五十嵐カノアが銀メダル。都筑有夢路が銅メダル。波乗りジャパン2個のメダル獲得。初のサーフィン五輪終了

五十嵐カノアと都筑有夢路

台風8号が、27日夜遅くから28日未明に東北に接近・上陸する予報がでる中、大会関係者はコンディションを考慮して、予定を前倒しにして本日をファイナルデイとすると発表。

 

オリンピック大会会場の釣ヶ崎海岸(通称志田下ポイント)は、大会期間中最大のうねりが押し寄せて、オーバーヘッドのコンディションをホールド。北北西のサイドオンショアが強いものの、世界のトップサーファー達が金メダルをかけて戦うには十分な舞台が用意された。

 

 

五十嵐カノアがコロヘ・アンディーノを下して準決勝へ

 

コロヘとカノア ISA / Sean_Evans

 

早朝に行われた男子準々決勝 – 第1ヒートでは、五十嵐カノアがコロヘ・アンディーノと対戦。先制攻撃を仕掛けた五十嵐カノアはスタートからロングウォールの波を掴み、カーヴィングターンをコンビネーション。クローズセクションでのリエントリーもメイクし5.33をスコア。

 

五十嵐カノア  ISA / Sean_Evans

 

続けて波を掴んだ五十嵐は、チューブライドからのクリティカル・リエントリーをコンビネーションし6.67をスコア。素晴らしいスタートダッシュを見せる。

 

コロヘ・アンディーノ  ISA / Sean_Evans

 

コロヘはスタートからエアリバースで応戦。しかし、波を読み切れていないのか、ウェイブセレクションに苦戦する。それでもしっかりとスコアを重ねてトップのポジションを虎視眈々と狙う。カノアもリードしているものの油断はできない。

 

後半に入り、両者ともスコアを伸ばせず、こう着状態が続く。残り5分。ニード6.83のコロヘが波を掴み、チャージを見せるもスコアは伸ばせない。そのままカノアが逃げ切り、セミファイナル進出を決めた。

 

 

セミファイナルで五十嵐カノアは、第2ヒートでバックハンドのエアリバースを決めて今大会の最高得点9.00をマークし、ミシェル・ボレーズを下したガブリエル・メディーナと対戦する。

 

 

大原洋人、イタロ・フェレイラに敗れる。

 

 

イタロ・フェレイラ  ISA / Sean_Evans

 

第3ヒートでは大原洋人が、最大の強敵である世界チャンピオンのイタロ・フェレイラと対戦。開始ホーンと当時にイタロは得意のバックハンド・フルローテーションを決め、メディーナの9.00を上回る9.73をスコア。今大会の最高得点を更新する。

 

大原洋人 ISA / Sean_Evans

 

信じられないほどの高さとランディング・ポジション。このハードなコンディションを味方につけて、身体能力の高さを見せつけるイタロ。大原もバレルライドを決めるなどチャージを繰り返す。イタロはバックアップを少しづつ上げて、大原との差を広げていく。

 

 

大原洋人 ISA / Sean_Evans

 

最後はコンビネーション・シチュエーションに追い込まれた大原は、ラストウェイブで際どいリエントリーを決めて6.73をスコア。コンビネーションを外すも、惜しくもここで敗退。準決勝進出を逃した。大原にとって、地元の応援をパワーに変えて挑んだ初のオリンピックが終わった。それでも日本選手として大健闘とした大原は5位でフィニッシュとなった。

 

 

都筑有夢路が、サリー・フィッツギボンズを下し準決勝へ

 

都筑有夢路 ISA / Pablo_Jimenez

干潮に向かい、ブレイクが速くなり、風も北東に回り込んで厳しいコンディションとなる中、女子準々決勝第4ヒートでは、都筑有夢路が、サリー・フィッツギボンズと対戦。

 

試合巧者で知られるサリーはスタートから素晴らしフォアハンドのスラッシュを見せて6.17をスコアしてヒートを開始。都筑もそれに対し、サイズのある掘れた波で2ターンを決めて6.67をスコア。このライディングでジャッジが都筑のサーフィンを高く評価していることが分かった。

 

サリー・フィッツギボンズ ISA / Pablo_Jimenez

 

サリーは立て続けにライディングを重ね、リードしていく。都筑はじっくりと波を待つ作戦で、セカンドウェイブでバンピーなセクションを物ともせず、2度のターンを決めて4.10をスコアしてトップに躍り出る。

 

都筑有夢路 ISA / Pablo_Jimenez

 

サリーも調子を上げていくが、乗る波が見えている都筑のサーフィンは勢いを増すばかり。深いボトムターンから、掘れ上がるクリティカル・セクションで激しいトップターン。そしてクローズアウトリエントリーを決めて6.60をスコア。強敵サリーを追い込んでいく。そのまま都筑が逃げ切り準決勝へ勝ち上がった。

 

 

五十嵐カノアが、強豪メディーナを大逆転で下し決勝進出。

 

ガブリエンル・メディーナ ISA / Sean_Evans

 

続けて行われた男子準決勝では、五十嵐カノアが、強豪ブラジルのガブリエル・メディーナと対戦。メディーナがスタートからバックハンドのフルローテーションを決めて8.33をスコア。

