日本チームが参戦したワールドクラブチャレンジ。アジア/オセアニア地区のQSオーストラリアレッグ2戦が終了し、来季のCS出場選手が確定

現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】今回はワールドクラブチャレンジと、来年のCS出場権をかけたアジア/オセアニア地区共同開催のQSオーストラリアレッグ2戦の話など。

 

取材、文、写真:菅野大典

 

 

2月のゴールドコースト。

真夏とはいえ日中の平均最高気温は26〜28度。天気が崩れる日もありましたがとても過ごしやすい日々が続きました。

 

 

ビーチには相変わらず多くの人が海水浴を満喫。海水温も26度前後と最適な遊び場になっています。

 

 

オーストラリアはフィールド競技も充実。サッカーコート、ラグビーコートが10面以上が普通に同じ敷地に広がっています。海だけでなく屋外に子供が参加できる場が豊富にあり、放課後の時間にはたくさんのキッズが広大なスペースを走り回っています。

 

今月の波の状況は、地形の良い場所も多く、ハイシーズンという事もあり毎日のようにうねりが届き、サイズのある日はポイントブレイク、少しサイズが下がればオープンビーチといった感じでサーフィンできていました。ローカルサーファだけでなく、月の前半はクラブワールドチャレンジで来ている選手、後半はCSやCTに向けて準備している選手が数多くいました。

 

 

先月に地形が復活したスナッパーロックス、今月も質の高いブレイクを見せており、毎日のようにセッションが繰り広げられていました。

 

モリー・ピックラム

現ワールドチャンピオンであるモリー・ピックラム。気づけばツアー開幕まで1ヶ月。すでに多くのCT選手が波のある日にスナッパーロックスやベルズビーチ、ニュージーランドのラグランに足を運び練習している様子がみられます。

新たにアフェンズに移籍したコナー・オレアリー。迫力のあるバックハンドは目を惹きます。

すでにCT入りを確定させているティア・ゼブロスキー。14歳とは思えない力強いサーフィンでとても目立っていました。

昨年11月に半月板の手術を行いリハビリを行なっているジャック・ロビンソンの姿も。

波の良い日はカメラマンがたくさん。特に月の後半にスウェルが届いた時には軽く数えただけでも20人以上ものカメラマンがいました。

 

混雑するポイントブレイクとは対照的にオープンビーチもファンな日が多く、風の弱い時間帯は良いセッションが行われていました。

 

都筑有夢路、都築虹帆、伊東李安琉

 

昨年よく一緒にセッションした都筑有夢路、都築虹帆、伊東李安琉。いつもなら早起きしてどこか波の良い場所を探しにといった感じだったのですが、今回は試合期間中という事もあり練習のようなセッションをしました。

 

QSには出場せずにCSで結果を出し続けているアムロ。ニューボードの感触を試すため板を交換しながら練習。ブレる事なく自分のやるべき事を淡々とこなしておりました。質の高いターンはレベルの高いオーストラリアの海でも一際目立つ。日本人女子の中でもやはり一つ頭が抜けている実力を持っています。リアルといえばチューブというイメージがありますが、どのコンディションでサーフィンしてもうまい。波はそこまで良くないものの久しぶりに混雑のないオープンビーチの波で自由に乗りまくっていました。今年はCSとQSとISAと連戦続きで休む間もなく世界中を飛び回り続けるナナホ。それでも笑顔で海に入っていく姿には、本当にサーフィンが好きなんだなと感じさせられます。

 

 

2月もイベントは盛りだくさんでしたが、注目はなんといってもワールドクラブチャレンジと、来年のCS出場権をかけたアジア/オセアニア地区共同開催のQSオーストラリアレッグ2戦

 

 

第6回目となるワールドクラブチャレンジ。毎年1月にスナッパーロックスで行われた大会ですが、2月の開催に変更。今年はインターナショナルクラブの数もさらに増え、国内外合計40チームでのイベントに。

 

 

日本からは昨年に続きオミワンボードライダーズが参加。今年から1クラブにつき4人の選手(男子オープン、女子オープン、アンダー20、オーバー40)の構成となり、メンバーは森友二、都筑有夢路、高井太郎、佐藤和也での出場となりました。

 

 

初日は悲惨なほど雨嵐で、波もクラッピーなコンディション。いつもならビーチに大勢人が集まるチーム戦ですが、流石に天候には勝てず。

 

スナッパーロックス代表のシエラ・カー。ローカルクラブだけあってさすがの波選びとライディングを披露しラウンド1では9ポイントのエクセレントライドをスコア。

 

