バーレーヘッズ・シングルフィン2023、ラベダベが参加したUSHER CUP。オーストラリア・サーフニュース

現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第31回となる今回は、バーレーヘッズで毎年行われているBurleigh Heads Boardriders Single Fin 2023 、日本のラベダベサーフクラブが参加した「USHER CUP 2023」、サーフィンオーストラリアが主催するオンラインコンテストなど。

取材、文、写真:菅野大典

 

 

1月のゴールドコースト。

 

夏真っ盛りといった晴れの日が続き、ビーチにはたくさんの人が溢れています。オーストラリアのスクールホリデーは年に4回、期間は学年や州ごとに違いますが、夏休みは日本と同じで一番長く、多くのキッズが海遊びを満喫しています。

 

ゴールドコーストの朝は早い。ビーチには無数のテントと共にたくさんの人が溢れかえっています。

 

今はオーストラリア国内では規制のほぼないコロナウイルスの状況ですが、その影響があった3年ほど前からシドニーやメルボルンといった大都市からの移住者が多く、Propertyologyというリサーチ会社が発表したデータによると、現在ゴールドコーストは国内で最も住みたい街第1位と言われています。

昨年に比べて天気が良い事もあるせいか人の数が異常ともいえるくらい増加しているように感じます。

 

レインボーベイの歩道と渋滞の車。以前とは比べ物にならないほど駐車場の取り合いになっています。

 

またコロナウイルスと同様にここ数年はラニーニャ現象の影響が取り上げられていました。

オーストラリアの東海岸は雨の降る日が多く、洪水の被害をもたらし、ベルズビーチのあるビクトリア州は毎日のようにオンショアが吹き荒れる日々、ウエスタンオーストラリア州の北部には何度もサイクロンが直撃し、街に壊滅的な被害をもたらすなど、以前とは違った気象現象が続いていました。

専門家によるとあと数ヶ月で終息し平常に戻るとの見解もされていますが、今夏はどうなるのか。。。

 

天気が毎日の様に悪く海も濁っている日が続きながらも、波と風向きには恵まれていたここ数年のゴールドコースト。できれば天候も波にも恵まれてほしいです。

 

ゴールドコーストの波の状況は昨年末に入って来たうねりがしばらく続き、上旬はポイントブレイクを中心に楽しめるコンディションがしばらく続きました。

 

毎日3-4ftのコンディションが続きファンウェーブの日々が続いていました。
8xワールドチャンピオンのステファニーギルモアとシェルドン・シムカス。この時期は世界を飛び回る選手に会える時期でもあります。
目の前でワールドチャンピオンを見る事ができるスナッパーロックス。この環境は本当に素晴らしい。
力強い美しいキレのあるサーフィンを披露していたステフ。誰もが釘付けになってしまいます。
ジャック・ロビンソンも奥さんと共にゆったりとした波のレインボーベイの方へ向かっていく姿が。リラックスしてサーフィンを楽しんでいました。

 

バーレーヘッズ・ボードライダー・シングルフィン2023

使用ボードは全て1985年以前に作られたシングルフィンを使用。

 

1月7、8日には”Burleigh Heads Boardriders Single Fin 2023”が開催。

たくさんのサーフィン業界の人が集まり、夏の風物詩と言えるこのイベントは、毎年1月の1週目の週末に行われ、今年で26回目の開催となりました。

 

ものすごい人が集まる週末のバーレーヘッズ。サーフィンをする人もしない人もこの雰囲気を楽しんでいます。
バーレーヘッズのローカルのリアム・オブライアン

 

怪我から復帰し、またしてもCTクオリファイを果たしたバーレーヘッズのローカルのリアム・オブライアン。リラックスした表情で久しぶり〜と話しかけてくれました。基本的にはCT選手はWSL以外の試合に出場する事ができないのですが、このシングルフィンコンテストや、ABB(オーストラリアン・ボードライダーズ・バトル)の試合など特例があります。

 

オニー・アンワー

こちらも久しぶりの現在WSL QSアジアランキング1位のオニー・アンワー。オニーにとってゴールドコーストは第2の故郷と呼べる場所。特にバーレーヘッズは以前QS1000で優勝した特別な場所の1つ。

 

アレックス・クリューズとジェームス・ジェイムソン。

若手シェイパーのアレックス・クリューズとジェームス・ジェイムソン。シェイパーながら2人共サーフィンのスキルはプロレベル。ジェームスは過去に優勝する経験もあります。

