1993年にワールドタイトルを獲得したポーリン・メンツァーは、その時ボーナスマネーを一銭も貰えなかった。

1993年には世界チャンピオンとなったサーフィンというスポーツのパイオニアであるポーリン・メンツァー

オーストラリアのシドニーで生まれのポーリン・メンツァーという女性プロサーファーをご存知だろうか。80年代後半の女子プロシーンで一躍脚光を浴び、90年代を通してリサ・アンダーソン、パム・バーリッジ、レイン・ビーチリーなどの選手たちと戦い、1993年には世界チャンピオンとなったサーフィンというスポーツのパイオニアである。

 

 

当時はあまり取り上げられていなかったが、彼女はスポンサーが付かず厳しい選手生活を送り、関節リウマチという難病と闘いながら競技を続けていたという。1993年、彼女はトップに上り詰め、世界チャンピオンとなり、サーフィン史上最も偉大なアンダードッグ・ストーリーを築き上げた。

 

 

今やサーフィンのスポーツ界でも賞金は当たり前になっているが、現在のWSLの前身であるASP(Association of Surfing Professionals)はツアーが開催されるたびに世界タイトルのボーナス・チェックを授与していたわけではなかった。この時期の他のアスリート達と同様に、ポーリンは1993年に獲得した世界タイトルのボーナス・チェックを一度も受け取っていない。その年のポーリンの総収入は3万ドルで、そのうち2万5千ドルはイベントに参加するための旅費に消えていた。

 

 

まもなくオーストラリアで一般公開される映画『Girls Cant Surf』は、1980年代のポーリンをはじめとする女性サーファーたちの感動的な実話を描いた作品。

 

彼女たちは、男性優位のプロサーフィン界に抗議し、女性への平等な扱いを求めて戦いを挑んだ。この映画は、大手スポンサーを得られず、20年間ワールドツアーに出場し、関節リウマチを患いながらサーフィンを続けてきたポーリンのストーリーにもフォーカスする。

 

彼女は現在、ツアーを離れ、オーストラリアのニューサウスウェールズ州北部にあるバイロン・ベイに住み、バスの運転手をしている。

 

映画『Girls Cant Surf』に登場する他の女性サーファーたちとともに、ポーリンはサーフィンをする全ての女性への道を切り開いてきた。昨年からWSLも男女の賞金が同額になるなど、男女平等の動きがある。そんな今があるのは彼女たちのおかげと言っても過言ではない。

 

今回、そんな賞金を受け取れなかったポーリンに経済的な支援をしようということで、彼女のためにGo Fund Meのページが立ち上がった。Go Fund Meページはこちらから。既に多くのドネーションが集まって目標金がは達成している。

 

 

 

ジョディ・クーパー、フリーダ・ザンバ、ポーリン・メンツァー、リサ・アンダーソン、パム・バーリッジ、ウェンディ・ボーサ、レイン・ビーチリーなど、女子サーフィン界のレジェンドたちをフィーチャーした映画「GIRLS CAN’T SURF」は、それぞれの女性たちがコンペティションの夢を現実のものにするために、逆境に立ち向かう姿が描かれている。日本での公開は未定だが、このような素晴らしいテーマを持った作品が日本で公開されることを願う。

 

 

https://madmanfilms.com.au/girls-cant-surf/