Mermaid & Guys Presents
大原沙莉インタビュー
気さくでチャーミングなボディボード2019年ワールドチャンピオン。謙虚でサービス精神旺盛で、笑顔を絶やさない。話せば話すほど笑顔の奥にある一途なアスリート魂は溢れ出て、隠し持つ感性の豊かさに驚かされる。そして彼女の感性は趣味で始めた写真にも表れている。今回はコロナ禍における彼女の今と思い、そしてオリンピック選手となった弟についてなど赤裸々に語って頂きました。
家全体が「試合で勝つための活動をしていこう」みたいな感じになっていましたね。
ーまずはボディボードを始めたきっかけを教えて下さい。
父がサーファー、母がボディボーダーで、小学1年生の時に一宮の海沿いに引っ越しをして来てから始めました。最初は弟も波うち際でボディボードしていましたけど、弟はサーフィン、私はサーフィンよりも危なくないと思ってボディボードにしたんです。私は最初は真剣ではなかったんですが、友達との関係で悩んでいた小学5年生の時に、師匠の小池葵さんに出会って「うちのお店においで」と誘って頂いて、それから毎日海に入るようになって。
周りにトップアマチュア、トッププロの選手が居て楽しかったし、お店の空気が試合に出て試合に勝つことが当たり前みたいな感じで。自然と皆に習って試合に出るようになりました。両親は私にプロボディボーダーとして活躍してほしかったから、準備ができていて、弟も大会にどんどん出ていて、そこに私も乗っかって、家全体が試合で勝つための活動していこうみたいな感じになっていましたね。
いま思うと子供たちよりも両親が本当に熱かったですね。
ーそうしてプロになって、海外の試合に参戦していったのですね。
15歳でプロになって、16歳からワールドツアーに参戦し始めました。それも両親が背中を押してくれて。高校は通信制高校に行って、そこから世界に出て行きなさいみたいな。いま思うと子供たちよりも両親が本当に熱かったですね。私たちが試合やりたいっていうのがうれしかったみたいです。特にお父さんが。
弟は昔から試合が好きだと言ってたから、試合に出ると決めたら両親がそのためにいろいろ調べなきゃみたいな。私の場合は先輩が周りに居たから先輩たちに習って、両親がそれをバックアップしてくれるという感じでしたね。
ーそして、これまでの努力が功を奏して、2019年にワールドチャンピオンになりましたね!
その時初めて両親に感謝しました。そんなことないか(笑)。やっと報われたという感じがありましたね。今思えば彩加(鈴木)が先にワールドチャンピオンになって、それが転機でしたね。真剣にさせられたというか。何か変えなきゃと。
ー詳しくはその時のサーフメディアのインタビューを読んで頂きたいと思いますが、その時の気持ちをもう一度少し聞かせてもらえますか?
宙に浮いたような気分というか。もちろん嬉しかったですが目まぐるしくて実感する余裕はなくて。やっと戦いから解放されたというのもあったし、ワールドチャンピオンになったという世界を初めて見たから興味深かったですね。とにかく周りに感謝でした。周りの人たちのおかげでここまで来れたと感じました。皆に「ありがとう、ありがとう」ってハグしたい気持ちでした。
自分の価値が試合に勝つ以外ないんだなって現実をつきつけられた
ーワールドチャンピオンになった後は?
ワールドチャンピオンを獲った年の次の年に新型コロナウイルスで世界がストップして。獲ってすぐにもう一度ワールドチャンピオンを獲ろうと、そのためには何が必要かを考えていたし、チャンピオンとしての次の年を楽しみたかったですけど。仕方ないですね。
でもツアーがなくて悲しい気持ちで何もできなかったというのではなく、新しいことにどんどん挑戦していこうという時に、それが始められなくなったけど、別のことに視点をおこうって心を切り替えました。体のことを勉強したり、英語の勉強をしたり。
出鼻をくじかれた感じがあったけど、今までノンストップで走ってきたので、今のこの時間を大切にしようと思いました。でも、自分の価値が試合に勝つ以外ないんだなって現実をつきつけられたということもありました。自分の価値って何だろうってすごく悩んだというか。
いろんな場所にトリップに行くサーファーでもなく千葉のいつもの海で入るだけだし、容姿に自信がある訳じゃないから自分というブランドを売り出すというのも苦手だし。
試合で勝つこと以外に何もないんだなって思って。私はいろいろなことを同時進行できる器用さがなくて、もう一つ手に何もなかったから、それが辛かったですね。今まで試合に勝つためのことだけを考えて来たから何の用意もしていなくて、真剣に将来のことを考えなきゃって気づかされました。
ー体の勉強って?
体の勉強はトレーナーさんに「勉強してみない?」って言われて始めました。トレーニングやマッサージに活かされるといいなと思って。時間はあるので新しいことをやろうと去年1年勉強を続けました。楽しくて。
9月にポルトガルでの試合が決まって、その試合に行きます。
ー今年はどうですか?