試合は6人ヒートで開催。次々にライディングするのでジャッジは大変だが観客には嬉しいクラシックなイベントです。


見事優勝したジョエル・パーキンソン。CTを引退してもスムースなレールワークは健在で、たくさんの人に声をかけられなかなか帰る事ができませんでした(笑)


”Burleigh Heads Boardriders Single Fin 2023”優勝者

メンズ:ジョエル・パーキンソン
ウィメンズ:ジュニパー・ハーパー
ジュニア:ハーレー・ウォルターズ
レジェンド:ブレンダン・マージソン

 

 

 

中旬以降はサイズが下がりながらもD-BAHなどではコンスタントにサーフィンできるコンディションに。

 

渋滞を回避してか、電動バイクに乗ってサーフィンに来る人もたくさん増えています。

岡野漣

年末からゴールドコーストに滞在している岡野漣くんの姿も。キッズサーファーながらも大人顔負けのサーフィンは目立った存在となっています。

 

キッズサーファーのノーズ付近には炎の様なステッカーを貼っているサーファーが目立ちます。

こちらは1月1日から2月28日まで開催されているサーフィンオーストラリアが主催するオンラインコンテストの”YETI AUSTRALIAN JUNIOR ONLINE SURF CHAMPIONSHIPS”の目印。12歳から18歳以下までの2歳別の男女のディビジョンで開催。

選手のライディング映像の投稿によって競われるもので、選手は過去の映像を使うことはできず、それぞれ配られたステッカーを板に付けて期間内に撮影していなければならなくて、再生速度を変えてはいけない、音楽をつけてはいけない、テイクオフから最後まで撮影、などといった細かい規定がしっかりと決められています。

 

ビーチにはいつも親御さんがカメラを構えている姿が。

 

ザリア・ショート

 

普段はゴールドコーストで見かけないサウスコーストに住んでいるザリア・ショートも夏休みの間よく見かけました。ついこの前までグロメッツの試合でしか見なかったが、フィリップアイランドで行われたQS1000で2位になるなどオーストラリア注目の若手サーファーに成長しています。

 

 

昨年のU18の優勝者は現在WSL QSオセアニアランキング1位のジャービス・アール。先月行われたウェイブプールの試合もそうですが、オーストラリアでは通常の試合形式ではなく、いろいろな形が試されています。

 

 

日本からラベダベが参加。USHER CUP 2023がスナッパーロックスで開催。

 

 

1月19日から22日には4日間にかけてUSHER CUP 2023がスナッパーロックスで開催。

 

第3回となるこのイベントは、USHER GROUPがスポンサーとなっているスナッパーボードライダーズクラブの主催による大会。招待された各ボードライダーズの代表選手(男3名、女1名)とワイルドカードの選手によって競われるイベント。

 

昨年まではQSシリーズの練習であったり、各ボードライダーズや有望なサーファーをサポートする目的で開催されていましたが、今年からは”クラブワールドチャレンジ”として世界中にあるボードライダーズを招待しての開催となりました。

 

オーストラリア国内の24ボードライダーズに加え、ハンティントン、サンタクルズ、マウイ、ニュージーランド、バリ、そして日本から鵠沼のラベダベ・サーフライダーズクラブの6つのインターナショナルボードライダーズが参加。

 

1969年からの歴史を持つ鵠沼のラベダベサーフライダーズクラブ。代表選手には都筑有夢路、都筑百斗、岩淵優太、中村光貴が選出され出場。

LIVEブースで話しをする元世界王者のラビット、オッキーとラベダベサーフライダーズを率いてきた近江俊哉氏。近江さんとラビットとは昔から深い親交があり昨年のイベントが終わった頃に連絡があり出場に至ったそうです。

誰もが羨むスナッパーロックスの波を4人の選手で貸し切り。選手にとって最高の大会です。

 

初日はサイズが小さかったものの、2日目、3日目は3−4ftのパーフェクトコンディション。波のコンディションも良いおかげでイベントを通して10ポイントが3本、8ポイント以上のエクセレントライドは数えきれないほど続出し、大盛り上がりのイベントとなりました。

 

潮が引いている時間帯にはチューブ合戦に。ビハインドロックからの綺麗なバレルに包まれる姿を何度も見ました。

 

