ISA World Longboard Championshipで国別総合で日本初の銀メダルを獲得した「TEAM JAPAN」が帰国

2024年4月19日(金)〜25日(木)の日程で「 2024 ISA World Longboard Championship」はエルサルバドルで開催。このISAロングボードの世界大会で、日本は国別総合で2位の銀メダル。個人では男子の井上鷹が2位で銀メダル、女子の田岡なつみが3位で銅メダルを獲得した。

これは選手自身が練習を積み重ね、今まで国内外の大会に何度も挑戦してきた結果だ。日本が世界と渡り合えることを見せてくれただけでなく、世界の頂点も狙えることを実証してくれた。

その日本代表「TEAM JAPAN」の浜瀬海、井上鷹、田岡なつみ、吉川広夏が、4/28(日)午後、羽田と成田空港にスタッフらと帰国。長旅の疲れも見せず、それぞれが今大会を振り返り、コメントをくれた。

 

日本のレベルが高いことを世界に証明できたと思う。浜瀬海

 

浜瀬海 photo:NSA
浜瀬海 Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

「今大会は鷹(井上)が2番で、なっちゃん(田岡)が3番になって。キャプテンとしてみんなを引っ張る意味で、一番良い成績を収めたかったんですけど、(グランドファイナルの前で)負けてしまったのが、個人的には悔しかったです。

でも、日本チームが一丸となって団結して銀メダルを取れたことは良かったと思います。今回、日本のレベルが高いことを世界に証明できたと思うので、次は金メダルを取れるように頑張ります。」

 

アジア史上初という成果を成し遂げることができました。井上鷹

 

井上鷹 photo:NSA
井上鷹 Credit: ISA / Pablo Jimenez

 

「初めてのチーム戦の参加でいろいろ不安もあったんですけど、監督はじめ、選手の皆さんが、すごくサポートしてくださったおかげで銀メダルという、アジア史上初という成果を成し遂げることができました。とても嬉しいです。

チーム戦は他人同士の集まりで、最初は少し馴染めなかったりしたんですけど、みんなで一致団結して、応援もそうですけど、みんなでお互いにマッサージし合ったりとか。より強い絆ができたと思います。サーフィンは個人競技ですけど、この経験をしっかりと活かして、また来年も良い結果を出せるように頑張りたいと思います。」

 

世界一へと一歩近づける、ゴールドメダルが見える試合になりました。田岡なつみ

 

田岡なつみ photo:NSA
田岡なつみ  Credit: ISA / Jersson Barboza

 

「今回は2回目のエルサルバドルで、ISAは3回目の出場でした。個人の方では自己ベスト更新して、銅メダルでした。それ、今まではゴールドメダルはすごい遠い存在だと思ってたんですけど、今回の試合で世界一へと一歩近づける、ゴールドメダルが見える試合になりました。

国別団体が銀メダルっていうことで、あと誰か一人の選手が、あと一つでも結果が良ければ、ゴールドメダルが取れていたという結果だったので。本当に悔しい気持ちが残るんですけど、この悔しい気持ちをバネに、次の試合ではゴールドメダルが取れるように頑張りたいと思います。

また、大きい波でも自分のサーフィンが通用するんだということがわかって、すごく自信に繋がりました。でも、今回の試合では失敗もあったので、そこから学んだことを次の試合に活かしていきたいと思います。」

 

去年の自分よりは、成長は感じられたかなと思います。吉川広夏

 

吉川広夏 photo:NSA
吉川広夏 Credit: ISA / Jersson Barboza

 

「去年の試合では日本のメダル(の獲得)は、雲の上の存在というか、手の届かない存在と感じていて。世界の男子のレベルも高くて、日本が戦っていけるのかなという不安があったんですけど、今年は絶対にイケるという強い気持ちになることができて、みんなで団結することができました。

