戦う・教えるを両立する2度のボディボード・ワールドチャンピオンである大原沙莉インタビュー

2度のボディボード・ワールドチャンピオンである大原沙莉。2月20日から3月2日まで、モロッコで行われたボディボードのプロ世界ツアーIBCワールドツアー2024年の開幕戦で見事優勝し、3度目のワールドタイトル獲得に向けて素晴らしいスタートを切った。そんな戦う・教えるを両立する世界チャンピオン大原沙莉が成り立つ理由を探った。

 

文/エミコ・コーヘン
写真/本人提供

 

第一部

 

波乗りの世界で100%日本人(日本で産まれて日本で育ち日本での練習ベースな)が世界を制覇したのは、ショートボードではない。ロングでもない。一足先に『ボディボード』が、やってのけた。「たかがボディボードじゃん」そんなことを言う人たちに強く言いたい、「大原沙莉(サリ)」を見てくれと。

 

 

冬のノースショアに滞在中のサリは、今日も6フィート以上もある(究極に浅い珊瑚の岩棚の)バックドアの波のリップにガツンと当たり飛び出してくる。ショートもロングもボディボードもCT選手もローカルたちも男も女も、、、全てのジャンルのエキスパートを交えたセッションだというのに大原サリは、スタンズアウトなライディングをする。

 

同じものを食べ同じ波に乗ってきた「私たちと同じ日本人」が世界のトップに立っていると言う事実は「もしかしたら私たちにも出来るかも」、、、多くの日本人たちに希望を与える。

 

 

ガツンと大きい技を決めてる外国人のライディングに憧れて。

 

「普段は千葉なんですよ。今は大会廻ってるから千葉か海外(笑)。ハワイには、そうですねぇ、11歳の時から。それから毎年冬のノースシーズンに通わせてもらってます。今、私、28歳になるので、もう16回は来てますね。最初は葵ちゃん(小池)のボディボード道場に入門していたので、連れてきてもらっていたという感じでした。

 

小池葵を師と仰ぎ、ボディボードにのめり込んだ頃の大原沙莉

 

当時は、自分が一番年下で、畠山みなみちゃんとかお姉さんたちに囲まれていました。みんなすでに結果出しているし、すごく綺麗なラインディングをするんですけど、どこかで私、そっちの道にも行きたいけど、あっちの道も行ってみたいみたいなって気持ちがありました。だから、荒削りだけどガツンと大きい技を決めてる外国人のライディングにものすごく憧れて、一番下手なのにそんな技に一人で取り組んでいました(笑)」

 

 

選べるんだったら他のことをしたいといつも思っていました。

 

彼女の素質は急に作られたものではない。さまざまな出来事、様々な人との絡み、それを丁寧に編み上げてきた結果の現れとも言える。最大の強みは、彼女自身がそれを意識しているところにある。次々と起こるネガティブな事もポジティブな事も、自分の中にしっかり落とし込み、『先に向かう為に必要な経験』として捉えている。

 

「小さい頃の両親からのサポートは相当大きかったです。ただ気持ちが向いていませんでした。海以外のこと、例えば学校、そっちの方が、海より楽しかったんですよね。だから、海に連れて行かれば、そのまま海に入っていましたけど、選べるんだったら他のことをしたいといつも思っていました。要するに親にボディボードをやらされてたんです(笑)。

 

だけど私、小学校の時にイジメにあったんです。今思えば本当にあれがイジメだったかはわからない。もしかしたら自分で思い込んでしまっていたのかもしれませんが、実際に周囲に無視されてたりする時期があり、学校が嫌になったんです。

 

その時たまたま葵ちゃん(小池)に「うちのお店に来ない?」って声かけてもらえて、行ってみたらそこにたくさん人が集まってました。同じくらいの歳の子もいたりして、ボディボードの世界の方が楽しく思える様になったんです。

 

 

出来ないとか、難しいとか、すんなり行かないとかが自分を育ててる

 

ポルトガルで行われる「シントラ・ポルトガルプロ」では複数回の優勝を記録している大原

 

それでも、もちろん楽しい楽しいだけではありませんよ。当時、葵ちゃんのところに集まる仲間の中では私、一番できが悪かったんです。ポンコツだったんですよ(笑)。葵ちゃんのボディボード道場のシステムは、段階をクリアしていくと言う形だったんですが、他の人たち、例えば、みなみちゃん(畠山美南海)とか、どんどんクリアして上に上がっていくのに、私はいつまでも課題がクリアができなかった。結果も出せていなかった。