去年は試合がないことにイライラしたり、悲しんだりはしなかったのですけど、今年もないのかと思った時にすごくイライラしてしまいました。何のためにボディボードすればいいのって。でも今年、ワールドチャンピオン輩出しないけど、9月にポルトガルでの試合が決まって、その試合に行きます。
それから10月、11月に湘南辻堂と鴨川でJPBAの試合があるんです。試合のやり方忘れていないか、今からドキドキしちゃって。試合でドキドキしたり、駆け引きしたりするのがすごく好きなんです。それと、試合の時の自分のライディングが1番好きで。一番集中しているから。試合が楽しみです。
ーボディボードスクールもやっていますよね?
何年か前からスクールを始めていて、今また新しい形で始めています。プロサーファーの須田那月ちゃんがオンラインレッスンを始めたというので相談して、少しオンラインレッスンも始めました。本当は体験スクールもやっていきたいのですが、今は自分の道具を持っている経験者のみのスクールです。
ボディボードは上達するコツって今だに謎が多いというか、皆どうにかして上手くなりたいけど、どうしたらいいかわからない人に海でのレッスン、オンラインレッスンでお手伝いできればと思っています。
公式ラインを作ってレッスンの募集をしたら、すごくアクセスが増えて。私はいろいろな人に教えてもらった過去があるので、私がもらったアドバイスをその人に合うように噛み砕いて伝えていければと思います。教えるのも好きなんですよ。ご存知のとおり、うちの家族皆おせっかいだから(笑)。アドバイス大好き。
ーあらためてボディボードの魅力は?
まずは始めやすいということ。板が当たっても大して痛くないし、波にも簡単に乗れるので、始める敷居が低いと思います。それから少しずつレベルが上がっていくとスリルを味わえるというか。ボディボードってサーフィンみたいに立たないので目線が低くて、スピードをつけるために上から落っこちなくてはいけないので、そのスピード感がすごくて、そのスリルが楽しかったり。
それから単純にボディボードをやっている女の子がカワイイとか(笑)。男性もしなやかな動きが必要とされるから動きがきれいだったり、観ていても楽しいかなと。海外では飛んだり跳ねたりの飛び技ばかりだから観ていても飽きない。
もっともっとボディボードを広めていきたいですね。将来、ボディボード巡業みたいなものを全国で協力して下さる方がいればできたらいいなと思っていて。私が千葉からあまり出たことがないので、いろんな所に行っていろんな人に会ってみたいって思うんです。
ー自身の今後の目標は?
日本人初のワールドチャンピオンは獲れなかったので、日本人で初の2連覇したとか、2回チャンピオンを獲ったとかいう称号がほしいですね。それに向けて頑張っていきたいです。あとはボデイボードの普及のために活動していきたいです。
自分を見失わないところが彼の良いところ。オリンピック選手になった景色は何倍も特別なんだろうなって。
ー話は変わって、弟の洋人くんがオリンピック選手になり、5位と大健闘でした。お姉さんとしてどうでしたか?
オリンピックってすごいんだなって思いました。選手も、試合会場も、試合のシステムも。洋人は第1ヒートで、紹介されて海に入って試合が始まってという瞬間を観ながら、すごくドキドキしました。何で自分がこんなに緊張しているんだろうって思うぐらい。
でも家族がオリンピック選手になったという自覚はあまりなくて。私の中では特別な大会だから頑張れとかじゃなくて、いつもどおり自分らしく頑張ってほしいという気持ちがあって。
負けちゃったけど、それが彼の実力だし、CTサーファーと対決することが見えた課題とか世界があるだろうから、私にはわからないけど、たぶんCTにクオリファイするという別の目標があるだろうから、その助けになったんじゃないかなと。
ーでも洋人くんすごかったですよね!
すごかったですよね。開会式とかもちっちゃくって見えなかったけど(笑)。彼の良いところは、自分を見失わないところだから。周りからのプレッシャーやいろいろな言葉もあるだろうけど、変わらないってところが彼らしくて良いところ。尊敬するところかな。私は結構人に影響されちゃうから。よく頑張った。
ボディボードがオリンピック種目になるには、もう少し業界が大きくならないとって思います
ーボディボードがオリンピック種目になったら?
絶対次はボディボードもオリンピック種目になると思ったけど、実際にオリンピックを観て、逆にイメージ出来なくなって。ここにボディボードが入るのかって。でもチャンスはあるし、絶対に入るとは思うのですが、それにはもう少し業界が大きくならないとって思いますね。
もちろん出たいですね。その重圧に自分が耐えられるのかという自信は正直なくなっちゃいましたけど。開催された町に住んでいて、弟がその場に立っていたのを観て。すご過ぎるってなって。ワールドチャンピオンになった時の景色もすごかったけど、オリンピック選手になった景色は何倍も特別なんだろうなって。弟をとおして、そのことを垣間みる経験でした。
責任感があった方が強くなるから良かったのかなって。
この投稿をInstagramで見る
ーその弟さんが結婚、そしてお子さんが生まれるというおめでたいお話が舞い込んできましたが?
