稲葉玲王がR3進出。五十嵐カノア、コナー・オレアリー、松田詩野はR2へ。アメリカチームが大躍進。パリ五輪初日

松田詩野 Credit: ISA / Pablo Jimenez

フランス領ポリネシア、チョープー – 2024年7月27日

開催地から15,000キロ以上離れたフランス領ポリネシアの紺碧の海で、オリンピック・サーフィンが2024年パリ大会のデビューを飾った。

2年間にわたる世界各地での予選イベントは、4~6フィートのクリーンなスウェルとほとんど風のない美しい大会初日で最高潮に達した。

ガブリエル・メディーナはトップ通過でR3へ。Credit: ISA / Tim Mckenna
ジャック・ロビンソンは終了間際の大逆転でR2へCredit: ISA / Pablo Jimenez
頭部を負傷したジョアン・ディフェイだったが、彼女はヘルメットをかぶってヒートに戻り、力強いサーフィンを見せた。これがオリンピックだ。Credit: ISA / Tim Mckenna

 

世界で最も危険な波のひとつであるチョープーの威圧的なリーフが、男子・女子ともにラウンド1が終了したとき、世界最高峰のサーファーたちが巧みに操る透明度の高いバレルを通してはっきりと見えた。

今日はエリミネーション・ラウンドは行われず、各ヒートの1位がラウンド3に進み、残り2名がラウンド2に回った。

 

大会初日は理想的な風を受け、大きくはないがオーバーヘッドのクリーンなコンディションで、男子オープニングラウンドからスタート。朝はセットの数は少なめ。

 

大会初日の予報では午後に少しサイズアップする見込みで、昼近くになってセットがどんどん入るようになり、エクセレントをスコアする選手も出てきた。

 

本日はタヒチの人たちが「マナ」と呼ぶ、強い絆に満ちた1日となった。チームUSAの5人のメンバーには、東京2020ゴールドメダリストで5度の世界チャンピオンに輝いたカリッサ・ムーアと、男女ともに現在の世界ランキング1位と2位が含まれている。

 

この日の最終ヒートで、ムーアは9.00のライディングと16.50のヒート・トータルをスコアし、アメリカのヒート勝利を締めくくった。

 

カリッサ・ムーア Credit: ISA / Pablo Jimenez
ハイタッチするカッリサとチームUSAコーチのシェーン・ドリアン。 Credit: ISA / Tim Mckenna

 

「本当に特別な日だったから、早く戻って今日の成功と皆の成功を喜びたいわ」とムーアは語った。「私たちはいい雰囲気のチームだと思う。

みんな本当に協力的で、励まし合っている。昨夜、グリフィン(コラピント)が今日のために感謝の気持ちと意思を促してくれたんだけど、自分たちの気持ちを話したり、感受性を豊かにしたり、みんながここにいることに感謝していることを話したりするのは本当にいいことだったわ。」

 

ムーアのチームメイトたちもそれぞれ脚光を浴びた。

女子ではキャロライン・マークスがこの日のベストを簡単にスコアし、男子ではグリフィン・コラピントと ジョン・ジョン・フローレンスが最高得点を記録、ケイトリン・シマーズはスーパーヒートを制した。

 

大会初日のトップ・シングルスコアは、アメリカチームのグリフィン・コラピント9.53、そしてジョン・ジョン・フローレンスの9.33。女子でもアメリカチームのキャロライン・マークスが9.43、カリッサ・ムーアの9.00。

ヒートトータルでは、男子ではジョン・ジョン・フローレンスの17.33(9.33+8.00)。女子ではキャロライン・マークスの17.93(9.43+8.50)がトップスコアとなり、アメリカチームがダントツの強さを見せている。

 

キャロライン・マークス Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

2016年ISA U/16世界ジュニア・チャンピオン、2023年WSL世界チャンピオンのマークスは、時間を無駄にすることなくエクセレントな8.50をスコアした。

続けてヘビーなバレルのリップの下でのドラマチックなテイクオフを決めてスピットアウトし、女子のこの日のシングル最高スコアとなる9.43をスコアした。彼女の2ウェイブ・ヒートトータル17.93は、今日全体の最高スコアとなった。

 

グリフィン・コラピントCredit: ISA / Beatriz Ryder


コラピントは、この日のシングル・ウェイブのハイエストスコアである9.53をマークし、地元の金メダル候補であるカウリ・ヴァースト(FRA)と2度のパン・アメリカン金メダリストであるルッカ・メシナス(PER)を破った。

 

ジョン・ジョン・フローレンス Credit: ISA / Tim Mckenna
ジョン・ジョン・フローレンス Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

フローレンスは、彼が史上最も偉大なバレルライダーの1人と言われる所以を見せつけ、男子ではこの日最高の17.33のヒートトータルをスコアした。

WSL世界チャンピオンに2度輝き、現在世界No.1の彼は、膝に大きな怪我を負いながら2020年の東京大会に出場し、2度目のオリンピックに向けてリラックスし、自信を持っている。


「自分の生まれ故郷を代表し、アメリカ、ハワイ、全てを代表し、ヒートに入って、本当に良い気分で、興奮し、エネルギーを感じているのはとても素晴らしいこです」とフローレンスは言った。

「いつも思うんだけど、試合になると『どう感じるんだろう?緊張するかな?』 ってちょっと思うんですが。波も楽しかったし、興奮しっぱなしでした。今は本当にいい状態だと思います」。

 

