金沢呂偉がASIA CHALLENGE初代チャンピオンとなる。JPSAジャパンプロサーフィンツアー2022 特別戦

優勝した金沢呂偉

 

文、写真:山本貞彦   JPSAジャパンプロサーフィンツアー2022 特別戦さわかみ ChallengeSeries 2022「SAWAKAMI ASIA CHALLENGE Ichinomiya」がワンデイイベントとして開催された。

 

 

このイベントはJPSAが日頃、つながりのある国に声をかけて実現したもの。今回はインドネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカ、台湾、タイの6カ国に日本を加えた7カ国で競技を行った。

 

このイベントを通して親交を深めるだけでなく、各国とより連携してアジアのサーフィンの底上げを図ることが目的となっている

 

 

その記念すべき第1回はオリンピックの会場となった千葉県長生郡一宮町の釣ケ崎海岸(志田下ポイント)。朝は風も弱くサイドオフ。波は腰腹で、たまのセットは胸ぐらいのサイズが入る。

 

ただ、大潮なので昼の干潮になるとショルダーがない割れづらい波に変化。腰腹はキープするものの、セット以外は速い波でワイドなブレイク。朝とは全く違うコンディションに選手もだいぶ手こずった。

ローカルシード田中英義  今大会は5位でフィニッシュ。

 

さらにオンショアが強くなり、流れも入る。波の見極めと同時に、速い波のエンドセクションをどう処理するか。ここが勝負の分かれ目になった。

 

今回、日本人選手は12名。海外からの参加は各国2名×6で12名。抽選会で決めた組み合わせでR-1を戦い、1位はそのままクォーターファイナルに進出。2位、3位は次のR-2で戦い、上位2名がクォーターファイナルで再び戦う。

 

I Made Pajar Ariyana(インドネシア)
I Wayan Darma Putra(インドネシア)
Magos Allen(フィリピン)
Alipayo Philmar(フィリピン)

 

このクォーターファイナルの計4ヒートに進出したのは、日本から12名の全員。残りはR-1で一抜けした I Made Pajar Ariyana(インドネシア)と Magos Allen(フィリピン)。それとR-2で勝ち上がった I Wayan Darma Putra(インドネシア)、 Alipayo Philmar(フィリピン)の合計4人だけとなった。

 

今回、前の週にISAのワールドサーフィンゲームスが開催されていたこともあり、各国の選手派遣も大変だった模様。なので、若手にベテランのコンビでエントリーするも、志田下のクセのあるポイントには各国選手は一苦労。

 

さらに大潮ということもあり、コンディションが大きく変化したことで普段の実力が発揮できなかったとも言える。

 

日本は地元である優位な点を考えれば、12名がクォーターに行くのは自明の理。ただ、それでも日本人選手を抑えて1位通過するスキルがあることは、ちゃんと証明された。日本が上手いんだと油断していたら、いつでもひっくり返されるということを予感させられる展開もあった。

 

決勝は日本人選手同志の戦いとなったものの、 I Made Pajar Ariyana(インドネシア)選手はセミファイナルまで進出。4位で敗退となるものの、今大会は7位という成績で終了となった。

 

金沢呂偉
鈴木仁

 

その決勝は地元のホープ岩見天獅に、湘南の鈴木仁と四国の金沢呂偉、安室丈という若い顔ぶれ。潮は上げに変わるも、オンショアで波が潰された上にセット間も長く、ショートライドの戦い。

 

岩見天獅
安室丈

 

それでも開始早々にキレた波を掴んだ金沢呂偉が一歩リードして試合は進む。後半にエンジンのかかった鈴木仁がポイントを重ねるが、金澤のリードは変わらず。終了直前の岩見の演技も逆転までには届かず、金澤がそのまま逃げ切り「 ASIA CHALLENGE」の初代チャンピオンに輝いた。おめでとう!

 

 

JPSAジャパンプロサーフィンツアー2022 特別戦さわかみ ChallengeSeries 2022
「SAWAKAMI ASIA CHALLENGE Ichinomiya」

表彰のプレゼンターは さわかみグループ 澤上龍社長

 

優勝:金沢呂偉(¥500,000)
2位:鈴木仁 (¥250,000)
3位:安室丈 (¥130,000)
4位:岩見天獅(¥100,000)
5位:田中大貴、田中英義(¥80,000)
7位:I Made Pajar Ariyana(インドネシア)、河谷佐助(¥60,000)
9位:I Wayan Darma Putra(インドネシア)、辻裕次郎、塚本勇太、西慶司郎(¥40,000)
13位:仲村拓久未、Magos Allen(フィリピン)、佐藤魁、Alipayo Philmar(フィリピン)(¥20,000)

