JPSA「ガルーダ・インドネシア トラベルシーンプロ」は大野修聖と橋本小百合が優勝。
2013年4月14日日曜日、バリ島・クラマス:今シーズンのJPSAジャパンプロサーフィンツアー2013 ショートボードの開幕戦となる「ガルーダ・インドネシア トラベルシーンプロ」は大会最終日。男女とも、ファイナルヒートが行われ、ドラマティックなエンディングを迎えた。またファイナル終了後にはバリのトップ選手と日本のトップ選手による親善試合が行われた。
撮影&フォトキャプション:山本貞彦
女子のファイナルを制したのは2年振りにJPSAに復活した橋本小百合。
クラマスで大会が始まって4日目。本日が最もスモールなコンディションでのスタートとなった。試合は女子のファイナルからスタート。スタートから前田マヒナがバックハンドで3ターンを入れて6.00ポイントで先攻する。野呂玲花もバックハンドで4.75をスコア。大村奈央も5.00をスコアしてハワイのサンセットをホームとする前田マヒナにとって、このクラマスはASPのWJCで経験済み。続けて5.65をスコアした前田がファイナルをリードする。
しかし30分のファイナル・ヒートをじっくりと波を待っていた橋本小百合はヒート開始10分になり、ようやくファーストライド。強烈なターンを2発入れて7.00をスコアして巻き返しを図る。しかし、シチュエーションが変わらないまま残り時間10分を切り、4位の野呂玲花、2位の大村奈央、3位の橋本小百合が続けざまに素晴しい波をゲット。その波でディフェンディング・チャンピオンの大村奈央が9.00をスコア。トップに躍り出る。しかしファーストターンでパンチのあるターンを見せた橋本小百合のスコアが7.60となりヒートスコア14.60で大逆転に成功。その後の下位の選手の激しい追い上げを振り切り、橋本小百合が優勝を手にした。
「2年間ツアーを離れて、信頼関係とか失ったものも多かったんですが、もう一度頑張れる機会を作ってくれた母親に凄く感謝しています。ハワイにいるみんな やコーチ、トレーニングを助けてくれる方々に感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。気持ち的には全戦出場してグランドチャンピオンを目 指したいんですが、今は大学を優先したいので、出来る限りは出たいと思っています。このイベントを開催して下さったスポンサーの皆様、JPSAのスタッフ の皆様に感謝したいです。本当に楽しかったです。」
男子のファイナルは、大野修聖の圧倒的な勝利。
男子のファイナルは、昨年のルーキーオブザイヤーの仲村拓久未、2年前のイベントチャンピオンの中村昭太、そして世界レベルのサーフィンでラウンド1から勝ち上がった大野修聖と辻裕次郎の2名の姿があった。
そのファイナルは、大野修聖がスピーディなフローターからロールインのコンビネーションで5.25をスコアしてスタートさせる。中村昭太はファーストライドからエアマニューバーを取り入れたライディングを披露するがインコンプリート。波数の少なくなったコンディションで厳しい戦いを強いられる選手達。何とか入って来る波を捕らえてライディングをするがスコアが伸ばせない。そんな中で再び大野修聖がバックハンドでクリティカルセクションに当て込むハードターンを決めて、6.75をスコア。ヒートスコア12.00としてトップの座を固める。
中村昭太もアリーウープをファーストターンで決めるライディングで5.25をスコア。大野修聖を追い上げる。ヒート終盤に入り、再びビッグセットを掴んだ大野修聖が、通常抜けていく早いセクションを見事に料理し、大きなスプレーを上げて走り抜けていく。そして大野修聖は、8.50、9.00のエクセレントを連続でスコア。ファイナルは完全に大野修聖の独り舞台となってしまった。
しかし、ヒート前半に思うような波を捕まえられなかった辻裕次郎は、後半に入りバックハンドでチャージを繰り返し、ハイスコアを連続してスコア。2位で大野を追い上げる。しかし時すでに遅し。下位の選手をコンビネーションに追い込み、圧倒的な強さでJPSA初戦で勝利を手に入れたのは大野だった。
良い波を5本掴んでしっかりとマニューバーを描き、世界レベルのサーフィンをイベントを通して見せた大野修聖。今回の勝利で大野修聖は、彼が日本一のサーファーであると言うことを改めて証明したと言えるだろう。会場でそのサーフィンを目の当たりにした人々は、他の選手と大きくかけ離れたサーフィンレベルに驚きを隠せなかった。今シーズン、彼が日本の海で、どのようなマニューバーを描くのか。今年は大野修聖のサーフィンを見るために、多くのギャラリーがコンテスト会場に詰めかけるだろう。
彼はJPSAで2004年と2005年にグランドチャンピオンを獲得。その後は世界に標準を合わせ、ひとりでASPの試合に挑み続けてきた。今年2月にパイプラインで行われたASP5スター「ボルコム・パイプ・プロ」での彼の活躍は記憶に新しい。そんな彼が何故いまさら日本の試合に出るのか。多くの人が疑問を抱いたはずだ。だが、その理由は明らかだった。大野修聖は、世界で培った考えやサーフィンレベルで、日本のサーフィン界を見つめ、新たなレベルに日本のサーフィンを引き上げようとしているのだ。
次に彼のサーフィンが見れるのは、2013年5月30日(木)〜6月2日(日)、千葉県長生郡一宮・釣ケ崎海岸(通称:志田下ポイント)で開催される、ASPジャパン開幕戦「QUIKSILVER OPEN JAPAN 2013」。この試合はASPの4スターイベントであり、今回のバリに出場しなかった日本の数名のトップ選手や、海外からのエントリーも間違いない。再び大野伝説が生まれるのか。今シーズンは大野修聖の動きから目が離せない!