自分は去年と同じ成績の7位で、最後も決めきれなかったし、日本があと少しのところで、団体の金メダルが取れるとこまで来ていたので、すごく悔しい思いでした。でも、去年の自分よりは、成長は感じられたかなと思います。」

 

テンの長さとターンの部分を大きくすれば、ほぼ互角かそれ以上で戦える。木下デイヴィッド

 

木下デイヴィッド photo:NSA

今大会の総括を、木下デイヴィッド コーチはこう語った。

「(出場)メンバーが決まった時に、もう彼ら彼女らは上手だということはわかっていて。今大会の世界のメンバー見て、普通でいけば上位5位は絶対いけるだろうと思っていました。メダルに関してあまり意識せず、目の前の一戦一戦を一生懸命やると考えていました。

海(浜瀬)くんがいつも最初に戦うんですけど、そこで強豪を抑えて一番で勝ち上がって。そこに鷹(井上)が続いて。女子も負けかけていたんですけど、逆転、逆転の繰り返しで。みんな、そこで自信がついていったんだと思います。団結力で言ったら世界一。それだけは間違いないと思います。

これからの課題は、やはりノーズの部分で(ハング)テンの長さ。その長さを意識した方が良いかなっていうのと、セットが来た時に、少し逃げる感じがあったので、そこを修正すること。

あとは、外人選手は骨太でターンの部分が太いんですよね。なので、足腰を鍛えて少しカーブを多くすること。逆に考えれば、小柄な方がハングテンはブレないで長くできるという利点もあるので、ターンの部分を大きくすれば、ほぼ互角かそれ以上で戦えると思います。」

 

 

2028ロサンゼルス大会で、サーフィン競技にロングボード種目の採用を目指す

 

 

今大会では参加国が33カ国から39カ国に増加し、盛り上がりを見せた「 2024 ISA World Longboard Championship」。2024パリオリンピックの次大会である2028ロサンゼルス大会で、サーフィン競技にロングボード種目の採用を目指すISAとしては、大きな成果があったと賞賛した。

 

日本のロングボード大会はNSAとJPSAで開催されているが、プロツアーを行なっているJPSAは、世界でも希少な存在。世界組織のWSLでもツアーは行なっているものの、各国の開催数を見ると少ない。

 

世界を改めて見ても独自のプロツアーは少なく、ツアーとは別にカルチャーメインのクラシックスタイルの大会が行われているのが現状だ。そう言う意味で競技としてのロングボードの選手育成について、JPSAが果たしてきた役割は大きい。

 

実際に今大会に参加した浜瀬、井上、田岡、吉川はJPSAグランドチャンピオン獲得者。その上で世界を転戦して、経験を積んできて今がある。しかも、コンペだけでなく、モダン、クラシックとも乗りこなすことができる選手たちだ。

 

将来、オリンピック種目になる可能性があるロングボード。日本としても、このロングボード種目の強化は、ショートボード同様に進めていく必要がある。選手の才能を開花させるためにも、国内の大会を数多く開催することも必須だろう。

 

勝てる選手を輩出するためには、毎年、プロツアーを行なっているJPSAの協力は必要不可欠。ここで試合を経験することが、選手の成長に大いに役立つからだ。プロ、アマ一貫して選手の育成を行うために、国内にある協会が一致団結して、新たな体制を作ることが急務となっている。

 

・TEAM JAPAN(日本代表選手)結果 

女子
田岡なつみ(JPN):3位(銅メダル)
吉川広夏 (JPN):7位


男子
井上鷹(JPN) :2位(銀メダル)
浜瀬海(JPN). :5位

[ 国別団体 ]
国別総合 : 2位 (銀メダル)


 

名 称 : 2024 ISA World Longboard Championship
主 催 : 国際サーフィン連盟(ISA)
期 間 : 2024年4月19日(金)〜25日(木)
開催地 :Surf City El Salvador

・ISA 大会HP
https://isasurf.org/event/2024-surf-city-el-salvador-isa-world-longboard-championship/

・NSA HP  
https://www.nsa-surf.org/