大雨のコンディションにも笑顔の都筑有夢路。第3回目以降、毎年出場しておりチーム戦も慣れたもの。チームを引っ張る存在になっています。ニュージーランド代表のベイボードライダーズには、昨年に引き続き黒川日菜子の姿がありました。2日目以降は波のコンディションも上がり選手たちは大満足。昨年に引き続き出場の森友二。

都筑有夢路

 

とにかく乗れれば点は出る。ラウンド2では7.5ポイント、ラウンド3では8.5ポイントをスコアしたアムロ。しかし他のクラブもビッグスコアをメイクしておりオミワンボードライダーズはここで敗退となりました。

 

 

最終日にはチューブコンディションとなり、雨が降る中でもイベントは盛り上がりを見せていました。

 

コロへ・アンディーノ

 

サンクレメンテボードライダーズのコロへ・アンディーノ。チームリーダーとしてクラブをまとめながら、自身もハイスコアを連発しファイナルにチームを導いた。

 

まとまりがあり勢いに乗るサンクレメンテ。誰もが優勝すると思っていたがファイナルではトーキーボードライダーズに敗退。以前同じイベントで10ポイントを出した経験のあるトーキーボードライダーズのトロイ・ブルックス。今回も素晴らしいオープニングウェーブで9.57ポイントをスコアしチームを一気に勢いに乗せた。チューブにマニューバーにと、太いラインを描いていたザビアー・ハックステーブル。イベントを通して大活躍しトーキーボードライダーズに貢献した。ファイナルで大爆発のトーキーボードライダーズ。開始20分で4人中3人がエクセレントスコアを出し、トータルスコア37.53ポイントという驚異的な数字を叩き出し、見事優勝を果たした。

 

世界一のクラブを決める舞台として進化が求められている

 

最終日はスナッパーらしい素晴らしい波のコンディションが戻ったことで会場は大盛り上がり、イベントは良い雰囲気の中で幕を閉じました。

一方で、運営面に目を向けると、昨年発表されていたアメリカでのシリーズ開催は実現せず、「クラブ世界一決定戦」という大きな看板を掲げながらも、出場は基本的にインビテーション形式。

 

明確な出場資格やトライアル制度が整っておらず、その結果、オーストラリア国内クラブの参加数も以前より少なくなっており、大会開催に向けて、内部的にさまざまな調整や意見の食い違いがあったことも伝えられていました。

すぐ近くのニュージーランドでは、このクラブワールドチャレンジへの出場権をかけた大会が行われており、サーフィンニュージーランドや、ベイ・ボードライダーズをサポートする企業が遠征費や宿泊費を負担する(以前は大会側からの補助もあった)など、国を挙げてこの大会を後押ししている一方で、まだ他の国にはあまり浸透しておらず、結果として、知り合いを通じた招待という形が中心になり、本来のクラブ組織とは少し性質の異なるチームが参加しているケースも見受けられます。

クラブ対抗というフォーマットは、サーフィンのコミュニティ文化そのもので、イベントとしての魅力は間違いないが、ここ数年勢いよくスケールアップしてきた大会だけに、今年の形を見て少しだけ空模様が変わってきたようにも思えます。

純粋に世界一のクラブを決める舞台としては、もっと整理と進化が求められているように感じました。

 

 

2月18日〜22日は、バーレーヘッズでQS4000 ゴールドコーストオープンが開催。リージョナル制度になってからは、ローグレードの国内イベントであったが、今回は重要なシリーズ最終戦前のアジア・オーストラリア・オセアニア地域の共催イベント。出場メンバーもCT選手が数名エントリーするなどハイレベルなイベントとなりました。

 

サーフメディアの記事でも連日取り上げていましたが(https://surfmedia.jp/2026/02/22/gold-coast-open-05/)、コンディションは、2月唯一波のなかった3日間がイベント期間中に当たるという残念な状況に。

 

厳しいコンディションが続いたバーレー

 

 

イベント期間前後はグッドコンディションが続いていただけに残念な波の状況。

ステファニー・ギルモアも参加し、R32ではメイシー・カラハン、松田詩野、中塩佳那といった豪華メンバーでのヒートとなり、1〜3位(1位ステフ、2位詩野、3位佳那)までが同じスコアの結果というスーパーヒートとなった。

 

ステファニー・ギルモア

 

同点ながらハイエストシングルスコアを出し1位通過したステフ。試合前の波を見ている表情はリラックスしながらも、真剣でやる気に満ち溢れている様子が感じ取れました。

 

松田詩野

 

グーフィーフッターにとっては厳しいポイントと言われるバーレーヘッズですが、セミファイナルまで進出し7位という結果の松田詩野。

 

脇田紗良

 

 

