オーストラリアSURFNEWS 多くの日本人サーファーが渡濠。バーレーでGOLD COAST OPEN、シエラ・カー上映会

現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第44回となる今回は、多くの日本人サーファーが渡濠、バーレーでGOLD COAST OPEN、シエラ・カー上映会など。

取材、文、写真:菅野大典

 

2月のゴールドコースト。

先月に引き続き雨の降る日が多く続きました。

 

 

 

ゴールドコーストらしくないどんよりとした雲に覆われる日が多かった2月。

 

 

雨が降っていても波があるこの時期はサーファーがたくさん。雨のおかげで風が弱まり午後になってもコンディションの良い日があったりと、夏特有の強風が抑えられる日もありました。

 

晴れ間の広がる日は夏のゴールドコーストといった感じで、街の中もビーチも人がたくさん。先月から引き続き国内外からのビジターが多く訪れ、街全体が賑わっている感じがあります。海の中でもたくさんの日本人サーファーを見かけようになりました。

 

晴れた日のビーチは相変わらず大賑わい。キッズ達が元気にニッパーズのトレーニングをしていました。

 

2月はとにかく波に恵まれた1ヶ月となりました。

ゴールドコーストでは1週目はそこまでのサイズではなかったものの、冬型のような気圧配置となり、オーストラリアの南側に位置する場所はサイズアップ。

 

 

シドニー近郊ではオーストラリアの冬のシーズンに来るようなサイズの波がブレイク。PHOTO:SURFLINE
夏の時期はあまりサイズもなくオンショアになりやすいベルズビーチですが、珍しくこのコンディション。PHOTO:ROMY

 

せっかくのうねりなので、日本人サーファーを連れて朝3時出発の2時間南へドライブ。

すっぽり入れるサイズのチューブをメイクする萩田泰智。
ウォール沿いでは特大エアーをしているマイキー・ライトの姿が。

 

雨の影響で水も濁っていながらも、サイズのある形の良い掘れたビーチブレイクを堪能。ゴールドコーストとは違い混雑から解放されてたくさんの波にチャージしていました。

1週目を過ぎた後には、ゴールドコーストにうねりが到来。実にここから約3週間にもわたり頭サイズの波が途切れなく続きました。

 

 

スナッパーロックスからグリーンマウントは毎日この様な光景に。
陸にはカメラマンの姿が日の落ちる時間まで見られます。

高橋花梨、花音、長沢侑磨、岡野漣。ジュニア世代にとっては最高の練習場となるスナッパーロックス。この時期はハワイと並びゴールドコーストも日本人サーファーの修行場となっています。

 

昨年に続き夏の時期にゴールドコーストに滞在する岡野漣。スナッパーロックスではもうすでに顔を知られた存在になっています。

 

ここ数年地形の悪かったカランビンアーリーも地形が整い、毎日がグッドコンディション。混雑しながらもスナッパーロックスやD-BAHよりも波を取りやすいのでプロサーファー達も撮影をしたり、練習の場となっていました。

 

 

昨年度のCSランキングでアジアトップの成績の都築虹帆。アボカビーチとニューキャッスルで行われるQSの前にゴールドコーストに来て調整。
いつもニコニコの虹帆。昨年から始まったロキシーチームの共同生活でゴールドコーストの夏を味わっていました。

 

 

サーファーがたくさん集まっていてポイントパニックとなっているゴールドコーストですが、風が合う時間帯にはオープンビーチなどで混雑しにくい、いい波のブレイクする場所もまだまだあります。

 

 

オープンビーチで波を探しあてれば、こんな掘れた波を見つける事も。
長沢佑磨

 

先月からゴールドコーストに来ていた長沢佑磨。うねりが入って来るという事で、帰りのチケットを変更し長期滞在。毎日サイズのある波でトレーニングに明け暮れていました。

 

長いライトハンドのポイントばかりが取り上げられるゴールドコーストですが、さまざまな波の種類があります。

 

チューブを決める西村昇馬とパドルしている長沢佑磨。こんなアウターリーフのチューブオンリーのポイントもあります。

 

サイズが下がりだした下旬には、ジェットスキーを出して機材を載せ込みゴールドコーストの北側に位置するサウスストラドブロークアイランドへ。

 

 

通称サウスストラディと呼ばれるこの島は、以前コロナウイルスの影響でWSLシリーズが開催されなかった2020年に、オーストラリアのCT選手を集めて行われたオーストラリアン・グランドスラムの第1戦”BOOST MOBILE PRO GOLD COAST”の会場にもなった場所で、サイズを拾いやすく極上の掘れた波が割れる事で知られている場所。

 

沖合にアンカーで船をつけたり、ビーチにジェットスキーをつけたりしながらアクセス。

島の海岸侵食を防ぐサンドパンピングが行われているため、砂がついているピークがたくさん。常にサイズのある掘れた波がブレイクしています。

田中透生

今月からワーキングホリデービザを取りオーストラリアへ来た田中透生。サイズのある波へ何本もチャージ。残念ながら板をポッキリと折ってしまいました。

 

2月に入り一気にイベント事もスタート。

各地域では毎週末のようにボードライダーズのクラブラウンドが開催され、シーズンスタートしていました。

 

 

今月は2回のクラブラウンドと、2023年度のクラブチャンピオンシップ(昨年末波が無く開催されなかった)の、3回のクラブイベントが行われたスナッパーロックスボードライダーズ。

 

スケジュールに合わすのではなく、波がいいから試合開催できるというのはボードライダーズの良いところ。誰でも良い波で試合をしたいし、悪い波では試合したくない。急遽でもこの場所で試合を開催できるというのは、いかにサーフィンというものが一般人に浸透し理解されているかがわかります。

