加藤嵐、JPSA2016・2017グランド・チャンピオン/3チャンピオンズ・インタビュー

加藤嵐

 

昨年、JPSAの初のグランドチャンピオン。笑顔の中にも正直、複雑な気持ちがあったと推測で きた。 優勝が一度もなかったこと。スポンサーが無くなったこと。それを抑えて、臨んだ今シー ズン。再び、その栄冠に輝いた。タイトルの二連覇だ。シーズンが終わり、改めて今年を振り返っ てもらった。

 

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写真、インタビュー:山本貞彦

 

ー 今年のJPSAを廻るとこから聞きます。どういう心構えでシーズンインしましたか?

 

次の年は世界へ行くと言っていて、で、結局、その後にスポンサーが12月になって無くなること が決まって。資金的にも今年はJPSAを出ざるを得ない状況になったから、それこそ最初から二連覇なんて考えていなかったです。

 

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田原で劇的な優勝を果たした加藤嵐

 

ー 第3戦の田原を優勝して、シーズン途中からカレントリーダーになりました。ここでグラチャ ンは意識はしましたか?

 

そうですね。あまり自分では計算していなかったので、気にしていませんでしたけど。唯一、グラ チャンを意識したのは第6戦の種子島ですね。ダブルポイントだから、4000ポイント。一戦じゃ覆 せないポイント差になりますから。唯一、ここは落としちゃダメだって思ったのが種子島です。

 

ー でも、結果はR-5で敗退、9位でした。

 

種子島は一番、気合いを入れてましたけど。波と合わなかった。なので、その絶対に取らなきゃ いけないっていうか。自分がチャンピオンになるためには、優勝が必要だなっていうことを次の 大会、茨城で思いました。ここで優勝しなかったら、俺は今年取れないって思ったんですよね。

 

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戦略の考え方、海の中での戦い方が変わりました。

 

ー その第5戦(延期になったため第6戦 種子島の後に開催)の茨城で優勝。ここでの戦い方で驚 いたのは、海全体をちゃんと見れていること。視野が広くなったというか。自分の波だけ出なく、 相手の波、そして、他の波も見ていた。で、相手の出方を見ながら、動き回る。それがすごいなっ て思ったんですけど。

 

波も見てて、試合前にどこでやろうとか決めていますけど、前ほどこうだと決めるようなことは しなくなりました。それも、ユキさん(つのだゆきコーチ)とそういう話をしていて。

 

JPSAで 勝っているけど、QSの6000、10000から見れば下のレベルだから、その下のレベルの選手が上の レベルの選手と戦う戦略は違うし、上の選手が自分の上に入れる環境で戦う戦略とか全然違う。 その戦略が違うんだっていうことを話してもらって。だから、今はこういう練習方法にしようって ことだったりとか。そこで、戦略の考え方、海の中での戦い方が変わりました。

 

加藤嵐
加藤嵐

 

次はどうなるんだろうっていう期待が凄くあるんでよね。

 

ー 今年のコーチングが大きく影響したということですね。

 

そうですね。本当にユキさんはどんな時も、朝に志田のビーチに来てくれて。また新しくトレー ナーが去年の頭についてくれたんですけど、ユキさんが「サーフィンにはこれが必要なんだよね」ってトレーナーに指示してくれて。しっかり3人でタッグを組んでやっています。とても信頼できる 関係です。

 

トレーニングで筋肉がついて「次のステップだ」って、「足がついてきているから、これができるよ」っていうような言い方をしてくれるから。それだったら次は何ができるんだろうって。自分は それを知らないですから言われた時に、あと、もう少しできたら、次はどうなるんだろうっていう期待が凄くあるんでよね。

 

砂川ハルさん、関野聡さんなど嵐をサポートする多くの人が祝勝会に集まった
砂川ハルさん、関野聡さんなど嵐をサポートする多くの人が祝勝会に集まった

 

サーフィンだけじゃなくて、本当に全てのコーチというか

 

ー 今のコーチングに対して、絶対的な信頼なんですね。まるで、楽しんでいるように見えるんで すが。

 

何ができるのか、教えてくれないからこそ何だろうって。ワクワクします。自分の扱い方も性格が わかっているからなんですね。コーチというより、本当に全てのコーチというか、サーフィンだけじゃなくて、トレーニングのこともトレーナーと話してくれるし。

 

加藤嵐にとって一番のサポーターはご両親。
加藤嵐にとって一番のサポーターはご両親。

 

メンタルのことだったりとかも、 「あんたはこれこれこういう性格なんだから、こういう風にやっていきなさい」って、言ってくれ るし。なんかその点はサーフィンだけじゃなく、全てを見てくれる。それに加えて家族もそうだし、 スポンサーもそうだし、みんな応援してくれていますから。今は本当にチームでやっている感じが しますね。

 

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ー チーム「嵐」ですね。来年はどう考えていますか?

 

来年は突っ走ちゃおうかなって感じです。別にそのお金がないから出ないとか、もう言わないで。 今年で稼げたから、来年は自分が出たいというか、出るべき3000以上の試合とかを決めてピンポイントで世界へ行こうと思っています。タイミングでJPSAにも出られればなんですが、やはり志田とか仙台とかは出たいですね。

 

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BEWETがサポートする3人のチャンピオンを祝うパーティに多くの関係者が集まった。

 

まずは足元を確実に固めて、一つずつ勝っていく。

 

ー その先の目標は?

 

もちろんCTを目指します、でも、自分は今の時点で、CTに入るということを目標にしていないの で。例えば、一年間のうち6000を一回優勝して一番になる。一回優勝するという目標で進んで行 こうと考えています。

 

仮にCTに入れるかもっていうことがあれば、気づいたらハワイのサンセッ トが終わってポイント的に入ってましたというような感じがベストですね。CTに入るということ を前提にやるより、まずは足元を確実に固めて、一つずつ勝っていく。そういうことが近道だと 自分は考えています。

 

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3チャンピオンズ・インタビュー

加藤嵐 永井那旺 都築百斗