宮崎県日向市お倉ヶ浜ビーチで6日間に渡って行われた本日が最終日となる「さわかみ 日向プロ」。今年度の JPSA2022 さわかみ Japan Pro Surfing Tourのロングボード最終戦 となる。
今日の会場は晴れ。風はサイドオフで、波のサイズはムネカタ。今日はワンバンクで男子のR-4から進行。朝一は風も弱く、波もワイドながらキレイなブレイクでハイポイントの応酬。
しかし、9時には風がオンに回り面を乱す。そこかしこで割れるものの、張る波を見つけるのが難しい。
それでも少ないキレたセットを掴んでノーズを絡めてインサイドまで。最後は当て込んで、フィニッシュを決めることができた選手が勝ち上がった。
今日の波乱は今期、3連勝で3度目のグラチャンを決定していた浜瀬海。なんとR-5で痛恨のインアターフェアで得点がベスト1に。
確かにプライオリティパネルは遠くて見づらいこともあったが、アナウンスが常時、入っていた。ただオンショアになるとそれも聞こえたり、聞こえなかったりと選手にとっては不利な状況であったことは否めない。これでこのラウンドで敗退という残念な結果となった。
女子は田岡なつみが圧倒的な強さを見せて優勝。
女子の決勝はR-4でグラチャンを決めた吉川広夏に田岡なつみ、大橋寛子、小栗瑞恵という顔ぶれ。前半は各選手、得点が伸びず手こずる展開。
しかし、田岡が試合後半に完璧な演技でエクセレントの9.00、8.00と立て続けに奪取してワンサイドゲームに。他の選手をコンビネーションに追い込む形で完全優勝を決めた。
田岡なつみ
「今回は調子が狂ってて空回りしちゃってて。(ヒーローインタビューのために)アナウンスブースにも一度も来れませんでした。だから、最後もここに来るのすっかり忘れちゃってて。
ファイナルは、どんどん乗ってリズムを作って、その中で良い波を探して行こうという作戦でした。後半戦に大きなセットが入り、波周りも良く、ちゃんとインサイドでも決められたので良かったです。」
今回の日向ではファーストラウンドからエンジンがかからずに、厳しい戦いを強いられる場面もあったが、最後に修正して「なっちゃんスマイル」を見せてくれた。
「クオーターとセミは全然波に乗れなくて、焦ってしまったので、ファイナルは思い切りやるだけだと思って、良い波2本しっかり決めようというのと、緊張し過ぎないように心がけました。ファイナルはリズム作れて楽しめたので良かったです。
板はファイナルだけ変えました。ずっとNEWボードに乗っていたんですけど、調子は良かったけど、引っかかったり微調整ができていなかったので、一番信頼している板を使いました。
小倉が浜は、私の好きなポイントの一つで、ここに試合に戻ってこれて、優勝できて本当に嬉しいです。最終戦をしっかり優勝できたので、来年は海外の試合がメインになるんですけど、JPSAも出れるとこはしっかり出てグランドチャンピオン目指すということと、世界一を目指して頑張りたいと思います。」
男子は櫻岡甲太が6年ぶりの優勝
続いて男子の決勝メンバーは秋本祥坪、武川慎、森大騎、櫻岡甲太。こちらは女子と違って、クロスゲーム。森が中盤に頭一つ抜け出たものの、全員に優勝するチャンスがある僅差での戦い。
森がプライオリティを持ったまま、タイムアップ3分を切ったところで、櫻岡、秋本と怒涛の攻めで追いすがる。結果、自分のスタイルを出せた櫻岡が逆転優勝。ドラマチックな結末となった。
櫻岡甲太
「毎ヒート半信半疑でしたが、今回も最後までそんな感じでした。(笑)ファイナルは左のほうでやると決めていました。」
ヒート中盤に掴んだセットの波について「あの波が大きかったですね。」と3本目の波を振り返る櫻岡。ハング5を2発決めて、カットバックでつなぎ、7.00をスコア。これが決め手となった。そして最後、森大騎にトップを奪われ、ラストウェイブで大逆転勝利を決めた。
