12月3日、公益社団法人 日本サーフィン連盟(NSA)は、サーフィン競技を国民スポーツ大会の正式競技種目として認定してもらうため、スポーツ庁長官および関係者を訪問し、要望書を提出した。
今回の訪問には、日本サーフィン連盟の寺尾理事長、熊倉執行理事、梅本普及開発委員が出席。
競技としてのサーフィンの現状や今後の課題、さらに全国的な普及・強化に向けた想いを、山本大地衆議院議員(和歌山県サーフィン連盟顧問)に直接伝えた。

サーフィンは東京2020オリンピックにおいて正式競技となり、国内外で競技としての認知度と社会的価値を大きく高めてきた。競技力の向上にとどまらず、海というフィールドを舞台に自然と向き合うスポーツとして、地域社会や環境への貢献も年々注目を集めている。
日本サーフィン連盟は、全国各地でビーチクリーン活動を継続的に実施しているほか、自治体や学校、地域団体と連携した環境啓発イベント、若年層向けの海洋教育プログラムなどを通じて、サーフィン文化そのものを次世代へとつなぐ取り組みを続けている。
一方で、国民スポーツ大会の統括団体である日本スポーツ協会が定める正式種目の条件の一つに「都道府県スポーツ協会への加盟」があるが、ここに現在大きな課題が横たわっている。
加盟の申請方法や条件、審査基準、加盟金、窓口対応は都道府県ごとに大きく異なり、全国共通の統一基準が存在しない。そのため、日本サーフィン連盟が全国一律の水準で加盟活動を進めることが極めて難しい状況となっている。
実際に、現在加盟できているのは宮崎県、徳島県、和歌山県、佐賀県、静岡県、神奈川県のわずか6県のみ。このペースでは47都道府県すべてへの加盟に数十年単位の時間を要する見通しで、北海道や福岡県など複数県が申請中、または申請予定であるものの、現行制度のままではオリンピック競技としての競技力強化や、若年層育成のスピード感ある推進が難しい現状にある。
さらに、国際的にはオリンピック正式競技として確立している一方で、国内の大会制度だけが追いついていない現状もあり、このギャップは選手強化、競技普及、地域振興といった多方面において、日本の競技力向上の障壁となりかねない。

こうした事情を踏まえ、日本サーフィン連盟は、現在の全国組織体制のままでも国民スポーツ大会の正式種目として認定を受けられるよう、制度面での柔軟な対応を求めて河合純一スポーツ庁長官に要望書を提出した。
サーフィンは単なる競技スポーツにとどまらず、海を守り、地域と共生する文化を内包したスポーツでもある。
近年では、ビーチアクティビティを核とした海洋スポーツ振興や地域活性化を政策的に進める自治体も増えており、サーフィンをはじめとするアーバンスポーツの特性を踏まえた国民スポーツ大会の在り方そのものが、今後あらためて問われていくことになりそうだ。
今回の訪問は、競技の未来だけでなく、日本の海と地域、そして次世代のサーファーたちの環境を守り育てていくための大きな一歩となった。サーフィンが真に「国民的スポーツ」として根付く日を目指し、日本サーフィン連盟の今後の動向に注目が集まる。




