【オーストラリアNOW】悪化するコロナの影響でイベント・キャンセル相次ぐ。 相澤日向インタビュー

NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第15回となる今回は、コロナの影響で相次ぐイベントのキャンセル。ジャパニーズ・セッション。生まれも育ちもオーストラリアのプロサーファー相澤日向のインタビューなど。

 

取材、文、写真:菅野大典

 

すっかりと暖かい季節になった9月のゴールドコースト。春の花が咲き始め、時には夏を思わせる ような日差しになる日も多くあります。

 

晴天の日が多く、これぞゴールドコーストという日が続いています。

 

コロナウイルスの感染状況は9月に入っても引き続き悪化しており、ニューサウスウェールズ 州、ビクトリア州、オーストラリア首都特別地域(キャンベラ)で感染者が多く確認されており、 ピークとなった中旬には1日の感染者が1800名を超えるほどとなっています。3ヶ月前まではほ ぼ感染者を出さないという状況からは想像つかない状況が続いています。

 

 

先月より問題になっていたNSW州とQLD州の州境もバリゲードが置かれたままの状態で、州を またいで行き来できずにいる家族や友人が集まったり、サプライヤーが物資の受け渡しを行なっ たりしています。

 

 

9月13日にはボーダーバブルが再開し、リモートワークなどをできないワクチンを1回以上摂取している必要不可欠を担う労働者(職種が限られている)は、州を越えての移動が可能になったが、それもわずか1週間程で再び新規感染者がこの地域で発見され元通りに。再び厳しい規制が敷 かれています。(9月29日に再びボーダーバブルが再開されました)

 

 

ゴールドコーストの波の状況は、先月末から続いていたうねりが残り9月上旬はサイズのあるい いコンディションが続いていました。

 

地形の残っていたスナッパーロックスはエクセレントコンディションに。

 

前十字靭帯損傷から復帰し、6月に行われたQS5000でクォータファイナルに進出して、見事チャレンジャーシリーズへの代表の座を勝ちとったELLIE BROOKS。US OPENの試合に出発する前にみっちりとトレーニングしている姿をよく見かけました。

 

綺麗なバックハンドを披露するエリー・ブルックス。サイズのある形のいい波ではいつも目立つ存在。
バーレーヘッズでも連日波がよく、カメラマンが集まりセッションが行われていました。
バーレーヘッズのローカルサーファーでクイーンズランド州U-16チャンピオンのRICO HAYBITTLE。果敢に何本も大きな波にチャー ジしていた。
チューブに入るCHRIS BENNETTS。この日は軽々と何本もチューブをメイクしていた。
スナッパーロックスの夕暮れ時にはサーフィンと夕焼けを見学しにたくさんの人が訪れていました。
ピークは相変わらず大混雑。
レインボーベイからグリーンマウントまでも人がぎっしりとラインナップ。
女子では珍しい危険なロックジャンプでのエントリーをするDIMITY STYLE。
彼女もまたチャレンジャーシリーズを前によく海で見かける存在の一人でありました。
サーファーズの夕暮れをバックに得意のエアーを決める1999年の世界王者OCCYの息子のJAY OCCHILUPO。

 

 

気温も暖かくなり、日が落ちてもビーチに滞在する人もたくさん。普段なら9月はあまり波の立たない 時期なのですが、連日快晴といい波が続き毎日暗くなるまでセッションが続いていました。

 

中旬以降は波のサイズは落ち着くものの、コンスタントにサーフィンをできる日も多く、スウェル を拾いやすいD-BAHやスピットを中心にサーファーが集まっていました。

 

スウェルマグネットであるD-BAH。
バックフリップを決める2018年のU16のチャンピオンであるSEAN GUNNING。

 

 

コロナの影響で予定されていたイベントが相次いでキャンセル。

 

 

9月にしては波のコンディションは良かったものの、予定されていたサーフィンの大会のイベン トは相次いでキャンセル。

 

毎年オーストラリア全土のみならず世界中のグロムが集まって行われるBILLABONG OCCYS GROM、そしてボードライダーズのチーム戦であるKIRRA JUNIOR TEAM CHALLENGEは、コロナウイルスの影響により中止になり、9月25日、26日に予定されていたAUSTRALIAN OPEN OF SURFINGの1戦目はコンディション不良により10月23日、24日に延期された。

 

 
AUSTRALIAN OPENの大会に出場するために、200kmほど離れているサンシャインコースト からゴールドコーストへ移動してきた黒川楓海都と四国の後輩で現在ワーキングホリデーで滞在中の瀬戸優貴。せっかくなので出場予定だった日本人選手と水中カメラセッションをしました。

 

大きな身体をめいいっぱい使ってダイナミックなサーフィンを繰り出すマサキ。
『試合やりたかったー』と落ち込みながらも果敢に何本もエアーを繰り出すカイト。
先日18歳になったばかりの馬庭彩ちゃん。当たり前のように車を運転して来て現れました。
『チューブとエアー特訓します!』と言いながら、果敢に波に突っ込んでいました。馬庭彩
リップアクションを繰り出す相澤日向とそれを見つめるカイト。

 

カメラを向けると必然とライディングにも力が入り、熱く楽しいセッションが繰り広げられまし た。

セッション後にはみんなでカフェへ行き、選手ならではの色々な情報交換であったり、相談も。いまだに続くコロナウイルスの感染の状況下で大会等のイベントがスムーズに行われないのは、周りから見ている人にとっても、とても歯がゆい状況ではありますが、彼らのような選手たち 自身がモチベーションを保ち、前向きに物事を捉えて、頑張っている姿にはとても心を打たれます。