 

 

金沢呂偉が ASIA CHALLENGEの初代チャンピオン

 

 

金沢呂偉
今シーズンの試合をする度に上手くなっている金沢呂偉。R-1からエンジン全開で、7.25、7.15でトータル14.40ポイント。これは今大会のトータルハイエスト。

 

結果を出していることで自信がついたこともあるが、今の自分のできることをヒートで試しながら戦っている。それができるのは、それに裏打ちされるスキルがあるから。

 

ボードコントロールの巧みさとメリハリのある演技。レールワークだけでなく、高さのあるエアーも武器。これで完全に試合をコントロールできるようになったら、常勝間違いなし。

 

 

「超嬉しいです。ファイナルの最初はエアーはやめとこうと思ったんですけど、体が勝手にエアしてましたね。今日は途中、けっこう危ないところもあったんですけど、取り敢えずファイナルまで行けて優勝出来たんで最高ですね。」

最近のサーフィンの調子の良さの秘訣は『よく寝ることだ』と言った現在ランキング2位の金沢。「今年の目標はグラチャンです」とインタビューを締めくくった。

 

鈴木仁
怪我からの復活をアピールするエアリアル。ランディングもメイクして、今大会のシングルハイエストの8.00ポイントを叩き出した。

「自分でも手応えあって、キメ顔しちゃったんですけど(笑)大きな怪我から復帰の大きな試合でのちゃんとしたエアーということで気持ちが良い1本でした」とそのライディングを振り返ってコメント。


5位:田中大貴 「一番左で波を待って、ペースを作るのが自分の課題だった。とにかく数乗って良い波を探す作戦だった」とQFを振り返った。
7位:河谷佐助「乗った時は良い波ちゃうんかなって思ったけど自分の思うような波になってくれた」とQFで6.65を出した河谷が言った。
9位:辻裕次郎 「セットでそれなりの波を選べば当ててもフィットしている感覚がある」とR2を1通過した辻裕次郎がコメント。
9位:西慶司郎 「来た波をどんどん乗って行こうという作戦でした。あそこのライトなのかなって思っていました」とバックハンドでクリティカルセクションに当て込んだ西が言った。
9位:塚本勇太 「難しいコンディションでした。」と自分の思った波が来なかったために作戦を変えて戦ったと語った。
13位:仲村拓久未 「今日はアジアの方からみんな来て、楽しい感じの試合なんで、試合前も会話できました。早い感じの波だったのでエアを狙っていた」とヒートを振り返った。
13位:佐藤魁

 

ゼッケンは各国用に国旗がプリントされている特別仕様。
選手エリアには人工芝を貼り、バランスボールなども設置した。

会場のMCは高橋みなとプロとツヨシくん。休む間も無く日本語と英語で交互にポイント、時間、プライオリティ、シチュエーションをコール。ご苦労様でした!

ライブの日本語放送は豪華な布陣。ボイスワークスの齋藤寿幸アナウンサーと日本テレビの田中毅アナウンサーに、牛越峰統プロ、浦山哲也プロが解説を担当。

ライブのMC英語放送では久米大志プロと黒川日菜子プロが担当。フルに休まず一日ぶっ通しで喋っていました。お疲れ様でした!

会場での進行MCはnicoさんが担当。選手紹介から勝利者インタビュー全てを現場から発信。選手はAlipayo Philmar(フィリピン)。

「ReWave」のアンバサダーの田岡なつみも加わりビーチクリーン。

試合が終わればノーサイド。選手同士で讃えあう。(仲村拓久未、Phongsakon Phennual-Ong(タイ))

会場では自国の選手のヒートには国旗を振って応援。(インドネシア)

ベトナムのTran Thanh Viet 選手が左の膝を痛めたので、テーピングで緊急処置。

R-1では選手紹介を会場とライブ映像用に放送してから試合をスタート。(田中大貴、田中英義、ran Thanh Viet(ベトナム)

スポンサーのさわかみグループ代表の澤上龍社長から「このイベントの継続と次回はバリで開催する」ことをサプライズで発表。インドネシアのイダ バグース ライ氏も「ウェルカム バリ!』と高らかに宣言。

 

ヒート表

 

【Surfing for all がんばろう日本!】
JPSAジャパンプロサーフィンツアー2022 特別戦さわかみ ChallengeSeries 2022

SAWAKAMI ASIA CHALLENGE Ichinomiya

期日/9月27日(火) ~ 9月27日(火) 予備日:28日(水)
会場/千葉県長生郡一宮町 釣ケ崎海岸(志田下ポイント)