今年5月、タヒチをはじめとするフランス領ポリネシアが旅行者への開放が再開され、「アウターノウン・タヒチプロ Presented by Shiseido」は、CTツアーを締めくくる理想的なイベントとして、チャンピオンシップ・ツアーの最終予選を決定するものとなっていた。
しかし、WSLは「アウターノウン・タヒチプロ」を中止するという劇的な声明を発表。WSLのプレスリリースの冒頭にはこう書かれている。
「ワールド・サーフ・リーグ(WSL)は、フランス政府がフランス領ポリネシアに緊急事態宣言を発令し、米国疾病管理予防センター(CDC)がフランス領ポリネシアをレベル4に移行。そして渡航を控えるよう勧告したことを受けて、タヒチ・プロを中止することを発表します。」
WSLは「世界的なパンデミックの中でチャンピオンシップ・ツアーを運営していくことは、WSLにとって並々ならぬ挑戦であり、常にサーファー、スタッフ、地域社会の健康と安全を第一に考えています。」とコメント。
現在の世界的な状況を考え、WSLは追加でイベントを行うことはなく、現在行われている「Corona Open Mexico presented by Quiksilver」が、2021年WSLチャンピオンシップ・ツアー・シーズンの最後のレギュラー・シーズン・イベントとなる。
よって今回のメキシコ戦で、来月ローワー・トレッスルズで開催されるワールド・タイトル決定戦「リップ・カールWSLファイナル」への出場権を獲得するWSLファイナル5が決定される。
サーファーたちは昨夜、タヒチでのすべてのスポーツ・イベントの中止を含む新しいプロトコルが発表された大統領の記者会見を受けて、この中止の可能性が高まっていることを知らされた。そして、本日の競技開始に先立ち、選手たちにイベントがキャンセルされたことが告知された。
本日試合が男女共クオーターファイナルまで終了し、カリッサ・ムーア、ステファニー・ギルモア、タティアナ・ウェストン・ウェブ、ジョアン・ディフェイ、サリー・フィッツギボンズの5名のWSLファイナルへの出場が確定。
男子は、ガブリエル・メディーナ、イタロ・フェレイラ、フィリーペ・トリードのトップブラジリアン3名。コナー・コフィンは準々決勝に進出してランキング5位に入り、ルーキーのモーガン・シビリックもトップ5を維持して、トレッスルズでのファイナルシリーズに臨むことになる。
一方で、今回のタヒチのキャンセルを受けて、世界タイトルへの挑戦権を得られないという現実を突きつけられた選手たちもおり、日本期待の五十嵐カノアは、惜しくもファイナルシリーズ進出を逃すこととなった。
また今回の決定は、QSに降格する可能性のあるサーファーにも大きな影響を与える。WSLのプレスリリースには、この件には触れられていないが、メキシコ大会後の順位によって、誰が残り、誰が去るかが決まると考えられる。
タヒチのキャンセルは、ファンにとっても非常に残念な結果となったが、WSLにとっての唯一の救いは、メキシコでのイベントが成功したことで、少なくともレギュラーツアーを最高の形で終えることができたことと言えるだろう。
詳細については、WorldSurfLeague.comをご覧ください。
男子:Corona Open Mexico presented by Quiksilver
女子:Corona Open Mexico presented by Quiksilver