 

カノアも、ここまで封印していたエアリバースを難しいセクションでメイク。7.67をスコア。メディーナは続けて7.10をマークして僅か数分で世界最高峰のサーフィン・テクニックが繰り広げられる展開に。

 

いとも簡単にバックハンドのエアリバースをメイクしていくメディーナは2本目の8ポイントをマークヒートスコアは16.76という驚愕のスコアとなっていく。完全にエアーゲームとなることは承知していたはずのカノアだが、完全に後手に回った。

 

五十嵐カノア ISA / Pablo_Jimenez
五十嵐カノア ISA / Pablo_Jimenez

 

しかし、メディーナ相手に普通にやっていていは勝てないと考えたカノアは、残り時間10分を切って、波にテイクオフ。エアセクションまで高速で走り、そのまま空中へ飛び出した。

 

そして難易度の高いスロブエアのフルローテーション、フラットなポジションにランディングしコンプリート。そのライディングは9.33をスコア。大逆転でカノアがトップに躍り出る。そのままカノアが逃げ切り、決勝進出を決めた。

 

 

イタロが決勝進出

 

男子準決勝のヒート2では今回好調で大会2日目の最高得点をマークしたオーウェン・ライトと世界チャンピオンのイタロ・フェレラが対戦。かなりの接戦となったが、気迫の違うイタロが決勝進出を決めた。

 

女子の準決勝ヒート1では金メダル候補の一人であるアメリカのキャロライン・マークスが、今回ギルモアを倒した南アフリカのビアンカ・ブイティンダグと対戦。

 

ヒートはまさかの展開で、キャロラインが波を読めず、ウェイブ・セレクションに苦戦。それまでのサーフィンを全く見せないまま敗退となった。

 

 

都筑有夢路が、世界チャンピオンのカリッサ・ムーアと対戦。

 

都筑有夢路 ISA / Pablo_Jimenez

 

女子の準決勝ヒート2で、日本の都筑有夢路が、世界チャンピオンのカリッサ・ムーアと対戦。カリッサ・ムーアと都筑の関係は特別なものがある。カリッサが1年のツアー休場を宣言し、それで都筑が繰り上げでクオリファイしたのだ。

 

今年リプレイスで念願のCT出場を果たした都筑だが、CTのヒートではまだカリッサとは当たっていない。そんな二人がオリンピックの準決勝で対戦することになるとは思いもしなかった。

 

ヒートは両者ともウェイブセレクションに苦戦。ロースコアのスローな展開となる。しかしカリッサはスコアを揃えてヒートをリード。都筑も応戦するがスコアを伸ばせる波を見つけられない。

 

しかし、ヒート後半に入り、アウトからブレイクする波をインサイドまでつなぎ、クローズセクションでの得意のリエントリーを決め4.50をスコア。ニード3.50という僅差まで追い上げる。

 

残り時間は2分を切り、ラストチャンスの波を掴んだものの、ボトムターンの途中でまさかのワイプアウト。こんな事があるのかと思うほどだったが、緊張と焦りから来るリキミか、普段では考えられないミスが起こるのがオリンピックということなのか。

 

そして、世界チャンピオンと互角に戦った都筑有夢路は、キャロライン・マークスと3位決定戦を戦うこととなった。

 

 

オーストラリアチーム ISA / Pablo_Jimenez
オーウェン・ライト ISA / Pablo_Jimenez

 

3位決定戦はオーウェン・ライトとガブリエル・メディーナ。ヒート後半に素晴らしいカービングターンを決めたオーウェンがヒートをリード。メディーナもバックハンドのフルローテーションで反撃するも逆転ならず。激しいデットヒートの末、オーウェン・ライトが見事、サーフィン・オリンピック初の銅メダルを獲得した。

 

 

都筑有夢路がキャロライン・マークスを下し、銅メダルを獲得。

 

都筑有夢路 ISA / Ben_Reed

 

3位決定戦は都筑有夢路とキャロライン・マークス。強敵のキャロライン・マークス。前のヒートでは全く波が見えていなかったキャロライン・マークス。今回の厳しいコンディションながら、都筑はインサイドのぶ厚いリップめがけてボードを当て込み、リエントリーを決め5.00をスコア。アドバンテージを取る。

 

都筑有夢路 ISA / Ben_Reed

 

ヒート前半に波に乗らなかっらキャロライン・マークスは、バックハンドでチャージをするも2.23とスコアは伸びず。セカンドウェイブも選ぶ波が悪いのか、彼女のサーフィンが全く見られない。

 

都筑有夢路 ISA / Ben_Reed

 

アウトからくるスープに何度ドルフィンしたのだろうか。時間だけが過ぎ、体力的にも限界だ。そのまま両者ともノーライドで終了のホーンが鳴り、都筑有夢路の銅メダルが確定した。

 

都筑は今年CTに初参戦すると、目を見張る活躍を見せて世界を驚かせた。そんな彼女が今回、オリンピックという舞台でメダルを取ったことで、更に世界からの注目が集まることだろう。

 

 

 

