
フランス領ポリネシア、チョープー – 2024年7月29日 パリオリンピック2024サーフィン競技の会場となっている南太平洋に浮かぶタヒチ島のチョープー。太平洋からの力が鋭く浅いリーフにヒットしブレイクした10フィートのソリッドなセットは、何故オリンピックの会場として、この場所が選ばれたのかを証明しているかのようだった。


そしてパリオリンピックというスポーツの大舞台で、世界最高峰のサーファーたちが他では見られないようなショーを見せてくれたのだ。
大会3日目の本日は男子のラウンド3が終了し、クオーターファイナル進出が決定。女子はコンディションが悪化したため中止となり、明日以降に延期となった。

男子サーフィンのビッグネームたちは、オリンピック金メダル獲得に向けて、その大波に尻込みすることはなく、ブラジルのガブリエル・メディーナと フランスのジョアン・ドゥルがその頂点に立った。
メディーナは9.90というオリンピック史上最高のシングル・ウェイブスコアを叩き出し、ドゥルは18.13というハイエスト・ヒートトータルを記録した。ドゥルのスコアはジョアオ・チアンカの18.10に僅か0.03差。チアンカはラムジ・ブーキアム (MAR)との歴史に残る接戦を制した。





心が震えた稲葉玲王が見せた渾身のチャージ。
またペルーのアロンソ・コレアと日本の稲葉玲王が勝利を収め、ベスト8進出が決定。オーストラリア、ブラジル、フランスがQF。メキシコ、モロッコ、南アフリカ、USAのメダルへの望みは絶たれた。





稲葉玲王は、H2で世界チャンピオンのフィリッペ・トリードと対戦して、見事な勝利を収めた。
今日の神がかり的な大波へのチャージは、昨年癌で亡くなったプロサーファーでビッグウェイバーの小川直久プロが乗り移ったようなライディングだったと多くの人が感じたかもしれない。
試合前に「一生忘れられない波に乗る」と誓った稲葉は、それを有言実行してみせた。このようなコンディションになって、稲葉がこのモンスターウェイブに対して、ここまでチャージを見せられたのは、これまでのサーフィン人生の賜物だ。
次のラウンドでも臆することなく、家族や友人、多くのファンの応援を力に変えて素晴らしいチャージを見せて欲しい。
【速報!】稲葉玲王が世界チャンピオンのフィリッペ・トリードを下しQF進出。パリ五輪サーフィン3日

2023 WSL世界ランキング2位のイーサン・ユーイング (AUS)は、チョープーの海で背中を骨折してから1年も経たないうちにチョープーを攻略。ユーイングのチームメイトであるジャック・ロビンソン (AUS)は、2度のWSLワールド・チャンピオンであるジョン・ジョン・フローレンスに対して無敗をキープし、フローレンスのチームメイトであるグリフィン・コラピントは 、ローカル・タヒチアンのカウリ・ヴァーストに破れた。
待望の再戦でガブリエル・メディーナがリベンジを果たす

オリンピック最終予選となった2024 ISAワールド・サーフィンゲームス金メダリストのガブリエル・メディーナ(BRA)は、待ちに待ったリマッチでスタートからハングリーであり続けた。

東京オリンピック2020の準決勝で、東京2020銀メダリストの五十嵐カノア(JPN)に敗れたメディーナは、オリンピックのメダルへのチャンスを逃すつもりはなかった。
「東京の時はメダルまであと一歩のところだっただけに辛かった」とメディーナは語った。
信じられないほど分厚いリップの真下に飛び込んだWSLワールドチャンピオンに3度輝いたメディーナは、ビーストに飲み込まれた後、10本の指を大きく広げ、両手を空高く掲げてスピッツアウトした。
2人のジャッジが10点のパーフェクトスコアをつけ、最終スコアはオリンピックサーフィン史上最高の9.90となり、それは五十嵐が東京2020で記録した9.33を上回った。五十嵐はこのヒートでリズムをつかめず、メディーナはゴールに一歩近づいた。

「波がとにかくパーフェクトだった」と語ったメディーナ。「自分はもうダメだと思っていたのに、『やってみなくちゃ』って思ったんです。風に少しつかまったけど、そのまま攻めて波が10だったから、9.90を出せてストークしています。波がいいと落ち着くんです。
このような状態が続く限り、誰にとってもいいし、いい波をつかんだ人が勝つんです。今日は夢のようなサーフィン日和。オリンピックでこんな波が来るなんて想像もしていませんでした。」
冷静沈着なドゥルがISA金メダリスト同士の戦いに大勝

2023年ISAワールド・サーフィンゲームス金メダリストのアラン・クレランドJr(メキシコ)は、今日のコンディションに闘志を燃やしていた。22歳の彼は8.17を含む非常に印象的なパフォーマンスを披露したが、フランスのジョアン・ドゥルの冷静さは、彼を別次元へと導いた。
2021年ISAワールド・サーフ・ゲームスのゴールドメダリストであるドゥルは、このイベントで最も印象的なバレルを2本成功させ、それぞれ9ポイント台のスコアを獲得。
その結果、18.13のヒートトータルは、これまでのイベント最高であり、オリンピックサーフィン史上においても歴代最高得点となった。2024年パリ大会への出場を最後に競技サーフィンを引退する35歳のドゥルにとって、まさに相応しいフィニッシュとなった。
「ヒートでディープなサーフィンをし、人生最高のバレルを2回成功させることに集中しました」と語ったドゥル。「本当に長いキャリアを積んできて、今ここにいることにとても興奮しています。自分が望んでいたようなフィニッシュを待っていました。世界最高の波に乗れて本当に嬉しいです。プレッシャーを楽しみながら、この瞬間を楽しんでいます」。