 

けど、とりあえず年下だったし、お姉さんたちに付いていこうと続けていました。過去だけじゃなく、今でも色々ありますよ。自分としては、うまくライディングが決まったと思っても、他の人からみたらダサいライディングだったり。大会でも思ったより点数が出なかったり。でもそんな時は、何度も動画を見直して、どこが悪かったのか研究します。出来ないとか、難しいとか、すんなり行かないとか。そういったことこそが、自分を育てるんだと思っています。」

 

 

良くも悪くも『経験が自分を作る要素』として捉えているサリは、自分の思考をも客観視し、方向づけられるものだと捉えている。アメリカでは一般人の中でもメンタルヘルスを支えるシステムが受け入れられている。よって、自分の弱みを認めることの大切さが唱えられている。

 

しかし未だ、日本は弱みを簡単に見せられる社会ではない。しかも、サーフィンの世界ではトップに上り詰めれば詰めるほど、スポンサーのフィルターにかかり、自己表現が規制されている。

 

しかし、自分の弱さを認めてある程度オープンに現すことで他人からの助言を得られる、よって自分の向上に繋がるだけでなくメンタルを整えることもできる。彼女はその重要性にいちはやく気付き、それが出来る様になってから、楽に前に進める様になったと語る。

 

世界のトップ・ボディボーダーたちと

 

「楽になりましたよ、オープンになってから。以前はカッコつける自分がいました。弱みはできるだけ見せない様にしていました。自分の中に篭ってしまう様な時もあったりして。だけど、思ったんです。自分をしっかり出していくことの方がメリットがあると。もちろん、他人が聞いてて暗くなっちゃう様な投稿はしませんが、成功ばかりではなく失敗の写真や動画もインスタに載せるし、調子が悪い時は調子悪いって書いちゃう。

 

そのことで、他の人たちが「あ~大原サリも私と変わらないんだな、私にもできるかもしれない」と思うとしたら素晴らしいことですよね。それに一線を引いてほしくないんですよ、私がチャンピオンだからと言って。実は最初のチャンピオンになった時に、急に周りの態度が変わって、とても寂しい思いをしたんです、「私は私で変わらない私なのに」と。

 

一歩置かれたりするのが本当に嫌だったんです。でもオープンになった結果、困った時は困ってると口に出してみたりすると様々な角度からお助けのボイスが上がってきて、突き当たってた壁を崩すヒントが見つかったりするんですよね!」

 

 

対戦相手の嫌がることをたくさんやりなさい。

 

 

 

微妙な心のコントロールの大切さがパフォーマンスにも影響するのだと気づいた彼女は、ライディングに必要な筋肉をビルドさせるトレーナーだけでなくメンタルコーチを付けていることで、テニスの大阪なおみや体操のシモーネ・バイルズを始めとして、スポーツの世界のトップに立つものが陥りやすいディプレッションをも、上手にコントロール。精神バランスを整えている。

 

「1回目にワールドチャンピオンになった時の話なんですけど、大事な試合の前に気持ちと体がついていかない感覚があって、『どうしても勝ちたいんです、どうしたらいいんでしょうか』と、メンタルコーチに相談したんです。そしたら「対戦相手の嫌がることをたくさんやりなさい」と言われたんです。それが結構自分の中に響いて勝てたんです。だから今はヒートが始まったら真っ先に最初の一本に乗るとか、対戦相手がレフトの波が得意だったらレフトの波が来たときには絶対に乗せない様にするとか、かなり相手に威圧をかけることやってますよ(笑)。

 

あとそのコーチに言われたのは、「対戦相手の土俵に上がるのではなく自分の土俵に相手が入ってくる様な気持ちでやりなさい」と。相手の舞台に上がってパフォーマンスするのは確かに窮屈だし、心地よくないし、振り回される感じになりますが、『ここは自分の舞台』と思えば、堂々と自分が好きな様に舞うことが出来ますよね。自分の脳にトリックかけることはとても大切なことだとコーチに気づかさました。

 

 

どうやって相手を負かすかってことを考えてゲームに臨むのが大好きなんです。

 

 

 

 

世界に出てくる選手たちのみんなが技術を持ってる。トレーニングも積んできてる。その中で勝っていく為には、頭を使う以外はない。戦略をしっかりこなしていくことは欠かせないことなんです。

ただし機械じゃなく人間ですから、時には頭を使う以前に心が落ち着かない時があったりする。そんな時は、楽しいことを考えるんです。ヒート前に波を見る。その時に、自分が調子良く波に乗ってる姿を想像するんです。

