夏の始まりを感じさせるスナッパーロックスのスーパーセッション、サンシャインコーストで相澤日向が優勝。

現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第40回となる今回は、ニッパーズとは、夏の始まりを感じさせるスナッパーロックスのセッション、AUSTRALIAN BOARDRIDERS BATTLE 2024の予選スタート、オージージャパニーズ相澤日向が、久しぶりの大会で見事に優勝。

取材、文、写真:菅野大典

 

10月のゴールドコースト。

今年もジャカランダが咲く季節となり、街中では綺麗な紫色の景色が楽しめます。

 

毎年10〜11月に咲くジャカランダ。今年は暖かいせいか開花が例年よりも早い気がします。

 

 

先月は夏の始まりのような感じの晴天続きで暖かい日が続いていましたが、今月は風が吹き荒れる日が多く、突然スコールが降ったりと天気が崩れる日もあり、肌寒く感じる日も多くありました。南風が吹きストームとなれば肌寒い感じに、日が出れば夏のような暑さとなります。

 

 

季節の変わり目なのか、突然の夕立ちが’降るなど空には大きな虹もよく出ていました。

 

また今月は風が吹き荒れることで山火事のコントロールがきかず被害も多く耳にしました。

ゴールドコーストのすぐ南の街のバイロンベイの近辺では272ヘクタールという規模の山火事になり、街中では灰が積もったりするなど、車を運転していても数メートル先が見えないほどの視界になるなどといった様子。内陸の地域でもたくさんの場所で被害の報告がされています。

10月はニッパーズが再開する月でもあります。

ニッパーズとはライフセービングのトレーニングを行うキッズ達の事で、年齢別に段階を踏みながら海での危険についてや自分自身の守り方を学んだり、ビーチでの体力トレーニング、パドルボードを使っての海での人の救助方法などのトレーニングを行なっています。

海沿いの各地域にあるサーフライフセービングクラブでは、10月から4月までの半年間、週末になるとクラブに所属している子供達がトレーニングをしている光景が目につきます。

 

 

どんな海のコンディションでもビーチで活動しているニッパーズ。親もボランティアスタッフとして参加しながら一緒に海に入ったりと、週末のゴールドコーストのビーチの定番の光景となっています。

 

子供の頃から自然と海と触れ合えば、波とも自然に調和できる。サーフィンのトレーニングを行うボードライダーズのシステムもそうですが、ライフガードやプロサーファーを目指す子だけがクラブに所属するわけではなく、体力作りや海の知識を身につける海辺の街の習い事の一つとして参加している人が多くいます。

ビーチが遊び場となっている地域が多いオーストラリア。サーフィンの強さの底上げの一つとなっているように感じます。

 

 

ゴールドコーストの波。風が合うコンディションが少なかった10月。

 

ゴールドコーストの波の状況は、朝早い時間帯から1日中北風が吹き続く日が多く、コンディションの良い日が少なかったのですが、風が合うコンディションの良い日には多くのサーファーの姿がありました。

 

 

地形のあるオープンビーチも多く点在。週末のビーチはたくさんのサーファーで賑わっています。
コンディションの良い日のD-BAHには常にカメラマンの姿が目につきます。
8月にインドで行われたQS3000で3位という結果を残した小濃来波。大会の無い束の間の数日間にゴールドコーストに訪れトレーニング。
久しぶりにD-BAHに来ましたと言っていた黒川楓海都。夏の時期は常に波が良いイメージのD-BAHですが、この時期は風が合いにくくコンディションの良い日も多くありません。
真っ黒の板に乗り一際目立つサーフィンをしていたダコダ・ウォルターズ。豊富なバリエーションのあるサーフィンで何本も素晴らしいライディングを繰り広げていました。

 

 

下旬にはトロピカルサイクロンLOLAが北東の沖合いに発生。南下しながら勢力を弱めながらも新たに南東にできた低気圧と重なり合い、東海岸全域に大きな南東うねりをもたらしました。

 

 

