湘南茅ヶ崎と千葉東が団体優勝。福島県北泉海岸で開催された「第55回全日本サーフィン選手権大会」リポート

文、写真:山本貞彦

 

「第55回全日本サーフィン選手権大会(2021)presented by マルハニチロ」が福島県南相馬市北泉海岸で10月9日から15日の日程で開催された。この全日本は昨年は開催が見送られ、2年ぶりの開催となる。

 

全国の69支部から予選を勝ち抜いた代表が集結。ショートボード 11 クラス、ロングボード 3 クラス、ボディボード 2 クラスにロイヤル クラス、支部長クラスを加え、全部で18カテゴリー。約1100人の中からこの大会で日本一が決まる。

 

会場では大会スポンサーのマルハニチロのブースもあり、活動内容や商品紹介を行なっていた。スポンサーを受けている松田詩野プロの立て看板がお出迎え。

 

大会の天候は晴れ、曇り、雨、快晴と目まぐるしく変化。気温も夏から冬へ体温調節も大変だったが、期間中の波はコンスタントにあった。福島は常に波がある場所だが、今回は台風19号からのウネリもあり、14日にはセットでダブルオーバーのブレイクも入る素晴らしいコンディションとなった。

 

北泉の根っこポイントのレフト。台風19号からのスウェルが届き、最高のステージが整った。

 

コロナ禍での大会開催ということで、感染症対策はより厳しいものとなった。無観客試合とし、開会式も行わず、競技説明はオンラインで行う。18カテゴリーある種目も、一日ごとに分けて、その日に表彰式まで開催。カテゴリーの違う選手が接触しないようにした。

 

ロープで区切られ、ガードマンが常駐。会場は完全に隔離され、管理された。
出入り口も分けて、動線はしっかり確保。

 

会場は三つに分け、無観客ということで3バンクごとにライブ映像を放映。それに加えライブスコアのページを作り、速報で試合の経過を見れるようにした。さらに各カテゴリーの結果を見直せるようにもなっていて、会場に来れない人への配慮もなされた構成となっていた。

 

ライブMC解説は、高橋みなとプロと愛知の平野海童君が担当。

 

検査を行ってから会場に入る

検温場では新しい機器も導入。検温と同時に手の消毒も行える。

 

感染症対策については、事前にスタッフは抗原検査を行い、陰性を確認した上で参加。選手は参加2週間前からの体温値を記入した「健康チェック票」を提出。さらに選手、選手の帯同者は1名のみとされ、スタッフともに毎日検温を行う。それをクリアしたものしか会場には入れないシステムだ。

 

 

検温チェックに問題がない場合は、日ごとに色分けされたリストバンドを装着。それでエリア内のみ移動ができるようになる。そのエリアは会場の出入り口を限定、さらに会場内も動線を区分けして、密にならないように工夫された。

 

応援はマスク着用で、声出し禁止。みんなジェスチャー、拍手等で応援。

 

支部テントは間隔を取り設置。常にマスク着用で応援も拍手などは容認するものの、声出し無しと徹底された。また、今回は感染対策上、支部対抗のパドルリレーは行わないこととなった。

 

選手の行動範囲も限定され、大会会場とその右横が練習場所となり、それ以外のサーフポイントの立ち入りは禁止とした。

 

 

「トモダチプロジェクト」のステージも開催。このプロジェクトは東日本大震災を機に誕生。歌やダンスを通じて人と人が繋がり合い、生きてゆく元気を伝え合う。
https://www.tomopro37nouta.com/about

 

当初、今年度は愛知の田原で8月開催と発表だった。しかし、コロナ禍により開催時期、場所とも再び変更となり、改めてこの福島県の北泉になった。この福島での全国大会は2008年以来の13年ぶりの大会となる。

 

ボーイズの優勝は渡邉 壱孔(千葉銚子)。最後まで攻める姿勢を崩さすに逃げ切った。
2019年はキッズクラスだった岡野 漣(湘南茅ケ崎)。体格ではまだ差があるもののサーフィンは負けていない。今年はボーイズクラスで準優勝は見事。
ボーイズ3位の長沢 侑磨(東京)は、エアーで逆転に賭けるもインコンプリート。しかし、そのサーフィンは独創的で、見ていてワクワクする。
メン優勝は決勝常連組の石川 拳大(学連)。やはり、スキルだけでなく、戦い方も熟知している。
メン3位 の 齋藤 祐太朗(湘南茅ヶ崎)は、リズムある伸びやかなサーフィンで、ベストライディング賞を獲得。

 

 

新たなサーフィンのステージへ。

 

 

この福島で開催できたこと。コンテストディレクターの室原真二氏は「東日本大震災から10年。南相馬で開催できることに意義を感じるし、本当に嬉しい思いです。長い間、この地をサーフィンメッカ としてスペシャルな環境を整えてきました。

 