2024年ISAワールド・サーフィンゲームス銀メダリストのラムジ・ブーキアム(モロッコ)は、ブラジルのチャージャー、ジョアオ・チアンカと、サーフィンの最高峰を讃える非常にタイトなバトルを展開。

2人は激しいバトルを繰り広げ、8ポイント、9ポイントのライディングをエクスチェンジ。両者ともビハンド・ザ・ピークからテイクオフし、ヘビーなウェストボウルのチョープーのバレルをドライブ。
ラインナップでお互いの素晴らしい波のエピソードを語り合う2人の表情からは、感動が消え去ることはなかった。
「正直なところ、このような波では、何もかも忘れてしまう。」とブーキアムが言った。「素晴らしいヒート、素晴らしいバレル。僕はその中で戦っているんです。私たちはそれほど真剣ではなく、楽しもうという感じでした。
最初から、トレーニングセッションの時から、もしビッグバレルになって、一緒にヒートすることを想像していたんです。そして、ああ、これだ、これだと。パンピングして、お互いに連続で波に乗って。 最後には、どうかもう1回だけエクスチェンジができますようにって感じでした、彼はスコアが必要だったけれど、最高の男が勝ちますようにと願いましたが、波が来たのは1回だけでした。」
2人の偉大なバレルライダー、ロビンソンとフローレンスが緊迫したバトルで限界をプッシュ。

キャリア4度目の対戦となった、2度のWSL世界チャンピオン、ジョン・ジョン・フローレンス(USA)とジャック・ロビンソン (AUS)。
史上最も偉大なバレルライダーである2人のラウンド3ヒートでは、最高のバトルが繰り広げられることが期待された。世界中が注目する中、2人は可能性の限界にプッシュし、リーフの深い場所から何度も波を取りました。

長いバレル・セクションをプッシュしようとして、何度もヘビー・ワイプアウトを喰らい、両者とも2ポイント以上のライディングを記録するのにヒートの半分以上を費やした。
ロビンソンは何とか7.17をマークして、バックアップの5.83をすぐに6.77に塗り替えた。残り5分、フローレンスは6.50をスコアし、1ポイント台から抜け出すことに成功。しかし、逆転には至らず、ロビンソンに無敗を許してしまった。
「僕たちは多くの歴史を共にしてきた。そして、これからもさらに続くと確信している」とロビンソンは語った。「ちょっとしたバトルになることは分かっていたし。僕たちふたりは簡単にはいかないでしょう。お互いにプッシュし合うだろうし 。あのヒートの後、ふたりとも調子が良かったからうれしいよ」。
男子の準々決勝を戦う8名が決定。
男子のクオーターファイナルでは、ISAワールド・サーフィンゲームスで出場権を獲得した4人のサーファーが、WSLチャンピオンシップ・ツアーで出場権を獲得した4人のサーファーと対戦する。
そのうちの3ヒートでは、金メダル獲得を目指すチームメイト同士が対戦することとなった。非常に楽しみなヒートばかりだ。
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男子ラウンド3では、日本の五十嵐カノアとコナー・オレアリーが惜しくも敗退。
「今日はプロサーフィンに参加できる素晴らしい日だった。」とコナーがSNSでコメントした。
「負けてしまったことはとても残念だけど、自分のすべてを出し切ったことには満足しています。タヒチアンウォーターパトロールチームに感謝です。君たちのおかげで今日、自分を限界までプッシュすることができました。
最後に、観戦してくれた日本のサポーター、ファン、友人、家族、そしてこのイベントを通して素晴らしいメッセージをくれたすべての人に感謝します。フィジーが楽しみです。」
【速報!】五十嵐カノアとコナー・オレアリーは惜しくもR3で敗退。女子R3延期。パリ五輪サーフィン3日
南太平洋のあらゆるパワーを備えた8~10フィートの巨大なセットは、私たち全員が望んでいたパーフェクトなリキッドステージだった。とISA会長フェルナンド・アギーレは 言った。
コンペティションの開催日時を決定するネクストコールは、現地時間7月30日午前6時15分(日本時間の 2024年7月31日1時15分)に行われる。
女子のラウンド3
H1:キャロライン・マークス vs スーチー・ヤン
H2:タイラー・ライト vs アナト・レリオール
H3:ヴァヒネ・フィエロ vs ジョアン・ディフェイ
H4:カリッサ・ムーア vs サラ・バウム
H5:ナディア・エロスターベ vs 松田詩野
H6:ケイトリン・シマーズ vs タティアナ・ウェストン-ウェブ
H7:ルアナ・シルバ vs タイナ・ヒンケル
H8:ブリサ・ヘネシー vs ヨランダ・ホプキンス
松田詩野

試合が再開されれば、本日中止となった女子のラウンド3がからスタートとなるだろう。H5では今回オリンピックデビューを飾った日本の松田詩野がナディア・エロスターベと対戦。このためにセベ手をかけてやって来た松田に期待がかかる。