「優勝は久し振りなんで素直に嬉しいですね。今年は全戦出れるか分かりませんが、5戦はJPSAに出場しようと思っています。久し振りに日本の大会に出れて楽しかったですね。ラウンド1からクラマスで出来て。6ラウンドぐらい戦いましたが、波にも恵まれたし、楽しかったですね。8年間もこのクラマスを使用させてくれている地元の人たちに感謝したいですね。バリと日本との素晴しい関係があって、成り立っている事だと思います。応援してくれた皆さんに感謝します。もっともっと日本のサーフィンが衰退しないように一人ひとりが出来ることをやって、サーフィンを楽しんで、サーフィンがもっと活気あるスポーツになっていけることを願います。」
橋本小百合。パワー、スピードは今の日本の女子を凌駕する。2年のブランクが嘘のようだ。
橋本小百合。今年はJPSAをできるだけ参戦する予定。ただ大学もあるので、新島の大会は出られないとのこと。その大学では栄養学を勉強中。
橋本小百合。今、スポンサーがすべて無い状態。ここからのスタートで新たな道を歩む。応援するぞ!
大村奈央。決勝に照準を合わせた作戦は間違いなく、ファイナルでは奈央らしいライディングがやっと見られた。しかし、あと一歩及ばず準優勝という結果。次につなげよー!
前田マヒナ。決勝では前半リードするものの後半はセットの波をつかめず3位。しかし、ここまで多くの観客の目を魅了してきたのは事実だ。
野呂玲花。今回は4位という結果に甘んじたが、最後まで攻めた姿勢は評価。この気持ちを忘れず努力すれば、必ず結果は付いてくる。
JPSAショートボード「ガルーダ・インドネシア トラベルシーンプロ」
優勝 橋本小百合 2位 大村奈央 3位 前田マヒナ 4位 野呂玲花
大野修聖。決勝はパワーだけでなく、フルスロットルで駆け抜けるスピードが誰よりもあった。
大野修聖。勝たなければいけないプレッシャーもあったはずだが、そんな心配はどこ吹く風。自分のサーフィンを魅せて見事に優勝。あっぱれ!
大野修聖。今年は日本にいる時間も多いので、JPSAにはできるだけだけ出たいと思っているとのこと。日本のサーフィンを盛り上げたいとも語ってくれた。
辻裕次郎。最後まで攻めたものの逆転はできず悔しい結果。しかし、試合は楽しかったと。勝ち上がるフィーリングを味わえて良かったし、モチベーションが上がったとコメントをくれた。次が楽しみだ。
中村昭太。波が波だったので、エアーで勝負。逆転を狙って飛びまくった昭太だったが、今一つ決まらず3位という結果。しかし、予期できないサーフィンはワクワクさせてくれる。
仲村拓久未。絶対優勝するという思いで望んだファイナルだったが、まったく自分のサーフィンが出来なかった。でも、この結果は経験となり、これでまた一回り強くなれる。
JPSAショートボード「ガルーダ・インドネシア トラベルシーンプロ」
優勝 大野修聖、2位 辻裕次郎、3位 中村昭太、4位 仲村拓久未
バリのトップ選手と日本のトップ選手による親善試合で優勝した高梨直人
親善試合
優勝 高梨直人、2位 Putra Hermawan、3位 小川直久、4位 椎葉順
大会名称【Surfing for all がんばろう日本!】
JPSAジャパンプロサーフィンツアー2013 ショートボード第1戦ガルーダ・インドネシア トラベルシーンプロ
期日:4月10日(水)~14日(日) ※プロトライアル同時開催
会場:バリ島 クラマス
賞金総額:¥3,000,000 (男子¥2,400,000 / 女子¥600,000)
特別協賛:株式会社 トリップデポ / ガルーダ・インドネシア航空
出場選手:公認プロ / 登録アマ
協力:トラベルシーン / バリサーフィンアソシエーション(BSA)
なみある?/ 国際スポーツ医科学研究所(ISMI)
神戸神奈川アイクリニック / TOKYO FM / キッズ・セーバー
NPO ウォーターリスクマネジメント協会
サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン(S.F.J)
株式会社 OKUTA / 株式会社キューテック
主催:JPSA