しかし、地震、津波で全てを失いましたが、10年かけて、また新たなサーフィンのステージを作ってこれたかなと思います。 四倉で行われた主催大会の級別に続き、 この福島で全日本ができたこと。福島は波も最高と感じてもらえたら嬉しいですね。」と語った。

 

 

福島で開催されたことに感謝。

 

 

昨年はコロナ禍で開催できす、久しぶりとなった今大会。この大会は全国から選手が集まり、競い、交流を図る。感染対策で多少は不自由ではあったものの、選手一同はこの福島で開催されたことに感謝の言葉を口にした。

 

 

ガールズは中塩 佳那(山形)が優勝。 このクラスでは一人、格の違いを見せて4連覇。南相馬市長杯も贈られた。

シニアは僅差の戦い。中村 光喜(千葉西)はリエントリー連発で大逆転優勝。併せて南相馬市長杯も獲得。
ウィメンの優勝は芳田 花瑚(宮崎) 。台風のウネリが届いた会場で、素晴らしいレールサーフィンを見せエクセレント連発。R-2ではヒートトータル18.84ポイントを叩き出す。
ウィメンの澤田 七奈緒(湘南茅ケ崎)。今日はバックサイドで厳しいセクションへの当て込みを何度も見せ、準優勝という結果。

シニアウィメンの 清永 亜希子(湘南茅ヶ崎)は、残り4分で 3マニューバーを入れるサーフィンで逆転優勝。前大会で準優勝の雪辱を晴らした。
ロングボード メンは武川 慎(徳島)が連覇。ノーズだけでなく、レールワークもスムーズだから、マニューバーの演技も映える。

 

 

 

 

実際にこの福島に足を運び、この目で見て、肌で感じて福島の現状を知ること。

 

 

波も人も最高の一週間となった福島での全日本。ここには波もあるし、駐車場やシャワーなど素晴らしい環境がある。実際にこの福島に足を運び、この目で見て、肌で感じて福島の現状を知ること。これこそが福島を応援することになり、これが復興に繋がるんだと改めて実感した大会だった。

 

 

そして、最後に考えなくてはならないのは、これからの大会の在り方。今後、前のような状況に戻れるのか。このコロナ禍で行った形式を続けるのか。それはわからない。ただ、この全日本という1000人規模の大会で、7日間という日程には無理がないのか。実際、福島では波があるものの、通常では7日間も波が続くことは難しい。

 

 

新しい全日本の形を作っていかなければいけないと思う。

 

運営スタッフの減少もあり、今のまま開催するには限界がある。このコロナ禍での開催を機に、参加人数、日程も改めてもう一度、議論する必要があるのではないか。

 

オリンピックで注目された中、オープン会員や一般に向けたサーフィンの普及も併せて考えなければいけない。選手育成と同時に交流の場となっている全日本。支部格差の現状も見直し、新しい全日本の形を作っていかなければいけないと思う。

 

 

第55回全日本サーフィン選手権大会(2021)結果

[キッズ]
優勝:髙井 汰朗(湘南西) 2位 :佐藤 頼斗(湘南藤沢)
3位 :和氣 堆人(湘南茅ケ崎) 4位 :石山 汰一(千葉東)

[ボーイズ]
優勝:渡邉 壱孔(千葉銚子) 2位 :岡野 漣(湘南茅ケ崎) 
3位 :長沢 侑磨(東京) 4位 :西大條 府時丸(千葉南)

[ジュニア]
優勝:鈴木 一歩(湘南藤沢) 2位 :菅原 大地(東京)
3位 :鳥潟 一太(徳島) 4位 :秋友 澪(大阪)

[メン]
優勝: 石川 拳大(学連) 2位 : 平井 宏輔(愛知)
3位 : 齋藤 祐太朗(湘南茅ヶ崎) 4位 : 長島 更(千葉東)

[シニア]
優勝:中村 光喜(千葉西)  2位 :下田 泰成(三重)
3位 :仲村 一智(三重)  4位 :安部 亙(茨城南)

[マスター]
優勝:青山 雄一(千葉南) 2位 :友重 達郎(千葉東)
3位 :小泉 勝(千葉西) 4位 :田村 隆之(湘南藤沢)

[グランドマスター]
優勝: 坂本 應尚(千葉南) 2位 : 伊東 勝彦(宮城北)
3位 :中村 義浩(宮崎) 4位 :磯部 康典(湘南西)
坂本應尚(千葉南)は連覇

[カフナ]
優勝:高橋 誠(宮城仙台) 2位 :三輪 真一(静岡2区)
3位 :久野 孝(徳島) 4位 :時田 一央(東京)

[ガールズ]
優勝:中塩 佳那(山形)2位 :鈴木 莉珠(千葉南)
3位 :上門 涼風(徳島) 4位 :松野 杏莉(千葉東)

[ウィメン]
優勝:芳田 花瑚(宮崎) 2位:澤田 七奈緒(湘南茅ケ崎)
3位:浦野 日菜子(静岡2区) 4位:後藤 夏子(東京)