トロイ・ブルックス

元CTサーファーであるトロイ・ブルックス。10ポイントライドのみならずイベントを通してエクセレントライドを6本もメイク。波も選手も豪華なので観戦が本当におもしろい大会となりました。

 

ボードライダーズの対抗戦となればやはりリレー方式のチーム戦。個人戦だけでなく今大会から新たにチームチャレンジのディビジョンが加わり会場も大盛り上がりとなっていました。

 

 

チーム戦で優勝したMNMボードライダーズ。出場しないメンバーも総出となりビーチに旗を持って応援。個人スポーツながらこのチーム戦はメンバーの育成にも協調性を深めるにも最適なシステムだと思います。

 

黒川楓海都

この試合のメンバーに選ばれるために、クラブのイベントに積極的に参加し信頼と出場権を得たパームビーチボードライダーズの黒川楓海都。ヒートを勝ち上がりこの表情。

岩淵優太

 

以前はワーキングホリデーで滞在していたりとオーストラリアと馴染みの深い岩淵優太。チーム戦ではセットを掴み7.07ポイントをメイクするなど貸し切りのスナッパーロックスを堪能していた。

 

『この時期にボードショーツ1枚でサーフィンできるのは最高。波の質も良く、ビーチで自然に遊んでる子供も多く、改めてゴールドコーストの環境はいいなと感じました。』と話してくれました。

 

都筑有夢路

 

昨年5月に行われたCS以来のゴールドコースト滞在となった都筑有夢路。波とのサイクルが合わずにまさかのクォーターファイナルでの敗退となってしまったが、貴重なスナッパーロックスでの試合はいい練習になった様子。

 

個人スポーツながら団体で社会の仕組みを学ぶいい機会になる。

 

オーストラリアのボードライダーズの仕組みについても、『ただサーフィンが好きな人が集まっているだけでなく、企業スポンサーがついていたり、ボードライダーズが良い交流の場になっているのがわかるし、個人スポーツながら団体で社会の仕組みを学ぶいい機会になると思う。

 

こういう仕組みが日本にもあれば、サーフィンのレベルも向上しながら一般の人からも理解されやすくなるのかなって思いました。今は自分のできる事は選手として結果を残す事が日本のサーフィンの発展にもつながると思うので試合を頑張りたいですが、日本全体で協力してサーフィンを盛り上げていけたらと思います。』と、今回の遠征を経て感じた事を話してくれました。

 

 

試合会場のインサイドで波乗りを楽しむ子供達とそれを見守る元世界王者のオッキーとヒート前のブレント・ドリントン。過去に世界チャンピオンを多く輩出している事もあるのか、オーストラリアという国自体がサーフィンに理解を示しているように感じる。

 

クラブを率いていた近江俊哉さんも、『日本にはNSAの各支部に登録されているサーフショップに属したようなクラブはあるが、地域に根付いているプロもアマも子供も大人も混じり合ったボードライダーズのようなクラブは少なく、日本1のクラブを決める大会もない。オーストラリアのボードライダーズの文化は深く、このような仕組みを日本に取り入れる活動をできたら』と話してくれました。

 

 

チーム戦で岩の先に立ち応援&作戦を伝える近江さん。誰もが気軽に挨拶したり話しかけてくるオーストラリアはやはり良いなと感じたようで、久しぶりに訪れたゴールドコーストを楽しまれていました。

 

 

Usher Cup 2023 結果

メンズ:モーガン・シビリック
ウィメンズ:ディミティー・ストイル
レジェンド:ジェイ・フィリップス
チームチャレンジ:MNMボードライダーズ
総合優勝クラブ:ノースショアボードライダーズ

 

今回は6チームだけですが、世界にあるボードライダーズを招待して大盛況に幕を閉じたUSHER CUP 2023。国内のTVニュースに取り上げられたり、賞金総額も毎年ごとに増え、今後ますます大きな規模で開催されそうな注目のイベントとなりそうです。

 

毎回のように書いている事ですが、是非日本にもボードライダーズクラブの仕組みを作ってほしいと感じました。日本一の地域クラブを決める大会があり、日本代表クラブが遠征するのも面白いのかなと。。。

 

来月からは怒涛のWSLのQSオーストラリアレッグが7連戦に加え、ABB(オーストラリアンボードライダーズバトル)のグランドファイナルも開催されます。夏のオーストラリアは選手は休む暇なしです。

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。