第2回ジャパンオープン優勝は大原洋人と前田マヒナ。ISAワールドサーフィンゲームス日本代表選手6名決定。

優勝した大原洋人と前田マヒナ©JAPAN OPEN OF SURFING

11月1日から3日まで、千葉県一宮町釣ヶ崎海岸のオリンピック会場で開催された「第2回ジャパンオープンオブサーフィン」が終了。大原洋人と前田マヒナが見事優勝して、来年5月にエルサルバドルで開催されるオリンピック最終選考会となるISA世界選手権の最後の一枠を手に入れた。

 

大会最終日は、敗者復活の男女リパチャージR4からスタート。そして男女ラウンド4、男女リパチャージ・ファイナル、そして男女グランドファイナルでクライマックスを迎えた。

 

優勝した大原洋人と前田マヒナ©JAPAN OPEN OF SURFING

 

女子のリパチャージを松田詩野と中塩佳那が切り抜ける。

 

女子の敗者復活のリパチャージからスタート。松田詩野と中塩佳那が、しっかりと自分のサーフィンに修正を加えてファイナルデイを迎え、リパチャージR3、R4を勝ち上がり、リパチャージのファイナル進出。リパR4のヒート終盤には宮坂麻衣子がラストウェイブで猛チャージを見せたが惜しくも逆転ならず。今大会大健闘の池田美来もここで敗退となった。

 

 

「良い形の波が来ていると思っていたので、どんどん乗ってそれを見つけられるようにしていました。ヒート前に海を見ていて、ライトの波が多かったので、あの波に乗ろうと思っていました。」と松田詩野がコメントした。

 

 

男子リパチャージR4では、西優司、河谷佐助

 

西優司©JAPAN OPEN OF SURFING

 

男子のリパチャージでは、西優司、河谷佐助、新井洋人、加藤嵐がリパR4に進出。勢いに乗る西優司がライトの波でドライブの効いたターンによるトップスピードから繰り出すエアリバースで高得点をマークしトップを維持。

 

終始4位を強いられた河谷佐助が、優先権を使ってビッグセットを掴み、バックハンドでチャージ。5.53をスコアして大逆転で2位となり、西優司、河谷佐助の二人がリパのファイナルへ勝ち上がった。

 

「波の面がガタついてターンがしにくかったので、そのガタガタを利用してエアーにトライしたんですけど、メイクできてよかったです。」と西優司がコメント。

 

 

女子R4で前田と川合がGF進出。

 

グランドファイナル進出をかけた女子のラウンド4では、前田マヒナ、脇田紗良、川合美乃里、野中美波が登場。このヒートで上位2名がGF進出。下位2名がリパのファイナルへ。

 

川合美乃里©JAPAN OPEN OF SURFING

 

川合が先制攻撃を仕掛けてヒートをリード。前田はワイプアウトが目立ちスコアを伸ばせなかったが、ライディングを重ねるごとに修正し、2本のハイスコアを出してトップ通過。2位の川合もGファイナルへ勝ち上がった。調子の上がらなかった脇田と野中はリパ・ファイナルへ進んだ。

 

 

「風が変わってきたので最初はちょっと焦っていました。でも次のグランドファイナルは焦らずにやります。今回は調子も良いので自分のサーフィンをやれば点数が出せるという気持ちでやっていました。」とコメント。

 

 

男子のラウンド4で稲葉玲王がトップ通過。

 

稲葉玲王©JAPAN OPEN OF SURFING

 

男子のラウンド4は、稲葉玲王、大原洋人、安室丈、松原渚生の4名。稲葉玲王がレフトの波でフォアハンドのビッグターンで5.00、立て続けにバックハンド3.10をスコアしてヒートをリード。大原もクローズセクションでのブローテールで4.43をマーク。優先権を使ってセットの波を使った安室丈だったが、エアにトライするもワイプアウト。

 

稲葉玲王©JAPAN OPEN OF SURFING

 

風の影響でよれた波に苦戦する選手たち。ヒート終盤に稲葉はファーストターンからコントロールされたマニューバーを見せ、ライディングをコンプリート。5.33をスコアしてトップを固め、2位の大原が、3位の松原の追い上げを振り切り、Gファイナル進出。安室と松原がリパのファイナルで敗者復活戦に挑む。

 

 

「始まる前から波数が少なくなるのはわかっていたんで、どれだけ動いて波を見つけられるかが勝負だったと思う。無難ですけど2本きっちり決められてよかった。今回は40パーセントぐらいでしたが、次は100%出して優勝します。」とヒートを振り返って稲葉がコメント。

 

 

女子リパチャージ・ファイナルで松田がV

 

松田詩野©JAPAN OPEN OF SURFING

 

女子のリパチャージのファイナルは、リパチャージから勝ち進んだ松田詩野と中塩佳那、R4で3位4位となった野中美波と脇田紗良。このヒートを勝ち上がった2名がグランドファイナルに進む。

 

中塩佳那©JAPAN OPEN OF SURFING

 