[シニアウィメン]
優勝:清永 亜希子(湘南茅ヶ崎)  2位 :藤井 真代(東京)
3位 :中原 由未(愛知) 4位 :荻原 浩子(千葉西)

[ロングボード メン]
優勝:武川 慎(徳島) 2位 :中山 智資(徳島)
3位 :北村 健一(千葉銚子) 4位 :平田 拓海(学連)

[ロングボード マスター]
優勝:久保 博崇(湘南茅ケ崎) 2位:小崎 宗大(湘南茅ケ崎)
3位:小林 寛(東京) 4位:塚本 真佐樹(東京)

[ロングボード ウィメン]
優勝:田原 ありい(湘南西) 2位 :仲西 華奈子(和歌山)
3位 :石井 志延(静岡2区) 4位 :大石 梨花(静岡3区)

[ボディボード メン]
優勝:佐藤 海斗(千葉東) 2位 :蛭間 拓斗(千葉東)
3位 :杉澤 嘉洋(湘南藤沢) 4位 :高部 英美(静岡伊豆)

[ボディボード ウィメン]
優勝:我孫子 咲良(湘南西) 2位 :大木 咲桜(湘南鎌倉)
3位 :鈴木 知子(千葉西) 4位 :安井 美紀(愛知)

[支部長]
優勝:田村 隆之(湘南藤沢) 2位:松岡 秀雄(千葉南)
3位:有賀 裕芳(静岡2区) 4位:小池 康之(岩手)

[ロイヤル]
優勝:鈴木 孝史 2位:鈴木 康二
3位:三口 省賢 4位:鈴木 正 5位:山崎 信男 

[団体戦]
優勝:湘南茅ヶ崎 150ポイント
   千葉東   150ポイント
3位 千葉西   145ポイント
4位 千葉南   135ポイント

 

団体戦は千葉東と湘南茅ヶ崎が同点優勝。そして、前回30年以上ぶりの団体優勝を勝ち取った湘南茅ヶ崎は2019年に続き連覇を達成。

 

[パドルリレー]
今大会は行わず

南相馬市長杯:ガールズ / 中塩 佳那(山形)
南相馬市長杯:シニア / 中村 光喜(千葉西)

敢闘賞:グランドマスター / 伊藤義隆(福島)  
ベストライディング:メン / 齋藤 祐太朗(湘南茅ヶ崎)

 

 

ハイライト動画
Day1(10月9日)

Day2(10月10日)

Day3(10月11日)

Day4(10月12日)

Day5(10月13日)

Day6(10月14日)

Day7(10月15日)

 

リザルト
10/9(土) Day1/キッズ、ボーイズ、ジュニア、ガールズ
http://www.nsa-surf.org/news/55th_alljapan_day1_20211009/
10/11(月) Day3/シニア、マスター、カフナ、ロングボードメン
http://www.nsa-surf.org/news/55th_alljapan_day3_20211011/
10/12(火) Day4/ロングウィメン
http://www.nsa-surf.org/news/55th_alljapan_day4_20211012/
10/13(水)Day5/グランドマスター、メン、シニアウィメンクラス、ボディーボードメン、ボディーボードウィメン
http://www.nsa-surf.org/news/55th_alljapan_day5_20211013/
10/15(金)Day7/ウィメン、ロングボードマスター、支部長、ロイヤル
http://www.nsa-surf.org/news/55th_alljapan_day7_20211015/

 

選手の内訳は、2021年度NSA正会員(2020年12月31日までに登録)で、所属支部の代表選手。

○キッズ 平成21年(2009年)1月1日以降生まれの男子 ○ボーイズ 平成17年(2005年)1月1日~平成20年(2008年) 12月31日の男子 ○ジュニア 平成15年(2003年)1月1日~平成16年(2004年) 12月31日の男子 ○メン 昭和62年(1987年)1月1日~平成14年(2002年) 12月31日の男子 ○シニア 昭和52年(1977年)1月1日~昭和61年(1986年) 12月31日の男子 ○マスター 昭和45年(1970年)1月1日~昭和51年(1976年) 12月31日の男子 ○グランドマスター 昭和38年(1963年)1月1日~昭和44年(1969年) 12月31日の男子 ○カフナ 昭和37年(1962年)12月31日以前生まれの男子 ○ガールズ 平成15年(2003年)1月1日以降生まれの女子 ○ウィメン 昭和62年(1987年)1月1日~平成14年(2002年) 12月31日の女子 ○シニアウィメン 昭和61年(1986年)12月31日以前生まれの女子 ○ロングボードメン 昭和52年(1977年)1月1日以降生まれの男子 ○ロングボードマスター 昭和51年(1976年)12月31日以前生まれの男子 ○ロングボードウィメン 正会員の女子 ○ボディボードメン 正会員の男子 ○ボディボードウィメン 正会員の女子 ○ロイヤル 招待者のみ ○支部長クラス   支部長

 

詳しくはNSA ホームページをご覧ください。
http://www.nsa-surf.org