今年も台湾で「World Junior Championships」が開催された。この大会はISAが年齢別男女で行うのと違い、18歳以下のみ1カテゴリーの男女別。世界7地域に分けられたWSLのリージョナルから男子3名、女子2名が代表に選出され、ワイルドカードを加え男子24名、18名で争われる。
今大会から男子の枠が36名から24名になり狭き門に。この変更でアジアリージョナル 4位であった加藤翔平は補欠へまわることになってしまった。女子の選出人数は変更なし。また、この大会はエントリーが無料であったが、今年からUS$100を徴収。賞金額は優勝男子 US$15,000が US$10,000とされ、これで男女とも同額となった。
WSL Junior Championships 2019
WSL Junior Championships 2019
会場はの台東 金樽漁港。午後には風が強く吹くポイントで、今回の平均サイズは4-6フィートオーバー。特に最終日はサイズアップで流れも入り、選手にとっては厳しいコンディション。スキルだけでなく、メンタル、タクティクスをフル動員するタフな戦いとなった。
今年度のアジアリージョナルの代表はインドネシアからKetut Agus 、日本からは村田嵐、矢作紋乃丞。女子は脇田紗良、松田詩野。これにWSLインターナショナルからワイルドカード枠で安室丈と都筑有夢路が選出され、今大会に臨んだ。
都筑有夢路 (JPN)
都筑有夢路 (JPN)
都筑有夢路 (JPN)
今大会の大注目は女子の都筑有夢路。試合はクォーターファイナルではフィンボックスごと紛失するアクシデントもあったが、田中樹コーチの指示の元、冷静に対処。セミファイナルでは追い込まれるも特大クローズビッグセットをメイクし、大逆転で決勝に進んだ。
その決勝はカレントも強く、6フィートオーバーと限界のサイズ。相手は今まで一度も勝てていないAlyssa Spencer (USA)。しかし、ここでも臆することせず、最後まで自分のサーフィンで攻め切り、日本人選手として初のタイトルを奪取。日本のサーフィンの歴史に新たな1ページを記した。
都筑有夢路 (JPN)
都筑有夢路 (JPN)
都筑有夢路 (JPN)
都筑有夢路。最後まで諦めない強い気持ち。セミでの逆転劇も必然だった。それは3年前から準備をし努力をしてきたことからの自信。自分は前から何も変わらないと言う。WJCはWSLでワールドタイトルを取る為の通過点。優勝できたのは彼女自身のサーフィンに対しての強い想いだった。優勝!おめでとう!
脇田紗良 (JPN)
脇田紗良 (JPN)
また、3位には脇田紗良。セミで敗れるものの小柄ながらパンチ力のあるサーフィンを披露。試合をするごとに学び、強くなるというコンペティターとしての理想の姿をこの大会でも見せてくれた。今シーズンは自分の調子を見て、良い時、悪い時の対応を覚えたことがこの成績につながった。これから脇田もさらに強くなるだろう。来年の飛躍を期待させる集大成の試合となった。
松田詩野 (JPN)
松田詩野 (JPN)
もう一人の女子、松田詩野は残念ながら本人とっても不本意な結果となったが、次の課題が見つかった。元々、勝負強さを持っている松田だが、自分の勝つ試合は自らがコントロールできていることから、改めて集中と緊張の緩和を学んだ。この結果も明日へ繋げる材料となったはずだ。メンタル、スキルと確実に向上していることで、来シーズンの更なる活躍に期待。
安室丈 (JPN)
安室丈 (JPN)
男子では河村海沙コーチ帯同の元、ジュニア最終年となることで万全の準備をしてきた安室丈。スロースタートだったものの、これまでの実績と自信で強敵を撃破。セミでは最後の最後まで試合を諦めず戦い、逆転はならなかったものの3位という成績でフィニッシュ。決勝に残ればプライムのシード権を確保できるという目標は果たせなかったものの、河村コーチとともに新たに戦い方を学んだ。
村田嵐 (JPN)
村田嵐 (JPN)
矢作紋乃丞(JPN)
矢作紋乃丞(JPN)
今回の初参戦となった男子の村田嵐、矢作紋乃丞。ポテンシャルはあるものの、正直、経験不足は否めなかった。勝てる試合を落としたのは、本人が一番悔しいと思うがこれも現実。自分に何が足りなかったのか、この経験を無駄にせず次に進んで欲しい。
加藤翔平 (JPN)
加藤翔平 (JPN)
また、加藤翔平は補欠で出場することができなかったが、本人は何も悪くない。今回、腐らずに積極的に練習していたことは評価に値する。そのポジティブな思考はコンペティターとして重要だ。現場でしか学べなかったことを役立て、これをバネにリベンジして欲しい。
日本のサーフィンの実力を示した結果となった今大会。女子は優勝するだけの実力を備えた選手がこれからも続く。男子は昨年に西優司、今年はこれで安室丈が卒業。ほぼ世代交代に入ったと言えるだろう。
JJPも選手の世代交代に合わせて、一からサポート方法を考え直す時期になった。強くなるためには、メンタル、フィジカル、タクティクスなどそれぞれの選手に足りないところを補完する為のコーチの分業制も必須となるだろう。
日本の選手育成には協会の連携を前提に、メーカーなど関連業界のバックアップ。オリンピックはもちろん、これからの日本のサーフィンの発展のためには、スポーツとして選手をアスリートとして根付かせることも必要だ。
JJPはこれからも選手のためにこの活動を続けていきます。引き続き、応援よろしくお願いします!
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「WSL Junior Championships 2019」
期間: 2019.11/26-12/1
会場: 台湾 / 台東 金樽漁港(Taiwan / Taitung Jinzun Harbor)
・Men’s
優勝: Lucas Vicente (BRA)
2位: Kade Matson (USA)
3位: Justin Becret (FRA)、安室丈 (JPN)
5位: Kauli Vaast (PYF)、Tane Bowden (NZL)、Eli Beukes (ZAF)、Jett Schilling (USA)
9位: 村田嵐 (JPN)、Ketut Agus (IDN)
17位: 矢作紋乃丞 (JPN)
・Women’s
優勝: 都筑有夢路 (JPN)
2位: Alyssa Spencer (USA)
3位: Gabriela Bryan (HAW)、脇田紗良 (JPN)
5位: Kirra Pinkerton (USA)、Savanna Stone (HAW)、Caitlin Simmers (USA)、Sol Aguirre (PER)
13位: 松田詩野 (JPN)
※大会 HP
・Men’s
https://www.worldsurfleague.com/events/2019/mjun/3175/wsl-junior-championships
・Women’s
https://www.worldsurfleague.com/events/2019/wjun/3176/wsl-junior-championships
・大会 フォト
WSL Junior Championships 2019
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