松田詩野、5年ぶりのQS優勝で怪我からの完全復活。男子では岩見天獅がQS初ファイナル進出で準優勝

ウルビズトンド・ビーチ、サンフアン/フィリピン(2023年1月26日木曜日)「ラ・ウニオン・インターナショナル・プロ」大会最終日は、男子のクオーターファイナルからスタート。女子のセミ、男子セミ、男女ファイナルでクライマックスを迎えた。

 

オニ・アンワー WSL / Tim Hain

 

QFのH1はインドネシア対決。このヒートはエクセレントなスーパーヒートとなり、ケトゥ・アグスがオニ・アンワーを下してセミファイナルへ。

 

ロジェリオ・Jr・エスキューベル WSL / Tim Hain
田中大貴  WSL / Tim Hain

 

H2ではローカルレジェンドである、先日のロングボードでキャリア最大の勝利を収めたばかりのロジェリオ・Jr・エスキューベルと田中大貴が対戦。ヒート前半は田中がリードしたが後半に逆転されてロジェリオがセミ進出。

 

 

 

安室丈と西慶司郎のヒートでは、昨日素晴らしいパフォーマンスを披露した安室丈が、良い波を掴み、リスクの高いテクニックにチャレンジするもワイプアウトが目立った。逆に西は確実にスコアを伸ばして6.15と 6.00をスコアしてセミファイナルへ勝ち進んだ。

 

安室丈 WSL / Tim Hain

 

H4では岩見天獅が、2メジャー・マニューバーで7.00と6.50をスコア。南房総ジュニアプロの借りを返し、アジアランキング2位のキアン・マーティンを下して、セミファナルヘ勝ち上がった。

 

 

松田詩野と野中美波の素晴らしいヒート。

 

 

女子のセミファイナルでは松田詩野と野中美波が対戦。松田がスタートから4.50をスコア。続けてセカンドウェイブではビッグセットを掴み、得意のバックハンドでソリッドなターンを何度も繰り出し、5.70をマーク。トータル10.20と開始早々に野中を追い込んでいく。

 

それに対して野中もクリティカルなセクションでのビッグリエントリーとカービングのコンビネーションで6.75をスコア。続けてインサイドの波で4.25をスコアした野中は逆転に成功。彼女がアジアランキングで1位であることを証明するパフォーマンスを披露する。

野中美波 WSL / Tim Hain
松田詩野 WSL / Tim Hain

 

後半に入りニード5.31と追い込まれた松田詩野。優先権を持ってスコアリング・ウェイブを待ち続ける。そしてセットの波を掴んだ松田は多彩なマニューバーでインサイドまでライディングをコンプリート。5.65をスコアして逆転しトップに。

 

残り時間は10分を切り、野中のニードスコアは4.60。再び良い波を掴んだ野中は2つのストロングターンで6.25をスコアし逆転。松田はニード7.30と追い込まれたが、直後にビッグセットをキャッチ。ビッグリエントリーを含む素晴らしいマニューバーで7.75をスコアして再び大逆転。

 

日本のトップサーファーによる物凄いヒートとなり、この対決を松田詩野が制し見事ファイナルへ勝ち上がった。

 

 

 

セミファイナル2では松岡亜音が、インドネシアのカイラニ・ジョンソンと対戦。ヒートはパワフルなバックハンドで5.75 と5.00をスコアした松岡がリード。

 

松岡亜音 WSL / Tim Hain
カイラニ・ジョンソン WSL / Tim Hain

 

後半に入り優先権カイラニの状況で松岡が良い波をキャッチ。大きなスプレーを上げる素晴らしいパワフル・バックハンドで多彩なマニューバーを描き7.25をスコア。トータル13.00としてカイラニを追い込んでいく。

 

更に攻撃の手を緩めない松岡は、再び圧倒的なパワーサーフィンを爆発させ、エクセレントの8.00をスコア。松岡は、エクセレント・レンジのスコアを2本揃えて、圧倒的なワンサイドゲームとなり、松田詩野が待つファイナルへ勝ち上がった。

 

 

男子のセミファイナル.