スナッパーロックスには巨大なうねりが押し寄せる。
久しぶりの大きなスウェルに朝から観客もたくさん。潮が引くお昼前後の時間帯にはたくさんのカメラマンやジェットスキーも出動していました。

 

南東うねりに加え南からの強風により海の中は川のように流れ、ピークに戻るのにはパドルではとても厳しいコンディション。それでも極上の1本をつかむために何度もたくさんのサーファーがパドリングを続けていました。
短いボードに乗りクルーズするかのようにサーフィンを楽しんでいたミック・ファニング。
ミックと同様に短いツインフィンの板に乗っていたステファニー・ギルモアの姿もありました。
GOPROを口にくわえながらチューブをメイクしていたシェルドン・シムカス。ローカルならではといったラインどりで何度もいい波をゲット。
まるでトライアスロンをしているように、波に乗っては岸を走って戻り、岩からジャンプオフしてラインナップについていたトーマス・カルバ-ロ。潮周りの良い時間帯にずっと海に張り付いてサーフィンをしていました。

 

 

しばらく質の高い波が入ってこなかったゴールドコーストだけに、今回のスウェルはローカルサーファーも大興奮。夏の始まりを思わせるようなスナッパーロックスのブレイクを見せてくれました。

 

AUSTRALIAN BOARDRIDERS BATTLE 2024(ABB)の予選がスタート。

 

 

10月は国内のイベントもたくさん。

 

先月から開催されているAUSTRALIAN BOARDRIDERS BATTLE 2024(ABB)の予選が各州で毎週の様に行われ、本戦をかけて激しい戦いが繰り広げられています。

 

 

29日に行われたクイーンズランド州予選で優勝したノースショアボードライダーズ。タフなコンディションの中、グランドファイナルで2度の優勝経験のあるスナッパーボードライダーズが、まさかのラウンド3敗退となり本戦の出場権を逃すなどといった波乱も起こりました。ここ数年でどのボードライダーズにも強いサーファーが育ち戦力も均衡してきています。

 

グランドファイナルは来年2024年の3月9、10日に、ゴールドコーストのバーレーヘッズで開催。賞金総額も90,000ドルと、オーストラリア中のボードライダーズがクラブのプライドをかけて戦いに臨みます。真夏のゴールドコーストのイベントとなるので大盛り上がりになることでしょう。

 

 

Woolworths Surfer Groms, Gold Coast

 

7、8日には2歳ごとにディビジョンが分かれている14歳以下のWoolworths Surfer Groms, Gold Coastの試合がフラットロックで行われ、海にはたくさんのキッズが集結。

 

地形の良いフラットロックのビーチが会場に。サーフィンクイーンズランドの試合は、選手が試合をしやすいようにモバイル方式で地形の良い場所でイベントが行われます。
8歳未満、10歳未満のディビジョンはピアレンツアシストも可能。子供が波に乗っては親がインサイドまで泳ぎ一緒にパドルアウトという、子供同士の対決というよりも親子同士の対決といった感じです。
掘れた大きな波にチャージすれば高得点が。
10ptライドを出して大喜び。家族みんなでの勝利を分かち合っていました。
タレント揃いの14歳未満のボーイズディビジョンで優勝したルーカス・デフェンティ。掘れたビーチブレイクが点在しているゴールドコーストというのはキッズにとって最高の練習場所。幼い頃から型にはまらずアプローチの感覚を磨けているので、バリエーション豊富なサーファーがたくさん育っていると思います。

 

Gage Roads Straddie Invitational

 

20−22日には、毎年ノースストラドブロークアイランドで行われているボードライダーズのチームイベントの『Gage Roads Straddie Invitational』が開催。

 

 

 

 

イーサン・ユーイングやビード・ダービッジの出身地として知られるノースストラディは、常に質の高い波がブレイクする事で人気のある場所。今年もジョエル・パーキンソンなど豪華なメンバーが集まり大盛り上がりイベントとなった様子でした。

 

 

優勝はイベントのホストクラブであるポイントルックアウトボードライダーズ。

 

