【オーストラリアNEWS】和光大が約3年ぶりのオーストラリア。ASOグランドファイナル、ストラディアサルト。

NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。

第28回となる今回は、約4年ぶりとなる日本への帰省、Australian Open of SurfingのグランドファイナルとWSL Peel Pro Junior、ボードライダーズのチーム戦、和光大が約3年ぶりにオーストラリアへ。

 

取材、文、写真:菅野大典

 

10月のゴールドコースト。

 

 オーストラリアの春を象徴するジャカランダが咲き、街の中を明るく彩ってくれています。

 晴れている日であれば30度近くまで気温が上昇する日もあり、ビーチにはボードショーツ1枚で遊んでいる人の姿もたくさん。

 


 

日もだいぶ長くなり夕暮れ時には人がビーチでリラックスしながら集まっている姿も見られます。

 

平日の夕方にもかかわらずサーフレッスンが行われていました。春を通り過ぎて夏を感じさせられるゴールドコーストとなっています。

 

 

 10月前半は約4年ぶりとなる日本への帰省をしていました。

 

 オーストラリアから日本へ行くにはワクチン接種3回未満の方はPCR陰性照明が必要で、出発72時間以内に受ける必要があります。ゴールドコースト空港内にある”4Cyte Pathology”というコロナウイルス検査センターでは、PCR検査結果を2時間で証明してくれるので出発当日の朝に受けることも可能でした。

 

 フライトはジェットスター航空のゴールドコースト発、成田行きの直行便で帰りましたが、約2年半ぶりにフライトが再開したばかりのせいか、機材の整備やスタッフ不足、悪天候などにより運行が不安定な状態で、自分のフライトは4時間の遅延での出発となりました。

 

 最近は頻繁にスケジュールの遅延や欠航が発生しており、フライトは再開しましたがまだまだトラブルが多く通常通りとは言えない感じです。(全日空のシドニー発、羽田行きは、遅延や欠航はほとんどない感じで運行しています。)

 

 日本帰国中は南房総で行われたWSL ASIAプロジュニアの最終戦を観戦したり、東京オリンピックが行われた志田下へ行ったり、たくさんの人と会ったりと、とても充実した日々を送り、あっという間に3週間が過ぎてしまいました。

 
 ゴールドコーストと日本のビーチの雰囲気を見比べて感じた事、オーストラリアのWSLの試合と比べて感じた事、久しぶりの日本で感じた事はたくさんあるのですが、その中で1番に感じた事はマスクの着用率。ニュースなどでは聞いていましたが、外で歩いている人がマスクをしている姿にはやはり驚きました。(オーストラリアでは空港の職員ですらマスクを着けていないので)

 

 もちろん場所によって全然違うのですが、日差しが強い日の東京の街中でサングラスを着用している人はほとんどおらず、95%の人がマスクをしていて、逆にゴールドコーストではほとんどの人がサングラスはかけているけどマスクをしている人いないという光景を見て、国の違いを感じました。

 

 日本からオーストラリアに入国する際は特に必要な事はなく、スムーズに入国ができます。

 

 オーストラリアの現在のコロナウイルスの状況ですが、10月14日についにコロナウイルスの陽性者の隔離の規制を撤廃することが発表され、今まで義務付けられていた感染が確認された陽性者の5日間の自主隔離が無くなりました。(医療機関で働く人を除く)

 

 パンデミックが起きた当初はコロナを封じ込む政策をとっていたものの、途中からは共存するという政策に切り替え、たくさんの規則の変更がありましたが、2年半の時を経てパンデミック以前の生活に戻す事になりました。

 

 現在は1週間の感染者が3万5千人程度で推移をしています。

 

 ゴールドコーストの波の状況は例年の10月と違いサイズのある日が多くありました。

 

 初旬には大きなスウェルが入ってきて、地形の整っているスナッパーロックスではまるで夏のサイクロンの時期のようにいい波が続いていました。

 残念ながら私は日本にいたため、このスウェルを味わう事ができなかったのですが、中旬以降もサイズのある日が続き、風が合う日が少ないながらも多くのサーファーがスウェルを満喫。

帰ってきてからはしばらく大雨、北風のオンショアコンディション(笑)

カメラマンやコーチも雨には一苦労。

ブラジルでのCSを控えて何度も繰り返し海に入っていたキーフ・バトラー。

ラフなコンディションでもスタイリッシュにバックサイドを切り刻むデイブ・ヴォルグ。
若干13歳ながらチューブからエアーまでこなすケイデン・フランシス。今後大注目のオージーグロムサーファーの1人。

太いトラックを刻む元CTサーファーのウェイド・カーマイケル。パワフルなオンショアガタガタの波でも関係ないようにアクションを連発していました。

 

 サイズがピークに達した日の夕方遅くに突如風がオフショアに変わる場面がありこんなコンディションに。この写真一枚だけ撮って、すぐに海に入ったらラインナップにはステファニー・ギルモアなど豪華なメンバーが。この日のキラにはジェットスキーも出てチューブセッションが繰り広げられていました。

 ゴールドコースト以外の場所でも、風が合いコンディション良くサーフィンができている場所もたくさんあった様子。1年の中でも波のコンディションがあまり期待できない10月ですが今年は当たりの年となりました。

 

 

Australian Open of SurfingのグランドファイナルとWSL Peel Pro Junior、ボードライダーズのチーム戦

 

 イベント事も各地でたくさん行われていました。

 

