ナオがくれた波。この優勝を天国の小川直久に捧げたい。シニアで牛越峰統、マスターで川井幹雄が優勝。

取材、文:山本貞彦 JPSAの2023年ツアー第2戦の舞台は新島。ここでショートボードプロ、シニアプロに特別戦のマスタープロが行われる。いつもは8月の夏に行われていたが、今年は5月に開催となった。

 

今大会のシーディングは昨年までのランキングを反映しているが、この新島大会までの順位が第3戦以降のシードに組み込まれていく。よって、下位選手がランクアップを狙うことができる節目の大会となる。

 

故・小川直久の追悼セレモニー

 

故・小川直久の祭壇が会場に設けられた
兄の遺影を持って追悼セモニーに参列した小川幸男

 

コンテスト開始前には、JPSA副理事長だった故・小川直久の追悼セレモニーを行った。サーフィン界への功績を讃え、そして、その早すぎる死を悼み、選手、スタッフ、来場者の全員で黙祷を捧げた。

DAY-1は「シニアプロ 新島」の試合から行い、続いて「新島プロ」本戦男子のR-1へ。そして、シニア、特別戦「マスタープロ 新島」の決勝まで行って、本日は終了。

 

その戦いの場は淡井浦。天気は雨が降ったり、止んだり。風はサイドオフで、午後は強く吹く。波は台風2号からのうねりが入り、ムネカタ。沖からのセットを選べれば、インサイドまでつなげて2発は入れられる。が、その波が少ない。

 

 

インサイドで割れる波は浅くてホレホレ。さらに午後はバックウオッシュも入って選手にとっては厳しい戦いとなった。それでも勝ち上がったのは、ワンアクションでもエンドセクションを上手く処理できた選手。果敢にインサイドを攻めた選手が明日につないだ。

 

シニアプロ 優勝:牛越峰統

シニアプロのR-1は波乱の幕開け。前回、種子島で優勝した遠田真央、昨年のシニアグランドチャンピオンの浦山哲也が敗退。さらに決勝常連の進藤晃や福地孝行も姿を消す展開。その決勝は牛越峰統、杉本浩、渡辺広樹、今村大介の4人。

 

シニア2位:杉本浩

 

牛越、渡辺、今村が積極的に攻めるも、バックウォッシュで技をかけられない。その中でも杉本が張る波を見つけて、ワンアクションながらインサイドまでつないで、ポイントを重ねる。

 

シニア3位:渡辺広樹
シニア4位:今村大介

 

このまま杉本浩の初優勝が決まるかと誰もが思っていた中、牛越が起死回生のリップから高さのあるのフローターで一発逆転。勝負強いところを見せて嬉しい優勝。この新島大会で2連覇を達成した。

 

 

この優勝を天国の小川直久に捧げたいと思います。

 

牛越峰統

解説の浦山哲也と抱き合い、涙ながらの勝利者インタビュー。牛越峰統

 

「先日亡くなった同士の小川直久選手。本当ならこのファイナルに、このシニアの試合にいたはずなんですが。誰が勝っても良いヒートだったと思います。直久の思いを一つにですね。精一杯やったファイナルだったので、この優勝を天国の小川直久に捧げたと思います。」と涙で言葉を詰まらせながら話した牛越。

 

牛越峰統

 

「去年この新島で勝たせていただいていたんで、狙うは2連覇。言葉には出していなかったんですけど、心にはそんな気持ちがあって入りました。前半から追いかける試合内容だったので、諦めてたまるかと、どこかでチャンスがあるんじゃないかと思いつつ時間との戦いでしたね。

 

最後はプライオリティを持っていなかったんですけど、ちょっと自分が相手の選手より奥にいたんで、乗らせてもらって、スピードをつけてフローターをかけれて。

 

牛越峰統のラストライド

 

いつもだと手を上げてバンザイとかしてたんですけど、今回は何でかしらないけど『ハウゼ』になっちゃって。小川直久の『ハウゼ』が乗り移ったのかと思いましたね。彼はハワイのパイプラインをこよなく愛したサーファーだったので、彼の魂が乗り移った気がしました。

 

ファイナリストが遺影を囲んで

 

ナオさん、天国でも良い波あると思うんで。先に素晴らしい先輩たちが逝っちゃったと思うんだけど、先輩たちと酒飲みながら良い波乗ってください。安らかにお眠りください。」

 

浦山哲也
「今回シニアプロでは、小川直久プロと一緒に戦った選手もたくさんいたかと思うんですけど、そんな中で世界を一緒に回って戦って、悔しい思いもし、切磋琢磨した一番近かった牛越プロが優勝できたというのが、ここにナオがいたんじゃないかなって思います。」

 

 

鴨川チームに担がれる川井幹雄

 

マスタープロ決勝は岡野教彦、河村正美、川井幹雄というレジェンドの戦い。先攻は河村、岡野。キレた波を見つけて、板を上手く合わせてライディング。一方、川井は速いインサイドブレイクに手こずり、ワイプアウトの連続と対照的な前半戦となった。

 

マスター優勝:川井幹雄
マスター2位: 河村正美
マスター3位: 岡野教彦

 