「シチュエーションはなんとなくわかっていました。優勝は10年ぐらい前の千倉以来です。宮崎は昔、何年か住んでいたことがあって。この場所でいつもサーフィンしていたので、それもあってリズムが合っていたのかなと思います。でも優勝は想像していなかったです。」
2016年にプロ10年目で掴んだ初優勝以来ということで、嬉しさもひとしお。「応援ありがとうございました。みんなの応援があって勝てたと思います。来年も頑張ります。」とポーカーフェイスな櫻岡が、声を弾ませて笑顔を見せた。
今日のシングルハイエストは男子の武川慎が出した 9.50ポイント。トータルも17.25ポイントとして、こちらもハイエスト。女子はは吉川広夏が出した 9.60がハイエスト。トータルハイエストは田岡なつみが出した 17.00(9.00+8.00)ポイント。
櫻岡甲太
ヒートを勝ち上がるごとに、調子を上げてきた櫻岡。スピードある演技にパワフルなフィニッシュ。メリハリをつけた演技が高得点につながった。この日向に2年ほど住んでいたことで、このお倉ヶ浜も良くわかっていたことも勝因の一つ。2016年の千倉プロの大会以来の優勝となった。
田岡なつみ
R-4では全くリズムに乗れず、まさかの敗退か?と思わせながら、タイムアップ寸前に帳尻合わせてラウンドアップ。セミ、ファイナルではいつもの「待たずに波に乗る」戦法に切り替え、最後は圧勝で笑顔。やはり、世界で戦ってきた経験は無駄にはならず。切り替えもお見事でした。
吉川広夏
今シーズンも国内外で経験を積んだ吉川。厳しいスケジュールの中でもJPSAの全戦フォローで、今年度のタイトルを獲得。これでグランドチャンピオンは5度目となる。来年は新しいスタイルを求めて、進化は続く。
「今回はコンテストで使うのは初めてのボードで、宮崎の波とのフィーリングも良くて楽しいです。9’4”のRYUJI SHAPE 、ピンテールのシングルフィンで3ストリンガーのものを使っていました」
JPSA2022 さわかみ Japan Pro Surfing Tourのロングボード最終戦
「さわかみ 日向プロ」
(プレゼンターは さわかみグループ 原直也様)
男子
優勝:櫻岡甲太(¥400,000)
2位:森大騎 (¥200,000)
3位:秋本祥坪(¥120,000)
4位:武川慎 (¥100,000)
5位:増山翔太、内村喜章(¥70,000)
女子
優勝:田岡なつみ(¥150,000)
2位:吉川広夏 (¥ 70,000)
3位:小栗瑞恵 (¥ 50,000)
4位:大橋寛子 (¥ 40,000)
5位:菅谷裕美、平賀美香(¥ 20,000)
グランドチャンピオン
グランドチャンピオン
男子:浜瀬海
女子:吉川広夏
ルーキオブザイヤー
ルーキーオブザイヤー
男子:武川慎
女子:藤城茜
浜瀬海
「3回目のグランドチャンピオンを取れて嬉しいです。今年4戦だったんですけど、長かったですね。終わったーって感じがあります。
今回の最終戦をまさかのインターフェアして負けちゃうなんて思ってもいなかったんですけど、逆に来年に向けての頑張る良いきっかけになったのかなって思います。
来年もまだ出るかどうかわからないんですけど、多分出ると思うので、また良い演技が出せるように頑張るので、応援よろしくお願いします。」
吉川広夏
「5度目のグランドチャンピオン、すごく嬉しいです。今年は国内外ですごく色々な経験をさせてもらって、精神面でも成長できて、コンテストを楽しみながら強くなって行けたのかなって思います。
ロングボードの女子の世界は凄く美しくて、楽しいものなので、これからもロングボードの良さを伝えていけるように頑張ります。
