今回、第6回となる【SURFMEDIAオーストラリアNEWS】。今回もNOJILAND FILMこと菅野大典氏がオーストラリアの最新情報を伝えてくれています。
今回は、サイクロン級のストームスウェルがやってきたゴールドコースト、シリーズが終了した『AUSTRALIAN OPEN OF SURFING』、クラスターが発生したシドニーのノーザンビーチのアバロン。ぜひ最後までご覧ください。
取材、文、写真:菅野大典
12月には珍しいサイクロン級のスウェルが到来
夏真っ盛りのゴールドコースト。
11月から引き続きスモールコンディションが続いた12月上旬ですが、地形のいい場所でボー ドショーツでサーフィンを楽しむサーファーを目にしました。
スナッパーロックス
レインボーベイ
12月中旬に入ると、この時期には珍しい2つのトロピカルサイクロンがフィジーの東と西の沖合にでき、ロングスウェルを届けてくれました。またそれとは別にサイクロン級のストームスウェ ルがゴールドコーストに押し寄せ、大嵐のコンディションとなりましたが早めのシーズン到来となる大きなスウェルを届けてくれました。
キラの丘には人が集まり観戦。
地形が一番できていたクーランガッタビーチ。
キラの堤防前のラインナップ。ジェットスキーも何台も出動。
ワイルドなブレイクのキラ
一番ピークとなったのは12月14日、ものすごい風と雨が吹き荒れひとたびセットに捕まれば ゲットできないようなコンディションとなっていながらもたくさんのサーファーがラインナップへ 顔を揃えていました。
クリス・ザフィス
今回のスウェルがヒットする同時期にシドニーのノースナラビーンで『AUSTRALIAN OPEN OF SURFING』の最終戦『Northern Beaches Open』が行われていましたがそれには出場せ ず、友人と共にジェットスキーを回しながら何本もチューブを決めていた。
女の子ながらビッグコンディションになれば必ず目にするようになった、ビッグウェーバーであるディラン・ロングボトムの娘サ マー・ロングボトム。
特大のバレルを決めていたリーフ・ドイグ。
CT選手は2021年シーズンの初戦のためハワイへ行っており、またシドニーのノースナラ ビーンで行われている『AUSTRALIAN OPEN OF SURFING』の最終戦に出場している選手や 『リップカールグロムサーチ』もサンシャインコーストで行われていて、一部のトップサーファー がラインナップにいなかったものの、ローカルサーファーを中心に数ヶ月ぶりのビッグスウェルを堪能していました。
その後数日間スウェルは続いたものの、オンショアとなる北風に変わってしまった為にそこま でのコンディションになり、今まで整っていた地形もだいぶ変化していました。
嵐が去った後のグリーンマウント。岸には大量の流木が。
流木のみでゴミが混ざっていないのが印象的でした。国民性がこういうところにも表れています。
ポイントの砂はなくなり岩が丸裸となったカランビン。ちょうど新月のキングタイドと重なっていたため、ハイタイド時は波で覆い 尽くされていました。
カランビンビーチのサーフクラブも1階部分に波が押し寄せ、被害を被っていました。
『AUSTRALIAN OPEN OF SURFING』のシリーズが終了
その大きなスウェルがゴールドコーストに押し寄せるている間の12月13日、14日に、シドニー のノースナラビーンでは『AUSTRALIAN OPEN OF SURFING』の最終戦となる『Northern Beaches Open』が開催。
相澤日向
当初はクイーンズランド州政府がコロナの感染多発地域に指定しており、シドニーの地域に行くことは出来なかったので出場を断念していた相澤日向だったが、12月1日に全ての地域の封鎖を解除されたと同時に出場を決め、ゴールドコーストからロングドライブでシドニーまで駆けつけた。
相澤日向 PIC: @ethdogsmith
前回のCOFFS HARBOURの大会同様クォーターファイナルでフィニッシュ。出場した4戦は全 てクォーターファイナル以上の成績となった。
コロナの影響で試合を思うように回れなかったが、モチベーションを崩さずに自分の出来る事 を精一杯行った1年。来年のQSでの活躍を期待したい。