ヒートは波数が少なくなる中、野中がバックハンドで2本をスコアしてヒートスコア7.20 としてヒートをリード。中塩佳那も2本の波に乗り2位につける。じっくりと波を待った松田は、バックハンドのオフザリップで4.10というそこまでのヒートベストをマーク。優先権を使って波をつかんだ脇田は3.53とスコアを伸ばせない。

 

松田詩野©JAPAN OPEN OF SURFING

 

セットが入ってくるもロータイドで速いブレイクが目立つ。後半に入り、松田がビッグセットを掴み、バックハンドのリエントリーの大技をメイクし4.83をスコア。自身が持つヒートのベストスコアを塗り替え、トップに躍り出る。さらに松田はバックハンドのワンマニューバーの大技で5.00をマークし、リードを広げていく。脇田はウェイブセレクションが悪くスコアを伸ばせず、中塩もチャージを繰り返すが惜しくもここで敗退。松田と野中がGファイナルへ勝ち進んだ。

 

「波の来るリズムがスローだったので、来た良い波は逃さないようにと思っていました。波数は乗れたのでよかったです。波のサイズが下がったように感じるので、その中でサイズのある波に乗ったら点数が出るかなと思って、ワンマニューバーになる波でも乗ろうと思っていました。」と松田がヒートを振り返った。

 

 

男子リパチャージ・ファイナルで西がV

 

西優司©JAPAN OPEN OF SURFING

 

男子のリパチャージのファイナルは、安室丈、松原渚生、西優司、河谷佐助。河谷佐助が気迫のバックハンドサーフィンで4.17と4.27の2本を揃えて、ヒートをリード。松原渚生もヴァーティカルなアプローチのバックハンドで2位につける。

 

河谷佐助©JAPAN OPEN OF SURFING

 

西優司はそこまでのヒートベスト5.5をマークするもバックアップがなく3位を強いられるが、3.30をマークしてトップに躍り出る。安室丈は僅差ながら4位。そして、西は最後に駄目押しの4.67をスコア。そして松原がラストウェイブで逆転し、西と松原がGファイナルへ勝ち上がった。

 

 

「前のヒート同様右で待って、今回はエアを入れなかったんですけど、何とか上がれてよかったです。兄(慶司郎)が今回コーチしてくれて、その作戦がはまった感じです。」と西優司がコメント。

 

 

女子のファイナル

 

前田マヒナ©JAPAN OPEN OF SURFING

 

女子のファイナルは前田マヒナと川合美乃里、リパから勝ち上がった松田詩野と野中美波。このファイナルの勝者が世界選手権の切符を手に入れる。松田はすでに代表権を得ているため、松田が優勝した場合は2位の選手が代表権を得る。

2位となった野中美波©JAPAN OPEN OF SURFING

 

ヒートは、前田が開始直後からバックハンドでチャージを見せて、5.67をスコアして幸先の良いスタートを切る。野中美波もフォアハンドでコントロールされたライディングで2位につける。川合は得意の縦に上がるオフザリップのワンマニューバーで4.27をマーク。さらにバックアップを3.57として2位に浮上。優先権を持ったままノーライドが続いた松田詩野はスコアが伸ばせない。

 

松田詩野©JAPAN OPEN OF SURFING

 

オンショアが強まり、コンディションが悪化するなか、前田がリードするまま、試合はこう着状態が続く。2位の川合に逆転に必要なスコアは5.21。最後に野中がチャージするも届かず。前田マヒナが見事優勝して、エルサルバドルの世界選手権の出場が決定した。

 

前田マヒナ©JAPAN OPEN OF SURFING

 

「5.67の波をつかめてラッキーでした。またバックアップがなかなか出せなかったんですけど、優勝出来てすごく嬉しいです。今年はオリンピックを目指してハードにトレーニングしてきたので、ISAのエルサルバドルでも良い成績を残してオリンピックの日本代表になりたいです。」と優勝した前田マヒナがコメントした。

 

 

男子ファイナル

 

男子のファイナルは、稲葉玲王、大原洋人という日本のトップ2名と、リパから勝ち上がった西優司と松原渚生の4名。ファイナルデイに調子を上げてきた西優司がスタートからフォアハンドのエアリバースを決めて4.33をスコア。稲葉もスタートから果敢にチャージを見せてヒートをリードする。初めての大舞台で緊張している様子も見える松原もバックハンドで攻める。

 

大原洋人©JAPAN OPEN OF SURFING

一方、最初の15分ノーライドだった大原洋人は、2度のカーヴィングを繰り出して4.97という、ここまでのハイエストをマーク。そして、直後に西優司が、難易度の高いエアリバースを決めて6.10をスコア。西がトップに躍り出る。

 

大原洋人©JAPAN OPEN OF SURFING

 

残り時間は8分。3位と追い込まれた大原は、優先権を持ってライトブレイクをキャッチ。波のポテンシャルは決して高いものではなかったが、ファーストターンからスピード、パワー、コミットメントの要素が感じられる、しっかりとコントロールされた3マニューバーのライディングにジャッジは8.33のエクセレントを与え、大原が一気にトップに躍り出る。

 

稲葉玲王©JAPAN OPEN OF SURFING
松原渚生©JAPAN OPEN OF SURFING

 