ビクトリア州では23日にメルボルンのウェーブプール、アーバンサーフでリップカールグロムサーチのナショナルファイナルが開催。

 

16歳未満ガールズディビジョンで優勝したオリーブ・ハーディー。アーバンサーフのウェーブプールは、昨年からWSL QSをはじめ国内の試合やメーカーが貸し切りのプロモーション撮影に使用するなど、サーフイベントが盛んに行われています。PHOTO:SURFING VICTORIA

 

 

Australian Open of Surfing(AOS)ツアーが今年も開催。

10月14日 : Coffs Harbour Open

10月28日 : Sunshine Coast Open

 

コロナウイルスの影響によりWSLの大会が中断した事がきっかけで開催されることになったAustralian Open of Surfing ツアー(AOS)。以前はWSLのQSハイグレードとして開催されていましたが、コロナ期間中に試合が無い選手の練習の場と賞金を稼ぐ場となるように、サーフィンオーストラリアの救援策として国内ツアーとして毎年行われています。

 

昨年からは参加資格がオーストラリア人のみとなり、大会のフォーマットもベスト1ウェーブといった感じで、通常のフォーマットとは異なった国内の選手の練習の場となるような大会となっています。

 

コフスハーバーオープンで優勝したデーン・ヘンリー。最近メキメキと頭角を表してきている16歳のヤングサーファー。ベスト1ウェーブなので最後の1秒まで逆転の可能性があり、選手はリスクのあるライディングを繰り出してきます。

 

女子のファイナリスト。左から優勝ロージー・スマート、2位アイラ・ハパッツ、3位ケイラ・バックピット、4位レイハニ・ゾニックと全員が10代のヤングサーファー。4位のレイハニに関してはまだ10歳ながらエアーリバースもこなすスーパーガール。末恐ろしいサーファーです。

 

オーストラリア産まれのオージージャパニーズ相澤日向が久しぶりの大会で見事に優勝。

 

 サンシャインコーストオープンではオーストラリア産まれのオージージャパニーズ相澤日向が、久しぶりの大会で見事に優勝。女子優勝者はアイラ・ハパッツと、同じバーレーボードライダーズのチームメイト同士で嬉しい優勝となった。

 

相澤日向が久しぶりの大会で表彰台に上がり、見事優勝。
相澤日向が、8.27ptも出しハイエストシングルウェーブスコア賞もゲット。@tonypiperphotography

 

今年はQSや大会には参戦せずに、その分サーフトリップに時間を使っている相澤日向。大きなうねりがきたタイミングで仲のよいCTサーファーのリアム・オブライアン達とニューサウスウェールズ州や南オーストラリア州にキャンプ道具を持っていきながら泊まり込みでウェーブハントをしたり、メンタワイのボートトリップやタヒチなどにも足を運んでいます。

 

無人のブレイクを見つめるヒナタとリアム。幼い頃からの親友で信頼できるバディは心強い。
今年の5月にはずっと憧れであったタヒチのチョープーへのトリップも果たし素晴らしいショットも残した。https://www.instagram.com/hinatzz/

 

現在、相澤はバーレーボードライダーズのコーチをしており、日曜日に行われるABBに出場するので、ついでにとエントリーしたら久しぶりの大会で見事優勝と嬉しい結果となった。

 

この2戦の合計ポイントの上位10名の男女が、11月12日にボンダイビーチで行われるグランドファイナルに出場できることになっており、優勝者の賞金は男女ともに15,000ドル。来月も熱いバトルが繰り広げられそうです。

 

10月には異例の早い時期でのサイクロン発生や、山火事などの自然災害があり、地球を取り巻く環境が変化している事を肌で感じる月となりましたが、国内のサーフィンイベントが盛りだくさんに行われ、自然相手のアクティビティであるサーフィンを通じてたくさんの人が楽しんでいる姿を感じることができた月でもありました。

 

11月もまた素晴らしいサーフィンライフが送れたらと願います。そして台湾でのWSL QS5000アジア・オセアニアの共同開催。オージーサーファーとアジアサーファーの戦いも楽しみです。

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。