撮影&現地リポート:永島未知子 スペインで開催中のパンティン・クラシック・ガリシア・プロ。大会5日目となる8月31日、大会期間も折り返し地点を過ぎた。
Pull&Bear Pantin Classic Galicia Pro 2018 Highlights: Men’s Event Cuts Field Down to 16
大会5日目となる8月31日、大会期間も折り返し地点を過ぎた。1日を通して行われたのはWSLメンズQS3000「Pull&Bear Pantin Classic Galicia Pro」。ラウンド4のヒート4からが行われ、波のサイズは腹胸くらいとサイズは下がったが、トップシード選手が全ヒートにクレジットされているだけあり、波のサイズを感じさせないアクションが披露。
そのたびに応援している、していない選手の関係なしに会場は沸いた。1日が終わってみると、ラウンド5の全ヒートまでが終了し、メンズはトップ16名に絞られた。
この日出場した日本人選手はラウンド4からトップシード選手で出場の大原洋人、ラウンド2から勝ち上がった田中大貴。バリニーズとハーフの和井田理央はラウンド3でのエクセレントがまだ記憶に新しい。
この3名のうち、ラウンド6にまで勝ち上がったのは大原洋人。ファースヒートとなったラウンド4、波のコンディションはだらだらの小波。スピードをつけて軽やかなアクションをする選手に点がついたが、そこでも大原は小波ながらに力強いファーストターンからインサイドまで乗り継ぐライディングをするなどして点数を出し、ラウンドアップ。
ラウンド5では波のブレイクポイントが右側、岬のすぐそばに移り、サイズは小さいながらもレギュラーの波が規則的に入ってくる状態。ヒート序盤に「レイバック」とアナウンスされる、スタイリッシュで大きなターンからなる1本に7.50ポイントが出ると、その後も落ち着いた様子で本数を重ねていく。最後順位を2位に落とすもラウンドアップ。トップ16名にしっかりと名を連ねた。
試合終了後、ウエットからすでに着替えてリラックスした様子の大原選手にこの日の感想を聞かせてもらった。
大原「(順位が決定したのはヒート終了後だった)朝のヒート、ラウンド4よりドキドキしなかった。最初に7.50の点数が出たので」
—サーフィンの動きが朝のヒートよりスムーズに見えましたが?
大原「朝は厚いウエットを着た身体がまだ重くて。でもこのヒート、ラウンド6では今回持ってきたウエットの中で一番薄いのを着てできました」
—朝のラウンド4と夕方のラウンド5。戦い方は違いますか?
大原「朝のヒートは(波が起こる)ピークがいくつもあり、その中から選び、波が来たときにいい場所で待っていなければならない。このラウンド5はピークが決まっている。いわば順番に波に乗っているような感じ」
−(選んだ波により波質が変わる朝のヒートに比べ)それでもラウンド5では波質にそこまで差が出なくても点数に差が出ます。
大原「サーフィン(の内容)で差が出る。自分はそのほうがサーフィン自体への評価がされるから(好ましい)」
—最後、それまでトップだったのが2位に順位が変わりましたが。
大原「白の選手が5点台というのを聞いて、ラウンドアップできるかなというのはあった。(トップ通過した)緑の選手もいいサーフィンしていたので。1位でも2位でも上がれたので」
メンズはトップ16、ウーメンズはトップ8と選手が絞られたパンティン・クラシック・ガリシア・プロ。それと裏腹に波のサイズは土曜に一旦下がるとの予想。ただし日曜になればまたサイズアップする予報から、ファイナルは日曜とすでに設定された。
大会6日目、9月1日(土)のファーストコールは現地時間14:30(日本時間21 :30)。ウイメンズが行われれば、2ヒート目に前田マヒナのマンオンマン(CT選手ニッキ・ヴァン・ダイクとの対戦)、メンズが行われるならば1ヒート目に大原洋人が出場となる。
夏休みが終わる最後の土曜日。天気がよくビーチデイを楽しむ陽気なスペイン人たちが多く詰めかけるであろう。その中でヒート内容はどんどんシビアになっていく。そのコントラストも含め、大会6日目も日本人選手の活躍に期待し、最後まで楽しんでいきたい。
和井田理央
ラウンド4ではヒート中盤でエアをメイクし、7点をスコア。そのままヒート間際では3位につけていた元CT選手ジャドソン・アンドレをマークしラウンドアップ。経験値の高い元CT選手を相手でも、この17歳は臆することがなかった。
「エアできる波が来たと思ったのでエアしました。この波はバリにもあるような波。ここに来る前までの5試合くらいは最初のラウンドで負けてしまっていた。久しぶりにラウンド5まで来ることができた。勝ちたい!」
