撮影:山本貞彦
2019年9月15日(日):9月7日(土)から15日(日)までの9日間にわたり、宮崎県宮崎市木崎浜海岸において開催されていた「2019 ISA ワールドサ ーフィンゲームス Presented by VANS」が終了。
Brazil Wins Historic Team Gold at 2019 ISA World Surfing Games presented by Vans
最終日の今日は三連休の中日、日曜日ということもあり、多くの人がこの木崎浜海岸に集まった。会場は朝から晴れて、波も昨日よりは落ち着いたものの頭から頭半。最終日に相応しい素晴らしいコンディションとなった。
メダルがかかったグランドファイナルは、本戦R-7で勝ち残った2人とリパチャージ(敗者復活戦)のR-10、11、12で勝ち上がった2人で争われる。結果、村上舜はこのリパチャージを全て勝ち上がり、グランドファイナルへ。そして、昨年に続きISA2年連続で4位入賞とアジアでの最高位を獲得。これでアジア枠は日本が一枠確保したことになる。
また男子優勝は、ファイナルで10ポイントライドを決めたCTサーファーのイタロ・フェレイラ。メディーナも3位入賞でブラジルが団体優勝。日本は銅メダルを獲得した。
男女合計で3つのメダルを獲得したチームブラジルは、19年ぶりにISAワールドサーフィンゲームで金メダルを獲得。
優勝したブラジルのイタロ・フェレイラは、ファイナルでパーフェクトの10ポイント・ライドでイベント最高得点となる17.77をスコア。一時は、下位の選手全員をコンビネーションに追い込んでの圧倒的な勝利となった。
フェレイラは、日本へ出発する数日前にパスポートを盗まれ、イベントの最初のヒートに間に合わずに棄権寸前だった。しかしパスポートをゲットし宮崎に飛んだフェレイラは、自分のヒート残り8分で借り物のボードで登場。1位でラウンドアップするという曰く付きのラウンドアップでイベントを開始。
そんな逆境をものともしないフェレイラが、感動的な勝利で締めくくった。
「とてもクールなコンテストでした」とフェレイラは言った。 「すべてのサーファーと国を祝福したい。すごく疲れましたが、多くのヒートの中に多くの感動がありましたね。自分は最高のサーフィンを見せようと頑張りました。」
チームブラジルは、個人の金メダルを獲得したフェレイラをはじめ、ガブリエル・メディーナが銅メダルで、男子で2つの個人メダルを獲得。シルバナ・リマは女子で銀メダルを獲得。合計3つのメダルで2000年のイベント以来となる19年ぶりの団体優勝を成し遂げた。
ケリーとコロへのアメリカが銀メダル。
また、男子個人で銀メダルを獲得したコロヘ・アンディーノと、女子銅メダルのカリッサ・ムーアの活躍により、アメリカが団体銀メダルを獲得。昨年の金メダルチームである日本は銅メダルを獲得し、チームペルーが4位となった。
男子グランド・ファイナルは、ブラジルのフェレイラとメディーナ、アメリカのコロヘ・アンディーノというトップCTサーファー3名と、日本の村上舜が対戦した。
試合はスローな展開となったが、フェレイラがフルローテーションエアで10ポイントをスコアして全員をコンビネーションに追い込む。ヒート終盤にはメディーナとアンディーノがエアリアルにチャージ。アンディーノが 9.43をスコアして銀メダルを獲得。
日本の村上は素晴らしいパフォーマンスを続け、2年連続で銅メダルを獲得した。
今日の早朝に行われたリパHで村上は、インドネシアの和井田理央を撃破。村上がイベントでアジア最高位のサーファーとなり、東京2020の代表内定となった。試合後には抱き合いお互いの健闘を称えあった。
去年と同じ結果にりましたが、内容的には今回の試合の方が濃かったなって思います。
「オリンピックの枠については考えていませんでした。ただ、この試合でメダルを取れることを考えてサーフィンしていました。」と和井田理央とのヒート終了後のインタビューで村上が言った。「東京2020に出場することは楽しみですね。それが目標だったので。とりあえず自分のポジションを手に入れることができれば素晴らしいと思います。」
「去年と同じ結果になってしまったんですけど、内容的には今回の試合の方が濃かったなって思います。自分の出来ることを全てぶつけたので結果には満足しています。」と、表彰式後のインタビューに村上が答えた。
「あまりにもヒートの数が多すぎて、どのヒートがどうだったか覚えていません。ただ目の前にあることをこなすので精一杯でした。でも結果が付いてきて嬉しく思います。」
「試合前の記者会見でケリー・スレーターを倒すって言っちゃたんで、これは勝たなくちゃまずいなって思ってたんで勝ててよかったです。今回の試合では、メインから落ちてリパチャージに回った時に、決勝なんて考えられないくらい落ち込んでしまいました。