 

男子のセミファイナル1では、QFでオニ・アンワーを下したインドネシアのケトゥ・アグスがその勢いのまま、ローカルレジェンドであるロジェリオ・Jr・エスキューベルを下してファイナル進出。

 

西慶司郎 WSL / Tim Hain

 

セミファイナル2では、西慶司郎と岩見天獅が対戦。岩見がフォアハンドでフローとコミットメントのあるサーフィンで7.00をスコア。西はバックハンド2発のクリティカルなターンを決めて7.25をスコア。前半はバックアップの僅差で岩見が僅かにリードするが、激しいデッドヒートの様相となる。

 

後半に入り、西が優先権を使い、バックハンドのソリッドな2ターンで5.75をスコアして逆転。岩見はニード6.01と追い込まれる。残り時間10分を切り、今度は岩見が優先権を使い、セットの波をキャッチ。2発のクリティカル・ターンのコンビネーションで6.25をスコアして大逆転。残り時間は5分。西のニードスコアは6.00。十分にスコアできるスコアだが、セットは入らず。そのまま岩見が初のファイナル進出を決めた。

 

 

 

女子のファイナルは松田詩野と松岡亜音。松岡はアジアランク3位で、怪我のため今シーズンのQSは2試合しか出場していない松田は24位。レフトハンダー同士のファイナルは松岡がパワフルターンで6.50をスコアしたのに対し、松田がビックターンからのクリティカル・リエントリーで7.50という高得点でスタート。

 

松田詩野
松田詩野 WSL / Tim Hain

 

その後バックアップ4.50をスコアした松田がリードをする展開に。松岡は優先権を持って波を待ち、4.25をスコアして、ニード5.51まで追い上げる。終盤に入りセット波を掴んだ松岡は2つのストロングターンで5.65をスコアし逆転。

 

残り時間10分を切り、ニード4.65でビッグセットを掴んだ松田は、クローズセクションでビッグリエントリーをメイク。6.3をスコアして再びトップに躍り出る。そして続けて波を掴んだ松田は、深いボトムターンからクリティカル・リエントリーをメイク。シームレスな美しいマニューバーを描き、エクセレントの8.00をスコア。

 

松岡亜音 WSL / Tim Hain

 

ニード9.00と完全に追い込まれた松岡だったが、最後までパワーサーフィンを貫き6,60をスコアし反撃するも、そこまで。松田詩野が2018年の一宮プロ以来となる5年ぶりのQS優勝を果たした。

 

松田詩野と松岡亜音  WSL / Tim Hain

 

 

今回の優勝で松田は貴重な3000ポイントを獲得。自身初のQS3000イベント初制覇で怪我からの完全復活の狼煙を上げ、来季のチャレンジャー・シリーズ出場権獲得に向けて、素晴らしい勝利を手に入れた。

 

松田詩野  WSL / Tim Hain

「QSで最高の結果を出すことができ、とてもうれしいです。昨年は怪我をしてしまい、良い成績を残せなかったので、この勝利は今後の自信になります。 この波とバックハンドで行くのが好きなので、この波で戦えたことはとても気持ち良かったです。

ラウニオンは素晴らしい場所で、食事も美味しく、人々も素晴らしくて、みんなとても協力的です。 私のボードキャディはフィリピン人で、それがこの優勝につながったと思います。」と松田詩野がコメントした。

 

 

 

ケトゥ・アグス WSL / Tim Hain
ケトゥ・アグス WSL / Tim Hain

 

男子ファイナルは岩見天獅とケトゥ・アグスの対戦。アグスはインドネシアのネクストジェネレーションの一人として注目の選手。大会を通して高得点を連発してきたアグスはファイナルでさらに高得点を量産。スタートから9.50という大会最高得点をマーク。

 

岩見天獅 WSL / Tim Hain

 

岩見も7.00で応戦する。アグスは後半に入りバックアップを8.75まで上げて圧倒。 コンビネーションに追い込まれた岩見もパワフルなストレートアップのターンで応戦。バックアップを6.20とするも惜しくも敗退。

 

サンディエゴのWJCに続き、最高のステージでの素晴らしい経験で大きく成長した岩見天獅の今後の活躍に期待したい。

 

「チャレンジャー(シリーズ)に戻り、和井田理央と一緒にCTに入りたいので、このイベントのために多くの準備をしてきました」とアグスは言った。

 

「ファイナルに向けてパドルアウトした時、このイベントのベストコンディションであることにとてもストークしました。最初の波に乗り、スコアを聞いた時、あの波を与えてくれた神と9.50を出したジャッジに本当に感謝しました。

しかし、天獅がリッピングして良いスコアを出していたので、バックアップのハイスコアが必要であることは分かっていました。1本のビッグスコアでは決して十分ではありません。私はただリラックスしてヒートをコントロールし、彼がビッグスコアを出すチャンスを減らすことに努めました。 それが功を奏して、この勝利につながったんだと思います」。

 

 

次なるWSLアジアの試合はQS3000に格上げされた「ホワイトバッファロー日向プロ」が2023年3月2日~3月5日で開催予定。今回のフィリピン同様のグレードになったことでアジアから多くのトップ選手が集結し、盛大な大会となることだろう。

 

 

 

 

男女ショートボード:https://www.worldsurfleague.com/events/2023/qs/112/la-union-international-pro/results

男女ロングボード:https://www.worldsurfleague.com/events/2023/lt/113/la-union-international-pro/results