NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第23回となる今回はスナッパーで行われたCSイベントの裏側、都築虹帆たちのスーパーセッションをリポート。
取材、文、写真:菅野大典
5月のゴールドコースト。
朝晩冷え込む季節になり、日が落ちる時間も早くなってきました。
中旬に入るとまたしても雨が続く日が多く、被害を多く出した3月同様に各地域で洪水の災害等が報告されています。
一時期は水が綺麗な普段のゴールドコーストの海になったのですが、今月はまたしても逆戻り。
新型コロナウイルスの感染状況は引き続き横ばい状況ですが、規制も緩和されてパンデミック以前の様な正常化に向けて進んでいる様な状況です。
以前はワクチン接種の推奨を厳しくしていましたが、現在では接種者との違いは見られないほどに、未接種者への規制も緩和され自由に行動できるようになってきています。
入国制限の規制の緩和も進み、ここ数年見られなかった海外旅行者の姿も多く見られ、日本のゴールデンウィークと重なった事からか、一般の日本人サーファーの姿も多く見られました。
日本との直行便の増加も各フライト会社で発表されており、今後行き来しやすくなる状況に進んで行く様な感じです。
波のコンディションは、先月より引き続きサイズのある状況が続いており、スナッパーロックスにはCSに出場するために世界各国からたくさんのメンバーが集結し、とても濃いセッションが毎日繰り広げられていました。
一本でもいい波を捉えることが出来れば綺麗なバレルに身を包める。レインボーベイからグリーンマウントは形の良いバレルが出現していました。
4月30日から5月2日にかけてバーレーヘッズで行われたQS1000 GOLD COAST OPENには、日本人選手も多く出場。
地形がずれていて、いつものクラシカルなロングウォールでは無いものの、サイズのある素晴らしいコンディション。いい波を掴んだらエクセレントライドが連発していました。
オートネで出場した大音凛太。キャンセルが出たのを聞き、慌てて準備するものの素晴らしいサーフィンで試合を運び見事初戦を1位で突破。
今大会には7日から行われるチャレンジャーシリーズ第1戦 BOOST MOBILE GOLD COAST PROのウォームアップとして海外の選手も出場。
コロナ渦以前は世界一レベルの高いQS1000と言われていたバーレーヘッズでの大会。今大会は再びそう思わせるようなレベルの高い試合を見せてくれました。
バーレーヘッズでの試合はいつも観客が多く盛り上がる試合の一つ。最終日はサイズがさらに波が上がり祝日とあって会場も大盛り上がり。
そしてオーストラリアの反対側のマーガレットリバーで行われていたMARGARET RIVER PROでは、ミッドシーズンカットによるCT生き残りをかけた激しいバトルが繰り広げられていました。
昨年度ランキング4位のコナー・コフィンや5位であるモーガン・シビリックをはじめ、ツアーのベテラン選手であるオーウェン・ライトやサリー・フィッツギボンズ、女子ではルーキー6人中5人の選手がシーズン後半戦を回ることができなくなるという過酷な結果に。
数日後に2023年のWSLシーズンワイルドカードがサリー・フィッツギボンズに与えられると発表されましたが、今年からはじまったミッドシーズンカットのシステムに賛否両論の多くの意見が見受けられました。
ジャック・ロビンソンは嬉しい地元での勝利。そして、女子の優勝者のイザベラ・ニコルズはメイドザカットには優勝が絶対条件での初優勝となった。
そしてこの大会は5月4日のウエイティング・ピリオドいっぱいで最終日を迎えたため、CS第1戦のBOOST MOBILE GOLD COAST PROに出場するCT選手はすぐさま移動をしゴールドコーストへ。
BOOST MOBILE GOLD COAST PRO
BOOST MOBILE GOLD COAST PROについては、イベントのデイリークリップで日本人選手のヒートの様子を毎日伝えさせていただきましたが、波のコンディションはイベント期間の初日である5月7日からクリーンな良質な波に恵まれ開催されました。
世界王者であるケリー・スレーター、ステファニー・ギルモア、タイラー・ライトといった選手に加え、リージョナルを勝ち抜いた各国の代表選手が出場ということで、ある意味サーフィンが好きな人にはCTよりも楽しみに観戦している人も多かったのではないでしょうか。
残念ながら日本人選手は早期敗退という結果に。クオリティの高い波で自分の実力を出しきれずといった歯痒い結果に終わってしまいました。
大きなストームが近づいている事から、イベントは急遽5日目をファイナルデイに決め、オーバーラッピングヒートで進行。最終日は大荒れのコンディションなか、フルジェットスキーサポート、25分ヒートで日が暮れるギリギリまで行われました。
男子のファイナルは、地元のヒーローであるシェルドン・シムカスとベルズビーチで行われたCTイベントのRIP CURL PROで準優勝しているキャラム・ロブソン。
ヒート序盤からお互いにエクセレントスコアを出し素晴らしいファイナルとなった。
CTイベントではないにしろ、このような大きい規模のイベントは久しく行われていなかったゴールドコーストで、サーフタウンであるクーランガッタという事を感じさせる大盛り上がりの5日間となりました。
そしてCS選手たちの舞台は約1000km離れたシドニーへ移動し、2戦目であるGMC Sydney Surf Proが開催。日本の脇田紗良、前田マヒナが共にマンオンマンヒートとなるR16まで進出し9位という結果を収める結果に。
2月に始まったWSLのリージョナルQSから数えると、8イベントのQS、2イベントのCS、2イベントのCTと大忙しだったオーストラリアのサーフィン業界。約4ヶ月にわたって行われていたオーストラリアでのWSLイベントもここで幕を閉じ、次の舞台はインドネシアへ。選手たちは休む間もなく連戦が続いています。
クローズコンディションが続いていたゴールドコーストも徐々にサイズも落ち着き、月の後半には再びエクセレントなコンディションに。
それぞれ個性のあるタイプの違うサーファー同士でのセッションは、お互いに感化され、良い部分を引き出し合い、共に成長していくことが感じられる、見ていてもとても楽しいセッションとなりました。
こういう事の繰り返しで良いサーファーが生まれてくるのかなと感じさせられる、自分にとっても忘れられないサーフトリップとなりました。
と、5月のオーストラリアは大会づくめであり、コロナウイルスの影響も緩和され多くの日本人サーファーがゴールドコーストを訪れる事となった月となりました。
菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
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