CS出場権をかけて熾烈なランキング争いを繰り広げる、脇田紗良、都築虹帆、野中美波はセミファイナルで同じヒートに。調子の良いサーフィンを見せていた脇田紗良だったが、終盤に野中美波とルビー・ベリーに逆転され5位という結果に。

 

ミナミとナナホ

 

試合終了後に健闘を讃えあうミナミとナナホ。CSの出場権は最終戦のフィリップアイランドまで持ち越された。

 

野中美波

 

期間前の練習時から波がよく見えていた野中美波。ファイナルでは良い波を掴むことができなかったが、4位という結果で最終戦を前にランキング3位というCS出場獲得圏内に。

 

加藤翔平

 

他の男子日本人選手が勝ち上がれない中、唯一ファイナルに進出し素晴らしいパフォーマンスを見せた加藤翔平。リーフ・ヘイゼルウッズ、ウィンター・ヴィンセント、リアム・オブライアンといった強豪とのヒートを勝ち上がり堂々の4位という結果。

 

デーン・ヘンリー
ブロンソン・メイディ

 

今大会のハイライトはなんといってもこの二人優勝したデーン・ヘンリーと準優勝のブロンソン・メイディ。ポイントブレイクながら壮絶なエアバトルを繰り広げていたサーフィンはまさに新しい時代を切り開いているように感じます。ワールドジュニアやアジアQSでも壮絶な戦いを繰り広げてるこの2人のライバル関係にも今後注目したいです。

 

アイラ・ハパッツ
ミラ・ブラウン

 

女子でも強烈なライバル関係にあるアイラ・ハパッツとミラ・ブラウンが1、2フィニッシュ。この1年で実力が数段に上がったアイラのシャープなターンには高評価がついています。

 

 

現地では多数の日本人が選手達の応援に足を運んでくれていました。日本人選手が乗るたびに湧き上がる歓声には、まるでホームで試合をやっているような感覚に。選手たちにとっても心強かったと思います。

 

 

MCでお馴染みのステイス・ガルブレイスとローカルヒーローのリアム・オブライアン。ステイスのインスタグラムのストーリーでは、スター性のある選手を面白く取り上げられたり、会場はバーレーヘッズという場所の良さをふんだんに使っており、サーフィンを観戦する人だけでなく、一般人にも楽しませるようなイベントを打っていました。

 

 

やはりこの場所でのイベントは盛り上がる。波のコンディションが悪く、ポイント移動なども考えられていましたが、この場所でイベントを遂行し成功に収めているのはさすがオーストラリア。来月はこの場所でサーフィンという枠を超えたビッグイベントのオーストラリアン・ボードライダーズ・バトルが開催。早くもSNSには面白い告知が流れていて、人々の興味をひいています。

 

 

 

2月26日〜3月4日には、アジア・オーストラリア・オセアニア地域の共催イベントで同地域のQS最終戦となるフィリップアイランドプロが開催。

こちらもサーフメディアの記事で連日取り上げましたが(https://surfmedia.jp/2026/03/04/phillip-island-pro-qs-jqs-07/)、最終日までCS出場権をかけて熾烈な戦いが繰り広げられました。

 

コンテスト会場 © WSL / Tom Bennett

 

会場のケープ・ウーラマイ。イベント期間中は、サイズの大きな日から小さい日までコンディションが二転三転する状況。

 

脇田紗良(JPN)Credit: WSL / Hughes
松岡亜音(JPN)Credit: WSL / Hughes
池田美来(JPN)Credit: WSL / Hughes

 

ゴールドコーストオープンに続き、日本人女子選手が大活躍。セミファイナルに4人中3人(脇田紗良、松岡亜音、池田未来)進出した。

 

脇田紗良 Credit: WSL / Hughes

 

セミファイナルでルーシー・ダラーに敗退した脇田紗良。あと1つメイクしていればCS出場権を獲得だっただけに非常に悔しい結果。それでも今回のオーストラリアレッグでは素晴らしいサーフィンを披露していた。

 

男女ファイナリスト4名 Credit: WSL / Hughes

 

左から女子準優勝の松岡亜音、優勝のルーシー・ダラー、男子優勝のアリスター・レジナート、準優勝のタリー・ワイリー。

アリスターは今大会でランキングを一気にジャンプアップさせCS出場権を獲得。ルーシー・ダラーは今季QS3勝目。サウスコースト出身の若干15歳が来季のCSでどんな活躍をするのか楽しみです。

 

アジア・オーストラリア・オセアニア地域最終ランキング、CS出場権獲得者は以下の通り

 

2025/2026 オーストラリア/オセアニア 女子ランキング:

  1. ルーシー・ダラー
  2. アイラ・ハパッツ
  3. チャーリー・ヘイトリー
  4. ジギー・マッケンジー

 

