NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第25回となる今回はBillabong Occy’s Grom Comp 2022とSkullcandy プロジュニア、季節外れのストームスウェルです。
取材、文、写真:菅野大典
7月のゴールドコースト。
天気が良ければ日中の気温が20度前後まで上がり、水温も冷たくなく、とても過ごしやすくなります。
ゴールドコーストのビーチフロントの環境はとても良く整備されており、気持ちよく散歩する人がたくさん。無料のシャワーやゴミ箱、ベンチが等間隔に設置されており、ビーチで遊ぶ人にはとても便利。冬でもたくさんの人がビーチに訪れています。
新型コロナウイルスの感染状況は再び上昇。入院者数も最多記録を更新しており、今年に入り猛威をふるっているインフルエンザと共に影響をもたらしています。
その一方でオーストラリア政府は、7月6日よりワクチン接種完了の入国条件を撤廃することを発表。今後はワクチン未接種者の入国も可能となり、国外からの旅行者の受け入れを積極的に行っています。
波の状況はコンスタントにうねりが届き、砂のついている良いバンクが至る所にあります。
Billabong Occy’s Grom Comp で高橋花音が優勝
7月2日から5日には、”オッキー”の愛称で知られる1999年のワールドチャンピオンのマーク・オクールポのイベント、Billabong Occy’s Grom Comp 2022が2年ぶりにD-BAHで開催。
数々のスター選手を生み出すきっかけにもなっているこのオッキーグロムという大会は、まさに若手サーファーの登竜門。毎年6月から7月のスクールホリデーに合わせて開催され、アンダー12、14、16の男女の6ディビジョンで行われるグロメッツサーファーにとって重要なイベントの1つとなります。
コロナウイルス発生以前のように世界中からのエントリーは無かったものの、近場のニュージランドをはじめ台湾からのエントリーも見られ、現地に住む日本人選手も多数参加していました。
最終日は激しい雨が降るものの、風がおさまりイベント期間中1番の良いコンディションに。平日の雨のコンディションながらたくさんの人が会場へ足を運んでいました。
毎年のように日本人が出場し活躍するイベントでありますが、過去に優勝した選手はおらず、日本人初優勝。
初日のハイエストスコアや大逆転劇もあり”KANON TAKAHASHI”の名前がイベントを通してアナウンスされており、その名を知らしめるとても良い結果となりました。
個人的に印象に残ったのがアンダー12と14の男子の選手達。
2年ぶりの再開となりながらも、素晴らしいイベントとなったBillabong Occy’s Grom Comp 2022。
会場の一番波の良いポイントの1箇所を使っての20分ヒート、50%プログレス、迅速なスコアアナウンスとプライオリティ。大会開始の2日前にはヒート表をアップし前日の昼には波予報に合わせてスケジュール発表をする。
陸には親、コーチ、スカウトマン、メディアが集まり、ただイベントをこなすと言うのでは無く、本当の意味でのサーフィンの試合がオーストラリアではこの世代でも行われています。
勝っても負けても試合後必ず健闘を讃えあう選手達、試合が終わったあと涙を浮かべ悔しがりながら海を見ている選手達。
今年は会場となるD-BAHの地形が良くないながらも、それでも選手を大切に考えていて、サーフィンの技術を向上させる大会であると共に、人として大きく成長する機会になる、久しぶりの大会ながら現場では改めてそんな事を感じることができました。
馬庭彩がSkullcandy Pro Juniorで4位
その翌々日となる7月7日から12日には、毎年オッキーグロムの終了と共に同じスクールホリデー期間中にレノックスヘッドで行われる”SKULLCANDY OZ GROM OPEN”も2年ぶりに開催。
このイベントはアンダー14、16、18の男女のディビジョンに加えて、WSLのプロジュニアも合同で行われました。
プロジュニアイベントには、現在留学中の馬庭彩、高橋花音、井上龍一、丸山春凪、日本から来ていた岡野蓮の5名の日本人選手が参加。
形の良い素晴らしいビーチブレイクのコンディションで行われる中、井上龍一、丸山春凪、岡野蓮はラウンド1、高橋花音はラウンド2で残念ながら早期敗退となってしまいました。
インドネシアのクルイとニアスで行われたプロジュニアの2戦を優勝、準優勝という結果に収め、乗りに乗っている馬庭彩はこのイベントでもファイナルまで進出。
ファイナルでは、なかなかスコアを出せずに苦戦し、終盤に追い上げを見せるも残念ながら4位という結果になってしまったが、プロジュニアイベント3戦連続ファイナル進出という立派な結果。
現在は新たに大学生活もスタートし、文武両道の多忙な日々を送っています。
ストームスウェルが到来。
下旬には季節外れのストームスウェルが到来。この時期には珍しい低気圧の発達で、夏のサイクロンを思わせるような進路をたどり東海岸にスウェルを届けてくれました。
ミック・ファニングや、ジョエル・パーキンソンをはじめ、インドネシアから帰ってきたQS選手やカリフォルニアのCSに行く前の選手などがゴールドコーストに残っている事から海の中は大セッション。
スウェルが届いてから2日目の日にはソフィ・マクロックやカラム・ロブソンと共にジェットスキーで戻りながら何本もキラの波にチャージしていました。
パドルで戻ることが困難なこのようなコンディションでは、ジェットスキーのアシストは必要不可欠。ただチューブの波があるだけでなく、カレントのある大きな波でのオージー達の練習の質の高さが伺えます。
6月に行ったインドネシア遠征のニアスの試合後には、リーフ・ヘイゼルウッズや、オスカー・ベリーといった仲の良いサーファーであるオージーサーファーチームと共にカメラマン2人を乗せてメンタワイのボートトリップを経験した相澤日向。
全員板を真っ二つにするほど大当たりだったボートトリップ。PIC:@swillpics
クルイとニアスでの試合を含めて、今回の1ヶ月間のインドネシアトリップは人生でも1番最高のトリップになったと言っており、波がずっと良かっただけでなく沢山の経験を得られた様子。
金銭面的に遠征費だけでも厳しいというのが普通の選手の現状ですが、オーストラリアでは所属するボードライダーズや各スポンサーをはじめとした沢山の関わる人が、試合だけでなくサーフィンに関わる活動をサポートしてくれています。
今回もヒナタの所属するバーレーボードライダーズをはじめ、多くの人が協力してくれたようで、試合に出る選手だけでなく、枠にとらわれないフリーサーファーも活躍しているのも納得できるように、この国のサーフィン界の様子を見ていると全体で協力し合っているのがわかります。
相沢日向のインスタグラム@hinatzz PIC: @boneyard_limited
ケリー・スレーターも現れた今年1番のメンタワイセッションに水色ヘルメットを被り巨大なバレルをメイクするヒナタ。今後の彼の活動に目が離せません。
以上、オーストラリアの7月ニュースでした。
菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
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