ニューキャッスルで行われたQS2000、ゴールドコーストに住む留学生たちとのサーフセッション、集中トレーニングキャンプ

現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】今回は選出された5名による集中トレーニングキャンプの話、ニューキャッスルで行われたQS2000、ゴールドコーストに住む留学生たちとのサーフセッションに加え世界中から移住者が集まるゴールドコーストのお話もあり。

 

取材、文、写真:菅野大典

 

11月のゴールドコースト。

 

プルメリアの花も咲き始め夏本番になってきました。天気の崩れる日も多くありましたが、気温も水温も上がり海ではボードショーツ一枚で遊ぶ人が多くいます。

 

11月はYear12(日本で言う高校3年生)の生徒が卒業する月となっていて、スクーリーズと呼ばれる卒業旅行イベントがサーファーズパラダイスを中心に賑わいを見せております。

昔と比べて人数は少なくなっているものの、街中やビーチには若者がたくさん。オーストラリアの若者にとって楽しみなイベントの一つとなっています。

波の状況は相変わらず北風の吹く日が多く続きましたが、質の良いうねりが入る日もありました。

 

澤田昇太

少しくらいのオンショアならD-BAHは最適な練習場。システムサーフボードのコービー・パコビッチの下で働きながらサーフボードクラフトマンの道を歩んでいる澤田昇太。最近はサーフィンの技術を上げる目的だけでなく、クラフトマンとしての技術やサーフィン業界の勉強をしようとして移住してくる若い日本人も多く目にします。

 

地形の良い場所では久しぶりとも言えるチューブコンディションの日も。

 

 

グリーンマウントにはロングボーダーやミッドレングスに乗ったものすごい人数のサーファーが集まっていました。

スナッパーロックスボードライダーズもクラブラウンドを行っており、ピーク周辺にはキッズから一般サーファーまで多くの人でいっぱいに。海の中は久しぶりに質の良いロングウォールを楽しむたくさんのサーファーで溢れていました。

 

各地でイベントも多く開催。

サーフィンオーストラリアのハイパフォーマンスセンター(HPC)では、シーズ・エレクトリック・シーズン4で選出された5名による集中トレーニングキャンプが行われました。

 

 

毎年行われているこのイベントは、オーストラリア全土の14 歳以上の女性サーファーに向けて開催され、各エントリー者がアップした自分のベストウェーブ動画が審査されトップ5を選出。

全国規模で才能のある女性サーファーの発掘とサポートを目的としたオンラインコンテストで、トップ5に選出されたアスリートは、HPCでの3日間の集中サーフキャンプに参加でき、トップコーチ陣によるサーフィンの解析、ワークショップなどが行われます。

 

 

 

キャンプ後のノックアウト方式のサーフオフではインディア・ロビンソンが全シーズンに続き優勝し賞金1万ドルを獲得。2〜5位の選手にもそれぞれ 1,000ドルが授与されました。PHOTO:SURFING AUS

 

 

毎年大きな盛り上がりを見せるオーストラリア国内の特大イベントとも言えるオーストラリアンボードライダーズバトル(ABB)の予選も全地域で終了。

オーストラリア全土から出場資格を得た40のボードライダーズとワイルドカードを得たバイロンベイ・ボードライダーズとノースシェリー・ボードライダーズを加え、出場する42クラブが決定しました。

 

 

 

北NSW州予選で優勝したコフスハーバーボードライダーズ。本戦となるグランドファイナルはバーレーへッズで3月7、8日に開催される。PHOTO:SURFING NSW

 

11月21日〜23日にはニューキャッスルでQS2000 Novotel Newcastle Women’s Pro & Frame Promotional Products Men’s Proが開催。

 

ファイナリスト WSL / Darren Anderson
Sarah Baum – WSL / Darren Anderson
Dane Henry – WSL / Darren Anderson

 

ニューキャッスルのイベントである『サーフェスト』の一環として行われた今大会。女子優勝はサラ・バーム、2位フィリッパ・アンダーソン。男子優勝は意外にも初のQS優勝となるISAワールドチャンピオンのデーン・ヘンリー、2位は現在CSランキング7位のブラジリアン、マテアス・ハーディーでした。

マテアスはCS最終戦が行われる場所という事なのでヒート練習の目的なのか、リビアプロジェクトチームで試合のトレーニングをしていたようです。

 

11月28日からはオーストラリアン・ジュニア・サーフィン・タイトルが8日間のイベント期間でNSW州のウロンゴンで開催しています。

 

 

オーストラリアのジュニアサーファーにとって最も重要となるこのイベントについては、また来月レポートします。

 

 

今月はゴールドコーストに住む留学生たちと一緒にサーフセッションをしました。

 

