA) Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

2021年のISA WSGゴールドメダリストであるドゥルは、ラウンド3でスコアしたオリンピック史上最高のヒートトータル(18.13)を保持し、このイベントを去った。

彼は以前、2024年のパリ大会を最後にサーフィンの競技から引退することを表明していたが、大会終了後、その返答に言葉を濁した。35歳の彼は、「数日以内に結論を出す 」と述べた。

 

 

ガブリエル・メディーナCredit: ISA / Pablo Franco
ガブリエル・メディーナCredit: ISA / Tim Mckenna

 

2024 ISA WSGゴールドメダリストで、3度のWSLワールドチャンピオンに輝いたガブリエル・メディーナは ジョアン・チアンカに対し、ヒート・トータル14.77を記録し、チアンカを下し、力強い勝利を収めた。

 

クオーターファイナルまで勝ち上がったチアンカは、2023年の終わりに深刻な頭部の怪我に見舞われた後、信じられないほどのカムバックだといえよう。

 

ジャック・ロビンソンCredit: ISA / Pablo Jimenez
ジャック・ロビンソンCredit: ISA / Tim Mckenna

 

ジャック・ロビンソンは、2023 WSL世界2位のイーサン・ユーイングをスマートなヒートで破った。しかし、ユーイングは8.33のシングルウェイブ・スコアで今日のハイポイントをマークしており、そのバトルが熾烈な戦いであったことは言うまでもない。

 

 

日本の稲葉玲王が5位。

 

稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder
稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder
稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder
稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

男子クオーターファイナルH1に登場した2人のサーファーは国籍こそ違えど、ペルーのアロンソ・コレアと日本の稲葉玲王は驚くほど似たキャリアを歩んできた。

ともに14歳でISAワールド・ジュニア・チャンピオンシップで国際舞台にデビューし、ISAワールド・ジュニアでメダルを獲得した。

 

長年連れ添った田中樹コーチとは最強のコンビだ。稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

稲葉は見事なバレルを成功させ7.33をマークしたが、セミファイナルに進出したのはコレアで、27歳の日本人にわずか0.34の差で敗れた。

 

それでも稲葉玲王の名前は世界中に響き渡った。ラウンド3のH2で世界チャンピオンのフィリッペ・トリードと対戦した稲葉は、見事な勝利を収めたのだ。

 

稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

その神がかり的な大波へのチャージは、昨年癌で亡くなったプロサーファーでビッグウェイバーの小川直久プロが乗り移ったようなライディングだった。

 

試合前に「一生忘れられない波に乗る」と誓った稲葉は、それを有言実行してみせた。稲葉がモンスターウェイブに対して、ここまでチャージを見せられたのは、これまでのサーフィン人生の賜物。彼がタヒチの代表になって本当に良かったと多くの日本のファンが思ったに違いない。

 

これから稲葉玲王の新しいサーフィン人生が始まる。どんな活躍を見せてくれる楽しみでたまらない。

 

 

アロンソ・コレア Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

「超エキサイティングだよ」とコレアは語った。「幸せだよ。自分自身を誇りに思うし、母国のすべての人たちに……こんなことが可能なんだという希望を与えることができたことを誇りに思う」。

 

日本の松田詩野がオリンピックで9位

 

 

笑顔でパドルアウトする松田詩野 Credit: ISA / Tim Mckenna
松田詩野 Credit: ISA / Tim Mckenna
ラウンド1の松田詩野 Credit: ISA / Tim Mckenna
タヒチでこんな最高のショットを残した松田詩野 Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

ラウンド1の8.33に続き、ラウンド2でも7.67をマーク。この1年の大半をチョープーの波での調整に費やしてきた松田詩野にとって、今回のコンディションは、その努力の成果を見せるこれ以上ない舞台であった。

 

バレルにならない波でターンを駆使して挑んだ松田 Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

しかし、その後延期が続き、それまでの波とは大きく変わってしまった。それでも、どんなコンディションでもやれるようにトレーニングを積んできたといった松田は笑顔でパドルアウト。作戦を切り替えて波に挑んだが惜しくもラウンドアップとはならなかった。

 

今大会で一番感動したのは、ビッグウェイブでの経験の少ない松田が、ここまで成長したことだった。東京大会では代表権を逃したが、結果としてこのタヒチに向けて猛特訓したお陰で、松田のサーフィンは別人のようにレベルアップを遂げることとなった。

 

見ている人たちに「トライしてみないと先の景色は見えないと思うので、それをオリンピックで伝えたいと思います。」と話していた松田の姿は本当に輝いて見えた。今後どのような活躍を見せてくれるか本当に楽しみだ。これが終わりではない。松田詩野にとって旅はこれからも続いていく。

 

松田は自身のSNSで感謝の思いと今大会を振り返ってコメントした。

「沢山の応援ありがとうございました! もっとオリンピックの舞台でサーフィンしたかったけど、1年前はここでこんな経験出来ると思ってなかったから諦めずに自分を信じて、世界有数のタヒチの波にチャレンジ出来て良かった。

この時間のために準備した1年とこのタヒチで過ごした時間は一生忘れられない!

まだこの先続くサーフィンライフをこの経験を活かして強くなって更に飛躍していけるように頑張ります! 皆んなの応援が力になったし、これからのモチベーション」

 

ネクストコールは、現地時間の8月2日17時45分、日本時間の 8月3日12時45分です。

 

 

大会4日目の見逃し配信

https://www3.nhk.or.jp/sports/olympics/video/detail.html?scheduleSessionId=d44e06a2-163f-5239-c359-1f5d47e3f316

大会3日目の見逃し配信

https://www3.nhk.or.jp/sports/olympics/video/detail.html?scheduleSessionId=26687a05-82c5-33ec-2ad8-e431b2f539f4

大会2日目の見逃し配信

https://www3.nhk.or.jp/sports/olympics/video/detail.html?scheduleSessionId=cfe6b73c-8060-1d4e-0529-21cbe9016090

大会初日の見逃し配信

https://www3.nhk.or.jp/sports/olympics/video/detail.html?scheduleSessionId=83497ebd-f45b-d47e-f281-9edbe9bcad9f

ライブ配信は

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https://tver.jp/olympic/paris2024/live/game/SRF/

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