「厳しいコンディションでも辛い時でも頑張ってきて良かったなと思いました。私がメダルを取ったことで、日本中の人にサーフィンを知ってもらえたら嬉しいです。」と喜びのコメント。

 

「本当は金メダルが欲しかったです(笑)色々な人にサポートしてもらって、その応援に応えたいという気持ちが、今回の大会の自分を支えてくれました。本当に応援ありがとうございました。これからもっと強くなれるように頑張ります。」

 

「応援ありがとうございました。パパとママと、お兄ちゃんのモモトと弟のテンちゃんには、本当に感謝しきれないくらい感謝したい気持ちでいっぱいです。」と家族への感謝の思いに言葉を詰まらせた。

 

 

 

五十嵐カノア、銀メダル。イタロが金メダル。

 

イタロ・フェレイラ ISA / Pablo_Jimenez

サーフィン男子決勝は日本の五十嵐カノアとブラジルのイタロ・フェレイラ。オープニングライドでイタロがサーフボードを折るアクシデントが発生。カノアはインサイドまでつなぎ、クローズセクションで見事なリエントリーを決める。

 

イタロ・フェレイラ ISA / Pablo_Jimenez

 

すぐにスペアボードを手に入れたイタロは、そんなアクシデントも物ともせずに、凄まじいフォアハンドのビッグスナップを連発して7.00をスコア。続けてバックアップ5.50をスコアしたイタロはヒートスコア12.50としてヒートをリードする。

 

五十嵐カノア ISA / Pablo_Jimenez

 

逆に波を読み切れないカノアは、スコアを伸ばせない。ヒート後に「海の中でリズムを見つけられなくて、コンディションも変わってしまった。」とコメントしているカノア。難しいコンディションなかでもイタロは次から次へと波に乗っていく。

 

トップスコアを7.77に塗り替えたイタロは、カノアをコンビネーションに追い込んで圧勝。最後までチャージを続けたカノアだったが金メダル獲得ならず。それでもサーフィン初の銀メダルを獲得した。しかし、金メダルだけを狙っていたカノアにとって、それは受け入れられない結果だった。

カノアを称えて抱きしめるマー大野

 

「本当に悔しい結果です。ファイナルまで来れたから本当に金メダルを取りたかった。チャンスがなかったことが悔しかった。サーフィンはそういうこともあるんですけど、準備は出来ていても波に乗らないと点数は出ない。今回の結果は目標には近かったけど、欲しいと思っていたメダルではなかったです。でも、みんなの応援で力をもらってメダルを取れたことは嬉しいけど、ちょっと残念です。

 

ヒートが終わったばかりで、よく考えがまとまっていないですけど、そういうヒートもあるんです。海の中でリズムを見つけられなくて、コンディションも変わってしまった。波を待つ場所が違っていたのかなとか。もしかしたらプランが間違っていたのかなというのもあるので、技を決めるとか決めないとかじゃなくて、正しい波に乗れていなかったことで、自分にチャンスを与えられなかったというのが悔しいです。」とコメント。

 

家族に対する思いを聞かれると「今回も一緒にいてくれて、今回だけじゃなくて家族のサポートに本当に感謝している。」と言葉を詰まらせていたカノア。

 

これまで、どれほど大きな重圧と戦ってきたのか。家族、仲間、ファンの期待に応えるため、そして自分の夢を叶えるため。君のその思いは日本のファンに絶対に届いている。感動をありがとう。そして、明日から、次のゴールに向かって突き進め。がんばれ!カノア!

 

 

このメダルは僕一人のメダルではなくて、日本のメダル。

 

サーフィン男子初代メダリストたち ISA / Pablo_Jimenez

 

 

「今日は一生忘れられない日になりました。サーフィンの歴史に刻まれた特別な日です。決勝では勝ちたかったけど、メダルが取れて嬉しいです。今回はみんなの力でここまでこれました。このメダルは僕一人のメダルではなくて日本のメダル。金メダルだったらもっと良かったんですけど、応援ありがとうございました。」

 

五十嵐カノアと都筑有夢路は、サーフィン界にとっても初のメダリストであり、日本の素晴らしい栄誉をもたらしてくれた。本当に感動をありがとう。

 

 

 

カリッサ・ムーアが金メダル。ビアンカ・ブイティダグが銀メダル

 

カリッサ・ムーア ISA / Ben_Reed

 

サーフィン女子決勝はカリッサ・ムーアとビアンカ・ブイティダグ。このタフなコンディションの中で7.33という高得点をマークしたカリッサがヒートをリード。

 

カリッサ・ムーア ISA / Ben_Reed

 

更に素晴らしいラウンドハウスカットバックからのレイバックスラッシュを決め、7.33をスコア。対戦相手のビアンカをコンビネーションに追い込む。そのままカリッサがサーフィン女子の初代金メダリストとなった。

 

 

NHK 東京2020オリンピックサイトでは、見逃し動画もあるので要チェック。

 

 

gorin.jp 民放オリンピック公式動画サイト

https://www.gorin.jp/live/game/SRF/

 

NHK 東京2020オリンピックサイト

https://sports.nhk.or.jp/olympic/sports/surfing/