 

 

WSL QSのオーストラリアレッグもスタート。

 

  • 2月3日  BYD Pro URBNSURF  QS3000
  • 2月16 -18日  Gold Coast Open  QS1000
  • 2月22 – 23日 Camplify Port Stephens Pro QS1000
  • 3月4 – 8日  Ryde Central Coast Pro QS3000(アジア共同開催)
  • 3月11 – 17日 Burton Automotive Pro &
    Newcastle Racecourse Women’s Pro QS5000(アジア共同開催)

 

2月はメルボルン、アーバンサーフのウェーブプールでのQS3000からスタートし、バーレーヘッズでLQSの試合と共にQS1000が開催、その後ポートスティーブンスでQS1000が開催されました。

 

アーバンサーフ女子優勝のシエラ・カーと2位のエリー・ハリソン。男子優勝のジャービス・アールと2位のアリスター・レジナート。今シーズンからグレードもQS3000となり、このウェーブプールも重要な試合の1戦になっている。PHOTO:SURFING AUSTRALIA

 

 

2月16日から18日にかけてはゴールドコーストのバーレーヘッズでGOLD COAST OPENが開催。

 

会場のバーレーヘッズ。出店やライブミュージックなども行われ、サーフィンを観にくる人のみならず多くの人で賑わいを見せていました。

波のサイズもあり、イベント期間を通してとても良いコンディションに恵まれました。

綺麗なチューブライドを決めるジョージ・ピッター。時間帯によってはエクセレントなコンディションとなり見応えのあるヒートがたくさんありました。

個人的に印象に残った選手のデーン・ヘンリー。試合でありながら、まとめる気がさらさらない思い切ったライディングを連発。今後大注目の若手サーファーです。

優勝候補筆頭であったジョエル・ボーン。エアもリップも全てにおいて質の高いサーフィンをしていました。

同時開催したLQSには3度の世界王者のテイラー・ジェンセンもエントリー。ファイナル進出も3位という結果。

ファイナルで素晴らしいチューブライドを決め優勝したデクレン・ワイトン。

QS女子の優勝は、エクセレントスコアを毎ヒートのように叩き出していたニクシー・ライアン。

男子はアリスター・レジナートが優勝。

 

女子はまたしてもシエラ・カーが優勝

 

続いて22 、23日に行われたQS1000 Camplify Port Stephens Proでは、男子はジョーディー・ローラーが、そして女子はまたしてもシエラ・カーが優勝となりました。

シエラ・カーPHOTO : WSL/BOSKO

翌日に行われたプロジュニアでも優勝し、今年に入って出場したWSLイベント4戦(ワールドジュニア、QS2戦、プロジュニア)を全て優勝という驚異的な強さを誇っているシエラ。

 

 

 

 

そのシエラ・カーですが、誕生日の前日2月16日にレインボーベイサーフクラブで自身のプレミアを上映。地元のキッズからお年寄りまでたくさんの人が集まり大盛り上がりの上映会となりました。

 

 

 

最後のシーンではシエラのライディングに皆が釘付け。若干16歳の女子とはとても思えないライディングのオンパレードで、すでにはるか先のサーフィンを見据えているかのごとく、とても素晴らしい映像に仕上がっていました。

 

ISAとWSL両方のワールドジュニアのタイトルをとりながらも、フリーで世界中を駆け巡り映像を集める事は容易ではないはず。

 

このムービーに出演していたCTで活躍しているモリー・ピックラム、ケイティ・シマーズ、サクラ・ジョンソンと共にニュージェネレーションとして、今後の女子のサーフィンのレベルがどこまで行くのか楽しみでなりません。

 

最後にキッズ達と記念撮影をするシエラ。こういったロールモデルがいる事で、キッズ達にとっては自分の目指すべき姿が明確になるし、ここからさらにまた新しい世代を作り出されると思うと、このサーフィン大国オーストラリアは今後も揺るぎなく強いと感じさせられます。

 

エントリー代はフリーでラッフルチケットによるプライズもあったりと、アットホームな感じで行われ、ただ波が良いだけでなくこういったコミュニティの一体感があるゴールドコーストという場所は、ジュニア世代にとってとても良い環境であると感じさせられました。

 

元CTサーファーのジョシュ・カーの娘、シエラ・カー

 

波があり地元クーランガッタにいる時はいつも海で見かけるシエラ・カー。この場所に幼い時から注目されているサラブレットはたくさんいますが、結果を残す選手はほんの一握り。一緒にいるケイデン・フランシスもそうですが、環境はもちろんの事それにプラスして並大抵ではない努力をしています。

 

チェルシー・ヘッジ

 

最後に、28日に2023年度のオーストラリアンサーフィンアワードがサーフィンオーストラリアから発表され、Male Surfer of the Yearにイーサン・ユーイング、Female Surfer of the Yearにモリー・ピックラムが選ばれるなどし、Hall of Fame(殿堂入り)には2005年のワールドチャンピオンに輝いた経歴を持つチェルシー・ヘッジが選ばれました。

 

過去にはウェイン・バーソロミューやマーク・オキールポ、ミック・ファニングやステファニー・ギルモアといった世界王者が名を連ねるHall of Fameに仲間入り。オーストラリアのサーフィン界の殿堂入りを果たした。

 

今月はとても波に恵まれ、多くの人がサーフィンを楽しめた月となったゴールドコースト。コロナウイルスの影響から完全に解放されたせいか、昨年よりもさらにビジターが増え、海の中でたくさんの日本人を見かける月となりました。

 

3月はいよいよQSも大詰め。アボカビーチとニューキャッスルでハイグレードのQSがアジア・オーストラリアの共同開催で行われます。日本人vsオージー、楽しみです。

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。