 10月15日に、コロナ禍に入ってからオーストラリアにいる選手をサポートするという目的で毎年開催されている”Australian Open of Surfing”シリーズのグランドファイナルが、NSW州のボンダイビーチで開催。シリーズランキング4位(コフスハーバーとサンシャインコーストで行われた2戦の合計)の相沢日向が出場しセミファイナルまで進出するも惜しくも敗退し7位で終了。

 

 男子の優勝はジョージ・ピッター、女子の優勝ロージー・スマートが見事2022年のシリーズ王者に輝きました。

 

 女子の優勝者のロージー。優勝賞金はなんと10,000ドル。ファイナリストだけでなくグランドファイナル出場者全員にも250ドルの賞金が与えられた。CTやCS以外のサーファーで行われる大会でこのような賞金額はオーストラリアでは珍しいです。PIC : SURFING NSW

 

 同じ日の15日から17日にはウエスタンオーストラリアでWSL Peel Pro Juniorが開催。現在サザンクロス大学に留学中の井上龍一が出場し、ラウンド16まで勝ち進み9位で終了。

 

井上龍一

 

 ゴールドコーストに来て半年程度だが確実にサーフィンが上達しているリュウイチ。大会でも点数を出せるようになり、個人的に今後がとても楽しみなサーファーの1人です。

 

Peel Pro Junior優勝者、男子レノックス・チェル、女子エリー・ハリソン。PIC : WSL

 

 

 22日、23日には、ノースストラディーの愛称で知られている、ノースストラドブローク島でストラディアサルトという、ボードライダーズのチーム戦が開催。

 

オーバー35のヒートには元CTサーファーが三人も出場する豪華なメンバーのヒートも。

オーストラリアに住み始めて4年目となる黒川楓海都もパームビーチボードライダーズのオープンメンバーとして出場。自分のヒートを2位でフィニッシュしチームに貢献していた。

 ノースストラディ出身のWSLワールドランキング4位であるイーサン・ユーイングも地元の一大イベントに参加。オーストラリアのどのCTサーファーも自分の所属するボードライダーズにすごく協力的です。

 そのイーサン・ユーイングが所属するイベントのホストであるポイントルックアウトボードライダーズが、見事2022年のストラディアサルトの優勝クラブに輝きました。

 

和光大が約3年ぶりにオーストラリアへ

 

和光大

 プロサーファーとしての活動だけでなく、世界1周の旅をはじめ、映像制作やロキシージュニア選手コーチを務めるといった、多彩な活動をおこなっている和光大が約3年ぶりにオーストラリアへ訪れました。

 たまたまこの時期にフライトのキャンペーンがあったのでチケットを買いました(笑)と、フットワークの軽い大。ゴールドコーストだけに留まらず、各地のキャラバンパークに滞在しながらトリップをするなど動き回っていました。

 

 今回オーストラリアに来て感じた事を尋ねると、『オーストラリアへ戻ってきて、改めてビーチカルチャーが根付いてる事に気がつきました。』

 

『コンペティターの生活から旅に出て、映像制作などの創作にも活動の幅を広げた現在ですが、活動内容が変わっても自分の中で永遠のテーマがサーフィンを上手くなることでした。

 

その中で海外、特に自分とゆかりのあるオーストラリアのサーファーはコンペティターではなくフリーのサーファーとしても自立してる人が多いと思っていました。コーチ経験もあるのでやっぱりなんでかなぁ?って考えた時に、そもそもの海との関わり方が影響してるのかな?と思いました。

 

 土日になれば家族でビーチに遊びに行き、子供から老人夫婦までが海でのアクティビティを楽しんでいる。子供は自発的に波で遊んでいるし、小さい頃から遊んでいれば感覚的に波のことも理解していて、そうなれば板の上に乗って滑るって簡単なことなのかなと。

 

それに各ビーチに絶対にあるニッパーズの制度も強い。そういった意味でビーチカルチャーがあることが、この国のサーフィンのレベルを上げている気が今回のトリップで感じました。』と、話してくれました。

 

和光大

 大にとってオーストラリアは高校留学とワーキングホリデーなど合わせて7年以上過ごした第2の母国とも言える場所。それでも今回は初めて訪れる場所もありいい時間を過ごしていた様子。波も大当たりのオーストラリアトリップとなっていました。

 

和光大

最近ではショートボードだけでなく、ミッドレングスからロングボードまで乗りこなす。年を重ねてサーフィンの幅と深みがどんどん増してきているように感じます。

 

 ゴールドコーストに留学中の後輩とセッションも。型にとらわれない活動をしているプロサーファーである大と話をするのは貴重な時間となったはず。

 『初めは軽い感じでオーストラリアに行こうって思っていたけど、時期的にも来るべきタイミングで来たなと感じました。今後は自分のルーツである海と乗る関わり方を自分なりの方法で発信して、オーストラリアで培った好きなことをやるという、今を生きる、を表現していきたいと思っています。それと、子供達にこの素晴らしい海のカルチャーを伝えていきたいですね。』と最後に語ってくれた。

 

 

 自身で製作した映画”BREATH IN THE MOMENT”の上映会も開催。現地に住む友人や、ワーキングホリデー、学生などたくさんの人が訪れ、楽しい時間を過ごしていました。

 約3年ぶりに第2の母国であるオーストラリアを訪れ英気を養った和光大。今後の活動に期待したいです。

 
 すでに夏と言えるほど街中は暖かく、活気にあふれているゴールドコースト。海外からの渡航者もどんどん増えてきており、今から本番を迎えるゴールドコーストの今シーズンはとても熱くなりそうです。

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。