11月にパームビーチカランビンステート(PBC)を卒業した荒川正宗と佐藤海斗、エラノラステートを卒業した永井結人、現在専門学校に通っている丸山晴凧。

昨年度クイーンズランド・ボディーボード・ステートタイトルで優勝し、クイーンズランドチャンピオンにもなった経験を持つボディボーダーの佐藤海斗。

彼は留学期間中、ゴールドコーストに3年間滞在し、クーランガッタにあるインバーティッド・ボディボードショップの店員を務めながら、オーストラリアのボディボードコミュニティにも深く入り込んでいる。

スラブや掘れたセクションのあるブレイクがたくさんあるオーストラリアは、サーフィンと同様に人気がありたくさんのボディボーダーが集まります。今年エラノラステートを卒業した永井結人。

 

ミックファニングや、パーコが在籍していたことで有名なPBCのサーフィンエクセレンスが注目されていますが、エラノラステートでも『COOEE』というプログラムがあり、海に関わる授業として月曜日から木曜日までは早朝に週4回のサーフレッスン、金曜日は学校に登校せずにサーフィンをするという驚きの内容。

コーチはクレイトン・ニエンバーがやっていて、在校生にはジギー・マッケンジーやリコ・ハイビトルといったオーストラリアを代表する若手サーファーがいます。

COOEEとは『集まれ』を意味するアボリジニーの言葉で、海やコミュニティへの呼びかけ、つながりの象徴として選ばれており、柔軟でライフスタイル重視型であるCOOEEのプログラム。

サーフィンに加えて、海や自然との関わり、自然との共生感覚、海に関するのリテラシーを学んだり、朝からビーチでサーフィンというスケジュールから、『早起き・規律・生活リズムの安定』など、技術以外の人間力も育てる構造。

学校側は「単なるスポーツスクール」ではなく、人生に活きるスキル、社会性、自立、雇用・進路の選択肢”を伴う学びの枠として設計しています。

 

鋭いリップを繰り出す永井結人。日本にいた頃はサーフィン歴の浅い週末サーファーであったが、ゴールドコーストに来て見違えるほどの上達を果たした。

彼はCOOEEのプログラムを通して、ライフガードの資格も取得しており、現在はライフガード、サーフィンスクールの仕事をやりながら専門学校に進学予定で、日本ではなかなか味わえない貴重な体験をしている。

 

 

他の学校でも授業でサーフィンが取り入れられている所もあり、小学校高学年にあたるYEAR5、6(10〜12歳)の生徒が海で授業を受けている光景も目にします。

 

世界中から移住者が集まるゴールドコースト

 

 

ゴールドコーストはサーフィンオーストラリアに認可されたサーフスクールが各地に点在しているのに加え、個人のサーフスクールもたくさんある事から幅広く需要があり、身近なものとして取り込まれているように感じます。

 

ゴールドコーストはワーキングホリデーや留学生にとって人気の場所の一つで、サーフィンの技術だったり、英語力だったりといった目に見える物を目的にする人も多いですが、海外で生活するといった事自体が1番貴重な経験だと思います。

 

他文化の人と生活したり働くという事は、英語の壁というよりも文化の違いに苦労する事が多く、世界中から移住者が集まるゴールドコーストの社会で生活していると、基本的に真面目な性格である日本人にとっては驚くような事がたくさんあります。

 

11月25日に給料や労働時間の改善を求めてクイーンズランドの教員達により、今年2回目となるストライキが実施されて、学校に先生が来ませんでした。

 

違ったのライフスタイルに慣れすぎてしまい日本に帰国して社会に出た時に、浮いた存在になる人も多いとよく聞きますが、若い時代に色々な環境下で経験を積める事はとても貴重な事。

 

日本人にとっても環境に溶け込みやすいゴールドコースト

 

ゴールドコーストは比較的に移民に優しく、日本人にとっても環境に溶け込みやすいと思います。有効提携を結んでいる神奈川県とはライフガードの交換プログラムもあったりと、ワーキングホリデーや学生以外の道もあり、自主性のある、得意分野に特化した教育方針など、日本とは違った環境下で生活してみるのも良い経験と感じます。

留学生から、学生生活の様子を聞けた楽しいサーフセッションができました。

 

 

会場となるペルーのプンタロカス / Photo: Michael Tweddle

 

来月はいよいよ2025年最後の月。オーストラリア国内の試合ではありませんがISAジュニア・サーフィン・チャンピオンシップがペルーで開催されます。

現在オーストラリアが最も力を入れて育成に取り込んでいる世代をはじめ、世界中から集まるジュニア世代の1大イベントに注目が集まります。

 

11月初旬にフランスで行われたリップカールグロムサーチのインターナショナルファイナルで優勝したオーシャン・ランカスター

台湾で行われたQS6000の優勝者であるルーシー・ダラーと共に、U16のオーストラリアナショナルチーム代表としてイベントに参加。他にもシエラ・カーやミラ・ブラウンといったタレントが揃うオーストラリアのジュニアチームが昨年に続き金メダルを獲得できるのか注目が集まります。

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。