そうすると自然に嬉しくなってきてワクワクして試合に臨める。でもまあ、元々、戦いが好きって言うのもありますね(笑)。どうやって相手を負かすかってこと考えてゲームに臨むっていうの、大好きなんです。」

 

 

自分が海外で学んだことを、日本の人たちにもシェアしたい

 

「海外の人のように乗りたい」小さい時に抱いたその思いの果てに今、辿り着いている彼女だが、ただ海外の人たちの真似をしているのではない。もし、真似だけだとしたら、彼女が言うように、海外の人たちの世界の舞台に登らされている気分になり勝ててないはずだ。

 

なぜ彼らを負かすことに成功しているのか。それは、海外の人が真似できない「日本」という国全体が彼女の軸にあるからだ。基礎がしっかりしているのである。サリは必ず海外に出たから気がついたことを日本に戻す。例えば二度目のワールドタイトルを取った時、そのトロフィーを日本のランドマーク、渋谷のスクランブルで掲げた。誇らしげなその姿を自身のインスタに載せた。

 

 

「今、海外の板を使っているんですが、その板のチームでセッションをすることがあるんです。最初は、私も彼らとの隔たりみたいのを感じていたんですが、実際に一緒に海に入ってみると、全然、彼らの方がオープンで、私も彼らも「いち地球人なんだな~」と思わされたんですよね。

 

5X 世界チャンピオンのイザベラ・ソウザと

 

それに元々私は英語が好きだったし、海外留学の経験があるスポンサーの奥さんに英語を教えてもらったので、言葉も壁も今では全くなくなりました。海外って逆に壁がないんですよね、人と人の間に。そういう自分が海外で学んだことを、日本の人たちにもシェアしたいなと思ったんです。

 

私、日本が大好きなんですよ。ただ、日本の人たちは、私が思うに、島国の人じゃないですか、だから島の中にいると心地良いけど、外に出た途端に、落ち着かなくなる。

 

それはそれで国民性なんで悪いことではないと思うんですが、世界で戦う舞台ではマイナスになることがあります。その部分を何かの縁で先に打破させてもらった私が、私なりの形で、必要とする人たちに伝えていきたいと思っているんです。」

 

 

世界の舞台に出ようとしている日本の弟子たちのバックアップ。

 

一緒にポルトガル遠征した山下海果、安見春香、我孫子咲良

 

現在、彼女が願うことは、ボディボードを通して多くの人のバックアップをすること。今シーズンは、昨年5戦のうち3戦を優勝し蓄えたお金で再度、世界戦の全部に出場し、タイトルをもう一度狙う。

それだけでない。一緒に世界の舞台に出ようとしている日本の弟子たちのバックアップすること。そこにも力を注ぎたいと語る。どのスポーツの世界を覗いてもトップの現役選手が選手役とコーチ役を同時に進行させることは珍しい。それをサリはやってのけている。

 

「元々、うちの家族、両親も弟(大原洋人)も私も、根っからのおせっかい屋さんなんです。そんなにしてもらわなくても、というところまでやっちゃうほどのおせっかいぶりで(笑)だから、誰かが上手くなりたいと願ってるのなら、じゃあ「私の知識をシェアするんで頑張って~」と応援したくなるんですよ。

 

 

相手が誰れでも、わたし勝ちますから。

 

 

 

人の手助けしたいという私のおせっかい屋さんの欲を満たしてもらえるだけでなく、実際、コーチングで他人のライディングを見ていると自分の為になる。いろんな気付きも出てくるんです。それに、おせっかいな癖を、ボディボードという自分が得意な範囲に方向づけておいた方が良いのかなと思うんで。ただのおせっかいおばさんになったら迷惑かけるかもしれないし(笑)

 

え?もし、大会で自分の弟子とか日本人の子が相手だったら変に意識するかって? ないです。全然。頑張ってもらって、日本人だけじゃなく、いろんな国の人が同等に戦えるワールドチャンピオンシップになったら面白いですよね。だから特に日本人だからって、他の国の人だからって、隔てはないです。それに相手が誰れでも、わたし、勝ちますから(笑)」

 

サリの知る私の知らないライディングのコツ。

 

 

第二部

結局インタビューは予定していた時間を大幅に越えた。にも関わらず気持ちよく答えてくれたサリ。話しているうちに、元ボディーボーダーの私自身が、「サリの知る、私の知らないライディングのコツ」が知りたいという衝動に駆られ、Zoomで口頭レッスンを施しているというので、実際に私自身が言葉オンリーのレッスンを受けてみることにした。