ケイトリン・シマーズ Credit: ISA / Tim Mckenna

 

カジュアルでクールなシマーズは、2018年のISA U/16世界ジュニア・チャンピオンであり、現在の世界No.1で、このイベントに向けて最も話題となったラウンド1の対戦で勝利を手にした。

 

そのスーパーヒートでは、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)とモリー・ピックラム(AUS)という世界最高峰のバレルライダーと対戦したが、18歳のシマーズはすべての波でピュアなスタイルを披露し、ヒートトータル12.93で勝利を収めた。

今大会には、女子24名、男子24名の合計21カ国が出場。そのうち6カ国は、カナダ、中国、エルサルバドル、メキシコ、ニカラグア、スペインは、オリンピックサーフィン史上初の出場となる。

 

果敢にチャージを繰り返したスーチー・ヤン  Credit: ISA / Tim Mckenna

 

最も期待されたのは、今日出場した最年少サーファー、中国の スーチー・ヤンのオリンピックデビューだった。15歳の彼女は特筆すべきスコアは出なかったが、躊躇することなく非常にヘビーな波にチャージした。

 

メキシコのアラン・クリーランド・ジュニアはジョン・ジョン・フローレンス(USA)に次ぐ14.34というヒート・トータルを記録し、スペインのアンディ・クリエールは、同じヒートでエクセレントな8.50のライディングを見せた。

 

 

コナー・オレアリーCredit: ISA / Pablo Franco
コナー・オレアリーCredit: ISA / Tim Mckenna

 

五十嵐カノアとコナー・オレアリーがラウンド1でまさかの敗者復活ラウンドに回ることになった波乗りジャパン。二人のヒートはどちらもスウェルが首尾一貫しないトリッキーな厳しいヒートだった。

 

五十嵐カノア Credit: ISA / Pablo Jimenez
五十嵐カノア  Credit: ISA / Tim Mckenna

 

しかし、男子の最終ヒートに登場した稲葉玲王は、故・小川直久プロの魂の宿ったヘルメットを着用。まさに銀の弾丸(シルバー・ブレット)を彷彿させるバレルライドをメイク。

小川プロが乗り移ったようなライディングで日本男子で唯一ラウンド3へ1位で勝ち進んだ。

 

稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder
稲葉玲王 Credit: ISA / Beatriz Ryder

 

また本日の最終ヒートとなるヒート8で松田詩野が、東京オリンピックの金メダリストであるカリッサ・ムーア(USA)、テレサ・ボンバロ(POR)と対戦。

 

松田詩野 Credit: ISA / Tim Mckenna
松田詩野 Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

松田はリスキーな高速バレルをドギードアでこじ開けるようにメイクしガッツポーズ。8.33というエクセレントを叩き出し、ヒート終盤まで僅差ながらトップをキープした。

 

松田詩野 Credit: ISA / Pablo Jimenez
松田詩野 Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

リスペクトするカリッサと互角の戦いをした松田。最後は逆転されて敗れたものの、次のラウンドでのパフォーマンスが楽しみになる素晴らしい戦いとなった。それは松田詩野がこの場所でどれだけ練習してきたのかが理解できるヒートだった。

 

松田はヒート後に「良い波乗れたけど、1位で上がれるチャンスがあったから、悔しい気持ちが大きいけど、明日のヒートにこれを繋げて頑張ります。」と語った。

 

 

サーフィンの競技日程は、現地時間の2024年7月27日から8月5日までで、そのうちの4日間が競技日程となる。

ネクストコールは、現地時間の 2024年7月28日6時15分、日本時間の 2024年7月29日1時15分です。女子のラウンド2から深夜2時からスタートする予定となっている。

明日の予定されているヒート

7/29(月)日本時間

女子ラウンド2 2:00-

H1ソル・アギーレ vs スーチー・ヤン
H2サラ・バウム vs カミラ・ケンプ
H3 松田詩野 vs テレサ・ボンバロ  3:12-
H4ジョアン・ディフェイ vs モリー・ピックラム
H5ティアナ・ウェストン-ウェブ vs カンデラリア・レサノ
H6サフィ・ベット vs ヨランダ・ホプキンス
H7タイナ・ヒンケル vs サノア・デンプフル・オリン
H8アナト・レリオール vs ジャニール・ゴンザレス・エチェバリ

男子ラウンド2

H1  7/29 (月) 6:48-7:18
レオナルド・フィオラヴァンティ – ITA  VS  五十嵐カノアJPN

H2 7/29 (月) 7:24-7:54
コナー・ オレアリーJPN  VS ティム・エルター GER

H3ジョーディ・スミス RSA  VS リオ・ワイダ INA
H4カウリ・ヴァースト FRA  VS マシュー・マクギリブレー RSA
H5 ラムジ・ブキアム MAR  VS ブライアン・ペレス ESA
H6 アラン・クレランドMEX  VS アンディ・クリエール ESP
H7 ジャック・ロビンソン AUS  VS ルッカ・メシナス PER
H8 フィリッペ・トリード BRA  VS ビリー・ステアマン NZL

 

 

本日の見逃し配信はNHKオリンピックサイトで。

https://www3.nhk.or.jp/sports/olympics/video/detail.html?scheduleSessionId=83497ebd-f45b-d47e-f281-9edbe9bcad9f

ライブ配信は

TVer パリ五輪
https://tver.jp/olympic/paris2024/live/game/SRF/

NHKオリンピックサイトでも
https://www3.nhk.or.jp/sports/olympics/

 

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