2025/2026 アジア 女子ランキング:

  1. 中塩佳那
  2. 松岡亜音
  3. 野中美波

 

2025/2026 オーストラリア/オセアニア 男子ランキング:

  1. リーフ・ヘイゼルウッズ
  2. レニックス・スミス
  3. ケイレブ・タンクリード
  4. ハーレー・ウォルターズ
  5. デーン・ヘンリー
  6. アリスター・レジナート
  7. ザビアー・ハックステーブル

 

2025/2026 アジア 男子ランキング:

  1. ブロンソン・メイディ
  2. 小林桂
  3. ディラン・ウィルコックセン
  4. ケトゥ・アグース
  5. 伊東李安琉

 

 

森友二、渡邉壱孔がオーストラリアでトレーニング

 

ゴールドコーストのハイシーズンな時期ともあって、2月は日本人選手も多く、たくさんの人とセッションしたり話をしたりしました。ただ波がいいだけでなくトレーニング施設やサーフィンに関連するものがとても充実しているゴールドコーストは、選手だけでなく多くのサーフィンに関わる人にとってとても魅力のある場所。

 

 

毎回オーストラリアに来た際に、現地の良さを吸収している森友二。

今回はオーストラリアで最も旬とも言えるコーチのアダム・ダフナーのセッションに参加したり、スナッパーロックスという世界でもトップクラスの選手が集まる中でひたすらサーフィンしたりと、選手としてだけでなくコーチとしてもたくさんの学びを受けていました。

 

森友二

 

スナッパーロックスでリッピングするユージ。貪欲に学ぶ姿勢だったり、がむしゃらにサーフィンをしまくる姿勢には、サーフィンに対する熱い思いが伝わってきます。

 

渡邉壱孔

 

バーレーヘッズでのQSに参加し、その後ゴールドコーストでトレーニングに励んでいた渡辺壱孔。2年前のISAワールドジュニアのアンダー18で4位、今年1月に行われたWSLワールドジュニアでは、5位という成績を持ちながらも、オーストラリアのジュニアサーファーのレベルの差を感じており、どのような環境でトレーニングしているのか実際に体験。初めてのオーストラリア滞在ながら、いろいろな経験を得ている様子でした。

 

 

ジャック・ロビンソンやデーン・ヘンリーをはじめ、多くのサーファーが受けているジャレッドのトレーニングにも参加。今まで受けたトレーニングとは全然違うと語っていて、新たな環境でいろいろな事を吸収していました。

サーフコーチといってもテクニックを教えたり、選手に寄り添ってゴールを共に目指したり、ヒートプランに長けていたりといろいろな種類のコーチがいますが、オーストラリアのコーチで共通して言える特徴は、選手とコーチの距離が近いという事。

長年色々な選手の練習風景を見ていますが、文化が違うからなのかコーチングを受ける子も気軽に親子のような友達のような会話をしており、内容も楽しみながら(もちろん真剣に)やっていたり、『何かをやらせる、やらなきゃ』というよりも、モチベーションをあげて『やってみよう、やってみる』というふうに感じます。

 

 

デーン・ヘンリーやカイアス・キングのコーチとして知られるアダム。デーンについては9歳の時からずっとサーフィンを見ていると言っており、遠目から見てもわかる程に信頼関係を感じました。

 

今のオーストラリアのジュニアは紛れもなく世界1強い世代であり、今後の世界のトップシーンに飛び出してくることと思います。客観的に環境や組織のシステムを見てみても、その差がすぐに縮まるというのは考えにくく、実際にワールドジュニアやQSでそのオージーのジュニア達と戦っている今の日本人選手達が1番に実力を感じている事だと思います。

 

 

朝はグループトレーニングしている光景が当たり前になっている。これが学校の授業の一部であるのはとても羨ましい。

それでも世界を舞台に戦っている日本人選手がいて、未来を見据えて自分のできる事を行なっている人たちも多く、今月はそう入った多くの日本人を見ることができました。近い将来日本もオーストラリアと同じくサーフィン大国と呼ばれる日を信じて応援したいと思います。

 

3月はバーレーヘッズでオーストラリアンボードライダーズバトル、そしてニューキャッスルではCS最終戦という2つのビッグイベントが開催。

 

 

都筑有夢路

 

 

現在CSランキング11位の都筑有夢路が自力でCT入りを果たすには優勝が必要ですが、練習やクラブワールドチャレンジでの試合を見ていると、ワールドジュニアやQS10000を優勝した時のような大舞台で強いアムロが戻ってきたように感じます。

頑張れアムちゃん!

 

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして、サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、選手の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。