 

同じ境遇の方達もいるのではないかと、自己紹介:私は20歳の時にボディボードを始め29歳までかなり濃厚にボディボードに取り組んでいた。が、子供が産まれ、また子供が産まれ、、、しかも経済的な理由から仕事もこなし、、結局3人の子供を子育てする間は、ほとんどボディボードをする機会がなかった。

 

しかし、現在、子供たちも無事に大きくなり、自分の時間が持てる様になった。そこで3年ほど前にボディボード復活。「やはり私にはボディボードだわ」という59歳の今、今後、衰えていく体力を認めながらも、楽しめる方法はないかとアドバイスをもらうことにした。

 

サリのレッスンのリンクです。LINEでお気軽にお問い合わせください。 https://lin.ee/NIy5Bns

 

 

Q:私のような大会を目指すわけでない人にもレッスンをしているの?

 

A:してます。というか、恵美子さんと同じように出産と子育てでボディボードを離れていた人たちへのレッスンも結構多いんです。

 

Q:それは安心。では、最初の質問ね。私、左だとセクションが見えて、技をかける場所が見えてくるんだけど、右に行こうとすると、全く別物のライディングになっちゃう。セクションが全然見えないの。どうしたらいいと思う? ほら、写真見てくれる?左だとエルロロとかかけられるけど、右はずーっとそのまま行っちゃっう。あれ、どこが当てる場所なんだろって迷ってるうちに波が終わる(笑)

 

写真01

 

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A:それは左に行く筋肉の方が強いとかに関わってくるんだと思いますね。ライディングしている最中って、レール10%の時もあるし、レール50%の時もあるし、そのままずっと同じということはないんですよ。

写真01から見ると、右の方で右のレールを押さえているから直線ラインを右に向かって描けているけど、がっちりしすぎちゃってて、レールを少し抜くみたいなことが出来ないでいるように見えます。

 

ライディングって行く方の、レールに力を乗せるだけでなく反対側の方の引っ張り具合とか微妙な調整が重要なんです。そうすることで、目的地、私目的地と呼んでるんですが、現れてくる。

波がとろい時にはリップが育ってくるのをカットバックしたりリバーススピンしながら待ったり、調整するんですが、やはり右と左の両方をいい具合に使いながらじゃないとそれができないんですよね。

 

 

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Q:そっか、、サーフィンだとそのレールを入れたり抜いたりが著明に見えるよね。この前、ハレイワで波乗りしてる時に、同じ場所に、サクラ(ジョンソン)が入っていて、彼女のライディングを見てると、細かく細かくレールを入れ替えてるんだよね、

ボディボードってそれがはっきり見えてなくてもやっぱりセクション、目的地だよね、それが出てくるように、調整する。それが正しいんだね。サリのインスタの投稿を見てると、わかりやすいのが、日本の小さい波だよね。進んでは戻り進んでは戻り、忙しくレール切り替えてるような。

 

 

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A:それは日本の波だからってこともあります。波は沖から岸に押し寄せるわけなんですけど、日本の波はリップがなかなか育ってこないんです。育つまで、戻ったりするんです。

でもハワイは幅広いんです。ピークから離れててもパワーがあって、乗れちゃうんですよね。でも、ハレイワの波(下)、このリバースなんか見てると、波が尻つぼみになってますよね、トップ走ってきて、リバースに持っていったけど、波がしりつぼりなんで、成功しないで終わっちゃう。これをもう少しボトムからアプローチすれば、十分波の押しを得ながら、回れたわけです。

 

写真02

 

Q:なるほど。けど、さっきの話と同じことを繰り返すけど、レギュラーだということ体が言うことを聞かないというか。。

 

A:多分、波の方に完全向いてないんだと思います。よく私が言うのはお臍を波に合わせるんです。恵美子さんの場合はお臍が岸の方に向いてるでしょ。それを波の方に向けてあげるだけでも変わってくると思います。

 

 

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Q:あと、気がついたかな、このスピンとかも手を変えてるんだよね。普通なら右手を前にしてライトの波を乗っていくでしょ、でも、以前、思ったのは、左手を前にした方がコントロールが効く。そっか、左手前だと自然にお臍が波に向かってるもんね、だからか。でも、それってまずいと思う?