後半戦に入り、それでも諦めずに波を待つ川井。沖から入ったセットをつかむと、そのままテイクオフ。バックウォッシュの影響なく、そのままスピードをつけてロングライドからのプルアウト。これが決勝点となってマスタープロの栄冠に輝いた。

 

川井幹雄

 

直久のレフトのような感じで、神掛かったような別物の波だった。

 

「優勝は2015年の新島以来ですけど、そのときは 羽伏浦だったんだけど、淡井はやっぱり難しい。乗ろうと思ってもバックウォッシュで持ち上がって、無理やり乗ったらパーリングみたいな感じでね。

75歳キツいんでね。ショートボードお前辞めろみたいなね。今年で最後だ最後だって毎年言っているんですけど、優勝しちゃったんで。これはまた来年も来なくちゃなんないかなって。本当キツいっすよ。笑

 

マスター優勝:川井幹雄

 

ちょっと直久(小川)が亡くなって。いろいろな友達も亡くなって。心境的に、もうどうなんだろうなみたいな。もう乗り移ったような感じ。(高得点となった)あの波は直久のレフトのような感じで、乗った瞬間にスピードが出て、バックウォッシュもなくて別物の波に乗った感じでした。神掛かったような感じで気持ちよくプルアウトしちゃいましたね。

 

『あ〜なんかよかったな』みたいな感じで、得点はどうであれ、もうこれでいいのかなみたいな感じで、もうちょっとレギュラーの波で良い波乗りたかったというのはあったんですけどね。あのバックサイドで点数を聞いたら、『そんなに出してもらえたんですか。ありがとうございます』って感じでしたね。いろんな思いが出て来て泣いちゃいます。

 

本当に今年で最後にしようと思っていて、2番3番で良いやって思っていたんですけどね。優勝というのはちょっとはね。昔のようなコンペティターの川井幹雄じゃないです。強くないです。でも試合となると、常に自分の心も変わってくるし、でも心と体の動きが微妙に違ってくる。練習もしていないし、ぶっつけ本番だから、今回はいろいろな意味でグッと来ましたね。

 

ナオよ〜 ナオ〜。なんで逝っちゃったんだよ。でもその分頑張んなくちゃなって思っております。また俺も近々そちらの方に行くと思うけど、待っててくれよ。て感じですね。」

 

JPSA2023 さわかみ Japan Pro Surfing Tour シニアツアー第2戦「シニアプロ 新島」

優勝:牛越峰統(¥200,000)
2位:杉本浩 (¥150,000)
3位:渡辺広樹(¥100,000)
4位:今村大介(¥ 50,000)

 

JPSAジャパンプロサーフィンツアー2023 特別戦「マスタープロ 新島」

優勝:川井幹雄(¥200,000)
2位: 河村正美(¥150,000)
3位: 岡野教彦(¥100,000)

 

※表彰のプレゼンターは、新島村 産業観光課長 釜 靖昭氏

 

新島プロ
男子ラウンド1

今日のシングルハイエストは三輪紘也の8.33ポイント。
村田嵐の今大会のコーチは仲村拓久未。「焦ってました。でも先輩の仲村拓久未くんにコーチに付いてもらえて、心の余裕ができたと思います。」
新島は2回目という須田喬士郎。「自分のサーフィンを出せて評価してもらえてよかった。ヒートごとに勝っていきたい」とコメント。
藤沼佳太郎。意外にも新島は初めてという藤沼。「去年から乗っていて、すごく調子良いボードに乗っています。体も調子良いし、自信あります。」
渡邉壱孔「最初に4.73出ちゃったんで、エア狙っていこうって調子に乗っちゃいました。こけまくってヤバイって焦って。後半ターンに切り替えました。」
堀越力
山本來夢「乗れば点数出るかなと思っていたので、ちゃんと押さえながらレールワークで行こうと思っていた。」
佐藤魁「島のリズムみたいのが独特なので、海と繋がれるようにと入る前は意識しました。マインドのセッティングを変えたら波周りがよくなった。」
堀越類


大会会場横には今村大介プロが、故・小川直久プロの祭壇を特別に設置。それぞれが故人への想いを語り、故・小川直久を送り出した。

取材協力:ナカダレンタカー
HP http://www.nakada-motor.jp/
TEL:04992-5-0215

 

明日は淡井浦に6:30AMに集合。

 

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>ヒート表

 

※波のコンディションや進行状況により変更されることがあります。大会当日は随時、会場インフォメーションを確認してください。

※各日の集合時間は、前日競技終了後までに発表

5月30日(火) DAY2
WOMENS R1 H1~H4
MENS  R2 H1~H12
WOMENS R2 H1~H4

5月31日(水) DAY3
MENS  R3 H1~H6
MENS  R4 H1~H4
WOMENS R3 H1~H2
MENS  QF H1~H4

6月1日(木) DAY4
WOMENS SF H1~H2
MENS  SF H1~H2
WOMENS FINAL
MENS  FINAL

 

 

【Surfing for all がんばろう日本!】
JPSA2023 さわかみ Japan Pro Surfing Tour ショートボード第2戦

新島プロ

期日/5月29日(月) ~ 6月1日(木) 予備日:2日(金)
会場/東京都新島村 羽伏浦海岸