今年大きく成長したように感じられる吉川広夏。自分で何が変わったのかという問いに対し「凄く楽しめているかと思います。今回は最後の最後で良いライディングできずに終わってしまったので、浜瀬海選手も言ってましたが、来年の課題として頑張っていきたいなと思っています。」
武川慎
「最初はルーキーオブザイヤーだけ目指していたんですけど、途中から調子も良くて、ファイナルにも行けるようになったので、良かったです。今日のファイナルはめちゃくちゃ緊張しました。来年は優勝目指して頑張ります。」
藤城 茜
「思うような結果ではなかったんですけど、1年間に一人しかもらえない貴重な賞をいただけて、とても嬉しく思います。今年の中では、今回の宮崎が波がとても良くて、自分的には調子が良かったんですが、(結果的には)悔しかったんですけど、これからの糧になれば良いかなと思いました。」
R.surfer様から副賞として、男子はシャツジャッケット、女子にはカシクールシャツが選手に贈られた。
午後のハードなコンディションに選手は一度上がって走って、右から回り込むというトライアスロン状態に。(吉川広夏)
男子2位:森大騎
今シーズンは最終戦を準優勝で締めくくった3度のJPSAロングボード・グランドチャンピオンである森。今シーズンもトップ10を維持し、来シーズンに繋げた。
男子3位:秋本祥坪
「良い波でした。思わずガッツポーズ出ちゃいました。最後のセクションは、ちょっと刺さりそうで、ちょっとドキドキしました。」とセミファイナルで9.00をスコアした秋本が言った。
男子4位:武川慎
ルーキーオブザイヤーを獲得した武川。「来年は優勝目指して頑張ります。自分は試合が好きなので、めちゃくちゃ勝てるプロサーファーになることが目標です。」とコメント。
男子5位:増山翔太
2021年は、怪我で長期で試合を離脱した増山翔太。今シーズンはランキングでもトップ10を維持し、来シーズンは更なる上位入りを目指す。
男子5位:内村喜章
ハワイのクイーンズをホームとするロコボーイ。可愛い子供たちも連れて初宮崎。ハワイで磨き上げたサーフィンスキルは洗礼されている。
女子3位:小栗瑞恵
今回繰り上げで、ラウンド4から出場し、1位で勝ち上がり、見事セミファイナルを2位でファイナルへ勝ち上がった小栗。「スタートと同時にいいライトに乗れたので、落ち着いてできました。」
女子4位:大橋寛子
セミファイナルを1位でファイナル進出を決めた大橋。「久しぶりの宮崎でモチベーションも上がって、ここまで来たら自分らしさとかで勝っていけたらなって思います。」と浜松の大橋がコメント。
女子5位:菅谷裕美
今回、田岡がR4を2位で勝ち上がったために、吉川、田岡という2強とセミで戦うことになった菅谷。悔しい敗退となったが、来シーズンの活躍に期待したい。
女子5位:平賀美香
ラウンド4では6点台を2本揃えて1位でSFに勝ち上がったが、惜しくもファイナル進出ならず。「これまでは自分のサーフィンができなくて悔しかったが、今日は良いサーフィンが見せれて、頑張ってやってきて良かったなと思っています」とコメント。来年に繋がる結果を残してシーズンを終えた。
これが今シーズンのJPSAの全スケジュールが終了。来シーズンも日本のサーフシーンを牽引するプロのサーフィン組織として、業界をリードしていく素晴らしいイベント開催に期待したい。
■10/28(木) ロングボード1日目
https://abema.tv/channels/world-sports-1/slots/CxCVynuWgtyafq
■10/29(木) ロングボード2日目
https://abema.tv/channels/world-sports-1/slots/CxCVxtAUgZE5Ww
今回もサーフメディアは現地から最新情報をお伝えします。
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