キース・マロイ・インタビュー/“Come Hell or High Water”2

16mmフィルムにこだわって撮影された映像の美しさには、目を見張る。波はもちろんのこと、ロケーションの魅力を余すところなく撮影し表現しており、そのクオリティは極めて高い。撮影スタッフにも一流のシネマトグラファーを揃え、カリフォルニアやハワイはもちろんのこと、タヒチなどの特別な波に果敢に挑むボディサーファーの姿を活写する。体ひとつでチョプーのバレルを滑るシーンはフィルムのハイライトでもある。

 

第一章:なぜボディサーフィンなのか 第二章:極めて高い映像クオリティ 第三章:ボディサーフィンの魅力



SM: 撮影トリップで最も印象に残っているロケ地や体験はある?

K: やっぱりタヒチのチョプーのシーンと言うべきかな。マークもあそこではボディサーフィンしたことはなかったし、まったく未知の世界だったけど、多くの可能性と期待が秘められていた。ただひとりマイク・スチュアートだけが撮影前にあそこでボディサーフィンしたことがあったくらいで、誰も何が起きるかわからなかった。すごくヘビーでパワフルで力強い波だったけど、結果として素晴らしい撮影トリップになった。フィルム製作のプロセス全体の中で、私はタヒチのシーンがハイライトのひとつだと思っている。

SM: フィルムの中ではタヒチも含めていろんな波が出てくるけど、製作プロセスで苦労した点はある?

K: 最も苦労した点は、やっぱり波乗りの撮影かな。一般的なサーフィンのポイントでボディサーフィンを撮影しようとしたからね。あまりにも多くの波をボードサーファーたちに取られてしまい、被写体のボディサーファーたちは波をキャッチするのにすごく苦労したんだ。パイプラインで長いことボディサーフィンをしてきたマークですら大変だった。ラインナップにはロングボードからショートボード、ボディボードなどすべてがいたし、何時間もカメラを構えていたのに1本しかライディングを撮れなかったこともあった。映画を撮り始めた当初、このままじゃ十分なフッテージが撮れないんじゃないかってすごく不安になったよ。そこで、ボディサーフィン限定のポイントにフォーカスを置くことにしたんだ。例えば、オアフのサウスショアにあるポイント・パニック、ニューポートビーチのザ・ウェッジとかね。その点タヒチはあまりポイントが混んでいなかったから本当にラッキーだった。

 

プレミアのためキースのほか、マーク・カニングハム、べリンダ・バグス、トッド・ハニガンも来日

 

SM: 水中の映像が美しく印象に残った。誰が水中のシーンを撮影したの?

K: スコット・ソーエンスとデイブ・ホムシーがこのフィルムのメイン・シネマフォトグラファーを務めてくれた。それにジェフ・ホーンベーカーも。ジェフはタヒチのトリップですばらしい映像を撮ってくれた。他にも多くの人が貢献してくれている。例えばトーマス・キャンベルやサイラス・サットンなどなど、たくさんの素晴らしい人に撮影協力してもらえたことはありがたかった。

SM: あなた自身も撮影するでしょう?

K: 兄のフィルムを一緒に取り組んだり手伝ったりしているうちに、私もカメラを使うようになった。そのうち撮り方を学んで、けっこう撮影できるようにはなったんだ。私の主たる仕事ではないけど、長年にわたり撮影はしてきた。このフィルムではさらに力を入れ、さらにうまくカメラを使えるように努力したよ。

SM: ドン・キング親子のシーンは海の美しさと神秘的な明るい光がストーリーを際立たせていて印象的だった。あれはあなたが撮ったんでしょう?

K: そう、私自身もいくつかのシーンを撮った。ドン・キングと一緒に仕事をできたことは幸運だったし最高だった。彼は今回カメラで撮られる側だったけどね。ドンはすばらしいシネマフォトグラファーなので、私はドンと息子のボーの場面を撮影するにあたり、下手な仕事はしたくなかった。彼のパートは最高であるべきだと思って全力で撮影に臨んだよ。

 

試写会では音楽監督を務めたトッド・ハニガンとともに演奏も披露した

 

第一章:なぜボディサーフィンなのか 第二章:極めて高い映像クオリティ 第三章:ボディサーフィンの魅力