NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第11回となる今回は、前回からの続きでキャンピングカーでのオーストラリア横断の旅最終章。素晴らしい波がたくさん登場します。また旅の途中でマーガレットリバーのCTイベントに合流。都筑有夢路の現地での様子などもリポートしてくれています。
取材、文、写真:菅野大典
5月のオーストラリア。
この時期はオーストラリア全土で波がある季節で、旅に出ている自分はウエスタンオーストラリア州、サウスオーストラリア州、ニューサウスウェールズ州のいろいろな地域で時間を過ごしました。
あまり馴染みないウエスタンオーストラリアの北側。うねりも拾いやすく混雑無縁のパーフェクトな波がたくさんあります。
きれいな海と壮大なロケーションが広がっているオーストラリアの南側。
東海岸ではパーフェクトなロングウォールのポイントが至るところでブレイク。
5月でも北側ではカラッとした暑い気候で半袖で過ごせる場所もありながら、南側ではダウン が必需品となる場所も。寒さに強いオージーもヘッドキャップをかぶって入水している人もいました。
5週間で走行距離は約1万5000キロ。。。タイヤがパンクしたり、4WDの車でしかアクセ スできないポイントに知らずに入っていってしまい、Uターンできずにバックで何キロも戻る事もありながら、素晴らしい波と景色に巡り合わせてくれました。
南半球の夏の時期にあたる1月~3月がオーストラリアのシーズンと知られていますが、4月~ 6月の時期はどこの場所でも波があり、気候もよくいいコンディションの整いやすい時期となっています。
コロナの感染状況は24日にメルボルンで数ヶ月ぶりの市中感染者が確認され、ビクトリア州 では27日の夜から7日間ロックダウンされています。初旬にもシドニーで市中感染が見つかり、 規制が数日間かかったのですが、すぐに解除され引き続き感染者が出たらすぐに対応する政策で 感染拡大を防いでいます。
オーストラリアは6つの州と2つの特別地域で区分されており、それぞれの州ごとに設けられて いる法律があります。コロナに対する規制もそれぞれ独自の州で決められている事などもあり、 各州に入るためにボーダーパスをとらなければなりません。
サウスオーストラリア州とウエスタンオーストラリア州の州境。警察による検問が行われています。
同じ国の中でも移動が大変でしたが、コロナの感染拡大を防止するために徹底して行われてい ます。
またレストランや施設、イベント会場にはQRコードのエントリー確認があり、追跡システムも 徹底していて、違反者には罰金も課せられるシステムとなっています。
マーガレットリバーのCT観戦。ものすごい波で試合が開催。
エクセレントスコア続出となったWCTオーストラリアレッグ3戦目となるBoost Mobile Margaret River Pro presented by Coronaでは、これぞCTというような波がブレイク。
マーガレットリバーのメインブレイクの会場入口。自由に観戦できるが会場への入り口と出口はこの1箇所のみ。ここでもQRコー ドでのエントリー確認が行われていました。
初日はストームコンディションながら、迫力のある演技が披露されました。
ラウンド1を1位通過したグリフィン・コラピント。サイズのある波でもクリティカルセクションに板をねじ込んでいた。
晴天となった2日目には大勢の観客が会場に集まっていました。
間違いなく優勝候補No.1であったジョンジョン・フローレンス。ここの波でのカービングは群を抜いていました。
ラウンド1では10ポイントライドも出し好調だったのですが、残念ながら怪我で戦線離脱となってしまいました。
サイズのある波でも素晴らしい演技を見せてくれたウィメンズ。選手のレベルがどんどん上がっているように感じました。
綺麗なサーフィンでマニューバーを描くキーリー・アンドリュー。大きい波での技術が数段上がっていました。
都筑有夢路、たくさんの貴重な経験を日本のために持ち帰ってもらいたい。
レイキー・ピーターソンの怪我のリプレイスとして、Narrabeen Classicに続き出場を得た日本の都筑有夢路は、素晴らしいサーフィンを見せてくれラウンド1を見事1位通過したが、ラウンド3では波の来ない我慢のヒートとなり、残念ながら敗退。前回と同じ順位となる9位タイでフィ ニッシュとなりました。
ラウンドオブ16の試合後悔しそうに帰ってくる都筑有夢路。
オフショアが強く、待っていたセットで板が落ちず、、、と悔しがっていたが、試合後には会場の隣のポイントのボックスでサーフィンするなど、世界の舞台でなかなかできない貴重な経験をたくさん積んでいました。
地元のボードライダーズとCT選手の交流会のプライベートパーティーでインタビューに答える都筑有夢路。
カリッサムーア(後ろ)と共に質問&サイン責めにあっていました。
今年度のツアーを母と共に行動し、CT選手の中に入りグループ行動をしている都筑有夢路。ハ ワイへの移動やオーストラリアへの移動、隔離されているホテルなどみんな一緒で、試合ではライ バル同士であるけど陸ではCT選手はみんなファミリー同然。カリッサ・ムーアやステファニー・ ギルモアなどといった世界チャンピオンの人柄の素晴らしさを実感していると話してくれました。
今大会ワイルドカードで出場したWillow Hardyの父であるマーガレットリバーのローカルサー ファーGene Hardyと談笑する都筑有夢路。どこの場所でもアムちゃんの人柄が出ていて周りは笑顔で包まれていました。今回のマーガレットリバーの試合のコーチをGene Hardyに頼んでいたそ うで、いろいろな場所でたくさんの人に支えてもらいながら成長している様子が伺えました。
このような世の中の状況下でも大会を開催してくれる事、そして世界をまわれる事にとても感 謝しているとも言っており、間違いなく誰もが経験できない貴重な経験を積んでいる都筑有夢路。今後の活躍を期待すると共に、もっとたくさんの貴重な経験を日本のために持ち帰ってもらいたい。
いろいろなサーフィンのコミュニティーがある事を改めて知る機会にもなりました。
僕自身もこのマーガレットリバーでイベント期間中に数日滞在したのですが、この1つの小さな 町にトップのサーファーが滞在していて、スーパーマーケットに行ったらCT選手が普通に買い物し ている姿など目にしました。
海に入っていてもトップの選手による、すごいライディングを間近で見ることができ、このような ビッグイベントはただ一つの街おこしのイベントではなく、トップ選手の立ち振る舞いや練習に取り組む姿勢などを目にすることの出来る場となり、その地域のサーフィン環境やサーファーに与え る影響はとても大きいことだなと肌で感じました。
ただこのようにイベントを行い、盛り上がっているところもあれば、ローカルコミュニティーの反対によりビッグイベントを持ち込ませないような運動をする場所もあります。
昔からローカル問題というものがあるサーフィンの世界ですが、今回旅をしていて、『どこから来たの?』と、フレンドリーに話しかけてくれて、素晴らしい波を共有したいと思う人がいる場所もあれば、陸でカメラを持っているだけで露骨に嫌な態度をとられた場所もありました。
旅をしている者同士は気持ちがわかり、お互い親切で情報をシェアするが、ただそれとは逆にそ れを好ましく思わない人もいるという事を感じました。
自然相手の限られた場所で行われるサーフィンで、いろいろなサーファーがいて、いろいろなサーフィンのコミュニティーがある事を改めて知る機会にもなりました。
旅を終えてスナッパーロックスに戻って来たら人の多さにビックリ。人が多いだけでなく入っているサーファーの技術の高さは間違いなく1番と感じました。
菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
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