それに刺激された稲葉もバックハンドでスピード、パワー、フローを伴ったライディングを披露し7.17をマーク。2位のポジションをキープする。そのまま大原洋人が、宮崎での屈辱を晴らし見事優勝。来年、エルサルバドルで開催される、オリンピック最終選考会のISA世界選手権への切符を手に入れた。

 

 

大原洋人©JAPAN OPEN OF SURFING

 

大原洋人の優勝インタビュー

 

「今年1年、この試合のためにやってきたので、マジで嬉しいですね。ジャパンオープンで優勝しなければ、ISAに(エルサルバドル)に出れないし、ISAに出ないとオリンピックに出れないし。ここで負ければオリンピックの道もなかったので。この試合だけは優勝したかったのでホッとしてます。

 

ヒート前半は波来ないなぁって感じで、右側の波を狙っていたのんですが、予選の時はたくさん波に乗って相手にプレッシャーかけながら、自分がリズム作っていこうと思っていたんですが、ファイナルは、リズムもいらないし、3点4点5点もいらないし、優勝するための波だけが必要かなって思っていて。それだけを願ってました。

 

女子のファイナルを見ても、マヒナ(前田)が右の方で良い波乗っているように見えたんで、その波かなって思っていたんですが、沖に行ったら流れが結構入っていて、そうしたらトレーナーが陸から「もうちょっと左の方が良い」って指示を出してくれて。それで左に動いていったら、右側にセットが見えて、位置はこの辺なんだなって再確認できて。そのあと少しずつ乗って行って良い点が出せてよかったです。

 

大原洋人©JAPAN OPEN OF SURFING

 

エクセレントが出たライディングは、今日を通して見ても、高さのあるセクションで3回のヒットした波が本当に少なかったので、技のクオリティというよりは、ちゃんと当てられたということで評価してもらえたら点が出してもらえるかなって思っていました。自分的にも満足していましたし、点がもらえてよかったです。

 

今回の会場は、自分がサーフィンを始めた場所で、ずっと練習して色々な技を覚えてきた場所です。オリンピック会場にもなっていますし、波的には誰よりも知っている気持ちもあります。ここで育ってきているので、子供の頃から応援してくれている人がたくさんいるので、その人たちの前で良い演技ができれば良いなって思っています。

 

今回は難しいコンディションではあったんですけど、予選から勝ち上がり優勝することができました。この大会で優勝することを目標にやってきて、色々サポートしてもらった人たちに少しは恩返しできたかなって思います。まだ、世界戦に出て、オリンピックに出るという道のりは長いんですけど、オリンピックに出って良い結果を残せたらと思っています。

 

 

優勝した大原洋人と前田マヒナ©JAPAN OPEN OF SURFING

 

「第2回ジャパン オープン オブ サーフィン」結果

男子結果
優勝:大原洋人
準優勝:稲葉玲王
3位:西優司
4位:松原渚生

女子結果
優勝:前田マヒナ
準優勝:野中美波
3位:川合美乃里 
4位:松田詩野

 

■ 2021 ISA ワールドサーフィンゲームス出場選手/サーフィン日本代表選手「波乗りジャパン」が決定!

 

今回の「第2回ジャパンオープンオブサーフィン」で大原洋人と前田マヒナが優勝して、2021年5月8日~16日にエルサルバドルで開催されるオリンピック最終選考会となるISA世界選手権の最後の一枠を手に入れ、男女合計6名の波乗りジャパンが決定した。

 

2021 ISAワールドサーフィンゲームス日本代表選手

<男子>
五十嵐 カノア/カリフォルニア出身/1997 年 10 月 1 日生
大原 洋人/千葉県出身/1996 年 11 月 14 日生

村上 舜/神奈川県出身/1997 年 3 月 3 日生

<女子>
都筑 有夢路/埼玉県出身/2001 年 4 月 5 日生
前田 マヒナ/ハワイ出身/1998 年 2 月 15 日生
松田 詩野/神奈川県出身/2002 年 8 月 13 日生

※敬称略・五十音順

 

■ 大会概要
大会名称:第 2 回ジャパンオープンオブサーフィン

(英名:THE 2nd JAPAN OPEN OF SURFING) 開催期間:2020年10月31日(土)〜3日(火・祝) =4日間= 大会会場:千葉県一宮町釣ヶ崎海岸
主 催:一般社団法人日本サーフィン連盟(NSA)

共 催:一般社団法人日本プロサーフィン連盟(JPSA)
主 管:ジャパンオープンオブサーフィン実行委員会
協 賛:アース製薬株式会社、株式会社マツモトキヨシ、エイベックス株式会社、株式会社乃村工藝社、

ベイエフエム、デサントジャパン株式会社、朝日新聞社、デイリースポーツ
後 援:千葉県、一宮町、一宮町教育委員会、一宮町観光協会、海上保安庁
協 力:株式会社ハンディ、株式会社エイ出版社
出場選手:男子 24 名・女子 23 名
ライブ配信:ABEMA

大会公式ホームページ:https://japanopenofsurfing.jp
大会公式インスタグラム:https://www.instagram.com/japanopenofsurfing/?hl=ja