 

A: 全然まずくないですよ。この前、パイプでジェフの弟のデービット・ハバードが一緒に入ってて、彼、チューブに入ってたんだけど、その時、右と左逆でしたよ、スイッチスタンスみたいなことになってて、、だから、それはそれでいいんですよ。自分の体にあった形でいいんです。理にさえかなってればそれで良いんですよ。

 

Q:次はチューブについて。チューブライドって私、出来ないんだよね。で、この前、ジェイミーにケリーのチューブになるので有名なウエイブプールに連れて行ってもらっんだけど、どの波もチューブになるのに、波に包まれたとたん、「綺麗だなあ」と固まっちゃって、巻かれるだけ。何本も波を無駄にしちゃった。

 

A: 波って巻き上がってるわけなんですけど、それを自然の原理を利用してエルロロに持っていくわけなんですが、チューブって言うのは、その巻き上げが異常に強い部分なんです。だから巻き上げられないように、レールをより抑えるようにすると、チューブライディングは完成しやるくなるんです。

 

 

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Q:ウエイブプールでチューブに入る前に、散々ジェイミーにスローダウン(スピードを下げろ)って言われたんだけど、どうやればスピードを下げることができるのかな?

 

A: 恵美子さんの場合はカットバックとかできるようなので、カットバックとかで良いと思います。リバーススピンとかもありますが。

 

Q:そのカットバックなんだけど、昔は出来ていたのに、レールが抜けちゃったりするんだよね。

 

A: もしかしてそれ、恵美さん、板が古かったりします?

 

Q:3年使ってる

 

A: それだ、、、しかもこのハワイででしょ。新しいので試してみた方がいいかもしれませんよ。あとは、カットバックの時に私はですが、足の先、フィンを使うんです。

 

Q:えっ、板の角に腰で加圧するのかと思ってた

 

A: そういう人ももちろんいますよ、腰を使う人もいればモモを使う人もいる。私は、フィンを水に入れています。

 

 

 

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Q:そうなんだ、とにかくプールがうまく乗れなくって、そこからボディボード熱がさらに沸騰したんだ

 

A:いや、でも、プールはほんとに難しいんです。

 

Q:へえ、それも知らなかった。楽しかったことは楽しかったけど(笑)あと、これは別の人の話なんだけど、今ボデイボードを日本でやってる人たちは知識先行っていうか、うまくてなんぼ、みたいな眼で見る人が多いらしいんですよね。勝手に楽しませてくれない、みたいな。

 

私たちのような高齢者は楽しいが一番の目的だと思うんだけど、他人からの批判的な眼を向けられて「あのボトムターンがカッコ悪い」とか言われると、うざったい。というか、それでボディボード欲を失っちゃう人が結構いるらしいよ。私の知り合いは結局、そんなしがらみが嫌で一人で波乗りすることにして、ハワイにも一人で来るようになって、きた時は一緒に楽しんでるんだ。

 

A:そうなんですね~、、、でも、良かったですね、その方はもう答えを出していますね。ぜんぜん逃げてもいいと思うんです自分の為に。逃げるってことも最近、大切だと思うんです。あとは、先生をつけるといいと思う。サポートされながら練習していれば、出来ないのは自分のだけのせいでない。「私はボトムターン練習してないから、良いんだ」と思えば人が何を言おうが関係ないですよね。

 

Q:そうそう、ハワイの波乗りする人は幅広いんだよね。ただ浸っているだけで気持ち良い人もいるし、私が目指すのは、年取っててもロングとかで綺麗なラインを緩やかに描く人のように、もう少し波にあったライディングしたいんだ。激しくなくても波は小さくてもいいから、スムーずなラインディングが出来たらと。一番の目的な楽しめること、かな。

 

A:だったら、目的を作るといいですよ。入る前に、今日はあのセットを一本だけ乗ろうとか、ゆっくり楽しめるスポットを選んで波乗りするとか。スピンができる緩やかな波のところに行こうとか。ガツガツ乗る選手が揃ってるパイプに例えば入ったところで、乗れないで終わるでしょ。燃え尽きない感じだと、時間ももったいないし、体も疲れるし。

 

Q:なるほどなるほど。すごく為になった。また時々、お願いね!

 

A:もちろんです。またお話ししましょう!

 

 

 

インタビュアー【コーヘン恵美子】

ハワイはノースショア在住のサーフィン・フォトグラファーのGORDINHO(ゴルディーニョ)で知られるポール・コーヘンさんの奥様で、日本のボディボード創成期に活躍された元プロボディボーダー。ティナ、サリー、ジュリアの三姉妹を育て上げ、サーフィン専門誌やウエブメディアの執筆もこなす。