稲葉玲王ドライブ・インタビュー。THE POWER TO BELIEVE「それは僕がCTに入って変えられる」

取材、撮影:DELTA FORCE SURF

 

海外のWSLを中心に周り続け日本のサーフシーンのトップを走り続ける稲葉玲王。 そんな玲王も3月には25歳を迎える。

 

2021年は玲王にとってどんな年だったのか。 3月に志田下で開催することが発表されたQSアジアオープンに向けての思いは?  今後のサーフシーンに何を考えるのか。玲王に聞きたい気になることが多々ある。

 

例年ならばノースに長期滞在中で、この時期ゆっくり話せる機会はない。 一宮育ちの玲王だがプライベートでは勝浦に頻繁に足を運ぶ。 玲王の思いをゆっくり聞くには本人の好きな場所が良いと思い、一緒に勝浦にドライブすることにした。

 

 

 

 

「2021年もコロナに振り回されましたね。」 突然の勝浦でのインタビューにも快く引き受けてくれハンドルを握り、笑いながら質問に答えてくれた。

 

 

 

 

日本に長くいることにより 『試合感』が戻らなかった。

 

 

稲葉玲王@フランス - WSL / Damien Poullenot

 

 

 

2021年の成績は??

 

USオープン : 73位、Vissla プロ エリセイラ : 73位、Quiksilver プロ フランス : 73位 、Haleiwa チャレンジャー : 33位

 

このリザルトを踏まえて、どうすればよかったと思う??

 

2021年は年の後半からのツアースタートでした。 2020年の最後の試合から試合のない期間が1年あり、モチベーションを保ちきれ ませんでした。 こんなに長く試合期間があくことは体験したことがなくて、トレーニングはしてい ましたが、今までサーフィンメインの生活だったのが、日本に長くいることにより 『試合感』が戻らなかった事が原因の一つだと思います。

 

 

昨年のチャレンジャーシリーズではアメリカ、ポルトガル、フランス、ハワイを回った。フランス

 

海の色が変わり勝浦に着いた。

 

 

 

水温が高いからか一月中旬だというのに一宮近辺と違いフル装備のサーファーは少なく、こっちは冬特有の北西の風も若干弱く感じる。

 

 

サーフィン以外でも勝浦によく来てるでしょ??

 

 

海もあり山もあって、なんと言っても魚がいっぱいいてご飯が美味しいです!  勝浦はみんなが家族のような繋がりが深いエリアで地元愛が強く、ウエルカムされれば暖かい町です。

 

 

勝浦・部原にあるBraveSurf

 

コロナで日本にいることが多くなり、初めてハマった趣味が釣りです。 仲の良い勝浦の船方の人達と一緒にやっていますが、勝浦の魚はホントに美味しく て自分で捌いて食べています。 サーフィンが辛くなった時の息抜きにもなり、ハマって本当に良かったと思っています。

 

 

気がつくとお昼時。 お昼を食べながら続きをしましょうよと、玲王がお店に案内してくれた。

 

 

 

 

この試合だけで今年のCSに出れるかどうか決まるので勝たないと意味がない。

 

 

コンテスト期間中の食事で気をつけていることはある?

 

 

もちろんお酒は飲みませんし、自分のベストの体重に合わせるために1週間炭水化物を抜きます。 QSで海外を回っている時は、知らない土地での生物の魚などは避けてお肉と米がメインになります。

 

 

3月末に志田下でWQSアジアオープンが開催されると発表があったけど意気込みは、どんな感じ?

 

前回のQS6000の時に3位になった場所で、地元だし、みんなの応援もあるだろうから、みんなの前で勝ちたいし、この試合だけで今年のCS(チャレンジャーシリーズ)に出れるかどうか決まるので勝たないと意味がないです。

 

毎年この時期はハワイに行ってるけど、寒い時期の重いウエットでの試合の練習をしたいので今年は行かず、辛いけど頑張って練習しています。

 

ライバル選手はいる?

 

あまり気にしないようにしていて特にいないけど、ヒロト(大原洋人)は志田を知っていてホー ムの強さもあり安定しているし、シュン(村上舜)はスピードもありブラジリアンのようなキレと勢いがあるから、勝ち上がっていけば絶対当たる選手なので負けれないです。

 

 

食事を終え、なんとなく一宮エリアよりも風も弱く暖かい感じのするビーチで少し 踏み込んだ質問もしてみた。

 

 

 

 

僕がCTに入って変えられると思ってます。

 

 

今の日本のサーフシーンについての思いなどある?

 

他のスポーツに比べ、今ひとつ盛り上がりに欠けていますね。 試合数も減ったこともあって、食べていけないプロサーファーが増え、道具の提供もままならないのが現状で夢がないな〜と思います。

 

でも、それは僕がCTに入って変えられると思ってます。 日本人の誰かがCTに入れば日本人のサーフィンへの見方が変わると思いますよ。 それが全てだとは思いませんが、QSのLIVEでMCが『マーオーノ!!』って今でも言うように、当たり前のようにLIVEで日本人の名前が言われる存在に僕たちの世代がなって、それを下の世代に学んでもらいたいです。

 

次世代の若い選手へのアドバイスとかある?

 

海外に行っても日本人とばかり一緒にいる気がします。 勝ちたいなら、同世代のトップレベルの外人と一緒に生活するべきだと思います。 一緒に回って生活する環境に自分を持って行った方が良いと思います。

 

プロサーファーYouTuber増えてきてるけど??

 

プロサーファーがサーフィンだけでなくお金を稼げる選択肢が増えたことは良いこ とだと思います。 一般の企業やスポンサーが求めているから企業的にはOKだと思いますが、 中にはそこらじゅうのポイントで撮影しまくり、その場所を守っているローカルに迷惑をかけているって声が多くなってきています。

 

今回だって勝浦ローカルに許可をもらって撮影しているじゃないですか。 そういうところ、ちゃんとして欲しいですね。 じゃないとプロサーファー全体の価値が下がる気がします。

 

 

 

 

太東に住む自分と玲王の住む一宮は車で5分くらいと近く、海での撮影は何時もやっている。 海外のQS撮影も一緒に行ったしトリップも一緒によく行くけど、今日のように板も持たず所謂ドライブというのは初めてだった。

 

今回のインタビュー内容とは全く関係のない話でも盛り上がったし、波も気にせず、のんびりと話だけというのが楽しかった。

 

「今年はクオリファイしますよ!」

 

常にトップにいるプレッシャーは本人にしかわからないしカメラマンの自分には経 験できない。 世界のトップサーファーやメディアに『ジャパニーズ』というものを印象付けるの がどれだけ大変なことか。

 

練習が足りないわけでなくサボってるわけでもない。 昨年より! という思いで日々練習し続けて、結果がついてくることもあればついてこないこともある。

 

誰のせいにもできないアスリート。

 

いつも笑っている玲王の胸の内を少しだけ見れた気がした。

 

今日はどうもありがとう!