12月のオーストラリアはジュニア、グロメッツのイベントが大詰め。ロードトリップへ出発【オーストラリアSURFNEWS】

現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第42回となる今回は、ジュニア、グロメッツのイベントが大詰めとなったオーストラリア。そして、長期休暇を利用してロードトリップに出発。

取材、文、写真:菅野大典

 

 12月のゴールドコースト。

 先月とは打って変わり、12月に入ると一気に夏全開。これぞゴールドコーストといった暑さと雰囲気の日々が続いています。

 

 とにかく暑い。水温も一気に上がりボードショーツ一枚で海を楽しむたくさんの人が溢れています。

ビーチにもガゼボが一杯に。ライフガードも海から目を離せない状況になっています。

 

 途中天気が崩れる日も多くありましたが、スクールホリデーやクリスマスホリデーといった夏休みに入り、イベントごとも充実。1年で一番忙しいとされる時期にどこの飲食店等も大繁盛しています。

 12月に入ると毎週末のように各地域で行われるクリスマスキャロルのイベント。普段こんなに人が住んでいるのかと思うくらい、年々人が増えているように感じます。

 

 ゴールドコーストの波の状況は、上旬はうねりが小さく引き続き北風が続くコンディション。北風をかわし、うねりを受けやすい場所ではいいコンディションでできてます。

 

こういった状況のゴールドコーストで、波の良い場所には上手いサーファーが集まる。波を取るのも一苦労です。

台湾で行われたQS5000で見事優勝したダコダ・ウォルターズ。ぼってりとした板でクルーズしていました。

ブラジルで行われたISAワールドジュニアに出場していたダコダの弟ハーレー・ウォルターズ。

日に日に見違えるほど上達しているケイデン・フローレンス。今後も注目なヤングオージーサーファーです。

 

 

中旬にはサイクロンJasperがオーストラリアの北東の沖合で発生。

 当初は進路が南に予報されていたが、最終的には北側の内陸に進行。期待された素晴らしいうねりをもたらす事にはなりませんでしたが、北部の東海岸では久しぶりのサイズアップとなりました。

うねりが北寄りになり形の良い波とはならなかったものの、久しぶりのサイズアップに多くのサーファーがラインナップ。

 

サイクロンの発生によりゴールドコーストのサーフシーズン開幕と思いましたが、その後サイズは下がり再び北風続き。ようやくサイズが上がったのはクリスマス前でした。

 

地形もよく良い波を楽しめていたD-BAH。

オープンビーチも地形の良い場所が点在。

風が吹く前を狙えば、ごく稀に混雑のない良い波を発見する事も。メジャーポイントは混雑する時期ですが、クォリティーの高い波がたくさんゴールドコーストにはあります。

 

 

12月はジュニア、グロメッツのイベントが大詰め。

 

先月11月25日からフィリップアイランドで開催されていた”Woolworths Australian Junior Surfing Title” が12月3日に終了。この大会は、18歳以下の個人の各年代別の試合だけでなく、16歳から19歳の学生によるタッグ戦もあったりとオーストラリアのジュニア世代にとって2023年度の最後のビッグイベント。

 

エライザ・リチャードソン PHOTO:SURFING QLD
ジギー・マッケンジーPHOTO:SURFING QLD

もはや国内で敵なしのサンシャインコーストのエライザ・リチャードソン。U14ファイナルでは2位以下の選手全員のニードをコンビネーションスコアに追い込むトータル17.88ptをスコア。

U16女子では、ジギー・マッケンジーが優勝。ファイナルにはチームクイーンズランド州の選手が3人入る活躍でした。

 

女子選手の活躍もあり総合優勝となったチームクイーンズランド。PHOTO:SURFING QLD

 

8〜9日には、サンシャインコーストで最終戦となる”Event 10 – Woolworths Surfer Grom Comps”が行われ、16日から18日にはこのシリーズの上位者20名による”Woolworths Surfer Grom Comps National Final Camp”が、サーフィンオーストラリアのハイパフォーマンスセンターで行われました。

 

サバンナ・レイリー PHOTO:SURFING QLD

 

サンシャインコーストでの最終戦で見事優勝しナショナルファイナルキャンプの参加権利を得たサバンナ・レイリー。数年前からウールワースという巨大な食料品店のチェーンがサーフィンオーストラリアのスポンサーに付いているのはとても大きく、グロメッツ世代の育成に力が注ぎ込まれています。

 

ウールワースがスポンサーするイベント以外にも11日〜13日には、クイーンズランド州のトップのグロメッツ世代を集めて行われた”Cooee Grommet Pro”が開催されたりと、過去には多くの日本人選手が出場し好成績を収めていた毎年12月中旬に行われているリップカールグロムサーチはキャンセルとなってしまったが、12月はスクールホリデーと重なることもあり、ジュニア、グロメッツイベント満載の月となりました。