「マークするな」「でもこれ試合だからゴメンね」というやり取りがヒート中あったという理央くんとジャドソン。それに一言声をかけようと、ジャドソンが海から上がるのを待つ理央くん。律儀でやさしい。
しかしブレイクポイントが岬の横、レギュラーの波に移ったラウンド5ではその波に合わせることが難しかったのか、得点に伸び悩んだ。ラウンドアップは果たせなかったが、2日にかけギャラリーの印象に残るサーフィンを披露した。33位でフィニッシュ。
田中大貴
元CT選手のナット・ヤングと同じヒートとなったラウンド3。この時点になると岬の横のレギュラーがギリギリ可能になり始めたころ。ナット・ヤングともう1人の選手はその右へ、田中大貴はビーチの中央へポジショニング。ナット・ヤングは自身の波読みを当て、スコアを重ねていく。ポイントは2位争い。同じく左に位置したペルーのアロンソ・コレアとのマッチとなった。
しかし最初は田中がリードするも、終盤に点を出され、追いかける展開に。序盤から積極的に波に乗った田中だったが、ラウンドアップに必要な得点を出せる波は来ず。偶然にもアロンソ・コレアは田中が8月に準優勝したイギリスの「クイックシルバー・オープン」で、田中が負かした相手。
田中大貴「振り返ってみれば自分がプライオリティを持っていたのに、ホワイトに乗らせてしまい逆転されました。少し離れていたけど、追いかければ防げた波。そこが反省点だったのかなと。
今回の大会やヨーロッパレッグを振り返って、確実に去年よりラウンドアップできるようになったと思います。ここで負けて悔しい。ですがレベルが上がっていることに自信を持ち、次の大会ではもっと良い成績を出せるよう、努力し続けていきたいと思います」
年を追えば成績も上がっていくかといえばそうともいえない勝負の世界で、田中大貴は試合をこなすたびに着実にステップアップをしている。次はやり返す方です。
大原洋人のファーストヒートを見ようと朝から集まった日本人選手と家族たち。
フリーサーフィンへ向かう新井洋人。ここでの悔しさは次の試合へ! しかしビーチでは裸でいられるのに、海ではフルスーツ。なかなかない温度差
パンティンの波を大会期間中は独占できる。ただ海藻が多く、リーシュに絡みつく。そのためノーリーシュの選手も出現。ラウンド5の大原洋人もその1人だった
和井田理央は今回フランス人の選手と行動をともにしている。増えていく知り合い
イベントブースには複数のフードトラックがあり、ギャラリーをはじめ選手や関係者の間で何を食べるかは1日のうちのひとつの楽しみ。レストランの数は少なく、また時間も限られている。食べる時間が不規則な期間中、オープン時間の長いフードトラックは有り難い
夕方になると続々と人がやってくる。夜になるとライブが催される。メインはサーフィンの大会だけど、全体からみるとお祭りなのだ。コンペティションフェス
明日試合が再開されれば、ラウンド6で大原は、ウィスリー・ダンタス(BRA)、イーサン・ユーイング(AUS)、ティアゴ・カマラオ(BRA)と対戦。また女子では、前田マヒナがクオーターファイナルでニッキ・ヴァン・ダイク(AUS)と対戦。
世界を目指して戦い続ける、日本のサーフ・アスリートたちの活躍を期待し、エールを送り続けたい。がんばれ!日本!
パンティン・クラシック・ガリシア・プロ・メンズ・ラウンド6組合せ:
ヒート1:ウィスリー・ダンタス(BRA)、イーサン・ユーイング(AUS)、ティアゴ・カマラオ(BRA)、大原洋人(JPN)
ヒート2:マテウス・ハーディ(BRA)、ルーカス・シルベイラ(BRA)、カウイ・ヴァスト(FRA)、レオナルド・フィオラバンティ(ITA)
ヒート3:カルロス・ムニョス(CRI)、ナット・ヤング(USA)、ジャクソン・ベイカー(AUS)、アロンゾ・コレア(PER)
ヒート4:アディン・マセンキャンプ(ZAF)、ガシアン・デラヘイ(FRA)、アレホ・ムニーツ(BRA)、アリツ・アランブル(ESP)
パンティン・クラシック・ガリシア・プロ・ウイメンズ・クォーターファイナル組合せ:
QF 1:テレサ・ボンヴァロ(PRT)対セージ・エリクソン(USA)
QF 2:前田マヒナ(JPN)対ニッキ・ヴァン・ダイク(AUS)
QF 3:シルヴァナ・リマ(BRA)対ペイジ・ハレブ(NZL)
QF 4:ココ・ホー(HAW)対ブロンテ・マコーレー(AUS)
メンズ:http://www.worldsurfleague.com/events/2018/mqs/2786/pantin-classic-galicia-pro
ウイメンズQS:http://www.worldsurfleague.com/events/2018/wqs/2785/pantin-classic-galicia-pro