SATURDAYS SURF INTERVIEW/サタデーズサーフ・インタビュー

SATURDAYS SURF INTERVIEW

SATURDAYS SURF
左からジョシュ、モーガン、コリンのSATURDAYS SURF CREW

 

ニューヨークのSOHOから東京・代官山へ上陸して丸1年。4月5日には関西エリアの旗艦店として神戸に国内2店舗目をオープンさせた。サーフとクロージングを融合させたアメリカ東海岸発ブランド、その魅力を、サタデーズサーフのオーナー3人の言葉に探してみた。

 

interview:Takashi Osanai Photo:Yuji Matsumoto

 

 

●1周年記念パーティにはお店に入りきれないほどの多くの人が来場しましたね。

 

モーガン・コレット:日本のみなさんにサポートをして頂いているおかげでお店を展開することができています。ブランドの考えにこれほど多くの人が共感してもらえているという、その事実自体が光栄です。

 

コリン・タンストール:来日は今回で5回目ですが、いつもショップや海で刺激的な出会いがあって嬉しく思っています。今回は何よりアニバーサリーパーティが印象深く、再会できた人、その知人の知人と新しく出会えたりと、多くの出会いがありました。またニューヨークからアーティストのカーティス・クリングを呼べたことも新しい一歩。アートスペースでのエキシビジョンは今後も続けていきたいプロジェクトですね。

 

●これほど多くの東京の人から共感を得られた背景に関してはどう考えていますか?

 

ジョシュ・ローゼン:サーフとクロージング、両方のコンビネーションに面白さを感じて受け入れられているのだと思います。ニューヨークと東京はともに大都会で、それだけで共感できることが多いのではないでしょうか。

 

●来店するお客さんに共通点を見つけることはできますか?

 

ジョシュ:やはり同じような価値観を持っている人が多いように感じますね。ニューヨークも東京も、多くの人が、しかも多彩なバックボーンを持つ人が混在する街です。旅行者がいればローカルも存在する。ローカルのなかにはコアなサーファー、ファッショニスタ、ヒップスターだっている。多様な価値観が交差する街にあって、海やサーフィンに関心を示す人が多いという点も、ふたつの都市は似ているように思います。1〜2時間でビーチへ行ける環境も同じですしね。

 

 

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SATURDAYS SURF  ジョシュ・ローゼン

 

●サーフとファッションの融合という意味では、アメリカ西海岸発信のブランドにステューシーがあります。自分たちとの相違点をどう捉えていますか?

 

ジョシュ:確かに似ている部分はあると思います。ステューシーはサーフカルチャーというバックグランドを核としながら、他のカルチャーとクロスオーバーしていくことでブランドの価値観を高めていきました。70年代、80年代のカルチャー、たとえばスケート、スノーボード、ヒップホップという当時を象徴するカルチャーとクロスオーバーしていった印象があります。

 

モーガン:一方で僕らはもうちょっとニューヨークという街そのものにアイデンティティを求めています。サーフカルチャーを軸として、ニューヨークの人達の生活そのものや、他のアートカルチャーとクロスしていく。それがサタデーズのスタンスです。ステューシーとは登場した時代が違うことも、両社の間に差異が生まれているようにも感じます。より端的にいうなら、サタデーズはストリートウェアというよりライフスタイルウェア。そしてサーフィンを核としたライフスタイルショップということができます。

 

コリン:ステューシーは南カリフォルニアのラグナビーチで生まれました。また創始者のショーン・ステューシーはシェイパーからキャリアを始め、西海岸のカルチャーにより強い影響を受けて発展していきました。サタデーズはニューヨークという、サーフとはあまり関係なさそうに見える場所で進歩しているブランド。似ているようで、やはり違いがあるのだと思います。

 

SATURDAYS SURF  CREW コリン・タンストール
SATURDAYS SURF CREW コリン・タンストール

 

 

●ステューシーはサーフからクロージングへ立ち位置をシフトしていき、サタデーズはその逆という意味でしょうか?

 

ジョシュ:いえ、サタデーズもサーフショップからすべてが始まったのです。当時は洋服は展開していませんでした。ショップをオープンした後、ニューヨークという街に影響を受けて、自然の流れのなかで様々なプロジェクトが生まれていったのです。

 

●西海岸と東海岸という場所の違いなのでしょうか?