叔母さんになるって周りに言われて気づいて。もちろんびっくりしましたけど、自分で決めたことだからいいんじゃないという気持ちと、正直私には関係ないことだから、自分の力でしっかりやっていけばいいと。元々弟に関心がなくて(笑)。
海で誰かに「洋人は今どこに居るの?」って聞かれて、「アメリカだよ」って言ったらオーストラリアに居たり。でも家族が増えるってこういうことなんだなって思いましたね。これってみんなが言ってるやつだって。
今まで洋人は自由奔放で、試合が楽し過ぎて試合に勝つことを忘れちゃうタイプだったけど、今は家族を守るために試合に勝たなきゃいけないっていう、自分のサーフィンがもっと仕事になってきたから、そういう時の方が強いんですよ。責任感があった方が強くなるから良かったのかなって。責任感を学んでいくんじゃないかとお姉さんは思います。
自分のやりたいことのために、今するべきことの時間を増やそうと思う
ー弟さんのお話を聞いちゃいましたが、他に自身のことでお話したいことって?
ぜひカメラの話を聞いて下さい(笑)。写真が元々好きで。ちょっといいカメラをゲットしたんです。記録のために写真専用のインスタグラムのアカウント(https://instagram.com/sariphotocolor/)を作ったら皆が好きだって言ってくれて。そこから写真を撮ってほしいとか言って下さる方が増えたんです。
趣味でやってきたから、職業にするのはおこがましいけど、初めてボディボード以外で好きなことでお金を稼ぐということを体験しています。好きなことって続けられるし、好きを伸ばしたらもっと依頼が来てお金も稼げるのなら、もっと勉強したいなっていうのがこの頃です。
この投稿をInstagramで見る
それから、今まではアルバイトをすごくしていて、スケジュールに余裕がなかったのですけど、アルバイトの時間を減らして、もう少し好きなことをやる時間を増やそうと思って。将来はボディボードを教えたいと思っているので、自分のやりたいことのために今するべきことの時間を増やそうと、スクールのレッスンの時間も増やしたんです。
ありがたいことにお問い合わせに時間も増えたし、レッスンが入らなかったら自分の練習時間になるし、なるべくプラス思考でやっています。ボディボードとカメラ。自分らしくいられるんです。だから早くポルトガルに行きたくて。試合も楽しみだし、久しぶりに友達に会うのも、写真を撮るのも楽しみです。
あれだけ紫外線の強いバリでも焼けない信頼が高い商品です。
ー最後にMermaid & Guysのお気に入りの商品について教えて下さい。
UVスティックです。昔は焼けることが美みたいな時があったようですけど、私がボディボード始めた時は美白の時代で。顔だけは焼けないように気をつけていて、いろいろな日焼け止めを使っていましたね。
特にバリとか海外に行った時の日焼けが気になるんですけど、このUVスティックはあれだけ紫外線の強いバリでも焼けないっていう信頼が高い商品です。最近はクリアタイプを使っています。海だけじゃなく、外で作業する時も塗っています。
効果があるうえ、環境に優しいというのが良い。
それからヘア&フェイス・トリートメント・ローション。スプレータイプの化粧水で、髪の毛も体も使えて万能です。スプレータイプの化粧水はすぐ乾いちゃうから苦手だったのですけど、このローションは全然乾燥しなくて、シワとか毛穴の開き対策に良いですね。私は保湿バカだから、今まで家で使っている化粧水を持って行っていたけど、その必要がないぐらい保湿されるので、めちゃめちゃ重宝しています。
海に入って、日焼け止め落としてからこのローションをスプレー。寝癖がついている時や海上がりの髪の毛に、お化粧前の顔にもスプレーしています。トリップとか遠い場所に行く時にはこれを持って出かけています。
Mermaid & Guysは新しい商品もどんどんリリースされていて、効果があるうえ、環境に優しいというのが良くて。環境問題について行動を起したいと思っているので、今の自分の活動に合っていて気に入ってます。
Mermaid & Guysのライダーは個性豊かで将来の夢とかスタイルを持っている人たちで、一緒にいて勉強になることばかりです。そしてみんなのアーティスティックな一面がパッケージとかコンセプトに合っていて、持っているだけでお洒落になれるんじゃないかって思って、いつも持ち歩いています。
取材、撮影:米地 有理子
取材協力:Mermaid & Guys(マーメイドアンドガイズ)
大原沙莉 (おおはら•さり)
東京都出身千葉県在住。1995年生まれ。2010年プロ合格。2012年にISA ワールドボディボードチャンピオンシップで金メダル、JPBA国内チャンピオンに。2014年~2016年、JPBA国内チャンピオン。APB世界ランキングは4位~3位とランキングを上げ、2019年APB世界チャンピオンの座に。弟は東京オリンピックのサーフィン種目日本代表選手として活躍した大原洋人。
https://www.instagram.com/sariohhara/
https://instagram.com/sariphotocolor/