でも、今回はこのメンバーで自分のサーフィンで戦える手応えは感じられ、ジャッジも評価してくれたんで、そういう意味では自分にとって大きな意味があった試合だったなって思います。
オリンピックことは昨日まで全然考えてなかったんですけど、明日は理央(和井田)と自分だけって思ってしまって、昨日の夜は試合のことを考えて寝れなかったですね。今回はチームでメダル取れたことが嬉しいですね。今後は今回の試合で得たことを生かして、オリンピックに向けて、もっと練習したいと思います。」
村上舜、松田詩野がオリンピックのアジア枠を獲得し、東京五輪に条件付き代表内定。
今回の大会はアジア、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカの4大陸で最高位となった男女1名がその国の出場枠を確保できる。
アジア枠は男子は4位の村上舜、女子は15位の松田詩野が最高位を獲得し、日本がそれぞれ1枠を確保した。
ここで村上、松田は内定となり、来年開催のワールドサーフィンゲームの結果次第でオリンピック出場が決まる。
なぜ決定ではなく内定かと言うと、それは選出方法には優先順位があり、来年開催のワールドサーフィンゲームの成績が優先されるため。(下記参照)
現在、日本は男子がWSL CT枠候補に五十嵐カノア、もう1枠が今回アジア枠で獲得した村上舜。
しかし、2020年大会で村上以外の選手が上位4名(決勝に残る)に入れば、その選手が代表になる。
続いて、女子は現在、日本人CT選手がいないので、CT枠は無い。なので、日本が獲得した今回のアジア枠の1枠に松田詩野。
最大各国2名出場できるので、それを獲得するためには、2020年大会で上位6名(決勝、リパの決勝に残る)に入れば、その選手が代表になれる。
もし、松田以外の2名がこの上位6名に入った場合、その2名がオリンピック出場となる。
よって、村上、松田以外の選手でオリンピックに出場するためには、来年のオリンピック前に開催される2020年のワールドサーフィンゲームに出場することが必須。
その選出されるためには、男女共、2019年のワールドランキング最高位、ジャパンオープン優勝者、NSA推薦枠(前年度及び実績を参照)に入る必要がある。
オリンピックには男女各20名が参加できる。
各国、最大で2名ずつ。
選出する優先順位は
1、2019年のWSLのCT
2、2020年のワールドサーフィンゲーム
3、2019年のワールドサーフィンゲーム
今回の出場選手のレベルの高さを見ますと、日本選手は大健闘したと言えると思います。
日本代表:ナショナルコーチ 宗像 富次郎氏が今大会の総評を語った。
今大会は世界のトップのトップが集まった大会の中で、メダルを取ることと、アジアの一枠のオリンピックのシード権を取ることが目標でした。アジア枠に関しては女子も男子も獲得できたことで我々の目標がクリアできたかなと思っています。
団体では昨年優勝で今年3位ですので、下がった事実はあります。男女とも個人でも昨年の成績に及ばなかった部分もあるんですが、今回の出場選手のレベルの高さを見ますと、日本選手が大健闘したと言えると思います。」
ケリー・スレーター
47歳にしてこのサーフィン。気力、体力、知力を備えた上での技術力。やはり一人、今日もチューブをメイク。決勝ではエアーも取り混ぜバリエーションも見せた。ケリーはやはりキングだ。
村上舜
舜は実際の試合で強くなる選手。戦いを楽しんでる。記者会見でも言った、「ケリー・スレーターと戦って倒したい」の有言実行。特に今年の大会はWSLのCT選手が多く参加した中で行われたこともあり、この成績は立派。入賞おめでとう!
チームランキング
1位:ブラジル
2位:アメリカ
3位:日本
4位:ペルー
5位:南アフリカ
6位:オーストラリア
7位:ニュージーランド
8位:コスタリカ
9位:スペイン
10位:カナダ
男子:
金メダル:イタロ・フェレイラ(ブラジル)
銀メダル:コロヘ・アンディーノ(アメリカ)
銅メダル:ガブリエル・メディーナ(ブラジル)
カッパーメダル:村上舜(日本)
女子(9月10日に終了):
金メダル:ソフィア・ムラノヴィッチ(ペルー)
銀メダル:シルバナ・リマ(ブラジル)
銅メダル:ビアンカ・ブイティンダッグ(南アフリカ)
カッパーメダル:カリッサ・ムーア(アメリカ)
東京2020内定者:
男子:
村上舜(日本)
ラムジ・ブキアム(モロッコ)
ビリー・ステアメンド(ニュージーランド)
フレデリコ・モライス(ポルトガル)
女子:
松田詩野(日本)
アナト・リオール(イスラエル)
ビアンカ・ブイテンダッグ(南アフリカ)
エラ・ウィリアムズ(ニュージーランド)