 

ジョシュ:それも正確ではありませんね。たとえばステューシーは東海岸のヒップホップに非常に強い影響を受けています。誕生の地は西海岸でもグローバルな視野を持ち、とても大きなスケールを持つブランドへ育っていったのです。サタデーズはまだ成長の途中段階ですが、サーフを核にしながらムーブメントを起こしているという点は似ています。ただ何より登場した時代背景が違いすぎます。ステューシーの誕生は1980年、もう30年以上も前です。時代、マインド、クリエイティブ性、情報のスピード、エネルギー、すべてが違いますから比較すること自体が難しいですよね。

 

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SATURDAYS SURF  モーガン・コレット

 

●なるほど。確かモーガンはカリフォルニア出身でしたね。ニューヨークとの違いとは何ですか?

 

モーガン:海そのものは西も東も変わりません。ただ西海岸は年間を通じてコンスタントにサーフィンができますが、ニューヨークでストレスなく満足にできるのは3ヶ月ほどでしかないという環境に違いはあります。

 

●いつもサーフするのはロッカウェイですか?

 

ジョシュ:ロッカウェイ、ロングビーチ、モントーク、これらの3つがニューヨークにあるメジャーなスポット。あとはニュージャージー。基本的に北からと南から、ふたつのうねりがベースになります。冬は北からストームがやって来てニュージャージーにヒットします。夏のハリケーンシーズンは南からうねりが入り、ロングビーチ、モントークで波がブレイクするんです。

 

●冬は寒いですよね?

 

コリン:とっても寒いですね。極寒ですよ。水温は2度くらい。それでも波がある時はサーフしていますね。ビーチは雪で真っ白の時もあリますが。

 

 


都会をベースにする僕らが心地よいと思える場。

それがサタデーズサーフなのです。 


 

 

 

 

SATURDAYS SURF

 

●そもそもニューヨークの人にとって海というのは身近な存在なのでしょうか?

 

コリン:そう思う人もいれば違う人もいる。いろいろなのだと思います。マンハッタンからサーフできるビーチへ1時間もかからずに着けることを知らない人もいますしね。そのなかでショップをオープンさせて感じたことは、想像以上に海やサーフィンに関心のある人が多かったということです。きっとそれは東京も同じなのではないかと感じています。

 

●一昨年の秋、クイックシルバーがスポンサーとなりASPのイベントがニューヨークで開催されましたが、サーファーが増えたなどの影響を何か感じましたか?

 

モーガン:正直、分かりませんね。ニューヨークは数ヶ月前のことよりも先を見る都市ですからね。イベント自体、毎日のようにおこなわれていますから。ただビーチに来る人が年々増えているという傾向は感じています。そのことがASPのイベントとどう関連しているのかは分かりませんけどね。

 

なるほど。ところでサタデーズが製作する雑誌の2号目が出ましたね。雑誌に続く新しいプロジェクトは何か考えているのでしょうか。

 

ジョシュ:新しいプロジェクトという意味では現状ありません。ですが、ショップ内のギャラリーを飾るアートワークは常に変わり、洋服自体が1年に4シーズンの展開です。すでに展開しているプロジェクトを進化させていくことを最優先に、そのなかで新しいサタデーズを見せていきたいと考えています。

 

●とても精力的な印象を受けますが、ブランドネーム自体にはユルさがありますよね。それにしても、なぜ土曜だったのでしょうか。なぜ日曜ではダメだったのですか?

 

ジョシュ:仕事をしている人ならば日曜の夜は早く寝ようとしますよね? 次は月曜、週の始まりなのですから。しかし土曜日はどのように過ごしても翌日もお休み。1週間のうちで一番自由な日なんですよ。

 

コリン:サタデーズの最初のコンセプトは、みんながハングアウトできる場所をつくろうというものでした。サタデーズを始める前の僕らは3人ともフルタイムで働くウィークエンドサーファーで、限られた時間のなかで仲間たちとサーフィンを楽しもうとしていたんです。そうした僕ら自身が体験してきたスタイルを前提に、同じような気持ちを抱いている人がハングアウトできる場をつくろう。そう考え、一番最初に出てきた言葉がサタデーズでした。平日は仕事をして、土曜日を思い切り楽しく過ごす。サーフは必要、洋服やコーヒーも必要。いわば都会をベースにする僕らが心地よいと思える場。それがサタデーズサーフなのです。

 

取材協力:SATURDAYS SURF NYC

http://www.saturdaysnyc.com/