 

長期休暇を利用して現在ロードトリップ中です。

 

オーストラリアでは製造業等、多くの職種の企業がクリスマスの日から夏休みとなり、年末年始を含む長期休暇に入る人がたくさんいます。

 

私自身も本業の長期休暇を利用して現在ロードトリップをしています。

ゴールドコーストをクリスマスの日に出発して南下。ニューサウスウェールズ州の最南端の地域であるサウスコーストという場所や毎年QSが開かれたり、今回のオーストラリアンジュニアタイトルが行われたフィリップアイランドにステイしながら、最終目的地はタスマニア。

 

 

入り組んだ地形でコーストラインにたくさんのサーフポイントが点在するサウスコースト。日本ではあまり聞きなれない場所ですが、オーストラリアのプロサーファーにはとても人気のある地域。バウリーポイントやシェルハーバーなどといった場所では、今までに数えきれないほどの素晴らしいライディング映像が記録されている場所でもあります。

無人の掘れほれブレイク。夏はそこまで波の良いシーズンではないですがこんな場所がたくさんありました。

手前は初心者でも遊べる波が割れ奥のレフトはサイズのある波。ポイントがたくさんあるので混雑無縁ですが、逆に一人で入るのにドキドキしてしまいます。
岩場でコーヒーを片手にサーフィン観戦。昔のゴールドコーストやバイロンベイの雰囲気を感じさせてくれる素晴らしい場所でした。

一気に水温も下がりゴールドコーストとは比べものにならないほどの寒さのフィリップアイランド。この時期でもブーツ、ヘッドキャップをつけているサーファーがいました。

島なのでどこかしら風の合うポイントがある。うねりも常にあるのでポイントを選んでサーフィンできました。

初心者やロングボードに最適のビーチも。年末年始は人気のシーズンらしくどこもかしこも人だらけ。

田舎の閑散とした雰囲気かと思ったら、意外にもしっかりとした街で、多くの旅行者がホリデーを満喫していました。

 

旅で一番に感じていることは、どこのサーフポイントに行っても人が話してくるということ。

 

今年は、今まで行ったことのない場所に足を運び、サーフィンをすることに時間を使い、2年半前にオーストラリア横断の旅をした時もそうですが、とにかく気軽にみんなが話しかけてくれます。陽気な性格の人柄だからか、移民の多い国だからなのかわかりませんが、どこのサーフポイントに行っても気持ちよくラインナップにつけるように感じます。

 

そして、とにかくオーストラリアの国土は広い。

 

ハイウェイを乗ってひたすら100kmのスピードで真っ直ぐ、という感じで移動していて、南に下るたびに気温が涼しくなってきます。

 

オーストラリアに住んで15年以上になりますが、この年末年始の3週間を一番のハイシーズンとなるゴールドコースト周辺に滞在しないのは初めての事。

 

世界中の上手いサーファーがたくさん集まる夏のゴールドコーストというのは、とても刺激のある場所ですが、同じオーストラリアでもゴールドコーストとは違ったサーフシーンを感じれる貴重な経験をしています。

 

12月の最後の週はいなかったのですが、ゴールドコーストは気温も上がり一気に夏の雰囲気になりました。

 

しかしながら、サイクロンの影響でクイーンズランド北部の都市ケアンズでは大洪水に、また西側のマーガレットリバーの近郊では、熱波による大きな山火事が起きたりと広いオーストラリアでも地域によっても全く状況の違う12月となっていました。

 

サウスオーストラリアではシャークアタックによりヤングサーファーがなくなるという事故も起こりました。

 

国外で行われた事ですが、ISAジュニアワールドチャンピオンシップでシエラ・カーがU16でゴールドメダルをとった事や、国内のグロメッツに対する育成システムを見ていても、今後楽しみな選手がどんどん生まれるような感じとれる月ともなりました。

 

 

昨年はコロナウイルスの影響から解放された事もあり、2022年度-23年度の移民数は73万7千人をこえ過去最高となったオーストラリア。特にゴールドコーストは年々と国内外からの移住者が増え続けており、海での混雑、駐車場問題なども過去とは比べほどにならないものとなっています。

 

世界トップクラスを誇るゴールドコーストのサーフィンの環境ですが、新年はタスマニアからのスタートなので、改めてオーストラリアの他の地域のサーフィンの環境と見比べて、またレポートできたらと思います。

 

2023年もオーストラリアニュースをお読みいただきありがとうございました。

 

2024年もよろしくお願いいたします。

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。