『Northern Beaches Open』結果は以下の通り
RESULTS:
Open Men
1 ‒ Dylan Moffat (Narrabeen)
2 ‒ Kai Warner (Narrabeen)
3 ‒ Jordy Lawler (Narrabeen)
4 ‒ Jarvis Earle (Cronulla)Open Women
1 ‒ Molly Picklum (Shelly Beach) 2 ‒ Laura Enever (Narrabeen)
3 ‒ Sarah Baum (Newcastle)
4 ‒ Alysse Cooper (Manly)
9月19日から始まったこの国内サーキットは、当初予定されていたビクトリアでの開催はキャン セルとなった為、クイーンズランド州で2戦、ニューサウスウェールズ州で5戦の合計7戦のシ リーズとなりました。
コロナの影響でオーストラリア全土での開催ができずに終わったものの、来年度のQSシリーズ に向けて試合勘を養いたかった選手にとってこの7戦はモチベーションを維持する大事なイベン トとなったようで、2月下旬からスタートするQSのオーストラリアレッグに意欲を燃やしている 選手が感じられました。
『AUSTRALIAN OPEN OF SURFING』NSW シリーズランキング
Open Men
1 ‒ Dylan Moffat (Narrabeen)
2 ‒ Kalani Ball (Stanwell Park)
3 ‒ Joel Vaughan (Bateau Bay)Open Women
1 ‒ Cedar Leigh-Jones (Avalon)
2 ‒ Sarah Baum (Newcastle)
3 ‒ Molly Picklum (Shelly Beach)
*コロナの影響で州境が封鎖されるなどで全スケジュールを思い通りにまわることができなくなった為、シリーズはニューサウスウェールズ州の5戦のみ、ニューサウスウェールズ州のサー ファー内でランキングが決められ、クイーンズランド州のイベントとサーファーにはランキングの表彰は行われませんでした。
シドニーノーザンビーチでクラスターが発生。またしてもクイーンズ ランド州境が封鎖。
たくさんのイベント開催が復活し、順調にコロナの封じ込めに成功していたオーストラリア ですが、12月11日にシドニーのノーザンビーチのアバロンでクラスターが発生。
それによりクイーンズランド(QLD)州政府は、同地区を感染多発地域(ホットスポット)に 指定し、12月19日午前1時より入州制限を行うこと等を発表しました。
12月1日に約8ヶ月ぶりに開いた州境も、3週間を経たずにしてまたしても封鎖。ニューサ ウスウェールズ州でのイベント等の規制も新たに発表され、また変異種による感染者も発見され、 年末年始は予断を許さない状況となっています。
2020年は全世界中でコロナによる多大な影響が出た年となりました。
初期対応の早かったオーストラリアでは、すばやく国境を閉じ、感染者の増加を防ぐことに成功 したものの、観光業をメインにしている企業は当然ながら甚大な被害を受けており、また永住ビザを持たないで、帰国を余儀なくされた留学生やワーキングホリーデーの人もたくさんいました。そして、すぐに経済活動が再開したものの、今度は日本人がよく働いていた企業では人手不足 に悩まされている場所もたくさんある状況となっています。
来年度のQSのスケジュールが世界で唯一コンファームとなっているオーストラリアですが、まだまだコロナの状況によって変更せざるをえない状況という感じ。選手としては100%試合 に集中できる環境ではないですが、2021年にはまたツアーが復活しサーフィンに関わる人たち の活動の場が広がる事を願っています。
2020年オーストラリアサーフィンニュースを拝読していただきありがとうございました。 2021年も引き続きよろしくお願い致します。
菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
INSTAGRAM : https://www.instagram.com/nojiland/?hl=ja