そんな中、今回は今が旬といった年頃であるオーストラリア生まれの日本人サーファーである相澤日向にショートインタビューをしてみました。

 

 

相澤日向インタビュー

 

 

D:自己紹介をお願いします。

H:相澤日向です。年齢は20歳で、ゴールドコーストで生まれて子供の頃はシドニーの ノーザンビーチで育ち、今はバーレーヘッズがホームポイントです。

D : レギュラーとグーフィーの波どちらが好きですか?(ゴールドコーストはレギュラーの ポイントがほとんど)

H : グーフィーです(笑)

 

メインの仕事はコーチングをやっています。

 

サーファーズパラダイスをバックにライディングするヒナタ。シドニーで幼少期を過ごし12歳の時に再びゴールドコーストに戻って来 た。

 

D : 現在行っている活動内容を教えてください。

H : 今のメインの仕事はコーチングをやっています。他にも大会のジャッジやサーフスクールのインストラクター、あとライフガードの仕事もやってます。

D:コーチングの内容について詳しく教えてください。

H:元CTサーファーであり今年のWSLファイナルズにも残ったモーガン・シビリックのコーチであるジェイ ”BOTTLE” トンプソンの会社「MAP Surf Coaching」で働いていて、ビデオアナライズによるサーフィンのテクニックや試合のアドバイスなどを行なっています。だいたい4~5人のグループセッションで、年齢は10~16歳くらいの子供達に教えています。

 

D:自分の出ていない大会は、だいたいジャッジとして仕事をしていると思うけど、20歳という若さでジャッジをやるというのはオーストラリアでは結構普通なのかな?

H:ジャッジのコースを受けて最初のレベルのライセンス(レベル1)を取る人は結構いるけど、その先のレベルに進んで本当に仕事にしている人はあまりいないと思います。

 

 

ゴールドコースト近辺で行われる大会のジャッジブースを覗けばだいたいヒナタの顔が。昨年はサウスストラディで行われたCTレベル の大会であるAUSTRALIAN GRAND SLAM “BOOST MOBILE PRO GOLD COAST”のジャッジを務めたりと、20歳という若さでWSLや サーフィンオーストラリアからの信頼も大きい。

 

昨年末に骨折をした後、またサーフィンを頑張りたいと凄く思いました。

 

 

D:2月にあったQSの試合は怪我からあけて、すぐだったので残念だったけど、コロナ前と 比べてサーフィンの技術がすごい上がってるように感じなんだけど何か特別なトレーニン グとかはしていますか?

 

H:昨年末に骨折をした後は、1日でも早く海に入れるようにとにかくリハビリを頑張って行いました。しばらくサーフィン出来なくなって自分を見つめ直す時間になり、そこでまたサーフィンを頑張りたいと、もの凄く思いました。トレーニングはジムに通ってしっかりやっています。

 

D : ジャッジやコーチングをすることによって自分のサーフィンの技術も上がったように 感じる?

 

H : 技術が上がったというよりも、試合で点数の出るサーフィンがどんなものなのかが、理解出来るようにはなったと思います。


D:今回のUS OPENでクォーターファイナルまで進んだLIAM O’BRIANやCALLUM ROBSONだったり、MORGAN CIBILICといったレベルの高いサーファーと普段一緒にサーフィンしたり、プライベートでも一緒にいる時間が多いと思うけど彼らから学ぶことはありますか?

 

H : 3人ともサーフィンの取り組み方が全く違うタイプだから、みんなから少しずつ参考に出来る事を参考しているところはあります。例えば試合前の過ごし方とか、トレーニングの内容とか、試合のメンタルの事とか、、、学ぶ事は多いですね。
 

 

コーチング、ジャッジ、周りにいるサーファー、自分を取り巻く環境からたくさんのものを吸収しているというヒナタ。 ゴールドコーストというレベルの高い場所で、知らない人はいない程のサーファーに成長している。

 

D:コロナ前はQS選手として世界中を飛び回りながら、フリーサーフィンではインドネシアや南米ですごい波をスコアしてたけど、またコロナが落ち着いたら、世界を回りたいですか?

H:もちろん凄く行きたいです。本当に早く行けるようになって欲しいです。

 

D:最近はWA(ウエスタンオーストラリア)にいって、すごい波をスコアしていたよね? 国内だけど久しぶりのトリップはどうだった?

H:本当に最高でした。試合じゃないサーフトリップに行くのは凄く久しぶりで、 Gnaralooという所に行ったのですが、波が最高でウエスタンオーストラリアにこんな場所 があるんだ! と感動しました。

 

 

過去や未来の事を考えすぎないで今を一生懸命に生きる
 

 

片道チケットだけ買い、波を当てるまで滞在しようと向かったウエスタンオーストラリアのGNARALOO。電気も水も通っていない キャンプ場に3週間ほどステイして最高の波をスコアした。
広いオーストラリア国内にはまだまだ知らないたくさんのポイントがある。あらためて旅の素晴らしさを感じたそうです。

 

D:最後に今後の自分のやりたい事とゴールを教えてください。

 

H:試合に向けては後で振り返ってみても悔いのない準備をして挑めるようにしたいと思っています。ゴールと言うには違うかもしれないけど、過去や未来の事を考えすぎないで今を一生懸命に生きようと思っています。

 

 

 

20歳という若さでありながら、サーフィンに関わるマルチな活動を行なっているヒナタ。セッ ションをしていても話をしていても、心から純粋にサーフィンが好きなんだなと感じてしまいま す。英語と日本語も堪能な才能溢れる彼の将来には期待せずともいられません。

 

 今後の相澤日向の活動を応援しています!

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。